イベントレポート

ローム、CPUが壊れても走行を続けられるフェイルセーフな“車載液晶”

ROHMのデモに使われている回路と液晶。フェイルセーフのための仕組みを実現する

 CES2018会場近くのホテルで開催されたイベントShowStoppersに、日本のローム株式会社(ROHM)が出展していた。コンシューマ向け製品を披露するベンダーがほとんどのプライベート展示会にこうした企業が出展しているのはめずらしい。

 デモンストレーションされていたのは次世代のデジタルコクピットのソリューションだ。要するに、車の運転席でダッシュボードとして機能する液晶表示パネルだと考えていい。

 車のコンピュータ制御は今後もますます進んでいく。関連各社は、万が一のアクシデントを回避するためにさまざまな工夫をこらし、通信が途絶えても自律稼働し、センサーが壊れても、安全側に機能するような装備を考えている。

 このことを逆に考えると、コンピュータがもし壊れたり、CPUが停止してしまったときにはどうなるかが怖い。

 ROHMのソリューションは、液晶パネルそのものにセーフティ機能を持たせるために世界初のチップセットを開発したことだ。これによって、仮に、全体制御のためのCPUが停止するようなことがあっても、センサー信号を液晶パネルに接続しておくことで、最低限の表示だけは続行させることができる。たとえば、今、時速何kmで走っているのか、液晶表示バックミラーも静止フリーズさせずに、カメラの映像をストレートに表示し続ける。

 こうして最終的に、とにかく車を安全な場所に、安全な状態で静止させることを可能にするというものだ。このソリューションで増加するコストはわずかであるため、採用に前向きな自動車メーカーが少なくないという。

 コンピュータによる自動運転は今後もますます進化していくが、その安全性はあくまでもコンピュータが正常に機能しているかどうかにかかっている。このことは、なにも車の運転にかぎった話でもない。最近でこそ、Windowsのブルースクリーンにお目にかかることは少なくなったが、そのときに手も足も出ないようでは困ってしまう。

 もし、コンピュータが停止してしまった場合、あるいは、ハックされたような場合にどうすればいいのか。自分の命やそれに準ずるものを、自分で守るために、それを真剣に考えなければならないのが今という時代と言えそうだ。