Hothotレビュー
2万2千円の細身スマホ「Mode1 GRIP」をレビュー。iPhone 13 miniよりも幅狭で持ちやすさ抜群
2021年10月22日 06:45
携帯電話販売店「テルル」を展開するピーアップから、2021年10月10日に2万2,000円で発売されたAndroidスマートフォン「Mode1 GRIP」。Mode1シリーズとしては前作「Mode1 RR」から約2年ぶり、5世代目となる本機についてレビューをお送りする。
「GRIP」という新しいコンセプトが光る1台
Mode1シリーズと言えばこれまでに発売されたモデルの多くが「レーシングカー」のようなデザインを大きな特徴としてきた、ピーアップのオリジナルスマートフォンだ。
これまでのモデル同様に、モータースポーツにも力を入れている同社らしくレーシングをイメージしたカーボンルックの背面デザインは継承されているが、Mode1 GRIPの大きな特徴はその名の通り「GRIP」、つまり握りやすいスリムな本体幅にある。
Mode1 GRIPの本体幅は約56mm。現行のスマートフォンで比較的コンパクトで持ちやすいと言われているiPhone SE 第2世代でも67.3mm、最新のiPhone 13 miniでも64.2mmなのでかなり幅が狭いことが分かるだろう。
またフィーチャーフォンの横幅が50mm程度だったことを考えると、Mode1 GRIPを手に持ったときの印象はフィーチャーフォンを握ったときに近いとも言える。
握りやすさの代わりか、コンパクトな本体サイズに対し基本性能はほどほどだ。
SoCにはMediaTekのHelio P70、メモリ4GB、ストレージ64GBと、2万2,000円の安価なSIMフリースマートフォンであることを考えれば並の性能だ。
【表】Mode1 GRIPの主なスペック | |
---|---|
OS | Android 11 |
SoC | MediaTek Helio P70 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB |
ディスプレイサイズ | 5型液晶 |
ディスプレイ解像度 | 1,440×576ドット |
リアカメラ | 約4,800万画素+約800万画素(広角) |
フロントカメラ | 約2,500万画素 |
SIMカード | Nano SIMカード×2(DSDV対応) |
ワイヤレス | Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)、Bluetooth 4.2 LE |
インターフェイス | USB Type-C |
外部メモリーカード | microSDカード(最大256GBまで) |
FeliCa | × |
NFC | NFC TypeA/B対応 |
防水・防塵 | × |
ワイヤレス充電 | Qi 5W対応 |
対応バンド | 4G:B1/B3/B8/B19/B26/B28b/B41 3G:B1/B6/B8/B19 2G:850MHz/900MHz/1,800MHz/1,900MHz |
本体サイズ | 約56×138×10mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約140g |
また「GRIP」のコンセプトの通り、本体幅をスリムにした結果、ディスプレイは5型ながら解像度はそのほかのスマートフォンより横幅にピクセルが少ない「1,440×576ドット」となっている。おもしろいのは縦横比がシネマスコープ比率になっていることだろう。
小さいながら画面いっぱいまで広げての動画視聴は十分に没入感もあり、普段の利用でも縦に長く情報量も多いため、解像度や情報量の不足を感じることは少ない。
外観の特徴としてはここまでに書いた通り、非常にスリムな本体幅や縦長のディスプレイ以外に、Mode1シリーズとして共通のカーボンルックの背面や、ワンポイントでレッドに着色された電源ボタンが目を惹く。
生体認証は指紋認証に対応し、指紋認証センターは本体の右サイド、ちょうど握った際に親指が当たる位置に配置されている。認証精度も高く、本体サイズが小さく握りやすいこともあり、ポケットから取り出した後持ち直すことなくすぐに画面ロックを解除することが可能だ。
