PC Watchのキーボード黙示録
メカニカル、US配列、金属筐体。こだわりの末に辿りついた先は「中つ国」のキーボードだった
2026年1月14日 06:07
キーボードのようなデバイスの優劣は、単純なスペックでは決まらない。要は自分に合うかどうかがすべてで、高級品ならよいというわけでもないからだ。特定のモデルしか手に馴染まず、それを指名買いするタイプの人も多い。
筆者はキーボードマニアではないし、特定のモデルでなければ嫌だということもない。だが毎日キーボードを叩く仕事をしている以上、いくつかこだわりのポイントもある。そんな観点から、筆者のお気に入りキーボードを紹介しよう。
メカニカルキーボードであること
筆者がキーボードを自分で選ぶようになったのは、DOS/Vの自作をはじめた90年代後半からになる。とはいえ当時の筆者は学生。キーボードは「可能な限り費用を削減する場所」でしかなく、いつもワゴンの中にある最安のものだった。
だが就職して経済的に余裕が出てからは、PCにおいて大事なのはCPUやメモリよりも、キーボードやディスプレイのような人間とのインターフェイスではないかと考えるようになった。そこで手を出したのがメカニカルキーボードである。当時はアキバのクレバリーによく通い、Cherry茶軸から入った記憶がある。2000年代前半の話だ。
その後、コードを書くなら一度は……と、ハッカー御用達のRealForceやHHKB Pro2なども使ってみた。だが静電容量無接点式の、ラバードームによるややしっとり(あるいはねっとり)した打鍵感が筆者には合わなかったようで、数年でやめてしまった。その後リニアのキースイッチが良いとすすめられ、Cherry黒軸に手を出し、新型の赤軸へと乗り継いできた。これが筆者のおおまかなキースイッチ遍歴になる。
このように好みの変遷はあるものの、言えることはキーボードはメカニカル一択という点だ。もちろんここは今でも譲れない。
US(英語)配列であること
筆者も昔はJIS(日本語)配列のキーボードを使っていた。だがデータセンターのサーバーコンソールは、だいたい英語である。また業務で海外向けの環境に触れる機会も増え、そうこうするうちに、プライベートの機材もUS配列で統一するようになった。もちろん日本語配列は物理的なキーが英語配列より多いため、日本語配列のキーボードを英語配列として使うことも可能だ。だが筆者は印字との不一致がどうにも気持ち悪かったのである。
劉デスクも言っているが、キーボード沼では、US配列が使えると選択肢が一気に広がる。日本語配列しか使ったことがないという人は、ぜひUS配列も試してみてほしい。ただし筆者のように「日本語配列が使えない」身体になってしまうと、今度は逆にノートPCの選択肢が致命的に狭まるため気をつけよう。
重たい金属筐体は正義
樹脂製のキーボード、特に小型のものを使うと、高速打鍵時に震動したり、たわんでしまった経験はないだろうか?筆者はそれが気に入らない。キーボードには、高速打鍵に耐えるだけの安定感が必要だ。そのため剛性のある金属筐体はマスト。そして持ち運びを考えないのであれば、その重量は可能な限り重い方がいいと考えている。
エスリル ニューキーボード NISSE
そんな条件を満たすキーボードを探し、出会ったのが「エスリル ニューキーボード NISSE」だ。
NISSEの特徴の1つが、QWERTY以外にもDvorak、Colemak、親指シフト、TRONかな配列といった複数の配列に、キーボード単体で切り替え可能な点だ。また小指や親指で押す修飾キーも、12パターンの中から選択できる。
ところがNISSEは、近年のQMK/VIA対応キーボードのような、個別キーの入れ替えには対応していない。だが筆者としては、CTRLキーはAの左隣にないと困るし、Enterは右人差し指ではなく右親指で打ちたい。そこで公開されているファームウェアを自分で書き換え、独自のレイアウトに変更している。
筆者はだいぶ昔に初期モデルを購入したが、現在ではポインティングデバイス内蔵モデルや、Bluetoothに対応した新モデルも存在する。エルゴノミックキーボードの宿命として、使う側の慣れが必要ではあるものの、キーボードにおける「正解」のひとつかもしれないと筆者は考えている。
Drop + The Lord of the Rings Keyboard
長い間NISSEを愛用していた筆者だが、興味本位で触れたHoly Panda Xキースイッチのよさに惚れてしまった。そこで手を出したのが、Dropの販売するHoly Panda Xのテンキーレスキーボードである「The Lord of the Ringsコラボモデル」だ。
本機のENTRアルミニウム筐体は見た目以上に重い。たとえばHHKB Professional HYBRID Type-Sは約540gで、一般的なメカニカルテンキーレスキーボードの多くが600g~800g程度なのに対し、本機の重量は約980gだ。
また本機はキーキャップにもこだわりがある。本機ではMT3プロファイルというキーキャップが採用されており、これは一般的なキーキャップと比較して背が高く、また表面のくぼみが非常に深いのが特徴だ。その吸い付くようなフィット感によって、「指を正しい位置へ導く感覚」が味わえるのだ。そしてHoly Panda Xが持つ、高級感のあるアーリータクタイルな打鍵感は最高である。
そんなわけでここ数年、普段の仕事にはこのキーボードを使っている。思えば昔のキーボードには、しっかりとしたキーの存在感があったように思う。あの頃の「道具を操作している感覚」が好きな方におすすめしたい。
| メーカー/製品 | エスリル ニューキーボード NISSE | Drop + The Lord of the Rings Keyboard |
|---|---|---|
| 使用PC | 自作デスクトップPC | Mac miniと各種ミニPC |
| キースイッチ | Cherry赤軸 | Holy Panda X |
| キー配列 | US | US |
| サイズ/キー数 | 76キー(エルゴノミック) | 87キー(テンキーレス) |
| キーピッチ | 18.8mm | 約19mm |
| キーストローク | 4.0mm | 3.5mm |
| 押下圧(重さ) | 約45g(リニア) | 約60g(アーリータクタイル) |
| 打鍵音 | スコスコ | コトコト |
| 接続方式 | USB Type-B | USB Type-C |
| 筐体 | アルミ筐体/赤+シルバー | アルミ筐体/ダークグレー |
| カスタマイズ | ファームウェア書き換えによるキーリマップ | 付属のキーキャップに変更 |
| キーバックライト | なし | 白 |













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