福田昭のセミコン業界最前線

キオクシアらがAI時代のメモリとストレージを展望。次世代メモリの祭典「FMS 2026」

FMSは「フラッシュとストレージ」から「メモリとストレージ、AI」へ

「フューチャー(オブ)メモリアンドストレージ(FMS: the Future of Memory and Storage)」の公式Webサイト(トップページの抜粋、2026年7月15日時点)

 次世代のメモリとストレージに関する世界最大のイベント「フューチャー(オブ)メモリアンドストレージ(FMS: the Future of Memory and Storage)」が2026年8月4日に、米国カリフォルニア州のシリコンバレーで始まる。

 FMSは2023年まで「フラッシュメモリサミット(FMS: Flash Memory Summit)」の名称で、フラッシュメモリとそのストレージに関する世界最大のイベントとして開催されてきた。一昨年(2024年)に、カバー範囲を「半導体メモリ全般」と「ストレージ全般」に拡大するとともに、現在の名称となった。
(参考記事)。略称である「FMS」は変えずに、カバー範囲を広げた。

 前身である「フラッシュメモリサミット」のカバー範囲は「NANDフラッシュメモリ」や「SSD(Solid State Drive)」「フラッシュメモリモジュール(USBメモリやUFS、eMMC、SDカードなど)」「フラッシュストレージの標準規格(フォームファクタとインターフェイス)」などである。

 現在の「フューチャー(オブ)メモリアンドストレージ」では、「DRAM」と「DRAMモジュール(HBMやDIMMなど)」「チップレット」「CXL」「コンピューティングインメモリ」「演算機能内蔵ストレージ」などがカバー範囲に加わった。そして「次世代」とは、実質的には「AI時代の近未来」を意味するようになってきた。

FMSの運営主体企業が交代したことによるさまざまな変化

 今年(2026年)のFMSにおける大きな変化は、イベント運営企業の交代である。2026年3月に英国のイベント運営会社Terrapinnが、それまでの運営主体であるConference ConceptsからFMSの権利を買収した。Conference Conceptsは「フラッシュメモリサミット(FMS)」を2006年に立ち上げたカンファレンス運営企業であり、FMSの育ての親といえる。

 FMSの二大コンテンツである講演会(カンファレンス)と展示会(エキシビション)の規模はFMSが始まった2006年に比べると著しく拡大しており、今後の発展を考えると大規模イベントの運営実績があるTerrapinnへの移行が望ましい、とConference Conceptsはコメントする。

 現時点では、公式webサイトおよびロゴマークの変更、webサイト(およびスマートフォンアプリ)における分野別講演スケジュールの体系化、スマートフォンアプリの充実(PC環境でもアプリと同様の機能が使える)、参加者間のネットワーク機能の強化(アプリを通じて「つながり」や「会合予定」などの設定が可能)、といった改良がみられる。

 一方で2025年以前のFMSで公表されてきた講演スライドPDFのアーカイブにアクセスできなくなる、フラッシュメモリの歴史を記述したタイムラインのPDFバージョンがなくなるといった残念な事態に見舞われつつある。特に講演スライドPDFのアーカイブに関しては、復活を強く望みたい。また講演セッションと各講演には記号番号が付与されておらず、各コンテンツを特定しにくくなった。

FMSとは何か: 「フラッシュメモリサミット」から「フューチャー(オブ)メモリアンドストレージ」へ

前日イベントがなくなり、講演会と展示会の規模が拡大へ

 今年のFMS(FMS 2026)は2026年8月4日から6日に、前年と同じ会場、すなわち米国カリフォルニア州シリコンバレーの会議場「サンタクララコンベンションセンター(SCCC: Santa Clara Convention Center)」で開催される。前年までの恒例だった前日イベントの技術講座は、今年は予定されていない。8月3日(月曜日)は、午後3時から午後6時の現地受け付け(名札の受け取り)のみとなるようだ。

FMS 2026の基本スケジュール。公式Webサイトから筆者が作成したもの

 基本スケジュールは以下のようになっている。講演会と展示会(およびサブイベント)に分けて説明しよう。

 8月4日(火曜日)の講演会は、午前の前半に一般講演セッション、午前の後半と午後の前半に昼食休憩を挟んで基調講演セッション(6件の講演を予定)、午後の後半にワークショップと進む。展示会は午後3時から始まる(午後7時まで)。午後5時30分からは開会レセプションを展示会場で予定する。

 8月5日(水曜日)の講演会は、午前の前半に一般講演セッション、午前の後半と午後の前半に昼食休憩を挟んで基調講演セッション(6件の講演を予定)、午後の後半に一般講演セッションと進む。展示会は正午から始まる(午後8時30分まで)。午後5時からはレセプションを展示会場で予定する。

