大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」

3桁の電話番号から占う2019年

 2018年のIT/エレクトロニクス産業は、おおむね好調な1年だったと言えるだろう。

 2018年5月に、富士通クライアントコンピューティングが、レノボ傘下で新たなスタートを切ったほか、シャープが買収した東芝クライアントソリューションが、2019年1月から、Dynabook株式会社として再スタートを切ることが発表されるなど、PC業界の再編が続いた一方で、働き方改革や、2020年1月に迎えるWindows 7の延長サポートの終了などを追い風に、企業向けPC市場は好調に推移。成長基調で市場は推移した。

 また、AIやIoTが広く活用され、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速。エレクトロニクス業界では、2018年12月から始まった「新4K8K衛星放送」をきっかけに、2020年に開催される東京オリンピック/パラリンピックや、多くのTVが買い替えサイクル期に入り始めた動きを捉えて、需要の顕在化に躍起になっているところだ。

 好調な動きがみられたIT/エレクトロニクス産業は、2019年もそのモメンタムを持続しそうである。

 では、2019年はどんな1年になるのか。

 毎年恒例の言葉遊びで、この1年のIT/エレクトロニクス産業の行方を占ってみよう。

3桁の電話番号

 じつは、今年のトレンドは、「3桁の電話番号」のなかに隠されている。

 「3桁の電話番号」というのは、一般的に、「特番」とも言われているものであり、「110」(ヒャクトウバン)であれば警察機関への緊急通報、「119」であれば消防機関への緊急通報といったように、緊急性、公共性、安全性の観点などから、重要な用途に使用される番号のことを指す。3桁の番号はすべてが使われているわけではなく、飛び番で設定されている。また、すでに終了になっているサービスもある。

 今回は、主要な「3桁の電話番号」のなかに隠れているIT/エレクトロニクス産業の2019年のトレンドを追ってみる。

PC市場全体の見通しは「104」

 最初の番号は、「104」である。

 この番号は、「番号案内」に使用されており、氏名および企業名、住所をもとに、電話番号を案内してくれるサービスだ。

 「104」という数字のなかに隠れているのは、PC市場の堅調な成長ぶりだ。

 業界団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が、2018年12月に発表した「電子情報産業の世界生産見通し」によると、2019年のPCの生産見通しは、1937億ドル(約21兆3,000億円)となり、前年比「104」%となる。

 国内PC市場においても、2019年は、法人向けPC需要を中心に、引き続き、安定した需要が見込まれそうだ。その主要因については、このあとの「3桁の電話番号」のなかで触れてみたいが、それとは別に、今年のPC市場を取り巻く動きとして特筆しておきたいものがある。

 それが、「Hardware as a Service(HaaS)」である。

 HaaSとは、クラウドサービスの呼称として一般化しているSoftware as a Service(SaaS)やInfrastructure as a Service(IaaS)、Platform as a Service(PaaS)などになぞらえた言葉であり、PCやタブレットなどのハードウェアを、ソフトウェアやサポートと組み合わせながら、月額によるサブスクリプションモデルで販売するものだ。ユーザーにとっては、初期投資コストを低減するとともに、ハードウェアへの投資費用を平準化。販売する側も、付加価値が提案しにくかったハードウェアのビジネスモデルを転換できるとともに、経営に安定をもたらすストック型のビジネスへと移行できる。

 さらに、この動きに、自動車産業で一般化している残価設定型クレジットを組み合わせる動きも顕在化しそうだ。すでに、ビックカメラなどが、Apple製品を対象に、残価設定型クレジットを用意した販売を開始。MacBook Proでは、月額5,300円で購入が可能になっている。さらに、パナソニックが、PCメーカーの直販としては初めて、レッツノートに残価設定型クレジット方式を導入した販売プログラムを用意し、2019年3月までに開始する姿勢をすでに明らかにしている。価格が高いと評判のレッツノートも、月額数1000円で購入できるようになるわけだ。

