やじうまミニレビュー

約7万円のRadeon RX 7600M XT搭載GPUドックがきたー!「GMKtec AD-GP1」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
AD-GP1

 GMKtecの「AD-GP1」は、直販のセールで6万9,200円、Amazonでも7万6,999円(いずれも記事執筆の21日時点)で購入できる安価なRadeon RX 7600M XT搭載ドックである。今回サンプルを入手したので、簡単に紹介しよう。

 2023年末よりRadeon RX 7600M XT搭載のドッキングステーションが次々とリリースされているが、AD-GP1はかなりの後発モデルだ。直販で7万100円という価格は、MINISFORUMの「MGA1」よりも安価で、先行しているGPDの「GPD G1」やOne-Netbookの「ONEXGPU」よりだいぶリーズナブルだ。

 しかしAD-GP1は安いには安いのだが、MGA1とは製品の性質が異なる。MGA1は、GPUの部分はOCuLinkで接続し、PCへの給電やUSB 3.2 Gen 2ハブとしての機能は別途USB Type-Cケーブルを接続する。また、240Wの電源を内蔵している。どちらかといえば、OCuLink対応ミニPCでの利用を前提にしている。

 一方でAD-GP1はOCuLinkだけでなくUSB4(Thunderbolt 3/4)での接続をサポートし、USB PDにより60Wまたは100Wの給電が可能。逆にUSBハブやドッキングステーションとしての機能は非搭載、そして電源も外付けのACアダプタといった具合で、どちらかといえばノートPCやポータブルゲーミングPCでの利用も視野に入れた製品だ。

付属品など
本体
MGA1と比較すると圧倒的に小さくてかわいい
が、ACアダプタも含めてとなるとMGA1の方がサイズ的に有利。机の上をすっきりさせるならAD-GP1、配線をすっきりさせたいならMGA1だろうか

 つまり、MGA1は「Thunderboltチップを省く」ことで低価格化を図り、AD-GP1は「多機能や電源内蔵化を省く」ことで低価格化を図った製品だといえる。AD-GP1は純粋なGPUに近い性質に近く、接続対象となるデバイスが幅広いのが特徴だ。

 そんなAD-GP1だが、外観はPANTONE 10392CとPANTONE Blackの配色を採用したシックかつシンプルな小型デザインで、ACON製のThunderbolt 4が付属したり、OCuLinkケーブルもちゃんと付属したりと、安さを感じさせない点に好感が持てる。分解もしてみたが、厚みのあるヒートシンクや、フィンが薄く風量が稼げるファンが採用されていたりして、「ちゃんと設計しているな」という印象を受けた。実際の動作音も静かで、風切り音がメインだ。

本体背面のインターフェイス。USBハブといった類の機能はなく、ディスプレイ出力(HDMI 2基、DisplayPort 2基)のみである
右側面は排気口となっている
前面はLEDのみのシンプルデザイン
底面は大きめのゴム足が装備されている
本体を分解したところ
基板背面

 最後に性能についてベンチマークしていこう。……と思ったのだが、当初Ryzen AI 9 HX 370を搭載した「GPD Pocket 4」とUSB4経由で接続してテストをしようとしたところ、すこぶる動作が不安定となり、ベンチマークやゲーム起動直前、Windowsのディスプレイの設定を開くタイミングで、Radeon RX 7600M XTを何度か見失う現象に見舞われた(動く時もあるが)。

 そこで、Core Ultra 7 155Hを搭載した「ONEXPLAYER X1」で試してみたところ、すこぶる安定した。当初はランドスケープ液晶やハイリフレッシュレート、ThundeborltチップがIntel製だから……といったことも疑ったのだが、ここまで来ると単純にRyzen(AI)内蔵GPUとRadeon RX 7600M XTのドライバが共通化されていて、そこになんらかの不整合があるとしか思えないような気がしてきた。

Thunderboltコントローラは「JHL7440」といなっている。

 以前にテストしたGPD DUOとMGA1のOCuLink接続による組み合わせの際も、挙動が不安定であったが、あれからどうも改善はしていないようだ。最新のRyzen AI+Radeon RX 7600M XTというのはAMD製品同士でありながら、鬼門の組み合わせと言えるかもしれない。ちなみにドライバは最新の「AMD Software: Adrenalin Edition 25.2.1 Optional Update」である。

 というわけで気を取り直してONEXPLAYER X1上でのベンチマーク結果を掲載すると下記のようになる。接続別にみるとやはりOCuLinkのほうが有利であり、特に高フレームレート環境下では顕著だ。OCuLinkが利用できるのであればそちらを優先させたほうがよい。なお、AD-GP1のRadeon RX 7600M XTのTGPは120Wまで出せる性能重視のセッティングだった。

ベンチマーク結果

 ちなみに以前テストしたMGA1と比較するとスコアが低いと思われるかもしれないが、1つはONEXPLAYER X1のCore Ultra 7 155HはTDPを35Wに設定した状態であること(AtomMan X7 Tiは45W)、もう1つは今回のテストはONEXPLAYER X1内蔵ディスプレイに映像を出力していること(PCIeやThunderboltのバス幅を食う)が影響している。TGPが120Wに設定されていることを考えれば、同じ環境下では同じの性能を発揮できるだろう。

 他製品のようなUSBハブといったドッキングステーション的な機能はないので、「家に帰ったらこれ1台つなげればデスクトップPC環境!」にはならないのだが、USB4対応でありながら7万円ちょいから手に入る価格が何より魅力的。豊富なインターフェイスを既に備えているノートやミニPCで、GPUの性能不足に困っているのなら検討してみてはどうだろうか。