 8月6日(木曜日)の講演会は、午前の前半に一般講演セッション、午前の後半に基調講演セッション(1件の講演を予定)、午後の前半に一般講演セッションと進む。午後の後半は、恒例の閉会(クロージング)セッションを予定する。展示会は午前10時から午後3時30分までとなる。

 前年に比べると講演会の一般講演セッションの同時進行数が増加するとともに、展示会の開場時間が伸びた。参加者にとっては精神的にも体力的にも、厳しさが増したイベントになっていると感じる。

基調講演には半導体メモリ大手5社が出揃う

 FMS 2026のハイライトである基調講演には、DRAM大手3社とNANDフラッシュメモリ大手5社(内3社はDRAM大手と同じ企業)が登壇する。講演順に列挙すると、キオクシア(およびKIOXIA America)、Samsung Electronics、SK hynix、Micron Technology、Sandiskとなる。そのほか、SSDコントローラの大手ベンダーやストレージ向けソフトウェア開発企業、3次元メモリ開発企業などが基調講演を実施する。

基調講演の概要(8月4日火曜日)。公式Webサイトから筆者が作成したもの
基調講演の概要(8月5日水曜日)。公式Webサイトから筆者が作成したもの
基調講演の概要(8月6日木曜日)。公式Webサイトから筆者が作成したもの

4日午前: 人工知能、演算ストレージ、CXL、フラッシュメモリ技術、SSD技術など

 ここからは、一般講演セッションの分野別テーマを初日(4日)から紹介しよう。初日午前のセッションは8時30分から始まる。9本と多くの講演セッションが同時並行に進む。なお前年(2025年)のFMSでは、1本少ない8本の講演セッションが並列に実施された。

 各講演セッションのテーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)
  • Automotive Applications(自動車)
  • SSD Technology(SSD技術)
  • Industry Association(業界団体)
  • Computational Storage(演算機能付きストレージ)
  • CXL(Compute Express Link)
  • Flash Technology(フラッシュメモリ技術)
  • Testing & Performance(検査と性能評価)
  • Business Strategies & Memory Markets(事業戦略とメモリ市場)

 なお「自動車」を除くすべてのセッションは、休憩を挟んで午前9時45分以降の講演セッションにつながる「フルセッション」となる。

8月4日午前(前半)の一般講演セッション(午前8時30分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。「ハーフセッション」とあるのはこの時間枠(タイムスロット)だけの講演セッション。公式Webサイトから筆者が作成した

 続いて午前9時45分に、午前(後半)の一般講演セッションがスタートする。講演セッション数は9本である。前半で「自動車」だった会議室(ボールルームA)に、後半は「Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)」を実施する。そのほかのテーマは前半と変わらない。

8月4日午前(後半)の一般講演セッション(午前9時45分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。「ハーフセッション」とあるのはこの時間枠(タイムスロット)だけの講演セッション。そのほかは午前の前半(8時30分開始)と同じテーマを同じ会議室で継続する。公式Webサイトから筆者が作成した

4日夕方: ワークショップではDRAM技術の最新動向と基礎を解説

 8月4日の夕方には、基調講演に続いてワークショップ(技術講座)を予定する。4本のワークショップが同時並列で進行する。テーマは「DRAMの技術動向」「DRAMの技術解説」「AIと将来のストレージ」「次世代メモリ(量子計算とAI推論)」である。

8月4日夕方のワークショップ一覧(午後3時30分開始)。公式Webサイトから筆者が作成した

5日午前: 人工知能、データセンター、SSD、DRAM、階層化ストレージなど

 翌8月5日の一般講演セッションも前日(8月4日)と同様に、午前8時30分に開始される。これも前日と同じく、9本と多くの講演セッションが同時並行に進む。

8月5日午前(前半)の一般講演セッション(午前8時30分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成した

 続いて午前9時45分に2番目(午前後半)の一般講演セッションがスタートする。この時間枠も9件のセッションが並列に進行する。各セッションのテーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)
  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • SSD Technology(SSD技術)
  • Industry Association(業界団体)
  • Networks & Connections(ネットワークと接続)(注: ハーフセッション)
  • CXL(Compute Express Link)
  • Storage Tiering(ストレージの階層化)(注: ハーフセッション)
  • DRAM(ダイナミックRAM)
  • Business Strategies & Memory Markets(事業戦略とメモリ市場)
8月5日午前(後半)の一般講演セッション(午前9時45分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成した