 こうした動きもPCを購入しやすい環境をつくることになり、販売増に貢献しそうだ。

Windows 7サポート終了特需の「107」

 「107」という番号の用途は、40代以降の人ならば知っているかもしれない。列車着信電話サービスだ。新幹線などの移動中の列車を特定し、そこで車内呼び出しを行ない、それによって、相手と通話ができるというものだ。携帯電話が普及している現在ではまったく不要のサービスだが、記者として駆け出しのころには、新幹線で出張をしたさいには、なんどか呼び出された覚えがある。このサービスは2004年6月に廃止されており、30代以下の人たちはまったく知らないサービスかもしれない。

 この番号に隠れているのは、2020年1月に迎えるWindows 7の延長サポートの終了だ。

 「107」という数字を、新たな環境であるWindows 10の「10」と、延長サポートが終了するWindows 7の「7」とに切り分けてみたい。

 Windows 7の延長サポート終了に伴う買い替え需要は、じょじょに顕在化しつつあり、すでにPC需要喚起の原動力の1つになっている。とくに、大手企業においては、すでに95%の企業がWindows 10に向けた移行を開始しているとの調査結果もある。だが、その一方で、中小企業におけるサポート終了に対する認知度が57%と低いのが課題だ。2019年前半は、中小企業や地方都市におけるサポート終了に対する認知度を、どこまで高めることができるかが課題だといえるだろう。日本マイクロソフトでは、2020年1月の延長サポート終了時には、Windows 10の利用率を90%にまで高めたいとしている。

新年号対応と消費増税の「110」

 ヒャクトウバンと称される「110」は知らない人がいない番号だ。警察関係への緊急通報番号である。この数字も2つに切り分けてみたい。隠れているのは、日本全体に影響を及ぼす出来事だ。

 最初の「1」は、2019年5月1日からスタートする新たな元号による元年を示す「1」。そして、後半の「10」は、2019年10月から開始される10%への消費増税を示す「10」だ。
新たな元号は、2019年4月1日に発表されることが明らかになったが、IT業界でも新元号に対応したシステム改修などに追われることになる。新元号発表から、わずか1カ月で施行となるだけに、メーカーやシステムインテグレータは迅速な対応が迫られるというわけだ。

 ちなみに、2018年8月に、日本マイクロソフトが開催した「Japan Partner Conference 2018」では、同社のAIを活用して予測した新元号を発表。それによると、「仁永」という元号が導き出されたという。

 一方、10%への消費増税は、新元号の施行と同様にシステム改修に関する特需を生むほか、PCやAV機器、白物家電などの需要の喚起にもつながるだろう。とくに個人ユーザーの駆け込み需要が見込まれる点では、産業側の期待が大きい。たとえば、2011年の地デジへの完全移行によって販売された薄型テレビが、いよいよ買い替え期に入ってきたこと、2018年12月から始まった「新4K8K衛星放送」による4Kテレビ需要の加速、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの約1年前というタイミングにあわせて、消費増税前の駆け込み需要に期待する声もあがっている。

 この次の番号からは、100の位の「1」を新元号の元年を示す言葉として捉えて、下2桁で、新元号元年(2019年)における隠れたトレンドを追ってみたい。

113から119は?

 「113」は、電話の故障に関する問い合わせ番号だ。「113」の下2桁は、「13」。

 2019年から「13」年前となる2006年は、ジェフリー・ヒントン氏によって、ディープラーニングが発明された年であり、これが、現在の第3次AIブームを支える基本技術となっている。つまり、「13」という数字からは、AIを取り上げておきたい。

 いまや、AIという言葉を聞かない日はない。新聞紙上やTV、ネットニュースでもAIという言葉があちこちで使われていることは多くの人が感じているだろう。AIを活用したスマートスピーカーも広く浸透しはじめている。

 2019年も、企業や個人がAIと関わる場面も増えてくるだろう。それとともに、AIによって世の中からなくなってしまう仕事はなにかといった話題や、AIの倫理に関する話などが、これまで以上に増えてくることになりそうだ。そうした動きは、AIがわれわれの生活になかに浸透し始めていることの裏返しともいえるだろう。AIによって、どんなサービスが登場するのか。注目される1年だろう。

