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独自SoC採用のGoogle製ハイエンドスマホ「Pixel 6/6 Pro」をレビュー

Pixe 6およびPixel 6 Pro

 Googleから、最新スマートフォン「Pixel 6」および「Pixel 6 Pro」が登場した。今回、いち早く実機を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。なお、試用機はファームウェアやアプリなど製品版とは異なる部分が残されている可能性があるため、その点はご了承願いたい。

従来モデルからデザインを一新

 ではまず、Pixel 6シリーズの外観から見ていこう。

 従来モデルとなるPixel 5シリーズは、搭載SoCなどからも、いわゆるミドルハイレンジに位置付けられるコストパフォーマンスを追求した製品だった。Pixel 4までは、ハイエンドモデルのPixelシリーズと、コストパフォーマンス追求のPixel aシリーズの2シリーズで展開していた一方、Pixel 5シリーズでは、今年夏にPixel 5a 5Gも登場したが、Pixel 5も含め、事実上aシリーズとして分類していいモデルだった。

 それに対し、Pixel 6シリーズは以前同様にハイエンドモデルとして登場。それもあって、デザインは従来モデルから大幅に刷新されるとともに、質感も大きく高められている。なお、Pixel 6はプレミアムモデル、Pixel 6 Proはフラグシップモデルとして位置付けられている。

Pixel 6
正面
背面。試用機のカラーはStormy Black
下部側面
左側面
上部側面
右側面
Pixel 6 Pro
正面
背面。試用機のカラーはSorta Sunny
下部側面
左側面
上部側面
右側面

 Pixel 6シリーズは、側面がリサイクルアルミニウムを採用したメタルフレームとなり、ディスプレイ面および背面にはガラスを採用。メタルフレームは、Pixel 6ではつや消し仕上げのブラック、Pixel 6 Proでは光沢仕上げのシルバーとすることで、印象が異なっている。あわせて、ガラスは双方とも光沢仕上げとなっており、どちらも従来モデルよりも高級感が感じられる。

 側面は曲線となっており、メタルフレームとガラスがほぼ段差なく結合されている。これによって、手に持ってもゴツゴツとした印象は伝わってこない。なお、Pixel 6 Proのほうが側面の曲線がよりなだらかとなっている。

 ガラスは、ディスプレイ面には双方とも米Corning製の強化ガラスの中で最も優れた強度を誇るGorilla Glass Victusを、背面にはPixel 6がGorilla Glass 6、Pixel 6 ProがGorilla Glass Victusを採用。これにより、傷が付きにくいのはもちろん、本体の耐久性も高めている。

左がPixel 6、右がPixel 6 Pro。Pixel 6の方がわずかに小さい
Pixel 6は側面のメタルフレームがつや消し仕上げのブラック。背面ガラスはGorilla Glass 6
Pixel 6 Proは側面のメタルフレームが光沢仕上げのシルバー。背面ガラスはGorilla Glass Victus
Pixel 5シリーズとの比較。左からPixel 5、Pixel 5a 5G、Pixel 6、Pixel 6 Pro
こちらは背面の比較。同じく左からPixel 5、Pixel 5a 5G、Pixel 6、Pixel 6 Pro

 Pixel 6シリーズのデザインで最も大きなアクセントとなっているのが、背面カメラの「Pixelカメラバー」だ。Pixel 5シリーズでは、四角いユニット状の2眼仕様カメラを背面左上角付近に搭載していたのに対し、Pixel 6シリーズでは背面上部に左右側面まで達する帯状の突起を用意してカメラを配置するという、これまでにないデザインを採用。このPixelカメラバー、本体から実測で3mmほどとかなり大きく飛び出しており、その点でも強いインパクトがある。

 また、ディスプレイ面を上にしてテーブルに置く場合などは、このカメラ部が本体上部を支える脚のような役割となり、安定して置ける。従来モデルのようにカメラユニットの突起が本体の片側に寄って配置されていると、テーブルなどに置いたときにぐらつく原因となるが、Pixel 6シリーズではそういったことはない。

 ただ、やはりカメラユニットが大きく飛び出していることで、手に持ったときなどにカメラ部が指に触れると、ゴツゴツとした印象を受けるとともに、やや邪魔にも感じる。

Pixel 6のカメラバー。背面カラーは、カメラバーの上下で異なっている
Pixel 6 Proのカメラバー
カメラバーの突起は実測で3mmほどとかなり大きい
Pixel 6 Proのカメラバーの突起も実測3mmほどだった
Pixel 5a 5G(左)のカメラと比較すると、存在感が大きく異なることが分かる
テーブルにディスプレイを上に向けておくと、カメラバーが脚となりぐらつかず置ける

