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GTX 1060搭載で9万円台のゲーミングPC、パソコン工房「LEVEL-M0B6-i5F-RNJR」

LEVEL-M0B6-i5F-RNJR

 ユニットコムのLEVEL∞から登場したゲーミングPC「LEVEL-M0B6-i5F-RNJR」は、GPUを内蔵しないことで話題を呼んだCore i5-9400Fを採用し、ビデオカードにGeForce GTX 1060(3GB)を組み合わせた製品だ。コスパのよい2つのパーツを組み合わせ、標準構成で直販価格98,258円と、10万円を切る抜群のコスパを実現している。

黒/赤デザインの特徴を受け継ぐミニタワー筐体

 LEVEL-M0B6-i5F-RNJRは、LEVEL∞のゲーミングPCのなかでも「M-Class」に属する。microATXベースのミニタワー筐体を採用しており、机の上にも置けるコンパクトさ、ゲーミングPCでは必須のビデオカードに加えてもう1本分の拡張カードスロット、十分な数のシャドウベイといったほどよい拡張性を備えている。

 デザイン的には同社のATXミドルタワーモデル「R-Class」の特徴を色濃く残している。たとえば側面には赤いライン、光学ドライブベイ部分は少しかたちが異なるがやはり赤い縁取りを設けており、前面パネルはヘアライン加工風で中央にLEVEL∞ロゴをあしらっている。

 赤いサイドラインの右側に前面インターフェイスがある。一番上に電源ボタン、少し空けてUSB 3.0×2とオーディオ入出力が並んでいる。また、サイドライン左右部分は吸気口にもなっているところもミドルタワーモデルと同じだ。

 ミドルタワーモデルとサイズを比較してみるとコンパクトさがわかる。幅については190mmで同じ。高さはミドルタワーモデルが432mmだったのに対してミニタワーモデルは356mmとなり、机の上に置いたさいの天板の高さから受ける印象は大きく異なり、圧迫感が少ない。奥行きも477mmが410mmへと小型化し、机の手前に生まれるスペースにマウスパッドを置くさいに余裕がある。

 側面板は、右側がフラットで左側は中央部分に吸気口が設けられている。背面を見ると、電源が上、マザーボードが下のレイアウトがわかる。バックパネルの右にあるのが背面排気口。ミニタワー筐体ではここに9cm角ファンを採用するモデルもあるが、本製品は12cm角ファンだ。通電中にここに手を当てると、なかなかの風量で排気していることがわかる。

 拡張スロットは、ブラケットが4本用意されているが、まずビデオカードが2本を消費している。その上で、マザーボード側には3本分の拡張スロットしかないため、自由に搭載できるのは実質1本だけだ。

ヘアライン加工されたブラックお前面パネルに、光学ドライブ縁の赤いラインなど、ミドルタワーのR-Classの特徴を受け継ぎコンパクト化されている
側面の赤いラインの右側部分に電源および前面インターフェイスを搭載。その下には吸気口もある
右側面板はフラット
左側面は中央に吸気口がある
背面から見ると、電源をマザーボードよりも上に置く伝統的なスタイルがわかる。バックパネル横の排気口は12cm角ファンが搭載されている
拡張スロット用ブラケットは4本だが、すでにビデオカードが搭載されていることに加え、マザーボード側のスロットは1本しか空きがない

 左側面板は背面のネジ2つで開ける。通常ネジなのでドライバーは必要。内部を見ると、先に指摘したように電源がケース内上部後方に配置された伝統的なスタイルだ。電源は80PLUS Bronze認証の500Wモデルが搭載されていた。ケーブルが直付けタイプなので、プラグインタイプと比べれば煩雑なのだが、要所をタイで留め、シャドウベイの影に隠してきれいにまとめあげている。

 前面寄りのシャドウベイは、光学ドライブベイの下に5インチ×1、そして3.5インチ×2が2ケージ。標準搭載のHDDとSSDは、2つの3.5インチシャドウベイのうち、取り外し可能な下のケージに収められている。

 ビデオカードはGeForce GTX 1060(3GB)のシングルファンタイプ。標準的な2スロット厚タイプだが、カード長は短めでクーラーの構造もヒートパイプこそ使用しているもののシンプルだ。後部には電源からの6ピン補助電源が1本が接続されている。

