Matrox、世界初512bit GPU「Parhelia-512」を発表
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写真は開発バージョン |
5月14日 発表
Matroxは14日、世界初の512bit GPU「Parhelia-512 (パフィリア)」を発表した。搭載カードは6月末から7月上旬にかけて発売される予定。価格は128MBメモリ搭載モデルで400ドル以下となる見込み。
非常に大きなヒートシンクファンが搭載されているが、これは製品版では小型化される予定。Matroxによれば、GeForce4 Tiシリーズのものよりは小さくなるという |
Parhelia-512は512bitメモリコントローラアレイを持つ世界初の512bit GPU。8千万トランジスタを内蔵し、256bit DDRメモリを最大256MB搭載可能。メモリ帯域幅は20GB/Secに及ぶ。
ピクセル パイプライン レンダリング機能は、現時点ではもっとも高度なもので、ピクセルパイプ数は4、ピクセル当たりのテクスチャユニット数は4、ピクセルパイプ当たりのピクセルシェーダーステージ数は5で、クロック当たりのトータルシェーダーステージは36に達する。
プログラマブル バーテックス シェーダー(バージョン2.0)は4つ搭載され、クロック当たりのテクセル数は64となる。DirectX 9ではハードウェアT&Lは廃止され、かわりにこのバーテックスシェーダーがT&Lをエミュレートするかたちとなる。同社によればParhelia-512は、DirectX 8アプリケーションでも競合製品を超えるパフォーマンスを発揮するという。
また、同じくDirectX 9でサポートされる「ディスプレースメント マッピング」に対応。これは、ポリゴンに、物体の凹凸を濃淡で表現したテクスチャを貼り付けることで、ポリゴンの表面に凹凸をつくる技術。単純な例を挙げると、衛星写真をテクスチャとして平面ポリゴンに貼り付けるだけで、凹凸のある地形が出来上がるというもの。
より少ないデータ量でより緻密な表現が可能になるほか、パラメータの変更だけで、簡単かつダイナミックにポリゴンを変形できる特徴を持つ。
Parheliaコアのブロックダイアグラム。トランジスタ数は8千万とPentium 4の倍近い |
4x4サンプリングによる「16x Fragment Antialiasing(FAA)」機能を搭載。これは、レンダリングされた画像の輪郭のみを抽出し、16倍のアンチエイリアスをかける機能。従来のフルスクリーン アンチエイリアシング(FSAA)では画面上のテキストにまでアンチエイリアシングがかかり、テキストがぼやけてしまうことがあったが、16x FAAではこれを回避できるほか、局所的にアンチエイリアスをかけるため、パフォーマンスの劣化が少なくてすむという利点がある。
同社によれば、16x FAAは70%程度のアプリケーションで利用できるとのことだが、Parhelia-512は4x FSAAもサポートしているため、16x FAAで不具合が出る場合は4x FSAAに切り替えることができる。
また、「Glyph Antialiasing」と呼ばれる、テキストのアンチエイリアシング機能も搭載。これはWindows XPの「ClearType」と同じような機能。Glyph Antialiasingはソフトウェア処理のClearTypeと比較してCPUへの負荷がほとんどないという。
写真では分かりにくいが、右側の写真は左側のレンダリング画像の輪郭のみを抽出した画像。Parheliaではこの輪郭のみに16xのアンチエイリアスをかける |
Parhelia-512 | GeForce4 Ti4600 | RADEON 8500 | |
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ピクセルパイプ | 4 | 4 | 4 |
テクスチャユニット | 4 | 2 | 2 |
バーテックスピクセル シェーダーユニット(バージョン) |
4(2.0) | 1(1.1) | 1(1.1) |
テクセル/クロック | 64テクセル/クロック | 8テクセル/クロック | 8テクセル/クロック |
ピクセルシェーダー ステージ/パイプライン |
5ステージ/パイプライン | 2ステージ/パイプライン | 2ステージ/パイプライン |
トータルシェーダー ステージ/クロック |
36ステージ/クロック | 16ステージ/クロック | 16ステージ/クロック |
ピクセルシェーダーバージョン | 1.3 | 1.3 | 1.4 |
N-Patchテセレーション | 対応 | 非対応 | 対応 |
最大解像度 | 2,048×1,536ドット | 2,048×1,536ドット | 2,048×1,536ドット |