 「114」は、話し中調べの番号だ。相手先の電話が話し中かどうかを、コンピュータが自動で調べてくれるというサービスだ。

 「114」の下2桁は、「14」。この数字は、PC業界にとって、2018年後半からの最大の関心事となっているIntelのCPUの供給不足を指している。

 供給不足となっているIntelのCPUは、「14」nmの生産プロセスを採用したもの。PCやデータセンター向けのCPUの需要が、世界規模で予想を上回っているのが品不足の要因で、PCの生産にも一部遅れが出ている。Intelでは、米国とアイルランド、イスラエルの工場に、10億ドル(約1,100億円)の追加投資を行なうことを発表。14nmの生産能力を拡大する計画だ。

 だが、Intelの発表では、2019年の年末商戦までには供給不足を解消させるという長期的な視点での成果を示しているのが現状だ。半導体の生産設備の増強であるため、長期化するのは仕方がないといえるだろう。

 しかし、日本では、先に触れたように、2019年10月以前には、消費増税前の駆け込み需要が見込まれ、さらに、2020年1月にはWindows 7の延長サポート終了を迎える前の特需も想定される。その時点で、CPU不足が解消されていなければ、特需を取り込めなかったり、新たな環境への移行に遅れができることになりかねない。2019年のPC産業における懸念材料の1つといえるだろう。

 「115」は、電報の申し込み番号。最近ではWebを通じて電報を申し込む人も増えたため、使う人は減っていそうだ。筆者もWeb利用に移行した1人だが、かつて、結婚式のお祝い電報の文面に困っていた時に、電話口で、オペレータが3つほど例文を読みあげてくれて、そのなかから選んだことを思い出す。

 115の「15」には、2018年に「15」万人以上の来場者を記録したCEATEC JAPANを、あえてあげておきたい。IT/エレクトロニクス産業の最大の展示会であるCEATEC JAPANは、2016年に、「脱・家電見本市」を宣言し、IoTをメインテーマにした「CPS/IoTの総合展」へと転換を図った。

 一時は、限界説まで飛び出していたCEATEC JAPANだが、それ以来、来場者は右肩上がりで回復。1日あたりの登録来場者数平均は歴代5位の水準にまで盛り返してきた。特筆されるのは、3年続けて、来場者の約3分の1が初めての来場者であり、約50%を新規出展企業が占めていること。2018年も、ローソン、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、コマツ、トヨタ自動車、JTB、ファナック、LIXILなど、異業種企業の出展が相次ぎ、新たなビジネスマッチングの場としても注目を集めた。

 まさに、来場者、出展者ともに様変わりした展示会になっている。一方で、電機大手や部品メーカー大手の出展が減少しており、こうした企業が新たな展示会に変貌したCEATECに復活展示するのかが、2019年の注目点といえるだろう。

 2019年には、20回目の開催を迎えるCEATEC。どんな展示会になるのかが楽しみだ。

 「117」は時報。正確な時間を知るためのサービスであり、正確な時間での資料配布が行われる決算会見などでは、広報担当者が、会見場で、このサービスを利用して、会見を開始する例がみられている。

 117の「17」は、日系企業の電子部品・デバイスの2019年の生産見通しが「17」兆円に達すること。つまり、IoTにおけるビシネス拡大を指す。

 電子部品・デバイスは、日本のIT/エレクトロニクス産業における成長の柱。過去10年に渡って、世界のIT/エレクトロニクス産業を牽引してきたAV機器、コンピュータ・情報端末、通信機器、ITソリューション・サービスでは、日系メーカーは成長の波には乗り切れなかったが、電子部品・デバイス分野では、それらの分野とは一線を画して、成長を牽引することができる立場にいる。日系メーカーが得意とする高機能、省エネ、高信頼の電子部品やデバイスは、世界的にも注目を集め、IoTの進展、クルマの電装化率の上昇、スマートフォンの高機能化などに伴って、重要な役割を担いはじめている。IoTの広がりが、日本のIT/エレクトロニクス産業復活のカギになる。

