笠原一輝のユビキタス情報局

Xe GPUの性能初見! 第11世代Core搭載ノートをベンチマーク

Intelの第11世代Coreプロセッサを搭載したノートPC、リファレンスデザインで実際に販売はされない

 Intelは9月2日(日本時間9月3日)にオンラインで記者会見を開催し、Tiger Lakeのコードネームで開発してきた第11世代Coreプロセッサを正式に発表した。

 第11世代CoreプロセッサはL2キャッシュを1.25MBに増量した新しいCPUの「Willow Cove」、内蔵のエンジンの実行ユニット(EU)の数を従来のGen 11 GPUの64から96へと増加させて性能の大幅に引き上げたIris Xe Graphics(開発コードネーム:Xe-LP)など、CPU/GPUともに強化されており、第10世代Coreプロセッサ(Ice Lake)と比較して大幅に性能が引き上げられている。

 今回本誌では、Intelより貸し出しを受けた、第11世代Coreプロセッサの最上位SKU(Core i7-1185G7)を搭載したリファレンスデザインのノートパソコンでベンチマークテストを行なう機会を得たので、その数値などを元に第11世代Coreプロセッサの性能について迫っていきたい。

本体性能はOEMメーカーのデザインに依存

CPU-Zによる表示

 今回Intelから貸し出しを受けた第11世代Coreプロセッサ搭載のシステムは、台湾のMSIで製造されたリファレンスデザインのシステムで、実際に製品としては販売されないものとなる。IntelがOEMメーカーなどに提供しているリファレンスデザインにもとづいており、その性能は第11世代Coreプロセッサを搭載したシステムの標準的な性能の指標となり得るものだ。

L2キャッシュが1.25MBに増量されている

 IntelのリファレンスデザインのシステムはCPUに、第11世代Coreプロセッサの最上位製品となる「Core i7-1185G7」を搭載している。Core i7-1185G7は、12MBのLLC(Last Level Cache、L3キャッシュのこと)を搭載しており、cTDPが28W時のベース周波数は3GHzに、cTDPが12W時のベース周波数は1.2GHzになり、Turbo Boostが有効な場合は最大4.8GHzに達する。

 メインメモリは16GBのLPDDR4x-4266でデュアルチャネル構成になっており、ストレージは1TBのSamsung PM981aが採用されおり、ディスプレイは14型のフルHD(1,920×1,080ドット)となっている。

 このIntelのリファレンスデザインの特徴は、第11世代Coreプロセッサで導入された新しい概念となる「オペレーティングレンジ」と呼ばれる新しい熱設計の概念で規定されている複数のデザインポイントのうち、もっとも高い方の設計になるcTDP Upの28Wに対応した熱設計が採用されていることだ。

【表1】第11世代Core(Tiger Lake)と第10世代Core(Ice Lake)の熱設計枠の違い
第11世代Core第10世代Core
開発コードネームTiger LakeIce Lake
熱設計枠オペレーティングレンジTDP
特徴可変(OEMメーカーが選ぶ)固定(オプションで可変)
数値28W~12W15W
cTDP up28W25W
cTDP down12W12W

 Ice LakeまではTDPと呼ばれる固定された熱設計のスペックを基本として、オプションとしてcTDP(Configurable TDP、可変熱設計消費電力)という可変な熱設計のスペックをOEMメーカーに提供してきた。

 従来のcTDPは1つの選択肢であって、IntelがOEMメーカーに提供するデザインガイドと呼ばれるのなかで熱設計のデザインとして提供されるのは、CPUが15Wの電力を消費したときに発生する熱を処理できるような熱設計(具体的にはヒートシンクやファンなど)になる。

 つまり、Intelのデザインガイドに従ってノートPCを設計すると、TDPは15Wになるが、OEMメーカーが自社独自の熱設計を行なうことを決めると、cTDP upで規定されている25Wに上げて設計することは可能だが、それはあくまでもオプション扱いになる。