R/G/Bそれぞれのフレームバッファは10bitで、合計10億色の表示に対応する。10bit表示に対応するのは現状では放送用機器や医療機器などの業務レベルのもののみで、コンシューマ製品で対応するのはこれが始めて。2D/3D/DVD/TVなどあらゆる出力や、内部処理もすべて10bitで処理される。
RAMDACは400MHzのものを2個内蔵し、2系統のDVIコネクタを装備する(DualHead-HF機能)。最大解像度は、アナログ出力時が1ディスプレイ当たり2,048×1,536ドット、デジタル出力時が1,600×1,200ドット。
2台接続時はいずれのモニタ上もオーバーレイ表示やハードウェアアクセラレーションが可能なほか、個別にガンマ補正をかけられる。さらに、ガンマ補正はオーバーレイ表示されたYUV画像にもかけることができ、テキストアンチエイリアスにも個別にかけることで、最大で6つのガンマ補正処理が同時に行なわれる。
DVIコネクタには、専用の分岐ケーブルを接続することで、最大3台までのディスプレイを接続することが可能(TripleHead機能)。デジタル出力は最大2系統。TV出力にも対応し、アナログ/デジタル/デジタルや、アナログ/アナログ/TVなど柔軟な出力構成に対応できる。
TripleHeadは単に画面を広げるだけでなく、「Surround Game」と呼ばれるパノラマ表示機能に対応する。これは、中央のディスプレイに通常のゲーム画面を表示し、その左右のモニタにさらに横の部分の画面を表示する機能。現時点で「Microsoft Flight Simulator 2002」、「Quake III Arena」、「STARWARS JEDI KNIGHT II JEDI OUTCAST」、「Soldier of Fortune II: Double Helix」、「Unreal Tournament 2003」といったタイトルが対応を表明している。
既存品を含めたアナログディスプレイは10bit表示に対応するが、デジタルディスプレイはその仕様上8bitでの表示となる。しかし、この場合も内部的には10bitガンマ補正処理がかかるため、擬似10bitによる表示が可能となる。なお、Matroxでは「Photoshop」の10bit ビューワープラグインをリリースする予定だという。
Graphic Products ManagerのKamran Ahmed氏 |
今回の発表に先立って13日、カナダ大使館でMatroxによるプレス向け説明会が開かれ、Graphic Products ManagerのKamran Ahmed氏による、技術説明、実演デモなどが行なわれた。
今回の発表はGPUの発表で、カードの発表ではないということで実際の製品スペックなどについて詳細は明らかにされなかったが、ビデオメモリは64~256MBを搭載し、ターゲットマーケットによって、コアクロックなどが変わってくるということが明らかにされた。
デモでは4テクスチャユニットをフルに生かしてレンダリングされた魚のデモや、ディスプレースメントマッピングを利用してダイナミックに地形を描いたり、3画面によるSurround Gameなどが実演された。
ちなみに、Parheliaは“幻日”という自然現象を意味する。“幻日”は太陽の光が空気中で屈折して3つに見える現象で、Parhelia-512における3つの太陽はPerformance、Quality、Featureを表しているという。
□Matroxのホームページ(英文)
http://www.matrox.com/
□ニュースリリース
http://www.matrox.com/mga/media_center/press_rel/2002/parhelia512.cfm
□製品情報
http://www.matrox.com/mga/products/parhelia512/
□関連記事
【3月28日】DirectX 9注目の新テクノロジー「D-MAP」を理解する --その1
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0328/dmap1.htm
【3月29日】DirectX 9注目の新テクノロジー「D-MAP」を理解する --その2
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0329/dmap2.htm
【5月10日】【海外】DirectX 9が3DLabsとMatroxを復活させる
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0510/kaigai01.htm
(2002年5月14日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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