 カラーは、Pixel 6、Pixel 6 Proそれぞれに3色を用意。Pixel 6はSorta Seafoam、Kinda Coral、Stormy Blackの3色、Pixel 6 ProはCloudy White、Sorta Sunny、Stormy Blackの3色となる。

 いずれのカラーも、Pixelカメラバーの上下で色が異なっており、それもいいアクセントとなっている。なお今回の試用機は、Pixel 6がStormy Black、Pixel 6 ProがSorta Sunnyだったが、前者は落ち着いた高級感のある印象、後者は華やかな印象の色合いと感じた。

サイズはかなり大きく、重量も重くなった

Pixel 6のサイズはかなり大きく、手の小さい人などは持て余しそうだ。また重量も200g超のためずっしり重く感じる

 サイズは、Pixel 6が74.8×158.6×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、Pixe 6 Proが75.9×163.9×8.9mm(同)となり、Pixel 5シリーズと比べてかなりサイズが大型化している。実際にPixel 5シリーズと並べてみると、いずれもかなり大きくなっていることがよく分かる。特にPixel 5との比較では、どちらもふた回りほど大きくなった印象だ。

 実際にPixel 6とPixel 6 Proを手にしてみると、手の大きい筆者でもかなり大きいと感じるほどで、片手で持って操作するのは少々厳しい印象。基本的には片手で持ち、もう一方の手で操作する形になるだろう。

 また、重量はPixel 6が207g、Pixel 6 Proが210gと、いずれも200gを超えている。実測では、Pixel 6が207.5g、Pixel 6 Proが212.2g(双方ともSIMカードを装着した状態)だった。こちらも、手にするとかなりずっしり重く感じる。

 このところ、スマートフォンは大型化にともない重量増が顕著となっているが、200gを超えるかどうかでその印象は大きく変わる。そういった意味で、できれば200gを切ってもらいたかったように思う。

Pixel 6 Proはさらに大きいため、比較的大きい筆者の手でもやや片手での操作は少々厳しい印象
Pixel 5を持つと、とても小さく軽く感じる
Pixel 6の実測の重量は、Nano SIMカード装着時で207.5gだった
Pixel 6 Proの実測の重量は、nanoSIMカード装着時で212.2gだった

ディスプレイは有機ELパネルを採用

 ディスプレイは、いずれも有機ELパネルを採用しており、上部中央にはフロントカメラ用のパンチホールが空けられている。ただ、パネルの仕様は少々異なっている。

 Pixel 6は、アスペクト比20:9、フルHD+(2,400×1,080ドット)表示、HDR表示対応の6.4型有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは最大90Hzで、60Hzとの切り替えが可能。また、側面までフラットなディスプレイとなっている。

 それに対しPixel 6 Proは、アスペクト比19.5:9、QHD+(3,120×1,440ドット)表示、HDR表示対応の低温ポリシリコン有機ELパネルを採用。リフレッシュレートは最大120Hzに対応となり、可変リフレッシュレートをサポートし、状況に応じて10~120Hzで自動調整される。また、左右側面付近が本体のカーブにあわせて湾曲した曲面パネルとなっている。

Pixel 6は、アスペクト比20:9、フルHD+表示対応の6.4型有機ELパネルを採用
Pixel 6 Proは、アスペクト比19.5:9、QHD+表示対応の低温ポリシリコン有機ELパネルを採用
ディスプレイ上部中央には、フロントカメラのパンチホールがある
こちらも、ディスプレイ上部中央にフロントカメラのパンチホールがある
ディスプレイは平面となる
Pixel 6 Proはディスプレの左右側面が本体のカーブにあわせて湾曲している

 このように双方でパネルの仕様がわずかに異なっているものの、発色の鮮やかさなどはどちらも申し分ない。写真や動画も本来のクオリティを損なうことなく表示できていると感じる。

 最大リフレッシュレートの違いは、WebブラウザなどでWebページを高速にスクロールさせた場合などに感じられる。いずれも高速スクロール時に十分スムーズな描画となるが、Pixel 6のほうがわずかにぎこちない印象を感じる。

 なお、リフレッシュレートを高めるには、設定メニューから「スムーススクロール」を有効にする必要がある。リフレッシュレートを高めると消費電力が高まるが、Pixel 6 Proについては可変リフレッシュレートに対応しているため、バッテリ駆動時間への影響は少ないものと思われる。

