福田昭のセミコン業界最前線
DRAMとNANDの暴騰で、想定外の急激な膨張を続ける2026年の半導体市場
2026年9月19日 12:25
2026年の半導体市場が爆発的に成長しつつある。業界団体や市場調査会社などは同年の市場予測を大幅に上方修正している。過去に類を見なかった急速な変化に、市場予測のプロフェッショナルですら、追い付けない。
大幅な上方修正を繰り返す2026年の市場予測
2025年の半導体市場は世界全体で前年比25%前後の増加と前年(2024年、20%前後の成長率)に続いて好調だった。金額はおよそ8,000億ドル(約125兆5,000億円、1ドル=約156.9円で換算)と2年連続で過去最高を更新した。2025年12月から2026年2月の時点では、2026年の半導体市場は引き続き好調であり、2025年を超える30%前後の成長率が見込まれていた。
この数字の背後には、2025年9月から11月の実績がある。業界団体WSTS(世界半導体市場統計)が発表した2025年9月の販売実績は前年比25.1%増、同年10月の販売実績は同27.2%増、同年11月の販売実績は同29.8%増と尻上がりに伸びた。
2025年12月以降は前年比がさらに伸びる。12月は前年比37.1%増、2026年1月は同46.1%増、2026年2月は同61.8%増となった。実績値の発表は約2カ月後になる。たとえば2026年1月の実績は同年3月上旬に公表される。これらの数値と毎月の調査結果を得て、市場調査会社3社が2026年の成長率を53%~64%へと大きく上方修正した。
ところが上方修正はまだ終わらなかった。2026年6月から8月には再度、大幅な上方修正が公表された。修正された成長率(予測値)は90%~100%である。WSTSが公表した世界販売額の2026年7月実績は前年比135.1%増、同年6月実績は同123.6%増と極めて高く、過去の実績からすると想定はかなり難しい。
DRAMとNANDフラッシュの容量当たり価格は1年で約7倍に「暴騰」
非常識ともいえる成長を招いた理由は明らかだ。DRAMの極端な供給不足と価格の急上昇、そしてNANDフラッシュメモリの極端な供給不足と価格の急上昇である。
半導体メモリの市場アナリストJim Handy氏が2026年8月4日にメモリとストレージのイベント「FMS 2026」で公表した講演スライドによると、2026年7月時点の記憶容量当たり単価は12カ月前(1年前)と比べてDRAMが7.1倍、NANDフラッシュメモリが6.9倍と急激に上昇した。もはや価格「高騰」ではなく、「暴騰」と呼ぶべき、破壊的な値上がりだ。
当然ながら、半導体メモリの販売額は価格高騰によって急上昇し、市場規模の急激な拡大をもたらした。市場調査会社のGartnerが2026年8月に公表した市場予測によると、2026年における半導体メモリ市場は前年の3.8倍、金額にして8,373億ドルとなる。
半導体市場全体(1兆5,552億ドル)に占めるメモリの比率は2025年の27%から、2026年は54%へと大きく上昇する。一方、非メモリ市場の成長率は21.9%、金額は7,179億ドルと予測する。
Gartnerが2026年8月に公表した市場予測によると、2026年におけるDRAM市場の成長率は246.6%(約3.5倍)、NANDフラッシュメモリ市場の成長率は371.9%(約4.7倍)となる。
3度目の上方修正で2026年の半導体市場は前年の2倍を突破へ
しかも2026年の半導体市場予測は今後、さらに上方修正される可能性が少なくない。業界団体のWSTSは2026年8月6日に、2026年上半期(1月から6月期)の世界半導体市場実績(販売金額)を公表した。上半期の販売額は7,020億ドル、前年同期比102%増である。
WSTSは2026年6月に2026年の市場予測を公表していた。この時点での実績は2026年3月まで。2026年1月から3月期(同年第1四半期)の販売額は前年同期比79%増の2,990億ドル。そして2026年通年の市場予測は前年比89.9%増の1兆5,112億ドルだった。
2026年第2四半期(同年4月から6月期)の販売実績は前年比124%増の4,030億ドルとなり、前年同期比は前四半期から45ポイント増と想定外の上昇を見せた。
この結果を受けて6月予測でのシナリオを当てはめて再計算すると、2026年の半導体市場は前年比108.1%増の1兆6,550億ドルへと上方修正される。
ただし、WSTSの予測会議を経た数値ではないため、WSTSは正式な予測とはしていない。「6月の予測シナリオに第2四半期の実績を当てはめて再計算した値」に過ぎないとする。
WSTSによる次回の公式な予測は2026年11月末から同年12月初めに予測会議を経て公表されるとみられる。この段階では9月、すなわち第3四半期までの実績を反映して新たな予測シナリオが作成される。
第2四半期の実績を見る限り、次回の公式な予測では6月の予測を上方修正する可能性が高い。そして市場調査会社による再度の上方修正値が、10月から11月には公表されるだろう。
DRAM不足とNANDフラッシュ不足の主な要因が、AI(人工知能)によるデータセンターおよび関連システムへの投資であることは、半導体業界ではすでによく知られている。半導体メモリの供給不足が緩和されるのは2027年以降になるとの見方が強い。
エージェントAIの急速な進化に対して警鐘が鳴らされつつあるものの、市場(金額と数量、単価)への具体的な影響はまだ見えない。しばらくは、推移を注意深く見守る必要がありそうだ。


























