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内蔵GPUの常識が変わる。Core Ultraシリーズ3なら高精細ノートでもゲームが滑らかに!

Core Ultraシリーズ3(Core Ultra X9 388H)を搭載したLenovo IdeaPad Pro 5 5i (16", 11)でF1 25のベンチマークを実行しようとしているところ

 Intelは1月5日に、Panther Lakeの開発コードで知られるノートPC向けのSoC「Core Ultraシリーズ3」を正式に発表した。Core Ultraシリーズ3は、新しいCPU(Cougar Cove/Darkmont)、新しいGPU(Xe3アーキテクチャ)、新しいNPU(第5世代NPU)など、大きくアップグレードされており、性能が大きく向上していることが特徴になる。

 Intelは報道関係者向けの説明会などの中で、Core Ultraシリーズ3が搭載されたノートPCを公開し、AAAタイトルのゲームなどを利用してベンチマークを走らせることを許可した。筆者もそうしたマシンで実際にCore Ultraシリーズ3のGPU「Intel Arc B390」の性能をチェックしてきた。

12基のIntel Arc B390、10基のIntel Arc B370、4基のIntel Graphicsの3つのGPUがある

Core Ultraシリーズ3の内蔵GPUはIntel Arc B390が最上級グレードになる(出典: Intel Core Ultra Series3 Processors、Intel)

 Core Ultraシリーズ3のGPUは、第3世代Xeの意味で「Xe3」と呼んでいるGPUアーキテクチャを採用している。Intelは、2020年に発表した第11世代Core(開発コードネーム: Tiger Lake)で初代XeのiGPU版となるXe-LPを採用して以降、アーキテクチャを発展させてきた。2024年にリリースしたCore Ultraシリーズ2(Core Ultra 200V、開発コードネーム: Lunar Lake)で第2世代Xeを意味するXe2アーキテクチャのGPUを投入し、そして今回のCore Ultraシリーズ3でXe3が採用された形になる。

 Xe3の技術的詳細に関しては下記の記事が詳しいので、ご興味がある場合はこちらをご覧いただきたい。

GPUタイルには12Xeと4Xeの2つのタイルが用意されている(出典: Intel Core Ultra Series3 Processors、Intel)

 Xe3では2つのダイ(Intel的な呼び方ならタイル)が用意されている。Xeコアと呼ばれるGPUの演算ブロックの基数で、12基のXeコアをもつ「12Xe」と4基のXeコアを持つ「4Xe」の2つだ。Core Ultraシリーズ2(Core Ultra 200V、Lunar Lake)に採用されていたXe2(Intel Arc 140V)では8基のXeコアになっていたので、前者は4基増え、後者は4基減った形になる。

 FP/INT ALU(NVIDIAでいうところのCUDAコア)の数が、Xe2(8Xe)では1,024基だったのが、Xe3の12Xeでは1,536基と約1.5倍に、4Xeでは512基と約半分になっている。FP/INT ALUの数はレンダリングエンジンの性能と比例することになるため、Xe3の12Xeは、Xe2(の8Xe)に比べて高い描画性能を発揮することが可能だ。

【表1】Xe2とXe3の演算器などの数の違い
ブランド名Intel Arc B390/Pro B390Intel Arc B370/Pro B370Intel GraphicsIntel Arc 140V
シリーズCore Ultraシリーズ3Core Ultraシリーズ3Core Ultraシリーズ3Core Ultra シリーズ2(200V)
設計Xe3(12Xe)Xe3(12Xe)Xe3(4Xe)Xe2
Xeコア/GPU全体12コア10コア4コア8コア
FP ALU/INT ALU/GPU全体1,5361,2805121,024

 なお、Core Ultraシリーズ3の正式発表に伴い、12Xeは「Intel Arc B390/370」ないしは「Intel Arc Pro B390/370」となり、390は12基、370は10基のXeコアを内蔵することになる。

 Arc Pro B390/370はvPro SKU用の名称となり、基本的にはIntel Arc B390/370と同等のハードウェア、ソフトウェアとなる。また、370版は12Xeの設計(およびダイ)だが、2基のXeコアが無効になっていて10基のXeコアとなっている。ちなみに4Xeの方は「Intel Graphics」と呼ばれる。

XeSS 3で導入される複数フレーム生成機能(MFG)により最大3つのフレームを生成してフレームレートを上げることができる

XeSSがXeSS3にアップグレードされる(出典: Intel Core Ultra Series3 Processors、Intel)

 Intelは、Core Ultraシリーズ3の導入に合わせて、同社の超解像技術となるXeSS(Xe Super Sampling)を第3世代になるXeSS 3に進化させている。このXeSSは、NVIDIAでいうところのDLSS、AMDのFSRに相当する超解像技術だ。