Pixel 6
Pixel 6 Pro。ディスプレイの発色の鮮やかさはどちらも申し分なく、写真や映像を本来のクオリティを損なうことなく表示できるだろう

Pixel 6は2眼仕様、Pixel 6 Proは3眼仕様のカメラを搭載

 背面カメラは、Pixel 6が超広角と広角の2眼仕様、Pixel 6 Proが超広角と広角、4倍望遠の3眼仕様となっている。双方の違いは4倍望遠が搭載されているかどうかだけで、それ以外の部分は同等の仕様となる。

 広角レンズは、F値1.85、画角が82度で光学手ブレ補正機能を備え、5,000万画素の1/1.31型(ピクセルピッチ1.2μm)Octa PD Quad Bayerセンサーとの組み合わせ。超広角レンズはF値2.2、画角が114度で、1,200万画素センサーとの組み合わせとなる。

 Pixel 6 Pro搭載の望遠レンズは、F値3.5、画角23.5度で、光学手ブレ補正機能を備え、4,800万画素の1/2型(ピクセルピッチ0.8μm)センサーとの組み合わせとなる。

 ズームは、それぞれのレンズを活用した超解像デジタルズームとなり、Pixel 6は最大7倍、Pixel 6 Proは最大20倍となる。

 前面カメラは、Pixel 6がF値2.0、画角84度のレンズに、ピクセルピッチ1.12μmの800万画素センサーの組み合わせ。Pixel 6 ProはF値2.2、画角94度のレンズに、ピクセルピッチ1.22μmの1,110万画素センサーの組み合わせとなる。Pixel 6 Proのほうがより広角なレンズと、大型かつ高画素なセンサーを採用し、前面カメラでも4K/30fps動画の撮影が可能となっている(Pixel 6の前面カメラはフルHD動画の撮影まで対応)。

Pixel 6の背面カメラは、超広角と広角の2眼仕様
Pixel 6の前面カメラは、F値2.0、画角84度のレンズに800万画素センサーの組み合わせ
Pixel 6 Proの背面カメラは、超広角、広角、屈曲光学系4倍望遠の3眼仕様
Pixel 6 Proの前面カメラは、はF値2.2、画角94度のレンズに、ピクセルピッチ1.22μmの1,110万画素センサーの組み合わせ

 カメラ機能の中で、新たな機能として搭載されているのが、撮影後に背景の不要物を取り去る「消しゴムマジック」、長時間露光や流し撮りを簡単に行なえる「モーションモード」、肌の色をリアルに再現する「リアルトーン」などだ。このうち今回は、消しゴムマジックとモーションモードを試してみた。

 消しゴムマジックは、写真撮影後に編集モードから呼び出して利用する機能だ。消しゴムマジックを起動すると、背景などに写り込んだ人などを自動的に認識し、ワンタッチで削除できる。編集中に不要物を指で囲んで指定することも可能。

 取り去った奥の背景が完全に再現されるわけではないが、実際に試してみると、大きく拡大しない限りそれほど違和感なく削除できていることが分かる。おそらく、L版程度のサイズにプリントしても、ほとんど違和感がないと思えるほどだ。

 旅行などでは、写真を撮るときに背景に人がいなくなるまで待つだけの時間をかけられない場面も多くあるが、消しゴムマジックならそういった場面でも便利に活用できそうだ。Pixel 6/6 Proで撮影した写真だけでなく、過去に撮影した写真でも利用できる。

消しゴムマジックは、撮影後の編集モードから呼び出して利用する
消しゴムマジックを起動すると、写真が解析され、消去する候補が自動的に選択される。また指で囲んで消去したい物体を選択することも可能
こちらがもとの写真
こちらが消しゴムマジックで写り込んだ人を消去したもの。ぱっと見ではまったく違和感がない
拡大すると、消去した部分に違和感があるが、拡大しなければほとんど分からない

 モーションモードは、カメラアプリの撮影モードを変更して撮影できる機能。高速に移動する物体を、背景だけが流れるように撮影する「アクションパン」と、移動物だけが流れるように撮影する「長時間露光」の2種類が用意されている。

 通常のカメラでそういった写真を撮影するには、高度な撮影技術や三脚などの機材が不可欠だが、Pixel 6ではそういった写真が簡単に撮影できる。

 実際に試してみたが、アクションパンは、移動物にあわせて適当に本体をパンさせつつシャッターボタンを押すだけで、移動物が静止し、背景が流れる写真を撮影できた。また、長時間露光も手持ちでほとんどブレずに撮影できた。

 このあたりは、これまでも搭載されている夜間モードど同様に、AI処理によって実現するものだが、誰でも手軽にこういった写真が撮影できるという点は、かなり魅力的に感じる。