 それに対して、第11世代Coreでは最初から幅を持たせたTDPの設定が行なわれている。具体的にはcTDP up相当になる28W(Ice Lake世代の25Wから3Wほど引き上げられている)~cTDP down(可変スペックで下の方)相当になる12Wの間で動作する。

 OEMメーカーによっては従来のTDPである15Wや、cTDP downの12Wで設計することも可能だ。そうすると、処理性能は落ちるが、熱設計に利用するヒートシンクやファンなどを小さくしたりすることができるため、より薄く軽いノートPCを設計することが可能になる。つまり、同じCore i7-1185G7を採用したノートPCであっても、OEMメーカーの熱設計のポイントの選択によって性能やサイズなどが違ってくるということだ。

 今回ののリファレンス製品では、cTDP upの28Wに対応するように熱設計が施されている。このため、PL1(Power Limit 1)と呼ばれる安定動作時の上限電力を、Windows 10のパワースライダーで変更できる。Best Performance(もっとも高いパフォーマンス)に設定した場合にはPL1=28W+Dynamic Tuning(Turbo Modeの動的な有効活用)の設定になり、Better Performance(高いパフォーマン)ではPL1=28に設定、Best Battery Life(より長いバッテリ)ではPL1=15Wに設定になるように設計されている。

 スライダーを変更したPL1がこう推移するのは、今回のIntelのリファレンスデザインのノートPCでの実装になる。従って、すべての第11世代Core搭載ノートPCがこうだとは限らない。製品によってはBest PerformanceにおいてPL1=28Wかもしれないし、15Wかもしれない。このあたりはOEMメーカーの設計により変わってくる。

 つまり今後ノートPCの性能は、CPUの性能+OEMメーカーの熱設計で決まってくる。第11世代Coreの性能を評価する上で、この視点ではとても重要になってくるので、まずこのことを理解しておきたい。

GPUの性能が前世代の最大2倍。総合力で第3世代Ryzen Mobileを上回る

左がIntelの第11世代Coreプロセッサ搭載ノートPC(ES)、右がMSIのRyzen 7 4700U搭載Modern-14-B4MW-011JP。外寸は同じで、熱設計の構造なども近いデザインになっている

 それでは実際のベンチマークを利用してIntelの第11世代Coreを搭載したノートPCの性能を評価していこう。比較対象として用意したのはRyzen 7 4700U(8コア/8スレッド、ベース2GHz、ブースト時最大4.1GHz、L3キャッシュ8MB、AMD Radeon Graphics、7コア)を搭載したMSIの「Modern-14-B4MW-011JP」、第10世代Core(Ice Lake)のCore i7-1065G7を搭載した「Microsoft Surface Pro 7」(VAT-00027、16GBメモリ、1TB)の2つだ。

 ただし、前者に関しては標準ではメモリ16GBだったのだがシングルチャネル構成になっていたため、ゲームなどでRyzenに不利な結果になることが予想できたため、2つのSO-DIMMスロットに16GBメモリを2枚挿し、32GB増やした(以後、Modern-14-B4MW-011JP改と表記)。

 なお、第3世代Ryzen Mobileの最上位SKUはRyzen 7 4800U(8コア/16スレッド、ベース1.8GHz、ブースト時最大4.2GHz、L3キャッシュ8MB、AMD Radeon Graphics、7コア)となるが、今回は時間がなく、店頭で販売されているPCから選ぶ必要があったのだが、残念ながらRyzen 7 4800Uを搭載したノートパソコンは店頭で販売されていなかった。そのため、2番目のSKUであるRyzen 7 4700Uを選んだ。

 また、Modern-14-B4MW-011JPは、Intelの第11世代Core搭載リファレンスデザインPCとほぼ同じ筐体を採用しており、Ryzenとの比較で比較的熱設計の差が出にくいと考えて選択した。