 マザーボードはIntel B360チップセットを搭載するmicroATXだが、標準のサイズよりも高さ、幅ともに短いコンパクトなモデルだ。そのため、メモリスロットは2本、拡張スロットは計3本と、ATXはもちろんスタンダードなmicroATXよりも少ない。とくにメモリスロットは後々に拡張したい場合、最大容量の制限と、場合によっては標準搭載モジュールを交換することになる点には要注意だ。

 なお、標準では8GBモジュール1枚を搭載している。増量するとしても、もう1枚8GBモジュールを搭載して16GBとするあたりがちょうどよい。その意味ではメインストリームの範囲の使い方で問題となる可能性は少ないだろう。

後部上方に電源、その下がマザーボード、前方寄りにシャドウベイを置く。幅が19cmと狭めなこともあり、裏面配線などは対応していない
背面ケースファンは風量の大きな12cm角タイプ。CPUクーラーはトップフロー型だ
シャドウベイも豊富。3.5インチ4つのうち2つを消費してSSDとHDDを搭載している
一般的なmicroATXマザーボードよりも幅・高さともにより小さなマザーボード。そのため、コンパクトなミニタワー筐体だが内部空間に余裕が感じられる
ビデオカードはGeForce GTX 1060(3GB)。シングルファンだが大口径ファンを採用しており動作音はまずまず静かだ

抜群のコスパを実現するのはGPU非搭載Core i5と旧世代メインストリームGPU

LEVEL-M0B6-i5F-RNJR
【表1】スペック
LEVEL-M0B6-i5F-RNJR
CPUCore i5-9400F(6コア/6スレッド、2.9~4.1GHz)
GPUGeForce GTX 1060(3GB)
チップセットIntel B360
メモリDDR4-2666 8GB
ストレージSATA SSD 240GB、HDD 1TB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
電源500W 80PLUS Bronze
OSWindows 10 Home
USBUSB 3.1×4、USB 3.0×2、USB 2.0×2
映像出力DisplayPort×3、HDMI、DVI
無線通信-
有線LANGigabit Ethernet
その他PS/2、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)約190×410×356mm
直販価格98,258円

 CPUはCore i5-9400F。本機の構成のなかでももっとも特徴的なところではないだろうか。Core i5-9400Fは、Core i5-8400の後継となるCPUだが、従来のIntelのメインストリーム向けCPUで搭載されていたGPU機能が省かれている。

 つまりビデオカードが必須となるわけだが、本製品のようにゲーミングPCならばビデオカード搭載が前提なので問題にならない。あえて問題を挙げるならば、ビデオカードが故障したさいに、内蔵GPUでその場をしのぐことができないといったあたりだろうか。それもめったに起きることではないので気にするほどではないだろう。

 スペックに目を向けると、Core i5-9400Fは6コア6スレッド(Hyper-Threading非対応)で、動作クロックは定格2.9GHz、ターボ時最大4.1GHzとなる。Core i5-8400とコア/スレッド数は同じだが、動作ロックはそれぞれ100MHz高い。その分、若干性能は高くなっている。

 また、TDPに関しては65Wで同じだ。本製品ではトップフロー型でいわゆるリテールクーラーとほぼ変わらないサイズのCPUクーラーを搭載しているが、十分に冷却できているようで、動作音はそこまで大きくない。もっとも、剛性の高い筐体が音漏れや共振を防いでいるようで、側面板を開けるとそれなりの音量だ。

 ちなみに、サイドフローで12cm角ファンを搭載するCooler Master Hyper 212 EVOに交換するオプションもある。これの店頭価格とほぼ同値で用意されているので、購入時に選んでおけばより静かなPCにすることが可能だ。

HWiNFO64での各部の情報。CPU-Zなど一部の情報表示ツールでは、Core i5-9400FがCore i5-9400と表示されることもある

 ビデオカードは、先のとおりGeForce GTX 1060(3GB)。ご存知のとおり、NVIDIAからはすでに後継GPUのGeForce GTX 1660などが登場しているため旧世代GPUである。その点、GeForce GTX 1060(3GB)は在庫かぎりとなるため、本構成がいつまで販売されるのかは不透明ではある。ただ、新モデルと比べると若干安価であることは確かだ。コスパ重視のゲーミングPCに最適と言えるだろう。

 GeForce GTX 1060(3GB)はおよそ1,920×1,080ドット環境向けのGPUだ。その上で、ビデオメモリが3GBという点には注意しておく必要があるだろう。