モーションモードは、カメラアプリの撮影モードを変更することで利用可能。「アクションパン」と「長時間露光」の2つの撮影モードを用意
通常の撮影では、このように噴水の水もほぼ静止して撮影される
モーションモードの長時間露光で噴水を撮影すると、このように水が流れているように撮影できる
こちらは、走る電車を撮影したもの
モーションモードのアクションパンで撮影すれば、背景が流れて疾走感のある電車の写真が簡単に撮影できる
夜の道路で車を撮影。暗いため通常の撮影でもやや車が流れて撮影されている
モーションモードの長時間露光で撮影。手持ちでの撮影だが、背景などがブレることなくテールランプが流れて撮影できている
作例(Pixel 6)
超広角で撮影
広角で撮影
超広角で撮影
7倍超解像デジタルズームで撮影
作例(Pixel 6 Pro)
超広角で撮影
広角で撮影
4倍望遠で撮影
広角で撮影
20倍超解像デジタルズームで撮影

日本語文字起こしや高速な翻訳機能はかなり便利

 Pixel 6シリーズでは、SoCにGoogle独自設計の「Google Tensor」を採用している点が大きな特徴となっている。Tensorについてはこちらの記事で詳しく紹介しているが、独自のTPU(Tensor Processing Unit)コアを実装することで、高度なAI処理を高速に行なえる。

 その結果、翻訳処理や文字起こしなどの機能が大幅に強化されている。例えば、ほぼリアルタイムで会話形式の翻訳機能が利用できたり、SNSアプリを表示しながら音声入力、録音アプリでの日本語文字起こしなどが可能となった。

 実際に会話形式の翻訳機能を試してみたが、しゃべってから翻訳されるまでの時間が非常に短く、これなら実際に会話する場面でも十分活用できそうだと感じた。

 同様に、SNSアプリ利用時などの音声入力も非常に便利。たまに言葉と違う文字入力になることもあるが、精度はかなり高く、文字入力よりも素早く入力できて、こちらも非常に便利だ。

 そして、個人的にかなり魅力と感じたのが、録音アプリの日本語文字起こしだ。こちらも、想像以上に精度が高い。筆者は記者会見などの取材も多く、そういった場面で録音した音声を文字起こししてくれると助かるため、今後実際に様々な場面で活用してみたい。

カメラでメニューなどを写しながら翻訳する場合でも、以前より素早く翻訳できるようになっている
録音アプリでの日本語文字起こしに対応。かなり高精度で文字起こしが可能だった
翻訳アプリを試している様子。素早く翻訳できている
SNSアプリで音声入力を利用している様子
録音アプリの日本語文字起こしを試している様子

スペックもハイエンドモデルらしく充実

 細かなスペックなどは関連記事で紹介済みだが、ここでも簡単に紹介しておく。

 SoCは、Goole独自開発のTensorを採用。RAMはPixel 6が8GB、Pixel6 Proが12GB。内蔵ストレージは128GBまたは256GBで、外部ストレージは非対応。防水防塵性能はいずれもIP68相当となる。OSはAndroid 12を採用し、5年間のアップデートが提供される。

 モバイル通信は、いずれも5G通信に対応するが、Pixel 6はSub 6のみ、Pixel 6 ProはSub 6とミリ波に対応となる。あわせて、Nano SIMとeSIMのデュアルSIM対応で、同時利用も可能となっている。そのほかの通信機能は、Wi-Fi 6とBluetooth 5.2を搭載する。

 ポートは、下部側面にUSB 3.0準拠のUSB Type-Cとのみを用意しており、オーディオジャックは非搭載。物理ボタンは右側面上から電源ボタンとボリュームボタンを配置する。

 生体認証機能は、ディスプレイ埋め込み型の光学式指紋認証センサーを搭載。反応速度は標準的で大きな不満はないが、超音波式の指紋認証センサーに比べるとやや遅い印象だ。センサー類は、近接センサー、周辺光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー、圧力センサーを搭載。NFC/FeliCaを搭載し、おサイフケータイにも対応する。

下部側面のUSB Type-CはUSB 3.0準拠。こちらはPixel 6 ProだがPixel 6も同じ仕様となる
左側面にNano SIMカードトレイを用意。eSIMも利用でき、Nano SIMとeSIMの同時利用が可能。こちらはPixel 6だがPixel 6 Plusも同じ仕様だ
右側面には、上(写真では右)から電源ボタンとボリュームボタンを配置
生体認証機能は、ディスプレイ埋め込み型の光学式指紋認証センサーを採用
指紋認証を行なっている様子