XeSS MFGが最大4Xにまで強化される(出典: Intel Core Ultra Series3 Processors、Intel)
Cyberpunk 2077でのXeSS MFGの効果(出典: Intel Core Ultra Series3 Processors、Intel)

 Core Ultraシリーズ3では、発売時点からXeSS 3に対応したドライバが導入されており、XeSS 3で導入された新機能が利用できる。その新機能とは「XeSS MFG(Multi-Frame Generation、複数フレーム生成機能)がそれで、簡単にいえばAIを活用して中間フレームを生成し挟み込むことで、フレームレートを引き上げる機能になる。

 従来のXeSS 2ではシングルフレームの生成に対応していたが、XeSS 3では2フレーム(最初のフレームと合わせて3倍)、3フレーム(同4倍)とマルチフレームでの生成に対応したのだ。この機能を有効にすることでゲームプレイ時のフレームレートを引き上げて、滑らかな表示でゲームを遊ぶことが可能になる。

インテル グラフィックス・コマンド・センターアプリからMFGの設定ができる
F1 25ではXeSSのフレーム生成に対応していることは確認できた
こちらはBattlefield 6でのフレーム生成設定

 XeSS MFGを利用するには、ゲームがXeSSのフレーム生成に対応している必要がある。同時に、ゲームの設定をフルスクリーンからWindowedに設定しておく必要がある。ゲーム側がXeSSのフレーム生成(シングル生成、2倍)には対応しているが、MFGには対応していない場合には、ドライバレベルでMFGの設定を強制することができる。

 今回、EAの「F1 25」のベンチマーク機能を利用してテストしたが、F1 25がMFGに対応しているか分からなかった(シングルフレームの生成に対応していることは設定で確認できた)ため、ドライバ側で強制オンにしてテストした。

 ドライバレベルでの強制は「インテル グラフィックス・コマンド・センター」アプリから行ない、

  • Application choice(アプリケーションの設定を優先)
  • 2x Frame Generation(1フレームを生成)
  • 3x Frame Generation(2フレームを生成)
  • 4x Frame Generation(3フレームを生成)

から選択することができる(ドライバレベルでの強制のためゲームを再起動する必要がある)。今回はApplication choiceにしてアプリ側でXeSS フレーム生成オフ、2x Frame Generation、4x Frame Generationでテストした。

XeSS 3で提供されるMFGとArc B390の組み合わせは効果絶大、4xのMFG設定にすると166%フレームレートが向上

Lenovo IedaPad Pro 5 5i (16", 11)、16型 WQXGA+(2,880×1,800ドット/120Hz)、Core Ultra X9 388Hを搭載している

 今回ベンチマーク可能なマシンとして提供されたのは、「LenovoのIedaPad Pro 5 5i (16", 11)」で、16型 WQXGA+(2,880×1,800ドット/120Hz)、Core Ultra X9 388Hを搭載している。X9という名称になっていることからも分かるように、Arc B390(12Xe)のGPUを搭載しているSKUになっている。

Core Ultra X9 388H、CPUは18コア、GPUはArc B390

 テストはF1 25の設定(Setting)に用意されているBenchmark modeを利用して行なった。サーキットは鈴鹿サーキットで、解像度は製品のネイティブ解像度になる2,880×1,800ドット(Windowed)、Detail presetは「Ultra High」(詳細表示が一番多い重い設定)、XeSSのスーパーサンプリング(超解像機能)有効、XeSS FGオフ、XeSS 2x FG(ドライバ強制)、XeSS 4x FG(ドライバ強制)の3つをテストして、平均フレームレートをチェックした。

【グラフ1】Core Ultra X9 388Hでの、MFGオフ、MFG 2Xオン、MFG 4Xオンでの平均フレームレート(F1 25、鈴鹿サーキットを使用)

 結果はグラフの通りで、XeSS 3のMFGをオフにした場合には30fpsとゲームをするにはギリギリの性能だったが、MFGの2X Frame Generation設定、4x Frame Generation設定にすると、それぞれ63%、166%性能が向上している。非常に効果が大きく、WQXGA+という高い解像度でも十分にAAAタイトルのゲームがプレイできる性能を持っているといえる。

 MFGなしでも、WQXGA+/Ultra High設定で30fpsなので、解像度をFHDに落とし、Detail設定を落としたりすれば、もっと実用的なフレームレートで動かすことができるだろう。

 すでにCore Ultraシリーズ2(200V、Lunar Lake)でも、FHD程度の解像度でXeSSの超解像機能を有効にすると、AAAタイトルで十分ゲームプレイできることは知られていたと思うが、Core Ultraシリーズ3ではXeSS MFGによりもっとフレームレートを引き上げることが可能で、高解像度のディスプレイを持つノートPCでも十分にネイティブ解像度でAAAゲームをプレイすることが可能になりそうだ。