福田昭のセミコン業界最前線

次世代のAIインフラを支えるウルトライーサネットやPCIe 8.0などをFMS 2026で披露

FMS 2026における8月5日の主なスケジュール。FMS 2026の公式webページ(FMS At A Glance)をGoogle翻訳によって日本語化したもの。「会議セッション」が一般講演セッション、「ネットワーキング」は展示会を意味する

 半導体メモリとストレージに関する世界最大のイベント(講演会兼展示会)「フューチャー(オブ)メモリアンドストレージ(FMS: the Future of Memory and Storage)」が今年も、2026年8月4日(火曜日)から6日(木曜日)に米国カリフォルニア州シリコンバレーの会議場「サンタクララコンベンションセンター(SCCC: Santa Clara Convention Center)」で開催される。

 本コラムの前々回ではFMS(2026年の略称は「FMS 2026」)の基礎知識と基本スケジュール、キーノート講演などを説明した。続く前回は、初日である8月4日(火曜日)の分野別一般講演セッションで発表を予定するコンテンツの概略を紹介した。

 今回は中日である8月5日(水曜日)の午前に実施する分野別一般講演セッションの内容を紹介していく。

中日(2日目)の8月5日は3つの時間枠で一般講演を実施

FMS 2026の基本スケジュール。公式Webサイトから筆者が作成したもの。青線で囲んだ部分が8月5日の一般講演セッション。今回は午前の一般講演を紹介する

 8月5日の一般講演セッションは午前に2つ、午後に1つの時間枠(タイムスロット)で実施する。午前の前半スロットは8時30分開始、後半スロットは9時45分開始となる。いずれの時間枠も9つの分野別講演セッションが同時並行に進む。

 それでは一般講演セッションを時間順に説明していく。午前の2スロット(前半と後半)は大半のセッションが連続するので、開催される会議室(ボールルーム)ごとに区分けてまとめた。

8月5日午前(前半)の一般講演セッション(午前8時30分開始)と会議室。公式Webサイトから筆者が作成したもの
8月5日午前(後半)の一般講演セッション(午前9時45分開始)と会議室。公式Webサイトから筆者が作成したもの

AIを活用した完全自律型半導体生産ラインへの道のり

 最初に説明するのは「Mission City Ballroom」で実施する「AI & ML Applications(人工知能と機械学習)」分野のセッションである。前半と後半にまたがるフルセッションであり、4件の講演と1件のパネル討論会を予定する。

「AI & ML Applications(人工知能と機械学習)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 前半は始めにSK hynixが「Autonomous Fab Journey: From AI-Assisted Decisions to Agentic Manufacturing(自律型ファブへの道のり: エンジニアの判断をAIが支援する段階から完全に自律した生産ラインへ)」と題して講演する。同社は現在、半導体生産ラインの完全な自律化を目指した開発プロジェクトを段階的に進めている。技術者を支援する自然言語アクセスのAIアシスタント(LLMベース)は導入済みであり、LLMと分析モデル、ルールベースのロジックを組み合わせたトラブル解決用自律型AIツールの開発に入っている。このツールではトラブルの解決案(複数の提案)をAIが生成し、エンジニアが確認・検証する。将来は、完全に自律した生産ライン(エンジニアの役割は例外事象のみ)の実現を目指す。

 次にVAST Dataが「Blueprint for Domain Adoption of LLMs Using Post Training and Agentic RAG(追加学習とエージェント(自律)型RAG(検索拡張生成)を利用した大規模言語モデル(LLM)のドメイン追加設計図)」と題して講演する。

 それからSilicon Motionが「Fine-Grain I/O Acceleration in SSD Controllers for Agentic AI Workloads(自律型AI作業に対応する、SSDコントローラにおける微小データ入出力の高速化)」と題し、512バイトと小さなブロックを高速で入出力する自律型AIの作業負荷に対応したSSDコントローラ技術を報告する。

 前半の最後はFlexxonが「Securing Agentic AI with Hardware-Enforced Guardrails via X-PHY and MCP(セキュアな自律型AI: X-PHYとMCPを通じたハードウェアによるガードレールの強化)」と題して自律型AIシステムの新たなセキュリティリスクとハードウェアベースのセキュリティ確保について説明する。