 内蔵バッテリ容量は、Pixel 6が4,614mAh、Pixel 6 Proが5,003mAh。オプションの30W充電器を利用すれば、30分で容量の約50%を充電できる急速充電が可能。さらにQi準拠のワイヤレス充電に対応するとともに、それぞれ最大21W、最大23Wの急速ワイヤレス充電にも対応。急速ワイヤレス充電は、オプションの「第2世代Pixel Stand」を利用することで可能となる。

 パッケージの付属品は、USB Type-CケーブルとUSB Type-A to Type-C変換コネクタ、各種インストラクションカードなどで、充電器は付属しない。

パッケージ付属品。USB Type-CケーブルとUSB Type-A Type-C変換コネクタ、インストラクションカードなどが同梱される
オプションで用意される専用ケース。左がPixel 6用、右がPixel 6 Pro用
ケースを装着した様子

Snapdragon 888 5G搭載スマホに劣る部分もあるが、トータルではかなり肉薄

 では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回は、UL LLCの「PCMark for Android」と「3DMark」、Primate Labsの「Geekbench 5」を利用した。なお、今回の試用機は発売前の評価機のため、あくまでも参考として見てもらいたい。また比較として、Pixel 5と、Snapdragon 888 5G搭載のソニー「Xperia 1 III」での結果も掲載する。

 結果を見ると、PCMark for AndroidのWork 3.0ではPixel 5を上回っているが、Xperia 1 IIIは下回っており、ちょうど中間ほどに位置する結果となっている。

 Geekbench 5の結果も、Single Core、Multi CoreともにPixel 5を上回るとともに、Xperia 1 IIIをわずかに下回っている。

 それに対し3DMarkの「Wild Life」は、Pixel 5を圧倒するとともに、Xperia 5 IIIも上回っている。

 このように、テストによってやや傾向は異なるものの、Snapdragon 888 5G搭載のハイエンドスマートフォンにはやや劣るものの、十分匹敵する性能を備えていると言える。これなら、通常の利用はもちろん、ゲームなどでも動作に不満を感じる場面はないはずだ。

PCMark for Android「Work 3.0」の結果
3DMark「Wild Life」の結果
Geekbench 5「CPU」の結果(COMPUTEは正常動作せず)

 続いて、バッテリ駆動時間も検証してみた。検証にはPCMark for Androidの「Work 3.0 battery life」を利用し、ディスプレイ輝度50%、Wi-Fi有効、SIM装着(LINEMO)の状態で行なうとともに、スムースディスプレイをオンの状態とオフの状態で計測した。

 結果は、Pixel 6はスムースディスプレイオンで14時間29分、オフで16時間22分を記録。またPixel 6 Proではスムースディスプレイオンで11時間26分、オフで12時間6分だった。

 この駆動時間の差は、やはりディスプレイの表示解像度が大きく影響していると考えられる。それに対しPixel 6 Proは可変リフレッシュレート対応により、スムースディスプレイがオンでも大きな駆動時間低下になっていないことが確認できた。

コストパフォーマンスに優れるスマートフォンとして魅力

 今回、Pixel 6およびPixel 6 Proを試用して、Pixelらしい特徴のある製品に仕上がっていると強く感じた。特にPixel 4からPixel 5への変化が少々残念な部分もあっただけに、Pixel 6シリーズがハイエンドモデルとして登場してきた点は大いに歓迎したい。

 デザイン面や背面カメラ部分には賛否があるかもしれないが、個人的には実機を触ってみて、このデザインやカメラは想像ほど悪い印象は感じなかった。カメラ部の突起はもう少し低いほうがいいのは確かだが、テーブルなどに置いたときに本体がぐらつかない点などは利点であり、それほど悪いものではないとも感じる。そして、ハイエンドモデルらしい質感の高さも好印象だ。

 そういった中、サイズの大きさと重量の重さは、気になる人も多そうだ。Pixelシリーズでは、コンパクトな無印と大画面のXLというラインナップが続いていたことからも、大型モデルのみになった点はやはり残念に感じる。次期モデルでは、コンパクトモデルの復活を期待したい。

 それでも、性能や機能面での不満がほぼないほどに完成度は高い。そしてなにより、5年間のアップデートが保証(OSアップデートは3年)されているという点も非常に心強い。あわせて、ハイエンドモデルとして比較的手ごろな価格も大きなポイントで、先進の機能を使いたい人や、コストパフォーマンスに優れるハイエンドスマートフォンを探している人なら、十分満足できるはずだ。