 昨今のゲームタイトルでは、たとえ1,920×1,080ドット解像度でも、最高画質に引き上げると3GBのビデオメモリを使い切るものがいくつかある。そうしたタイトルでは、ビデオメモリに収まる下の画質設定に対し、ビデオメモリをあふれる高画質設定では極端にフレームレートが低くなるようなことも生じる。

 メモリは先のとおり8GBモジュール1本。シングルチャネルなので、2枚組のデュアルチャネル時と比べると、多少性能が劣るところもあるだろう。容量も現在の標準からすると最小限なので、余裕があれば8GBモジュールをもう1本追加した16GBとするのがよい。動作モードはDDR4-2666。

 ストレージは、CドライブがSSD、DドライブがHDDというゲーミングPCの標準的な構成だ。CドライブはIntel SSD 545s 256GB。Serial ATA 3.0接続で3D TLC NANDを採用している。製品の構成上では240GB扱いなので、通常販売される製品でIntel SSD 545sが採用されているのかどうかはわからない。

 DドライブはSeagate ST1000DM010 1TB。Barracudaシリーズの定番HDDだ。7,200rpmなのでより低回転のHDDよりも若干転送速度が速いが、おもにゲームデータを保存する領域に用いるため、容量のほうが重要だろう。ここも1TBで足りないことが想定されるなら、カスタマイズで大容量HDDに変更しておきたい。

Cドライブ(Intel SSD 545s 256GB)のCrystalDiskMarkの結果。Serial ATA 3.0接続なのでシーケンシャルリード/ライトは実質的に上限。4KiB Q8T8が300MB/s、Q32T1が200MB/sと、このあたりが比較的高速だ
Dドライブ(Seagate ST1000DM010 1TB)のCrystalDiskMarkの結果。7,200rpmモデルとあって、シーケンシャルリード/ライトは200MB/s出ていた

1,920×1,080ドット液晶に最適。重いゲームでも中~高画質で楽しめる

 今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.1.1739」、「3DMark v2.8.6536」、「VRMark」、Maxonの「CINEBENCH R15」、「CINEBENCH R20」。CPUが1世代古いCore i7-8700、GPUが同じGeForce GTX 1060(3GB)を搭載するモデルのデータを比較対象として添えている。

【表2】検証環境
LEVEL-M0B6-i5F-RNJRNEXTGEAR-MICRO im610SA1-SP-C
CPUCore i5-9400F(6コア/6スレッド、2.9~4.1GHz)Core i7-8700(3.20~4.60GHz)
チップセットIntel B360Intel B360
GPUGeForce GTX 1060(3GB)NVIDIA GeForce GTX 1060(3GB)
メモリDDR4-2666 SDRAM 8GB×1DDR4-2400 SDRAM 8GB×2
ストレージ240GB SATA SSD+1TB HDD240GB SATA SSD+1TB HDD
OSWindows 10 Home 64bit

 以下のCINEBENCH R15のスコアが示すとおり、6コアでもHyper-Threadingに対応しているCore i7-8700と比べるとマルチスレッド時のスコアは2/3あたりになる。また、4GHzを超えるターボ時のクロックで169.44cbは記録しているが、Core i7-8700のように4.6GHzまで上がるCPUと比べるとやはり低めだ。

 ただし、これはCore i7-8700と比較してのこと。Core i5としての性能は高いと言える。その上で、PCMark 10や3DMarkのスコアが示すとおり、実運用面での性能はCore i7-8700と比べてもほとんど差がなく、いくつかのテストでは上回っている。

【表4】ベンチマーク1
LEVEL-M0B6-i5F-RNJRNEXTGEAR-MICRO im610SA1-SP-C
PCMark 10v1.1.1739
Extended Score5,8815,239
Essentials Scenario8,4918,561
App Start-up Test10,24811,591
Video Conferencing Test6,9906,017
Web Browsing Tset8,5488,997
Productivity Scenario6,7045,859
Spreadsheets Test9,0205,348
Writing Test4,9836,420
Digital Content Creation Scenario6,5614,602
Photo Editing Test7,5193,316
Rendering and Visualization Test7,5548,737
Video Editing Test4,9743,365
Gaming Scenario8,6628,820
Fire Strike Graphics Test12,21411,861
Fire Strike Physics Test12,21318,183
Fire Strike Combined Test4,4284,335
3DMarkv2.8.6536v2.5.5029
TimeSpy Extreme1,8461,856
TimeSpy Performance4,0113,977
NightRaid Performance29,877-
FireStrike Ultra2,8302,769
FireStrike Extreme5,4145,431
FireStrike Performance10,27810,616
SkyDiver Performance25,63130,059
CloudGate Performance25,03834,095
IceStorm Unlimited194,457187,183
IceStorm Extreme148,595143,250
IceStorm Performance169,277172,341
VRMark
Blue Room1,1601,124
Cyan Room3,4533,295
Orange Room6,6016,429
CINEBENCH R15
Rendering (Multiple CPU)784.98cb1,183.85cb
Rendering (Single CPU)169.44cb194.59cb