 後半のパネル討論会は「Scale Up and Scale Out Fabrics for AI(AI向けのスケールアップ・ファブリックとスケールアウト・ファブリック)」をテーマとする。Samsung Semiconductor、Marvell Technology、Cal Poly Pomona、Texas A&M University、Microsoftの代表者が登壇する。

熱アシスト磁気記録HDDの大量運用から得られた教訓

 次に説明するのは「Ballroom A」で実施する「Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)」分野のセッションである。午前の前半と後半にまたがるフルセッションであり、前半に3件、後半に4件の講演を予定する。

「Data Center Storage & Memory(データセンターのストレージとメモリ)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 前半は始めにByteDanceが「NeoHint: A Host-Oriented I/O Latency Architecture Design in NVMe SSD(NVMe準拠SSD向けのホスト主導型入出力遅延アーキテクチャ設計「NeoHint」)と題して講演する。続いてOracleが「Pipeline-Aware Flash Benchmarking: How Real AI Workloads Redefine SSD Evaluation(パイプラインを想定したフラッシュストレージのベンチマーク: 実際のAI作業処理はSSDの評価手法をどのように再定義するか)」と題してAI/MLの作業負荷を反映したベンチマーク手法を提案するとともに、実環境でさまざまなSSDの性能を評価した結果を述べる。

 前半の最後はDropboxが「Operating HAMR at Scale: Qualification, Reliability and Fleet Readiness(熱アシスト磁気記録HDDを大量に運用する: 認証、信頼性、即時応答)」のタイトルで講演する。同社が熱アシスト磁気記録(HAMR)方式の大容量HDDを大規模に認定し、導入し、運用して得られた実践的な教訓を報告する。

データセンターで大量のSSDを運用したときの特性を把握

 後半は最初にMetaが「Hyperscale Flash Understandings(ハイパースケールにおけるフラッシュストレージの動作を理解する)」と題して講演する。QLC(4bit/セル)方式の大容量SSDを大規模運用するときに理解すべきは、QLCの動作特性がデバイス自体の制約要因よりも、システムレベルでのオーケストレーションや書き込み管理などの要素によって左右されることだとする。続いてSandiskが「State of Storage(データセンターがストレージに対して重視する事柄)」のタイトルで講演する。

 それからMeta Platformsが「Managing Flash IO Capacity at AI Scale(AI規模のデータセンターにおけるフラッシュストレージの入出力速度管理)」と題して講演する。Metaのストレージクラスタは数十エクサバイトと巨大な記憶容量を有しており、TLC方式SSDやQLC方式SSDなどの異なるストレージで構成される。

 このような大規模ストレージクラスタでマルチテナンシーにどのように取り組んでいるかを説明する。最後にWiwynn Internationalが、「Delivering AI Storage with Open, Flash-Optimized Architecture for Next-Gen Workloads(次世代の作業処理に向けた、オープンでフラッシュメモリに最適化されたアーキテクチャのAIストレージを提供する)」と題して講演する。

AIインフラではブートドライブの役割が高まる

 次に説明するのは「Ballroom B」で実施する「SSD Technology(SSD技術)」分野のセッションである。午前の前半と後半にまたがるフルセッションであり、前半に4件、後半に4件の講演を予定する。

「SSD Technology(SSD技術)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 前半では始めにSandiskが「Functionality-Oriented Debug Logging in SSD Design(SSD設計における機能指向のデバッグ記録)」と題して講演する。同社のエンタープライズSSD開発におけるフレームワークを説明する。

 続いてMicron Technologyが「Advancements and Opportunities in SSD Telemetry(SSD遠隔測定の進化と期待)」と題し、クロスプラットフォーム対応のテレメトリ(遠隔測定)を活用することで従来の障害発生後対応(トラブルシューティング)だけでなく、障害発生を事前に予測可能になることを示す。

 それからSilicon Motionが「From Support Role to Mission Critical: Redefining Boot Drive for 24/7 AI Operations(サポートからミッションクリティカルへ: 24時間365日の停止しないAI運用を前提としたブートドライブの再定義)」と題して講演する。AIインフラのブートドライブが搭載するNANDフラッシュメモリへの要件がコストの最小化から安定性重視に変化したこと、ドライブメディアの状態を高度なテレメトリによって把握することがシステムダウンを防ぐための必須ツールであることを説明する。

