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ワシントン大学、甲虫の背中に取り付けられる“GoPro”

250mgの“GoPro”

 ワシントン大学は15日(現地時間)、甲虫の背中に取り付けられる超小型カメラを開発したと発表した。

 このカメラシステムには、超低電力消費のモノクロカメラセンサーとBluetooth通信機能を備えており、1~5fpsのフレームレートで動画を、120m離れたスマートフォンに転送できる。また、カメラを60度動かす機構を備えている。重量はわずか250mgで、実験では500mgまで背負える甲虫の背中に取り付け、問題なく動作することを確認した。

 スマートフォンなどで使用されている一般的なカメラセンサーは、広角で高解像度な写真を生成できる一方で、それを駆動するためのバッテリなどの周辺システムが大掛かりであるため、虫が背負える重さではない。そこでこのカメラシステムでは、昆虫から得たヒントを元に制作されることとなった。

 人間とってみれば“見る”ことは大したことではないのだが、昆虫にとって視覚は安静時エネルギーのうちの10~20%に相当する分を消費する。そして昆虫の複合目には高解像度の領域があることがわかっているが、彼らが獲物や仲間を追いかけるさいは、その高解像度領域を見たい部分にあわせるために頭を動かす。これによって広視野角化による消費エネルギー増加を抑えているわけだ。

 今回開発されたシステムもこの仕組みを応用し、見たい角度をユーザーがスマートフォンで指示すると、小さなアクチュエータが動いて、その向きにカメラをあわせる仕組みとなっている。

 また、消費電力を削減するために、甲虫が動いたことを検出する加速度計を追加し、動いているあいだだけカメラが動作するようにした。もし加速度センサーを搭載しない場合は、搭載バッテリで約1~2時間しか動画を記録できないが、搭載により、甲虫の活動レベルに応じて、6時間以上動作したという。

カメラ搭載の自走ロボットも開発

 研究チームは同時に、このカメラシステムを搭載した世界最小の自走ロボットを設計した。このロボットはモーターではなくピエゾ素子の振動によって動作するのだが、そのままだと移動中の振動でブレた映像が送られてしまう。そこで、移動を一時的に止めてから撮影し、撮影が終えてからまた移動することを交互に繰り返すアルゴリズムを採用し、問題を解決。毎秒2~3cmの移動と、約90分のバッテリ寿命を両立させたとしている。