【表2】テスト環境
Core i7-1185G7Core i7-1065G7AMD Ryzen 7 4700
マシンIntelリファレンスデザインMicrosoft Surface Pro 7(VAT-00027)MSI Modern-14-B4MW-011JP改
メモリ16GB(LPDDR4x-4266、デュアルチャネル)16GB(LPDDR4x-3677、デュアルチャネル)32GB(DDR4-3200、デュアルチャネル)
ストレージ1TB(NVMe、Samsung)512GB(NVMe、Hynix)512GB(NVMe Samsung)
ディスプレイ14型 1,920×1,080ドット12.5型 2,736×1,824ドット14型 1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Pro(2004、英語版)Windows 10 Pro(2004、英語版)Windows 10 Pro(2004、英語版)

 ベンチマークは「CINEBENCH R20」、「PCMark 10」のExtended(ゲームを含むPCMark 10)、PCMark 10 Applications(Microsoft Word、Excel、PowerPoint、Edgeという実際の生産性向上アプリを利用して性能を計測するベンチマーク)、「3DMark」(Time Spy、FireStrike、NightRaid)、そして3Dゲームの代表例として「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(1080p/High設定)を利用した。解像度はすべてフルHD(1,920×1,080ドット)に設定した。

 第11世代Coreと第10世代Coreを搭載した2製品は、Windows 10のパワースライダーで性能が大きく変わったため、その影響も見るためにパワースライダーの3つの設定でそれぞれスコアを掲載している(いずれのテストもACアダプタを接続した状態でテストしている)。

 なお、Ryzen 7 4700Uを搭載したModern-14-B4MW-011JP改は、いずれの設定でも性能は誤差の範囲内だったため、最上位設定となる「Best Performance(もっとも高いパフォーマンス)」の数値だけを掲載している。グラフには入れていないが、計測した数値に関しては、表のかたちでグラフの後に掲載している。

 また、今回のIntelのシステムは、エンジニアリングサンプルという扱いで、バッテリ駆動時間の計測はできない、内部を撮影してはいけないという条件がつけられていた。このため、今回はバッテリ駆動時間などの省電力性能を測るベンチマークは一切行なっていない。

【グラフ1】CINEBENCH R20(CPU:マルチスレッド)
【グラフ2】CINEBENCH R20(CPU:シングルスレッド)

 CINEBENCHはCPUだけを利用してレンダリングを行なう3Dソフトウェアのベンチマークソフトで、CPUをマルチスレッドないしはシングルスレッドで利用して、CPU部分だけの性能を計測することができる。

 現代のCPUはSoCとなっており、CPUコアだけでなく、GPUも、場合によってはNPUなども搭載しており、それらすべてを利用したものが性能と言えるため、SoC全体の性能を図るものではないが、CPUだけの性能を測るには適したベンチマークだ。

 このテストのマルチスレッドでは物理的なCPUコアが8つあるRyzen 7 4700Uがもっとも良い結果を残した。ただし、シングルコア時はCore i7-1185G7の方が処理能力が高く、第11世代Coreがマルチスレッド対シングルスレッドがほぼ4:1で4つの物理コアというコア数に対してリニアに性能を発揮できているのに対して、Ryzen 7 4700Uは6.17:1になっており、8:1になっていないことがわかる。

【グラフ3】PCMark 10 Extended総合
【グラフ4】PCMark 10 Extended(種類別)

 PCMark 10 Extendedは、通常のPCMark 10のテストにゲーミングテストを加えたものになる。これらのテストはCPUだけでなく、GPUも利用する。

 このテストではPL1が15Wの設定でもCore i7-1185G7はRyzen 7 4700Uを上回っている。詳細に見て行くと、Ryzen 7 4700UはDigital Content CreationではCore i7-1185G7に匹敵する性能を発揮しているが、ゲームやProductivity(生産性向上ツール、Microsoft Officeのようなアプリなど)では大きく引き離されている。

【グラフ5】PCMark 10 Applications(総合スコア)
【グラフ6】PCMark 10 Applications(アプリ別)