 前半の最後はKIOXIA Americaによる講演である。本コラムの前回の執筆時点では、8月4日午前の「SSD Technology(SSD技術)」セッションで最後にレイアウトされていた。「A Case for Leveraging CMB to Access Underutilized SSD DRAM Memory Bandwidth(SSDのDRAMバッファ入出力帯域における未使用部分をホストから利用する)」と題し、SSDのDRAMバッファ入出力帯域に余裕がある場合にホストのアプリケーションが未使用のDRAMバッファ帯域を活用することを提案する。

 入れ換わりで4日午前の「SSD Technology(SSD技術)」セッションの最後には、Scalefluxによる講演「Managing Write Amp without Data Placement(データ配置を実行せずにライトアンプリフィケーションを管理する)」が割り当てられた。標準的なI/Oコマンドセットを使いながら、ライトアンプリフィケーション(書き込み増幅)を低下させるソフトウェア技術を述べる。

8月4日午前の「SSD Technology(SSD技術)」セッション講演一覧(更新版)。最後の講演がKIOXIA Americaから、Scalefluxへ変更となった。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

NANDフラッシュ容量を高い効率で活用するストレージアーキテクチャ

 「SSD Technology(SSD技術)」セッションの後半では始めにPure Storage(現在はEverpure)が「This Cycle Is Different: AI, Flash, and the Advantage of Architecture(需給サイクルから構造的なメモリ不足へ: AI、フラッシュメモリ、そしてアーキテクチャ優位)」と題して、構造的なメモリ不足に適応したストレージアーキテクチャ「DirectFlash」をアピールする。

 次にKIOXIA Americaが「Protecting Large Capacity Drives(大容量SSDの保護と実用寿命の最大化)」と題して講演する。NANDフラッシュメモリの不良発生とデポピュレーション(不良の切り離しと復旧および稼働継続)による管理をHDDと比較しつつ論じる。

 それからSandiskが「Increasing Block Sizing Changes Data Placement Economics(ブロックサイズの拡大がデータ配置の経済性を左右)」と題して講演する。SSDの最大記憶容量が256テラバイト(TB)を超える近未来に向けたデータ配置(ブロックサイズの大小など)の検討結果を述べる。

 最後にSilicon Motionが「Power Shaping Method for SSD controller(並列度の高いNANDフラッシュを扱うSSDコントローラに向けた予算管理型の電力制御)」のタイトルで新しい電力管理技術を提案する。入出力管理の電力消費を定常的な負荷として扱い、NANDフラッシュの読み出し動作と書き込み(プログラム)動作によるNANDフラッシュアレイの動的な消費電力は予算(上限)内に収まるように管理する。

ストレージの業界団体がMRAMの普及を後押し

 ここからは「Ballroom C」で実施する「Industry Association(業界団体)」分野のセッションを紹介する。前半と後半にまたがるフルセッションであり、1件のパネル討論会と4件の講演を予定する。

「Industry Association(業界団体)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 午前の前半はCXLメモリに関するパネル討論会を実施する。テーマは「Beyond the Memory Wall: How CXL Memory Pooling and Sharing Are Transforming AI Inference(メモリの壁を超えて: CXLメモリのプーリングと共有がAI推論をどのように変革するか)」である。CXL(Compute Express Link)のメモリプーリング機能と共有メモリ機能が、AI推論システムに与える利点を議論する。登壇者はIntel、Astera Labs、Liqid、UnifabriX、Micron Technologyの代表者を予定する。

 午前の後半はストレージの業界団体SNIA(Storage Networking Industry Association)が最近の取り組みを4件の講演で解説する。最初の講演はIntelによる「SNIA: Accelerating the Future of Data and Storage Infrastructure - From AI to Next-Generation Memory(標準化団体SNIAの活動: AIから次世代メモリまで、データインフラとストレージインフラの未来を加速する)」である。SNIAの役割と標準化活動を概説する。

 次の講演はAMDによる「StorageAI: Enabling Data and Storage Infrastructure for AI Workloads(SNIAの「StorageAIイニシアチブ」: AIの作業負荷に向けたデータインフラとストレージインフラを実現)」である。AIに最適化されたデータおよびストレージのアーキテクチャ策定、アクセラレータ駆動のデータパスをサポートする標準化作業などに代表される「StorageAIイニシアチブ」の取り組みを紹介する。

