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脱皮を目指すLenovoが新ブランドロゴを発表
(2015/5/26 15:39)
Lenovo Group(以下Lenovo)は5月28日(現地時間)に、本社がある中華人民共和国北京市内において「Lenovo Tech World」と呼ばれるプライベートイベントを開催する。
Lenovo Tech Worldには、Lenovo CEOのヤン・チン氏、Intel CEOのブライアン・クルザニッチ氏、Microsoft CEOのサティヤ・ナデラ氏など、業界リーダーによる基調講演が行なわれ、同時に新製品などが発表される見通しだ。
それに先立つ5月26日には北京市内のホテルで、同社の日本法人が所属するLenovo アジア・パシフィック地域向けの記者説明会が開催され、同社のビジネス状況や、同社が今後導入する予定の新しいブランドロゴなどが公開された。
PC一辺倒の会社から、PC/タブレット/スマホを扱う総合メーカーへ脱皮するレノボ
記者説明会の冒頭に登壇したのは、Lenovo アジアパシフィック地域担当社長のロードリック・ラビン氏。ラビン氏は、この3月まで日本法人であるレノボ・ジャパンの社長を務めており、NECとのジョイントベンチャー事業などにおける実績が評価され、現在はアジアパシフィック地域(日本、韓国、台湾、香港、東南アジア、南アジア、オセアニアなど)を統括するアジアパシフィック地域担当社長に任命されている。
ラビン氏は「Lenovoは買収を経て大きくなってきた。IBM PC、NEC PCなどさまざまなブランドを買収して、現在は460億ドルの売り上げと、6万人の従業員がいるグローバル企業へと成長した」と述べ、同社の事業が順調に成長していることを強調。実際Lenovoの市場シェアは、2009年では6.5%だったのが今では19.5%と、1位のPCメーカーとなった。
またタブレット市場でもスマートフォン市場でも、Apple、Samsungに次ぐ第3位の地位に付けている。ラビン氏は「PCの市場はフラットかむしろ若干減っているぐらいだが、Lenovoはシェアを伸ばしている。ただ、Lenovoの社内でのPCの重要性むしろ減っており、以前は売り上げ全体の82%を占めるPCだったが、今は64%になっている。その分モバイルやエンタープライズなどそれ以外の市場が急速に成長している」と述べ、LenovoがPCだけの会社から変わりつつあることを強調した。
特にスマートフォンに関しては急速に成長しており、昨年(2014年)Motorola MobilityをGoogleより買収したことにより、その分のマーケットシェアが増えることになり、Apple、Samsungに次いで第3位になっている。ラビン氏によれば、昨年Lenovoが出荷したスマートフォンは7,600万台と、同社が出荷しているPCよりも多いという。
「Lenovoはスマートフォンで2つのブランドを利用している。1つはMotorola Mobilityで成熟市場用、もう1つがLenovoでこちらは成長市場用になる」と述べ、2つのブランドを活用しつつ、グローバルなサプライチェーンを構築していくことで、市場をもっと増やしていくと述べた。
また、昨年IBMからx86サーバー事業を買収したSystem X部門では、現在HP、Dellに次いで市場3位のマーケットシェアになっており、「弊社のCEOも、今後18カ月で利益率が最も高い事業になると説明している」とし、今後IBMから買収したSystem X部門と、従来のLenovoのサーバー部門との統合を進めて、より成長できる体制を目指すとした。
このほか、ラビン氏はアジアパシフィック地域でのビジネスについて説明し、グローバルな市場では3位のシェアを持つスマートフォンの市場だが、アジアパシフィック地域ではそれほどシェアが高くないので、大きな成長の可能性があるとした。
スマートフォンはMotorolaとLenovoの2つのブランドを使い分け
Lenovo アジアパシフィック地域エンタープライズビジネス事業部担当副社長 コン・メン・コー氏は、同社の企業向け製品事業について説明した。「BYODの流行により、スマートフォンやタブレットを企業ITのソリューションに組み込むことは必須になりつつある。Lenovoの強みは、モバイル、PCからサーバーまで、エンドツーエンドで全ての製品ラインナップを用意している唯一の大手メーカーだ」と、HPやDellなどの他社に対しての強みをアピールした。
コー氏はLenovoのアジアパシフィック地域におけるサーバービジネスの現状について触れ、規模としては70億ドルの売り上げがあり、そのうち半分は日本市場での売り上げだと説明した。は「我々は日本市場で大きな成功を収めている、今後はその日本市場での成功を他の市場へと波及させていくことが重要だ」と語った。
Lenovo モバイルビジネス事業部 中国外市場担当 ディロン・イー氏は同社のモバイル製品(スマートフォン、タブレット)に関する説明を行なった。現在同社は市場シェア3位で、年率40%の成長を続けているという。現在買収したMotorola Mobilityの統合作業を続けており、今後はMotorolaとLenovoの2本立てのブランドで展開していくとした。
「ブランドは市場によって使い分けていく、Motorolaだけ、あるいはLenovoだけの市場もあるし、両方が併存する市場もある」と述べ、2つのブランドで最適な市場展開を図っていくとした。なお、イー氏が示した地図では日本市場はMotorolaのみの市場に分類されており、これはNexus 6など既にMotorolaブランドで展開されている製品しかない現状を意味していると思われる。
「Lenovoのスマートフォンはこれまでは中国市場が大部分を占めていたが、その状況は徐々に変わりつつあり、特に昨年からはアジアパシフィック地域の成長市場が大きく伸びつつある」と述べ、インド、ベトナム、タイ、インドネシアなどの市場でフィーチャーフォンからスマートフォンへの置きかえ、通信キャリアがネットワークを3Gから4Gにアップグレードすることなどの市場要因により大きな成長の可能性があるとした。
色や模様を背景に、白抜き文字となる新しいブランドロゴを発表
Lenovo アジアパシフィック地域 CMO(最高マーケティング責任者)のニック・レイノルド氏は、同社のマーケティング戦略に関して説明した。今回Lenovoは5月28日に北京で同社初のグローバル規模のプライベートイベントとなるLenovo Tech Worldを行なうが、それに併せて新しいブランドロゴを導入することを明らかにした。
新しいブランドは、背景の色は特に指定が無く、白抜きでLenovoとして書かれる新しいロゴで、新しいカンパニーロゴとして今後の製品に順次適用されていくという。
冒頭でもラビン氏が述べていたように、Lenovoは従来のPC一辺倒の企業から、タブレット、スマートフォン、そしてIoTなど新しい機器も含めて総合的なデジタルメーカーへと変革する途上に有り、それを象徴する形としてこの新しいブランドロゴを使っていくという。
レイノルド氏のプレゼンテーションでも、具体的な例としてデザイン例がいくつか示されたが、色つきの四角に白抜きであればどのような色(例えば背景は模様でも)良いとされており、かなり自由度が高くデザインに応用することができそうだ。