 PCMark 10 Applicationsは、多くのパソコンユーザーにとって利用している時間が長いと考えられる、Microsoft Word/Excel/PowerPointと、WebブラウザのMicrosoft Edgeというリアルアプリケーションを利用したベンチマークになる。つまりユーザーがPCを使っている時の体感にもっとも近いテストと言っても過言ではない。

 このテストではCore i7-1185G7は前世代となるCore i7-1065G7およびRyzen 7 4700Uに2割強の差をつけている。こうしたオフィスアプリではさほど差はでないことが多いので、2割の性能向上は大きな差だと言っていい。

【グラフ7】3DMark Time Spy(DirectX12)
【グラフ8】3DMark FireStrike(DirectX11)
【グラフ9】3DMark NightRaid(DirectX12)

 GPUのゲームでの性能を測るベンチマークである3DMarkの結果は、第11世代Coreの特徴が良く現われていると言ってよい。Time Spyでは87%、FireStrikeでは90%、NightRaidでは72%ほど第10世代Core(Core i7-1065G7)を上回っている。Ryzen 7 4700Uとの比較でもいずれのテストでも上回っている。

【グラフ10】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(1080p/High) スコア
【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(1080p/High) 平均フレームレート

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズはDirectX11ベースのゲームタイトルで、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」はそのベンチマークテストだ。今回は解像度を1080pにして、設定をHigh(デスクトップ向け設定)にしてテストした。結果は見てわかるように、Core i7-1185G7はCore i7-1065G7の約2倍(99%アップ)のスコアを出しており、第11世代Coreの内蔵GPUであるIris Xe Graphicsが、前世代のGen 11 GPUの倍の性能を持つというIntelの売り文句を証明している。

【表3】全スコア
Core i7-1185G7(Best Performance、PL1=28W)Core i7-1185G7(Better Performance、PL1=28W)Core i7-1185G7(Best battery life、PL1=15W)Core i7-1065G7(Best Performance)Core i7-1065G7(Better Performance)Core i7-1065G7(Best Battery Life)Ryzen 7 4700U(Best Performance)Ryzen 7 4700U(Better Performance)Ryzen 7 4700U(Best Battery Life)
CineBenchCPU238721841617170417891547285529002758
CPU(Single)590590552448446447462472470
PCMark10総合534152434858367336493499413741124050
Essentials108091057310486918189958251869085588274
App Start-up Score156291540315464122601210411975999697919042
Video conferencing Score843279718006763973177065795177397616
Web Browsing Score958396279331826482198113825882738226
Productivity896488278887574056505592740172787230
Spreadsheets Score103131026310288777577697674914991258997
Writing Score779275937678423941104076598858055824
Digital Content Creation516749884518396040143739496949924898
Photo Edeting Score816677527345591956325368715871807013
Rendering and Visualization Score317930442541254825972532478448514798
Video Editing Score531652604942411944243847358335733493
Gaming435943913557235823512196248024862483
Graphics score575457384861301630012793329233013298
Physics score148631485010784117761176910045146041464914248
Combined score202920371541107510891040101910221022
PCMark10 Applications総合115111126111110939593129051921291429156
Word844385958514670167006427642663126235
Excel191471895517516161501612515804155181553416153
PowerPoint108091078510923870486192416818179927865
Edge1006191539354827480767852883089148876
3DMark Time SpyTime Spy180317951530963973975111411461145
Graphics score161616201393850859860108810101010
Graphics test110.4610.469.315.555.615.636.776.876.76
Graphics test29.339.377.834.884.924.925.645.855.65
CPU score527646533437399839944130495449424808
Average simulation time per frame17.7315.6311.6713.4313.4213.88495416.616.15
3DMark FireStrikeFireStrike520359104517273028052775298929882995
Graphics score566356594949287429762973330733043320
Graphics test126.6426.3723.8114.2214.0814.0215.9615.9116.02
Graphics test222.8923.0619.6311.1511.9811.9913.0813.113.13
Physics score147171403210045119521195310989147281483514428
Physics test46.7244.5531.8937.9437.9534.9246.7647.145.8
Combined score201920231535107910891060102510251025
Combined test9.399.417.145.025.074.934.774.774.77
3DMark NightRaidNightRaid178351760113628103681075410615128851290912896
Graphics score214932187917531116561171411885135231354613588
Graphics test192.2693.6875.0347.1547.4548.8356.3156.356.6
Graphics test2117.02119.4995.868.868.9968.676.6376.9576.96
CPU score90798351602962237344558510168101959904
CPU test63.368.995.492.478.3102.956.556.458.1
3DMark - VRS Tier 1VRS off110.62110.58103.3766.6967.1467.14n/an/an/a
VRS on168.49168.31133.55105.01105.92105.8n/an/an/a
VRS Performance Gain52.352.233.157.557.857.6n/an/an/a
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(1080p/High)スコア516451343993259424371475282328282825
平均フレームレート35.3571435.2883627.832917.4346716.4053310.3253318.7653318.84818.81067

