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富士通、世界最軽量599gを達成した第12世代Coreタブレット「FMV LOOX」

FMV LOOX

 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)株式会社は、13.3型タブレットとしては世界最軽量となる599gを実現した「FMV LOOX」を発表した。価格はオープンプライスで、出荷は6月中旬を予定している。

 富士通パソコン誕生40周年の記念モデルとしての投入となっているほか、LOOXブランドとしても11年ぶりの復活となっている。LOOXというブランドは「Look at “X” perience」という意味を込めており、ユーザーに変革をもたらすような製品として、これまでも常に様々な新機能や新要素を取り込み続けているのだが、今回の新製品も、コロナ禍における生活スタイルの変化やデジタルトランスフォーメーションを支えるようなものとなっている。

 まず、ユーザーが「PCを持ち歩く」という意識を高めるために、高強度アルミの削り出しユニボディを採用し、世界最軽量となる約599gと、世界最薄となる7.2mmを実現。第12世代Coreは発熱などが増えており、冷却ユニットの設計に苦労したというが、薄型ベイパーチャンバー、2本のヒートパイプ、グラファイトシートの添付などにより、重量を抑えつつファンレス化を実現した。また、基板レイアウトの見直しにより小型軽量化を図っている。

システム内部
UH-Xから大幅に小型化した基板
重量はわずか42g強
背面にグラファイトシートを添付
2本のヒートパイプを用いた冷却機構

 ユーザーの創造性をサポートし、新たにワコムと共同開発した「Wacom Linear Pen」を世界で初めて採用。こちらはAES 2.0プロトコルに基づいたものとなっているが、新設計のICとペン形状の改良より、ペンの傾きによる座標ズレを抑え、細くなったペン先でカーソルの見やすさが向上。本体を横にしても縦に回転しても座標ズレが起こりにくいという。また、書くことに特化したワコム製メモ「Wacom Notes」をプリインストールした。

ワコム共同開発のペンを採用。代表取締役社長兼CEOの井出信孝氏によれば、ワコムも創立40周年を迎えるという
イラストレータのnajucoさんも、手に馴染み、あらゆる方向でスムーズに描けるペンを絶賛

 また、USB Type-CでほかのPCと接続して、それらと組み合わせて利用できるソフトウェア「クリエイティブコネクト」機能を搭載。この機能では、メインで他のPCに接続すると、そのPCのキーボード/マウスをLOOX側でシームレスに使用できる「デュアルPCモード」、外部ディスプレイとして使用できる「セカンドディスプレイモード」、LOOXをペンタブレットとして使う「ペンタブレットモード」の3つに切り替えながら使用できる。

 同様の機能はmacOSおよびiPad OSに実装された「Universal Control」や「Sidecar」などに似ているが、有線で接続することで通信の信頼性を高め、レイテンシを最小限に抑え、ファイルのやり取りも高速に行なえることを特徴とする。

2つのPCの間でシームレスに操作やデータのやり取りを行なう「Frame Zero Concept UI」、2009年に発表したのだが、10年以上経過してようやく製品化
PC間でキーボード/マウスを共有し、ファイルのやり取りがシームレスに行なえるデュアルPCモード
セカンドディスプレイモードで、LOOXを液晶ペンタブレットとして使用できる
ノートPCとも連携可能

 タブレットは安価なモデルが多い中、LOOXは徹底的に品質を高めているのも特徴。ディスプレイには1,920×1,080ドット表示対応の13.3型有機ELを採用し、高いコントラスト比と1msの応答速度を達成。4つのボックススピーカーと組み合わせて、動画視聴など“オフユース”にも好適としている。背面カメラも1,258万画素と高画質。

 オプションのキーボードも、タブレット向けとしては異例とも言える打鍵感にこだわったものとして、同社の“キーボードマイスター”こと藤川英之氏が監修し、薄型ながら打鍵感に定評のあるフルサイズキーボードを採用した。また、40周年記念の第1弾として誕生した「FMV Mobile Keyboard」と組み合わせて使用できるとしている。

 本モデルならではのサービスとして「FMV LOOX Premium Care」を用意。月額660円で落下/水損/盗難/手持ちのスマートフォンの修理費用を保証するとしている。加えて、直販モデル限定で5G通信モデルも用意した。

 店頭モデル上位「FMVL90GB」の主な仕様は、CPUにCore i7-1250U、メモリ16GB、ストレージに512GB PCIe SSD、フルHD表示対応13.3型有機ELディスプレイ、OSにWindows 11 Home、Office Home and Business 2021を搭載し、直販価格は21万9,780円。

 下位の「FMVL75GB」は、CPUにCore i5-1230U、メモリ8GB、ストレージに256GB PCIe SSD、フルHD表示対応13.3型有機ELディスプレイ、OSにWindows 11 Home、Office Home and Business 2021を搭載し、直販価格は18万1,280円。

インテルの鈴木国正社長もビデオメッセージを寄せた

 インターフェイスは、Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、加速度/地磁気/照度/ジャイロセンサー、音声入出力などを備える。バッテリは35Whリチウムイオンで、駆動時間は約12時間。本体サイズは307×190×7.2mm(幅×奥行き×高さ)。IPX2防滴/IP4X防塵をサポートする。

 オプションとして、キーボード「FMV-NKB51」、ペン「FMV-NPN25」、ペン替え芯「FMV-PR03」、キックスタンド「FMV-LST01」、およびFMV Mobile Keyboardを同時発売する。いずれも価格はオープンプライス。

川崎設計、島根製造のMade in Japan
富士通パソコン40周年の歴史

タブレットで軽量化に苦労するのは筐体

 29日に開かれた製品発表会の最後で「質疑応答で、「LIFEBOOK UH-Xで既に634gを実現しているのに対し、キーボードを削っても35g程度の軽量化が限界なのか」という問いがあったが、FCCL代表取締役社長/CEOの大隈健史氏によれば、「クラムシェルとタブレットでは異なる堅牢基準があり、タブレットの方がより堅牢性に対する要求が高い。その中で堅牢性を維持しようとすると、単純にキーボード分を省けば良いというわけでもない」という。

 齋藤邦彰社長も「UH-Xで“ムサシ”(634g)を実現したのだから、次は“コジロウ”(526g)だと言ったのだけれど、それはやっぱり難しい。でも、600gという重量を切れたことに対しては満足している」と補足した。

発表会では、700g超えのタブレットが多数存在するなか、699g……ではなく599gを達成したことをアピールする一幕も

 一方で、半導体不足による影響などについて問われると、大隈氏は「本来は富士通パソコン40周年の記念すべき日となる5月20日に発売したかったが、あらゆる部品の調達の可能性を考慮し、6月上旬とした。大きい半導体(CPUなど)については概ね不足が解消に向かっているが、小さい部品についてはそこまで改善されていない。それらも鑑みて、セカンドソースなどの検討も含め、6月に発売できるよう企業責任を果たしていく」と述べた。

発表会の最後で齋藤社長は思い出深いLOOXとして初代LOOX Sを挙げた。オフィスに座って有線LANで接続するのが当たり前の時代に、H"による無線通信に対応
続けて出されたLOOX U。あらゆるビジネスマンのスーツの内ポケットを採寸して、筐体サイズを決めたという