 それからIBMが「MRAM: Advancing Next-Generation Memory Through Industry Collaboration(SNIAの「MRAM Alliance SIG(Special Interest Group)」が業界連携によってMRAMの普及を促進)」と題し、SNIAが立ち上げたMRAM(磁気抵抗メモリ)の普及を促進する作業グループ「MRAM Alliance SIG(Special Interest Group)」の活動を説明する。

 続いて午前の最後にはAMDが「Emerging Data Technologies and Architectures(次世代のデータ技術およびアーキテクチャに向けたSNIAの展望と取り組み)」と題して講演する。

抵抗変化メモリが埋め込み用途で普及へ

 次に説明するのは、「Ballroom D」で実施する「Other Memory Technologies(そのほかのメモリ技術)」セッションである。ハーフセッションであり、午前の前半に4件の講演を予定する。

「Other Memory Technologies(そのほかのメモリ技術)」分野の講演題目一覧(ハーフセッション)。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 始めにWeebit Nanoが「ReRAM After Qualification: Entering the NPI and Production Ramp Era(認証を完了したReRAM: 新製品紹介と量産立ち上げの時代に入る)」と題して講演する。同社が開発を進める抵抗変化メモリ(ReRAM)が埋め込みメモリとしてマイクロコントローラやエッジAIチップなどで商用化されつつある現状を報告する。

 次にYole Groupが「Technology Advances and Market Adoption of Emerging Non-Volatile Memory(次世代不揮発性メモリの技術動向と市場動向)」と題し、次世代不揮発性メモリの技術動向と商用化状況を解説する。特に28nm以下の技術ノードにおける埋め込みメモリを取り上げて市場動向を展望する。

 それからETH Zurichが「In-DRAM True Random Number Generation Using Simultaneous Multiple-Row Activation: An Experimental Study of Real DRAM Chips(同時に複数の行を活性させたDRAM内真性乱数生成: 実際に複数のDRAMチップを利用した実験研究)」と題して研究状況を報告する。

 最後にNumemが「MRAM Alliance(MRAMアライアンス)」と題して講演する。「MRAM Alliance」はMRAM導入における重要な懸念要素である「磁気耐性(magnetic immunity)」を技術検討するために発足した非公式(informal)な技術グループだ。現在はSNIAの「MRAM Alliance SIG(Special Interest Group)」となり、オープンな作業グループとして活動を継続している。

最新のAIシステムを支える次世代イーサネットと次世代PCI Express

 同じ「Ballroom D」で午前の後半に実施するのは「Networks & Connections(ネットワークと接続)」分野の講演セッション(ハーフセッション)である。4件の講演を予定する。

「Networks & Connections(ネットワークと接続)」分野の講演題目一覧(ハーフセッション)。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 最初にSiemens EDAが「Next-Gen Ethernet: The Backbone of Modern AI Connectivity(次世代のイーサネット: 最新AIの接続環境を支える屋台骨)」と題して次世代の高速イーサネット規格を策定中の標準化団体「Ultra Ethernet Consortium(UEC)」と共通規格「Ultra Ethernet Specification」の特徴を説明する。

 次にSynopsysが2件の講演を予定する。1件目の講演タイトルは「PCI Express Technology: Evolving to Meet the Demands of AI(PCI Express技術: AIの要求事項に応えるための進化)」である。2028年にリリースを予定するPCIe 8.0仕様(256.0 GT/秒の転送速度、✕16構成で最大1 TB(テラバイト)/秒の双方向伝送を実現)の概要を解説するほか、PCIe規格で初めての光伝送ソリューションを紹介する。

 Synopsys による2件目の講演タイトルは「PCIe Unordered I/O: Verification Pitfalls and System-Level Challenges(PCIeのUnordered I/O(UIO): 検証における陥穽とシステムレベルの課題)」である。インオーダー伝送を厳密に保証してきたPCIeは、アンオーダー伝送(Unordered I/O(UIO))を可能にすることで伝送帯域幅の実効的な向上と、レイテンシ(遅延時間)の実効的な短縮をもたらす。一方でネットワーク管理は複雑化し、安全な動作の確保が難しくなる。ここではUIOのリスクと実践的な検証作業を説明する。