 なお、それぞれのテストをバッテリ駆動時にも計測してみたので、参考値として参照して欲しい。

【表4】バッテリ駆動時の性能
TGLICLRyzen 7 4700U
CineBenchCPU161712862762
CPU(Single)424321450
PCMark10総合408426093027
Essentials853470556144
App Start-up Score1053576435413
Video conferencing Score728565766622
Web Browsing Score810069896472
Productivity657436853856
Spreadsheets Score764456345255
Writing Score565526522830
Digital Content Creation337226773934
Photo Edeting Score650343254443
Rendering and Visualization Score152714714505
Video Editing Score386330173043
Gaming397917182439
Graphics score524221453250
Physics score11519837113643
Combined score1872849999
PCMark10 Applications総合856263195956
Word609546824203
Excel1323594439732
PowerPoint802463085470
Edge829257175628
3DMark Time SpyTime Spy15537521125
Graphics score1413665988
Graphics test19.324.156.62
Graphics test28.023.975.53
CPU score355229265365
Average simulation time per frame11.939.6318.03
3DMark FireStrikeFireStrike460121212918
Graphics score511522293250
Graphics test125.049.0715.47
Graphics test220.0110.4213.01
Physics score10748853213933
Physics test34.122744.23
Combined score1762852989
Combined test8.23.964.6
3DMark NightRaidNightRaid10875669312469
Graphics score12501719513052
Graphics test160.0525.6353.97
Graphics test259.9652.9274.66
CPU score626247979951
CPU test91.8119.957.8
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(1080p/High)スコア393224322803
平均フレームレート27.411415.786118.67733

条件はつくが、競合を超える性能を発揮する第11世代Core

28Wのデザインに対応したCore i7-1185G7を搭載したIntelのリファレンスデザインノートPC

 今回の結果はあくまで、Core i7-1185G7が搭載されたIntelのリファレンスシステムと、Ryzen 7 4700Uを搭載したMSI Modern-14-B4MW-011JPとの差であるというのはすでに説明してきたとおりだ。従って、同じRyzen 7 4700Uでも別のOEMメーカーのシステムで比較したら、別の結果がである可能性があることは断わっておかないといけない。

 この前提の上で今回の結果を評価していくと、Core i7-1185G7は、前世代のCore i7-1065G7はもちろんのこと、Ryzen 7 4700UもCPU+GPUというSoC全体の性能でも上回っていると言えるだろう。

 今回は第3世代Ryzen Mobileの最上位SKUであるRyzen 7 4800Uでのテストではなかったが、Ryzen 7 4700Uとの違いは仮想マルチスレッディングの対応と未対応ぐらいであることを考えと、それほど差は大きくないと考えられるので、仮にRyzen 7 4800Uと比較してもさほど違いはなかっただろう。

 その意味では、「OEMメーカーがこのリファレンスシステムと同じように28Wに対応した熱設計する」という条件はつくものの、オフィスアプリでも2割程度速くなっているし、ゲームに関しては前世代比で最大で約2倍の性能を発揮するのだから、Core i7-1185G7は大きな性能のジャンプを実現していると評価したい。