イベントレポート

【CEATEC 2016レポート】センサー活用で広がりを見せるVRやロボット

 国内エレクトロニクスショー「CEATEC JAPAN 2016」が4日より7日までの期間で、東京幕張メッセで開催されている。

 今回のCEATECでは「社会」、「街」、「家」、「CPS(Cyber Physical System)/IoT」の4テーマごとにエリアを分けて展示。CPSは経済産業省の説明によれば「実世界から得られたデータを分析・解析し、その結果を再び実世界にフィードバックする……」としており、近年のビッグデータや深層学習、AIを駆使した技術がそれに当たるだろう。IoTに関してはもはや言わずもがなだ。ここ数年前までは“家電見本市”と見られてきたCEATEC JAPANは、そういった新しい技術の萌芽を背景に、開催コンセプトの見直しを図っている。

 ここでは、なるべくPCと関連性がありそうな展示品を選んで紹介。会場では基本的にはセンサー類が多数を占めるが、ロボットやAI、VRといったカテゴリの展示も見つけることができた。

センサー関連

 会場で特にセンサー関連の展示を多く見かけた。ただ自社のセンサーを展示するだけでなく、他社技術やアイデアを組み合わせているものが多数で、自社製品を活用したさまざまな製品展開のアイデアを提示している。

 パナソニックはIoTを活用した電池レスの無線スイッチを展示。これは椅子の座面に仕込まれており、座ることで発電して無線信号をサーバー上に送り、IoTに対応した周辺デバイスの電力をオンにする。会場ではディスプレイやデスクライトなどが一斉に点灯する仕掛けで、椅子から立ち上がると逆に電気が消える。これはドアを開けるといった日常動作にも利用でき、例えば入室と同時に室内ライトを付けたり、社内トイレの空き情報をクラウド上に送って、スマートフォンなどから事前に確認するといった使い方ができる。

IoTのスイッチが仕込まれた椅子。着席時に発電してサーバーに信号を送る
着席時はこのデスク上のディスプレイなど、電力を使用する機器が一斉にオンになる。それぞれの機器にも無線モジュールが組み込まれており、クラウドを介してオン/オフの信号を受け取る
パナソニックは9月末に発表した繰り返しの曲げに耐える「レキシブルリチウムイオン電池」も展示
厚みは0.55mmしかなく非常に薄い
この程度なら曲げても電池性能は劣化しない
これはピン形リチウムイオン電池の搭載したメガネ。ARなどへ利用に使える

 こちらは半導体デバイスなどを手掛ける太陽誘電が展示していた自律神経のバランスを測定する運転シート。太陽誘電と聞くとCD-Rなどを思い出してしまう読者が多いかと思うが、主力は既に半導体関連。このシートには座面の下に脈拍を測るセンサーがあり、ドライバーの状態をリアルタイムで確認して、居眠りやてんかんなどの異常事態が起きそうな状態を検出する。このほかにも、自社のアクチュエータを利用したフィードバックシステムなどを展示していた。

ドライバーの脈拍を測り、異常事態を検出するシート
座面に脈拍センサーが仕込まれている
太陽誘電のアクチュエータ
アクチュエータがこのタッチパネル液晶に組み込まれており、金庫のダイヤルを回そうとすると“カチカチ”という触感が得られる
金庫だけでなくギターの弦なども再現
これは基板の微細な実装部品をかき分ける感触をフィードバックする
太陽誘電が開発したBluetoothモジュールを搭載した超小型自走ロボット「TABO」
上部に無線モジュールがある

 アルプス電気もアクチュエータを使った丸形のフィードバックデバイスを展示。プチトマトを潰す触感を擬似的に味合わせるという一風変わった試みだった。ただ握り込むだけではいまいちトマト感が伝わってこなかったが、VR HMDなどで仮想的に描写されたトマトを表示するなどすれば、感じ方は変わってくるかもしれない。

アルプス電気が展示していたフィードバックデバイス。内部にアクチュエータが入っており、条件に応じたフィードバックを再現する

 村田製作所は体に小型のセンサーを貼り付けてゴルフのスイングを分析するモーションキャプチャーのためのウェアラブルセンサーを展示。デモでは女性がゴルフクラブをスイングすることでデータが計測され、スマートフォンやタブレットといったデバイス上からビジュアル的にモーションを確認。姿勢の問題点などを指摘できる仕組みが取り入れられている。

