厚さ18mmでUSB 3.0装備のEee PCやB&O協業モデル第2弾など
ASUSTeK会長のJonney Shih氏 |
台湾ASUSTeKはCeBIT 2010初日の2日にプレスカンファレンスを開催し、同社会長のJonney Shih氏が今回発表/展示する主立った新製品の開発思想や概要などについて語った。
Shih氏まず同社の直近の業績について説明した。それによると全世界に1万人の社員を抱える同社は、2009年度の売上高が75億ドル。Business Week誌のIT企業トップ100社に12年連続ランクインし、同社製品は2009年だけで3,268の賞を受賞した。
Shih氏は、こういった受賞の栄誉の理由は、性能だけでなく、デザインも追求した点にあると言うが、多くの製品ではグリーン性能においても他社の追随を許さないという。具体的には、2008年に台湾メーカーとして初めてEPEAT Gold賞を受賞したのを始め、2008年にEU Flower認定、2009年にEPD認定、カーボンフットプリント認定をノートPCメーカーとして初めて取得した。
こういったグリーンな製品の「内外」におよぶという。内部の一例としては、マザーボードに電力管理チップである「EPU」(Energy Processing Unit)を搭載。1,000万枚の製品を出荷し、これにより年間207,430トンのCO2排出を抑制できるという。また、ノートPCにも「Super Hybrid Engine」と呼ばれる低消費電力技術が盛り込まれ、これによりノートPC 1台あたり年間で13.7kgのCO2排出を削減しているという。
同社のグリーンに関する実績 | マザーボードにはEPUを搭載 | ノートPCもSuper Hybrid Engineにより省エネ化 |
もう1つ、外部のグリーンとして紹介されたのが、竹素材を天板やパームレストに取り入れた「Bambooモデル」だ。ともすれば、単に奇をてらっただけと捉えられがちなBambooモデルだが、実はグリーン性能という点ではかなり考えられている。
まず天然素材なので、廃棄時などの環境への負荷が少ない。その一方で、竹は数年という他の樹木より圧倒的に早いペースで成長するので、伐採に伴う負荷も比較的少ない。強度についても、1平方インチあたり約24kgの耐荷重性能を確保しているという。その上で、見栄えの良さも兼ね備えており、Shih氏は「自然に触発され、スタイリッシュを追求した」製品と表現した。なお、Bambooを採用する最新モデルの「U」シリーズは、NVIDIA OptimusやUSB 3.0などの最新機能も取り入れている。
「外側」のグリーンとして竹を筐体素材に採用 | Uシリーズ。主な仕様はメインストリーム系だが、OptimusやUSB 3.0も採用 | 天板は全体が竹 |
パームレストも竹素材で、筐体全体でプラスチックの利用量を2割削減 | 本体右側面 | 本体左側面 |
続いて、Shih氏はゲーマー向け製品への取り組みを紹介した。一口にゲーマーと言っても、ヘビーからカジュアルまで異なる層があり、ユーザーごとにニーズは異なってくる。その要求に応えるため、ASUSTeKでは幅広い製品ラインナップを用意する。
まず、最上層のコアなゲーマーには、「R.O.G.(Republic of Gamers)」ブランドの自作パーツで対応。R.O.G.製品にはデュアルGPUカードや、マルチビデオカード対応マザーボードなどが含まれる。
そこまでコアではなく、製品のスタイリッシュさも気にするバランス型のユーザーには「G73」シリーズなどのゲーミングノートを用意。ノートPCでありながら、Radeon HD 5870や1TB HDD×2というデスクトップ並みの仕様を誇る。
そして、カジュアルゲームを、いつでもどこでも楽しめるPCとして紹介されたのが「Eee PC 1018P」だ。本製品は純然たるネットブックであり、ゲーミングの括りに入れるのはやや難があると思われるが、ここではPCを持ち歩いて、SNSゲームなどをいつでもどこでもプレイできるという意味合いだと思われる。
そんなEee PC 1018Pには、従来のEee PCとは一線を画す仕様が盛り込まれている。1つは外観。天板がヘアライン処理され高級感を演出したモデルは過去にもあったが、本製品はそれに加え、18mmという圧倒的な薄さを実現。カンファレンスでは製品の仕様などについてはほとんど触れられなかったのだが、間近で製品を観てみると、ソニーのVAIO XのようにEthernetコネクタを開閉式にするなど、薄さを追求するためさまざまな工夫がなされているようだ。
また、コンシューマ向けではメインストリームノートでも採用が少ない、指紋センサーやUSB 3.0を搭載。また、オプションでBluetooth 3.0も内蔵できる。こういった先進的な仕様からか、本製品のロゴには「Eee PC Prime」と書かれており、この点でも既存製品と区別されているのが分かる。
これ以外の仕様は、Atom N455/N475、メモリ1GB/2GB、HDD 250GB/320GB、1,024×600ドット表示対応10.1型液晶、Windows 7 Starter/Home Basic/Home Premium、IEEE 802.11b/g/n無線LANなどを搭載。バッテリ駆動時間は約10時間。
Eee PC 1018P | 天板はヘアライン処理。やや茶色っぽく見えるのは証明のせいで、実際は黒い | 液晶額縁のロゴは「Eee PC Prime」 |
キーボードはさほど無理のない配置 | 左側面。全USBが3.0なのかは不明 | 右側面 |
薄型化のため、Ethernetコネクタは開閉式 | 指紋センサーを搭載 | 本体裏面 |
なお、会場に実機の展示やデモはなかったが、Shih氏は3D対応ゲームにも言及。PCゲーム業界にはNVIDIA 3D Visionを筆頭とする3D技術に対応するタイトルが400以上もあり、CESでも展示があった通り、同社も3D対応の単体液晶やノートPCを順次発売するとした。
音を追求したモデルも同社2010年ラインナップの大きな特徴の1つ。その代表例がCESで発表された、「NX90」。同製品は、Bang & Olufsen(B&O)のデザイナーであるDavid Lewis氏によってデザインされたもの。
液晶両脇に搭載したノートPCとしては大型のスピーカーや、ASUSTeKとBang & Olufsen ICEPowerの協業によるSonicMaster Premium技術により音質を高めている。また、徹底的に磨き込まれた鏡面仕上げのアルミ天板や、キーボード両脇に2個搭載したタッチパッドなどデザイン面でも異彩を放つ。
ちなみに、CESでは製品の紹介のみに留まったが、今回はLewis氏がゲストとして招かれ、デザインコンセプトなどについてShih氏と対談した。
これに加え「Nシリーズ」(N43/N63/N73)でも、SonicMaster技術や、ヒンジ部に比較的高性能なスピーカーを搭載するなど音質に配慮し、マルチメディアに好適としている。なお、このモデルもOptimusおよびUSB 3.0に対応する。
Bang & OlufsenデザイナーのDavid Lewis氏(左) | NX90 | 背面はまさに鏡 |
こちらもBang & Olufsenと協業したNシリーズ | ヒンジ部にスピーカーを内蔵 | パームレストにロゴが刻印 |
(2010年 3月 3日)
[Reported by 若杉 紀彦]