5日夕方: 人工知能、SSD、次世代不揮発性メモリ、ネットワーク、DRAMなど

 基調講演を挟んで午後3時30分には、3番目の一般講演セッションが始まる。この時間枠も9本の講演セッションが同時並行で進む。各セッションのテーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)
  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • SSD Technology(SSD技術)
  • Industry Association(業界団体)
  • Other Memory Technologies(その他のメモリ技術)
  • Networks & Connections(ネットワークと接続)
  • Storage Tiering(ストレージの階層化)
  • DRAM(ダイナミックRAM)
  • Business Strategies & Memory Markets(事業戦略とメモリ市場)
8月5日夕方の一般講演セッション(午後3時30分開始)。午前と同様に、9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成したもの

最終日(6日)午前: HBM、データセキュリティ、チップレット、航空宇宙など

 最終日の8月6日(木曜日)は、基調講演のセッションが短い。このため、一般講演セッションの時間枠が4つ(午前に2つ、午後に2つ)と、かなり多い。時間割で良かったのは、正午から午後1時までを昼食休憩として確保したことだ。前年(2025年)は昼食休憩が異常に短く、一般講演セッションを連続して聴講するには、昼食抜きを覚悟しなければならなかった。

 6日午前(前半)の一般講演セッションは前日までと同じく、午前8時30分に始まる。9本の講演セッションが同時並行で進行する。講演テーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)
  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • SSD Technology(SSD技術)(注: ハーフセッション)
  • Industry Association(業界団体)(注: ハーフセッション)
  • High Bandwidth Memory(広帯域メモリ)
  • Data Security(データセキュリティ)
  • Open-Source Software(オープンソースソフトウェア)
  • Computing Near Memory & Storage(コンピューティングニアメモリ/ストレージ)
  • Chiplets & UCIe(チップレットとUCIe)
8月6日午前(前半)の一般講演セッション(午前8時30分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成したもの

 次の一般講演セッション(午前の後半)は午前9時45分にスタートする。この時間枠も9件のセッションが並列に進む。講演テーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)
  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • Networks & Connections(ネットワークと接続)(注: ハーフセッション)
  • Aerospace Storage & Memory(航空宇宙向けストレージとメモリ)(注: ハーフセッション)
  • High Bandwidth Memory(広帯域メモリ)
  • Data Security(データセキュリティ)
  • Open-Source Software(オープンソースソフトウェア)
  • Computing Near Memory & Storage(コンピューティングニアメモリ/ストレージ)
  • Chiplets & UCIe(チップレットとUCIe)
8月6日午前(後半)の一般講演セッション(午前9時45分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成したもの

最終日(6日)午後: ニアメモリ計算、ゲーム、サステナビリティ、データセンターなど

 6日午後(前半)の一般講演セッションは午後1時00分に始まる。9本の講演セッションが同時並行で進行する。講演テーマは、以下の通りである。

  • AI & ML Applications(人工知能と機械学習)(注: ハーフセッション)
  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • Networks & Connections(ネットワークと接続)(注: ハーフセッション)
  • Testing & Performance(検査と性能評価)
  • Gaming(ゲーム)
  • Data Security(データセキュリティ)(注: ハーフセッション)
  • Open-Source Software(オープンソースソフトウェア)(注: ハーフセッション)
  • Computing Near Memory & Storage(コンピューティングニアメモリ/ストレージ)
  • Sustainability(サステナビリティ)

である。

8月6日午後(前半)の一般講演セッション(午後1時00分開始)。9本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成したもの

 午後2番目(午後後半)の一般講演セッションは、午後2時20分に始まる。この時間枠は8件のセッションが並列に進行する。講演テーマは、以下の通りである。

  • Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)
  • Other Memory Technologies(その他のメモリ技術)(注: ハーフセッション)
  • Testing & Performance(検査と性能評価)
  • Gaming(ゲーム)
  • CXL(Compute Express Link)(注: ハーフセッション)
  • Flash Technology(フラッシュメモリ技術)(注: ハーフセッション)
  • Computing Near Memory & Storage(コンピューティングニアメモリ/ストレージ)
  • Sustainability(サステナビリティ)
8月6日午後(後半)の一般講演セッション(午後2時20分開始)。8本のセッションが同時並行に進む。公式Webサイトから筆者が作成したもの

 FMS 2026の概要をざっくりと見てきた。一般講演のセッション数は合計で80本(4日(18本)、5日(27本)、6日(35本))と極めて多い。各講演の要約を拝見すると、興味深い講演や参考になる講演が少なくない。次回以降では、講演会の開催日別に注目すべき講演の概要を簡単にご紹介しよう。ご期待されたい。