村田製作所のウェアラブルセンサー
体の各所に貼り付ける。スイング後に画面で姿勢などを分析可能

 下の写真はミライセンスの視覚障害者などに向けたフィードバックデバイス。駅内での道の方向を振動で知らせるハンディーデバイスのほか、振動箇所を前後左右で知覚できるコントローラデバイスなどを紹介していた。

道の方向がどちらに方向にあるか振動で知らせるハンディーデバイス
上の写真のように右に行かなければならない時は、ハンディーデバイスの振動が中央から右に向かって発生し、目や耳が悪くても分かるようになっている
上部の部分に前後左右に振動を届けるアクチュエータを搭載。ただ振動するだけのものと違い、ゲームなどで方向を伝えるフィードバックとしても使えるという
トリガーも付いている

 NECの生体認証技術コーナーにあったのは、耳を利用した認証デモ機。人それぞれ形状の異なる耳穴からの反響音の特性を利用して個人を特定する。他人受入率は0.01%としている。

耳音響認証システム

 東海光学が展示していた脳波をモニタリングするHMD「TOKAI VSI」は生活空間で自然に使える野暮ったくない形状を採用。内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の元に開発が進められている。会場にあったのは脳内の視覚情報を読み取るためのもので、例えば買い物で服を選んだりする場合などに視覚情報を通じてその人の好みなどが分かるという。つまりこれまで個々人の感覚的なものに頼らざるを得なかったものが数値化できるデバイスだ。視覚のほかにも、聴覚/味覚/触覚/嗅覚を脳波から測定できる。

頭に載せているのが脳波から視覚情報を読み取るHMD
脳波を読み取る電極が内側に付いている

ディープラーニングとAI関連

 車の自動運転における衝突回避など、ディープラーニングなどで有名なPreferred Networksは、ドローンを使った自動運転のデモを行ない、ディープラーニングによる自律飛行を見せていた。

 デモではランダムに現われる目的地(スポットライト)に向かって移動するというもので、目的地の間に障害物(赤い線のライト)が現われたら迂回して目的地に向かうように学習が行なわれている。車による自動運転が活かされているとのことだが、ドローンでは風や自重などの影響が大きく、難易度が高いという。ドローンの自律飛行プログラムはまだ数カ月前に始めたばかりとのことで、同社の新しい事業として開発が進められている。

自律飛行するドローン
ランダムに現われる目的に向かって、障害物を避けながら飛ぶ
説明員によれば、この程度の限られた条件であれば、3時間ほどのディープラーニングで自律飛行のシステムができるという
荷物を仕分けるアーム型のピッキングロボットも展示。ロボットは棚の中に置かれた物体の判別と、どこを掴むかを学習することで、正確なピッキングを行なえるようになる

 このほか、国立研究開発法人の産総研こと産業技術総合研究所も出展。同研究所がAI技術の利活用や普及、発展のために開発したものを「人工知能コンソーシアム」に参画した企業が導入して役立てるといったソリューションを展開している。例えば、大量の顧客データを持つ百貨店などが、専門知識を要せずにビッグデータを分析するためのツールとして提供するといった具合だ。

人工知能コンソーシアムの説明
こちらは株式会社ブイシンクが産総研のブースに展示していた多目的用途のタッチパネル端末。AIとの連携も可能で、展示は受付嬢のサンプルだった

VR関連

 こちらは株式会社meleapが展示していたAR(拡張技術)を使ったゲーム「HADO」。テーマパークなどのアトラクションとして既に導入されており、モンスターと戦ったり、プレイヤー同士で戦うといった遊びが可能。スマートフォンを使ったHMDと腕に付けるモーションセンサーを装着して、自分の手から魔法を出しているかのような映像体験が楽しめる。センシング用のカメラは使われていないとのことだが、これは設置された大きなボードを使ってユーザーの位置を逆算して割り出して適切な位置に映像を表示させている。

HMD越しに見ると、このようにターゲットマークなどが人物に付いているかのように見えるようになっている
HMD。各種スマートフォンを搭載できるようになっており、ワイヤレスで遊べる
アームセンサー
今回の展示では2チームが互いに戦うというものだった。大きなバックボードが2枚設置されており、このボードを元にアームセンサーなどで位置を割り出している

 半導体メーカーのROHMは同社が製造しているセンサーなどを使ったVRシューティングゲームを展示。大きなランチャーを両手で持ち、ジェットを飛ばしてオブジェクトを破壊する。モーションセンサーと脈拍センサー組み込まれており、ユーザーの集中力を読み取っているというのが新しい。集中力が上がっている状態では飛翔物体が少なくなり、快適に飛べるが、集中していないと物体が増えてしまう。