 「118」は、海上保安機関への緊急通報番号。海上での事故などの場合には、「110」ではなく、「118」にかけることになる。

 118の「18」は、eスポーツに関連する。一般社団法人日本eスポーツ連合の調べによると、eスポーツの市場規模は、2019年には18億ドル(約1,980億円)に達すると予測している。

 日本はeスポーツ後進国と言われるが、それでも、ここ1~2年の盛り上がりには注目すべきものがある。PC売り場でも、ゲーミングPCの展示スペースが拡大されているほか、eスポーツ関連イベントが相次ぎ開催され、プレイヤーだけでなく、それを視聴するファンを巻き込んだかたちで市場が拡大している。

 主要PCメーカー各社からもゲーミングPCのラインアップが強化されており、レノボ・ジャパンのデビッド・ベネット社長は、自らを「チーム・ゲーミング・オフィサー」とし、ゲームイベントにも積極的に参加。率先してゲーミングPCの拡販に努めている。2019年は、日本において、eスポーツを軸にしたゲーミングPCの需要拡大が見込まれる。

 「119」は、消防機関への緊急通知に使用される番号。これも多くの人が知っている番号だ。「119」の「19」では、2018年12月から、衛星を利用した実用放送としては、世界初と世界初となる新4K8K衛星放送を指すことになる。

 放送を開始したのは、NHK BS4K、ビーエス朝日、BS-TBS、BSテレビ東京、ビーエスフジ、ショップチャンネル、QVC、映画エンタテインメントチャンネル、スカチャン4Kの9局17チャンネル。2019年9月にはBS日テレが、2020年12月にはWOWOWが放送を開始し、最終的には11局から「19」チャンネルが放送される。

 新4K8K衛星放送によって、国内4,000万世帯以上で、4K/8K放送の視聴が可能になり、政府では、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの開催時には約半数の世帯で視聴していることを目指している。

 だが、一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の調査によると、4Kという言葉を知っている人は87.2%(知っている63.2%、知っているような気がする24.0%)。4K放送を視聴したい人は、42.1%(ぜひ視聴したい11.2%、まあ視聴したい30.9%)に留まっており、4K TVの普及率も約1割というのが現状だ。2019年は、4K/8Kの認知度向上に向けた取り組みが重要になる。

122以降は?

 次の数字は「122」。電話会社固定サービスの解除の番号である。あまり知っている人はいないだろうが、総務省が示した緊急性、公共性、安全性の観点から重要な要素とされるA分類の番号の1つだ。

 この下2桁の「22」では、5Gの動きを捉えたい。総務省によると、2022年までに、5Gの世界人口のカバー率は「22」%に達すると予測している。その5Gの実用元年が、2019年に訪れる。

 国内では、2019年から、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が5Gのプレサービスを開始。2019年9月に開催されるラグビーワールドカップ2019日本大会のタイミングには利用できるようになり、いよいよ5G時代が到来することになる。

 5Gは、LTEと比較して約100倍の通信速度、約1,000倍の大容量、そして、低遅延、多数端末の同時接続通信といった特徴を持ち、スマホの通信だけに留まらず、すべてのモノがインターネットにつながるIoT時代において、あらゆる領域で利用される新たな通信インフラとなる。5Gの活用によって、サービスの質的変化が起こることになり、2019年はその一端が国内において見られることになるだろう。

 ちなみに、通信分野においては、スマホの通信料金の4割値下げに向けた動きも、2019年は注目されることになりそうだ。

 総務省によると、3桁の電話番号のうち、緊急性、公共性、安全性の観点から重要な要素とされるA分類では「122」の次が、「171」まで大きく番号が飛ぶことになる。

 171は、災害用伝言ダイヤルだ。地震などの災害発生時に家族間の安否確認や集合場所の連絡などに利用できるサービスで、多くの人が知っている番号の1つになっている。音声ガイダンスに従って、伝言の録音を行なっておけば、利用者は、再生は被災地の人の自宅の電話番号を使って安否が確認できる。