 ゲームベンチマークは「Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands」、「Shadow of the Tomb Raider」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「World of Tanks enCore」を計測した。

【表4】ベンチマーク2
LEVEL-M0B6-i5F-RNJRNEXTGEAR-MICRO im610SA1-SP-C
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands
1,920×1080ドット(ウルトラ)32.28fps34.66fps
1,920×1080ドット(非常に高い)57.45fps-
1,920×1080ドット(高)64.99fps67.22fps
1,920×1080ドット(中)70.53fps72.48fps
1,920×1080ドット(低)97.60fps-
Shadow of the Tomb Raider(DX12)
1,920×1080ドット(最高)完走せず-
1,920×1080ドット(高)50fps-
1,920×1080ドット(中)57fps-
1,920×1080ドット(低)70fps-
1,920×1,080ドット(最低)84fps-
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
1,920×1,080ドット(高品質)4,115(普通)-
1,920×1,080ドット(標準品質)6,009(快適)5,880(やや快適)
1,920×1,080ドット(軽量品質)7,961(快適)7,792(快適)
World of Tanks enCore
超高品質(1,920×1,080ドット、TSSAA HQ)16,46816,144
中品質(1,920×1,080ドット、AAなし)39,43642,938
最低品質(1,366×768ドット、AAなし)91,354109,240

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsで見られたのは、比較対象とくらべてわずかにフレームレートが低い点。約2fps程度だ。ところが、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは本製品のほうが高いスコアになった。一貫性がないのでおそらく誤差の範囲だろう。コア/スレッド数に余裕があったほうが有利なことは確かでも、Core i5以上のグレードであれば実際のゲームで明確な差を生み出すほどではないと言える。

 プレイ環境としては、先に指摘したとおり。解像度は1,920×1,080ドットをメインとするのがよく、たとえばFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークなどでは2,560×1,440ドットはどの画質設定でも快適評価は得られなかった。

 画質についても、各タイトルの最高画質は60fpsに達していない。中~高といった画質なら60fpsを満たせるので、このあたりを選ぶのがよいだろう。軽量なタイトル、たとえばWorld of Tanks enCoreなどでは、超高品質でも問題ない。ある程度余裕もあるので2,560×1,440ドットで楽しむことも可能だろう。

フルHD環境ではCPUはおおむねOK。GPUはアップグレードしたいところだがGTX 1060(3GB)のコスパは捨てがたい

 LEVEL-M0B6-i5F-RNJRのポイントはやはりコスパのよさだ。GPUを搭載しなCore i5-9400F、旧世代でビデオメモリが少し少ないGeForce GTX 1060(3GB)といったスペックは、多少注意点はあるものの、それを理解できれば10万円という予算で手に入る。

 性能としては1,920×1,080ドット、中~高画質狙いといったあたりがベンチマーク結果からわかるとおり。ゲーミングPCとしてはエントリーグレードで、PCのゲーミング環境としてはメインストリームといったところだ。これが10万円以下なら悪くない。

 とくに、ゲームにおいて必要なCPU性能は、多くの場合Core i5で足りそうだ。アップグレードするならビデオカードということになるが、ビデオカードはさらに高価なパーツ。より上の環境、たとえば1,920×1,080ドット、最高画質を求めるとプラス4万円、2,560×1,440ドットで高画質を狙いに行くとプラス6万円といった予算になる。

 画質やフレームレートをとるか、コスパをとるか。標準構成のGeForce GTX 1060(3GB)はコスパ側に大きく振った選択であり、おこずかいの範囲内で、カジュアルにゲームを楽しみたいなら、これでもよい選択なのではないだろうか。