ランチャーはなかなかごつくてカッコイイ。ガジェットデザインで有名なアーティストの池内啓人氏が製作している
ゲームの画面。こちらはTECHMACが開発した「Z.O.N.E.(β)」

 会場ではこのほかにも、センサー会社やソフトウェア会社などによるVRの活用例を見ることができる。

センサーなどを作っているタイコ エレクトロニクスは、ハングライダーのVR体験機を展示
フォーラムエイトが開発したドライビングシミュレータのVR体験

ロボット関連

 会場では特にトヨタ自動車が開発した小型こコミュニケーションロボット「KIROBO mini」が注目を集め、人だかりを作っていた。価格は税別39,800円と高すぎず安すぎず。2017年に発売予定となっている。このほかにも、オムロンのブースにあった巨大卓球マシンなどが注目を集めていた。

 このほかにも、大学の研究室などの展示品もあり、慶應義塾大学は瞬発力を備えたロボットの脚部デモを行なっていた。こちらは2足歩行ロボットでは難易度が高い段差があるような悪路の走行を行なえるように研究が進められている。

トヨタ自動車の「KIROBO mini」
世界初という全自動いる折りたたみ機「laudroid 1」。スマートフォンから操作できる
JR PROPOの大型ドローン
ドローンメーカーのDJIは最新ドローンのMAVIC PROを展示
オムロンブースにあった巨大な卓球マシン
同じくオムロンが展示していた製品を運ぶための自律走行型ロボット
慶應義塾大学 桂研究室の超瞬発マシンのサンプル機。瞬発マニピュレータをよってジャンプや悪路を走行ができる
この部分で瞬発力を生み出している

その他

 CEATEC JAPAN 2016ではLenovoとNEC PCも展示を行なっていたが、今回のために用意したような新製品は見当たらなかった。目を引いたのは先日発表されたフォースフィードバックキーボードとワコム製デジタイザ機能を備えた「Yoga Book」が多数展示され試遊できたことと、6月のLenovo Tech World 2016で公開された腕に巻き付けられるスマートフォン「Cplus」。残念ながらCplusの製品化の目途はまだ立っていないとのことだった。

折り曲げられるスマートフォン「Cplus」。腕に巻き付けることを想定している
フォースフィードバックキーボードとワコム製デジタイザを備えた「Yoga Book」も展示

 PC Watchの読者には馴染み深いと思われるコンデンサなどで有名な日本ケミコンも出展していた。同社のコンデンサが搭載されたGIGABYTE製のマザーボードや、IN WIN製電源ユニットを展示。同社のアルミ電解固体コンデンサと言えば、水色で覚えている人も多いかと思うが、近年はゲーミング市場の勃興により、コンデンサを黒くして欲しいといった要望があるため、ぱっと見では分かりにくくなっている。

 オーディオ重視も近年の特徴であり、金色に塗るといった差別化も行なっている。オーディオコンデンサの作成には内部のアルミ箔の厚みや形状を変化させるなどして、調整を行なっているとのこと。説明員の話ではかなり手探りな作業とのことで構成を変えるなどして、納入先のメーカーにサンプルを渡してフィードバックから再調整といった工程が繰り返されるようだ。

 今でもアルミ電解固体コンデンサの主流はピンが突き出たリード形だが、オートメーション化を推進してるメーカーも増えつつあり、機械で簡単に実装できるチップ形が徐々に増えているという。ASUSといったメーカーがビデオカードの特徴としてオートメーションによる品質の高さを挙げているのを覚えている方もいるだろう。チップ形はコスト増につながるものの、今後はこちらのタイプを実装するマザーボードなどが増えてくるかもしれない。

日本ケミコンのアルミ電解固体コンデンサを搭載したGIGABYTEのマザーボード「GA-Z97X-UD5H」。型番的にはちょっと古い。基板のカラーに合わせて黒く着色されたコンデンサが載っている
こちらは日本ケミコンのオーディオ用に作ったコンデンサを搭載。周囲が金色になっている
MSIのゲーミングPCの「Aegis X」と思われる
IN WINの電源
リード形のコンデンサ
チップ形のコンデンサ

 このほかのPC関連機器については、ミツミ電機のUSB-PD対応ACアダプタや、ソシオネクストのリアルタイム8K HEVCエンコーダ「MB86M31」などを見ることができた。

ミツミ電機のUSB-PD対応ACアダプタ
ソシオネクストのリアルタイム8K HEVCエンコーダ「MB86M31」
ひな人形をリアルタイム撮影
こちらの8K液晶にリアルタイムに映し出されている