SIMカードスロットはNano SIMカードを2枚装着可能で、Mode1 GRIPはDSDVにも対応している。2枚目のNano SIMカードとの排他利用となるが、microSDカードの利用もできる。
付属品はマニュアルやSIMピン、USB Type-A to Cのケーブル、さらに専用のハードタイプのクリアケースとなっている。
クリアケースは側面が大きく開いているため、装着した状態でもコンセプトの握りやすさは犠牲にせず、ダメージを受けやすい四角を中心にしっかりと保護される工夫された専用ケースだと感じた。
カスタマイズの少ないソフトウェア。プリインストールアプリも最小限
続いてMode1 GRIPのソフトウェアをチェックしていく。
デフォルトのホーム画面は1面のみ。メーカー独自のホームUIなども実装されていない、素のAndroidの状態に近い。
アプリドロワーを開きプリインストールアプリを確認したが、こちらも独自アプリなどを一切含まない、Androidスマートフォンとしては最低限のアプリだけがインストールされた状態だ。
安価なモデルでもメーカー独自のアプリが多くインストールされ、その結果動作が重たくなってしまっている機種や、初回セットアップ直後に通知欄が埋まっているような機種も多いが、Mode1 GRIPについてはその心配はない。
また中身という意味ではベンチマークスコアも気になるところだ。
GeekBench 5ではシングルコアで306、マルチコアで1,363、OpenCLでは1,315、Google Octoneは10,037と、SoCにHelio P70を搭載するスマートフォンとしては平均的なスコアだろう。
決して性能は高いとは言えないが、少なくともブラウジングやSNSを中心に利用する限りは十分サクサク動いてくれる。
派手な機能はない、シンプルなカメラ機能
最後にMode1 GRIPのカメラを確認していく。
Mode1 GRIPの背面カメラは約4,800万画素のメインカメラと、約800万画素の広角カメラのデュアルカメラだ。撮影機能としてマクロ撮影やHDRなどにも対応しているが、最近のスマートフォンに多いシーン認識による補正などの有無はない。
以下はMode1 GRIPで撮影した作例で、基本的にオートで撮影を行なっている。同じ構図の作例は、2枚目がHDRを有効にした状態だ。
太陽光下など、明るい場所での撮影は十分にきれいに撮影することができる。青空などは少しのっぺりとした印象になるシーンもあるが、概ね良好だ。
一方で、夜間の撮影は大きくノイズが乗ってしまうか、または照明など光源の白飛びが目立つ。先にも書いたように、シーン認識による最適化もなければマニュアル撮影モードもないため、現時点ではこれ以上暗所での撮影をキレイに行なうのは難しいだろう。
また、撮影画面で唯一「撮影モードの切り替え」として表示されるマクロ撮影を試した作例が以下だ。こちらは1枚目がマクロ撮影オフ、2枚目がマクロ撮影オンで撮影を行なっている。
Mode1 GRIPと被写体の距離は大体5~10cmほど。つい寄って撮りたくなる花や小さな文字などが見づらいSSDを被写体に選んでみたが、マクロ撮影モードではかなり寄ってもピントがあった状態で撮影ができる。
まるで顕微鏡のように近づいて……とはいかないが、普段の撮影の中で特にピンボケになりそうなテーブルフォトの撮影時には、マクロ撮影を有効にすると失敗を減らせるだろう。
機能よりも持ちやすさを重視したい人には特にオススメしたい1台
Mode1 GRIPは、性能だけで言えば2万円台前半で販売されるスマートフォンとして平均的な1台でしかない。
しかしハッキリとした「GRIP」というコンセプトは近年大型化が目立つスマートフォンの中では目立つ個性であり、手に持って使うスマートフォンとして「気にすべき点」にしっかりと目を向けた良質な1台と言えるだろう。
低価格と言えど、数年前と違い電話やメール、各種SNSの利用でも動作がカクつくようなものでもないため、スマートフォンに多くは求めないが、持ちやすさや軽さなどの使いやすさを重視したい人には、オススメの1台だ。