 171の「71」という数字では、AR(Augmented Reality:拡張現実)およびVR(Virtual Reality:仮想現実)の市場成長率を指すことになる。IDC Japanによると、世界におけるARおよびVR市場の2022年までの年間平均成長率は「71」%に達すると予測している、2019年には、Microsoftの「HoloLens」の第2世代製品の投入や、Facebookの「Oculus Quest」といった新たなデバイスの登場にも注目が集まっている。

 ARおよびVRは、エンターテイメント分野での利用のほか、小売、製造、輸送・運輸、建設、医療など、さまざまな業務分野での活用が見込まれており、先ごろ、米国陸軍では、戦闘任務や訓練に「HoloLens」を使用するための調達契約を結んだことが明らかになったところだ。応用範囲は多岐に渡っているといえるだろう。

 軍事分野での調達に話題が及んだことで、「171」の番号で、もう1つ触れておきたいのが、米国政府機関の調達ガイドラインであるNIST SP800-「171」である。

 NIST(米国標準技術研究所)が定めたこのガイドラインは、2017年12月から、米国においてすでに施行されており、米国政府が調達するIT関連製品のすべてに適用。米国政府機関が調達する製品や技術などを開発および製造する企業に対して、一定のセキュリティ基準に準拠するように求めている。これは、米国防省と取引がある全世界の企業が対象になるというのが前提だが、この範囲は幅広く、米政府と直接取引を行なう企業から見ると、「孫孫請け」といった離れた立場の会社や、政府にPCを搬入する物流会社などでも、NIST SP800-171を満たしたITシステムを導入している企業でなくてはならない。

 つまり、米国政府と直接取引がない企業を含む、かなり多くの企業が、NIST SP800-171の基準を満たしたITシステムを導入していなくてはならないというわけだ。2018年は、米国政府によるHuaweiおよびZTE製品の締め出しも、じつは、このガイドラインがベースにある。

 では、なぜこれが2019年のトレンドなのか。

 じつは、日本においても、2019年4月から、防衛省と取引があるすべての企業は、NIST SP800-171と同等のセキュリティレベルを持つ必要があるからだ。現時点では防衛省の調達においてのみ、この基準が採用されるという段階であり、米国ほど多くの企業に影響を及ぼさないとみられる。関係者によると、対象となる企業は約9,000社と見られているが、米国政府の動きなどを考えると、国内のあらゆる業種の企業がNIST SP800-171を視野に入れておいた方がいいといっても過言ではない。

 まだ、あまり話題にはなっていない動きだが、注意深く動向を見ておく必要がある。

2019年のIT/エレクトロニクス産業はおおむね「晴れ」

 最後は、「177」である。177は天気予報で、電話をかけている地域の天気予報を聞くことができるサービスだ。

 天気予報ということで、2019年のIT/エレクトロニクス産業の「天気」を予報してみたい。

 2019年のIT/エレクトロニクス産業の天気は、おおむね「晴れ」といっていいだろう。

 新元号の施行、消費増税、Windows 7の延長サポート、2020年の東京オリンピック/パラリンピックといった動きは、2019年のIT/エレクトロニクス産業にとって、いずれも追い風の要素となる。引き続き、堅調な需要が続くだろう。

 だが、いまから見据えておかなくてはならないのは、2020年以降の動向だ。

 追い風となる要素を使い切ったIT/エレクトロニクス産業にとって、需要を喚起する材料が激減。市場が低迷する可能性が高いからだ。

 かつてPC市場においては、過去最大の出荷台数を記録したWindows XPの買い替え特需の反動により長年に渡り市場が低迷。薄型TVも、地デジへの完全移行に伴う超特需で、いまでも需要が低迷したままという状況が続いている。

 晴れ間の見える2019年だが、その後のどしゃ降りの天気を見据えた準備がいまから必要だ。