イベントレポート
Lenovo、E Inkとのデュアルディスプレイの2in1「YogaBook C930」
2018年8月31日 03:30
Lenovoは8月31日よりドイツ共和国ベルリン市で開催されるIFAに先立ち、現地時間8月30日に記者会見を開催し、2年前のIFAで発表したYogaBook(Lenovo、デュアルタッチスクリーンの折りたたみ式2in1「Yoga Book」参照)の後継となる「Yoga Book C930」を発表した。
従来のYoga BookはWindowsタブレットに、ワコムのEMRタブレットが合体したような形になっていたが、第2世代となるYogaBook C930ではWindowsタブレットとE Inkのタブレットが合体。E Ink部分がタッチキーボードや、ペンを利用したメモ帳、あるいはPDFリーダーになったりと形を変えながら利用できる。
E Inkディスプレイとのデュアルディスプレイになった新YogaBook
Lenovoが2年前のIFAで発表したYogaBookは、EMRのペンタブレットにLEDが入っており、キーボードモードに切り替えるとLEDが点灯し、タッチキーボードとして利用できるというユニークな製品だった。
今回発表されたその後継となるYogaBook C930は、そのEMRのペンタブレット部分がそのままE Inkディスプレイに変更されており、現時点では3つの利用モードに切り替えて利用することができる。
1つはタッチキーボードで、これは従来のYogaBookでも用意されていたタッチキーボードの発展版となる。従来のYogaBookでも、ユーザーのタッチの癖を読み取って補正したりなどさまざまな工夫で物理キーボードに近いエラーレートを実現していた。
YogaBook C930ではそれをさらに進めて、ユーザーのタイピングスタイルを予測・検出してキー全体を高速に切り替えるというアルゴリズムが入っている。また、キーボードのクリック音を出すことも可能になっている。
【お詫びと訂正】初出時に、「キーボードの左側を叩いたときには左側のスピーカーからより大きなクリック音を出したりという工夫もされている」と記載しておりましたが、その後の取材で、この機能は搭載されていないことがわかりましたので、訂正してお詫びさせていただきます。
従来のYogaBookでは、キーボード表示はLEDでハードウェア的に行なっており、日本のモデルは日本語キーボードに、米国で販売しているモデルは英語キーボードのみとなっていた。今回のYogaBook C930では、キーボードはE Inkのディスプレイ上にソフトウェア的に表示されているため、1つのSKUですべての言語に対応できる。
2つ目の用途は付属のペンを利用したメモ帳機能だ。付属のペンはワコムのAES 2.0方式に基づいており、4,096段階の筆圧検知、傾き検知などの機能を備えている。
また、従来モデルではEMRペンはEMRタブレット側だけでの利用だったが、YogaBook C930では、E Ink側だけでなくPC側のディスプレイでも同じペンが利用できるようになっている。ペンにより書かれた手書きメモは、E Ink側に保存でき、OSのクリップボードにコピーできる。これにより、PC側のあらゆるアプリケーションにペンの軌跡を貼り付け、活用できる。
3つ目の用途はeリーダー機能で、kindleのようなE Inkを利用したeリーダーと同じようにPDFファイルなどをE Inkディスプレイに表示して閲覧できる。現状では表示できるのはPDFファイルだけだが、たとえばPDF形式の技術資料をE Ink側に表示させながら、PCのディスプレイ側で図を書いたり、そういう使い方もできる。
E Inkディスプレイは10.8型のモノクロ表示で、フルHD(1,920×1,080ドット)の解像度となっている。マルチタッチ操作が可能なほか、前述の通りAES 2.0に対応したデジタイザが入っており、付属のLenovo Precision Penで操作できる。ちなみに、E InkディスプレイはUSBデバイスになっており、Windows側からはUSB経由で接続されている。
性能面もが強化
PCとしての仕様も強化されている。従来のYogaBookではCPUがAtom x5-8550(開発コードネーム:Cherry Trail)、メモリが4GB、ストレージが64GB(eMMC)となっていたが、YogaBook C930では、CPUは第7世代Core Yシリーズ(開発コードネーム:Kaby Lake-Y)のCore i5-7Y54ないしはCore m3-7Y30に変更。メモリ4GBは据え置きだが、ストレージは最大で256GB(SSD)になり、性能が大きく向上している。
ディスプレイも従来モデルでは10.1型WUXGA(1,920×1,200ドット)になっていたが、YogaBook C930では10.8型QHD(2,560×1,600ドット)に強化されており、より高精細な表示が可能になっている。
YogaBook C930のスペック | |
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CPU | Core i5-7Y54/Core m3-7Y30 |
GPU | Intel HD Graphics 615 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 最大256GB |
ディスプレイ | 10.8型QHD(2,560×1,600ドット)IPS/400nit、10.8型FHD(1,920×1,080ドット)E Ink |
ペン | AES(筆圧検知4,096段階) |
Wi-Fi | IEEE 802.11ac |
Bluetooth | Bluetooth 4.2 |
WAN | オプション(Nano SIM、LTE B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/26/28/29/30/38/39/40/41/66) |
USB | USB 3.0Type-C×2 |
SDカード | microSDXC |
カメラ | 200万画素 |
キーボード | E Inkキーボード |
ポインティングデバイス | E Inkタッチパッド |
バッテリ駆動時間 | 8.6時間 |
OS | Windows 10 Home |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 179.4×260.4×9.9mm |
重量 | 775g(Wi-Fi)/799g(LTE) |
従来製品の外部I/OはMicro USBが1ポートだけで、充電もデータもそれ1つで行なう仕組みだったが、YogaBook C930ではUSB Type-Cが左右それぞれにある。ただ、従来製品ではカメラはディスプレイ上部と、タブレット上部にも用意されておりタブレットモードに変形させたときにはリアカメラとして使えたが、今回の製品ではディスプレイ上部のカメラだけに変更されている。
無線は従来製品と同じように、Wi-FiのみのモデルとLTEモデム入りのモデルが用意。対応するLTEのバンドはLTE 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/26/28/29/30/38/39/40/41/66となっており、日本の通信キャリアが利用するバンドがほとんど含まれており、日本でも安心して使えそうだ。従来製品ではOSはWindowsとAndroidの2つが用意されていたが、今回のモデルではWindows版のみ提供される。
YogaBook C930はEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域では9月より提供開始される予定で、価格は999ユーロからになっている。従来モデルは499ドルからという価格設定だったことを考えると、低価格デバイスという位置づけではなく、プレミアムPCとして位置づけられている。