 セッションの最後はKIOXIA Americaが「AiSAQ: Enabling Ultra-High-Scale RAG with Cost-Efficient All-in-Storage ANNS and GPU-Accelerated Indexing(AiSAQ: コスト効率の高いストレージ完結型ANNS(近似最近傍探索)とGPUアクセラレイテッドのインデックス生成が超大規模なRAG(検索拡張生成)を実現)」と題して講演する。キオクシアグループが開発したストレージ完結型のANNSソリューションとその利点を述べる。

CXLとニアメモリ計算の組み合わせで検索拡張生成(RAG)を高速化

 ここからは「Ballroom E」で実施する「CXL(Compute Express Link)」セッションの概要を説明する。フルセッションであり、前半に4件、後半に4件の講演を予定する。

「CXL(Compute Express Link)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 前半の始めは、Micron Technologyが「Disaggregated 16 TB Shared Memory System for AI and Science Applications(AI応用と科学応用を想定した分離型16Tバイト共有メモリシステム)」と題して講演する。MicronとPacific Northwest National Laboratory(PNNL: パシフィックノースウエスト国立研究所)が共同開発した高性能コンピューティングシステムについて述べる。

 ニアメモリ計算機能を備えており、記憶容量12テラバイト(TB)のマルチホスト型・分離型(ディスアグリゲーテッド)・階層型共有メモリを搭載する。特に、CXL2.X環境下でCXL3.Xの共有メモリ機能を実現する手法を説明する。

 続いてSamsungグループが2件の講演を予定する。1件目のタイトルは「CXL-based Heterogeneous Memory Hierarchy: Optimizing AI Inference via Computing Offloading and Memory Pooling(CXLベースの異種メモリ階層: コンピューティングのオフロードとメモリのプーリングを活用したAI推論の最適化)」、2件目のタイトルは「Modular Software Infrastructure for Composable Memory over Fabrics(組み立て可能なメモリオーバーファブリックに向けたモジュール型ソフトウェア基盤)」である。

 前半の最後はMarvellが「The Memory-Centric Era: CXL and the Future of Scalable AI Infrastructure(メモリを中心とする時代: CXLと未来のスケーラブルなAIインフラ)」と題して講演する。CXLがメモリを演算処理(コンピュート)から切り離し、より柔軟で構成変更が容易な(コンポーザブルな)インフラストラクチャを実現することで、システム設計がどのように進化するかを説明する。

 午前の後半はまず、Siemens EDAが2件の講演を予定する。1件目のタイトルは「Comprehensive Verification of the CXL Hot-Range Monitoring Unit (CHMU) for Reliable Hot Memory Detection(信頼性の高いホットメモリ(アクセス頻度の極端に高いメモリ)検出に向けたCXLホットレンジ監視ユニットの簡便な検証)」である。CXL仕様の最新改訂版に追加されたインターフェイス規格「CXL Hot-Range Monitoring Unit (CHMU)」を解説する。

2件目のタイトルは「Demystifying Memory Sharing and Memory Pooling in LD-FAM devices(LD-FAMデバイスのメモリ共有とメモリプーリングを理解する)」である。CXLメモリ共有機能とCXLメモリプーリング機能を利用するマルチホスト環境における、検出の難しいバグを特定可能にする検証手法を提案する。特に、CXL3.0で追加された「LD-FAM(Logical Devices Fabric-Attached Memory)」を検証する手法を詳しく述べる。

 それからXCENAが「Validating the XCENA MX1: A Case for Formalized Out-of-Box Evaluation(MX1の検証: 導入後すぐに利用できるかを評価する基準の定式化)」と題して講演する。午前の最後にはSamsungが「Breaking the Memory Wall: CXL Processing Near Memory for RAG Acceleration(メモリの壁を壊す: 検索拡張生成の高速化に向けたCXLプロセッシングニアメモリ(PNM))」と題して講演する。RAG(検索拡張生成)パイプラインのベクトル類似度検索処理をCXLのPNM (Processing-Near-Memory)アクセラレータにまかせることでメモリ帯域幅の占有率を下げ、RAGの実効速度を高める技術を報告する。

SLCスペースとQLCスペースを統合するSSDアーキテクチャ

 次は「Ballroom F」で実施するセッションの概要を説明しよう。前半と後半に分かれて2つのハーフセッションを予定する。前半のテーマは「Flash Technology(フラッシュメモリ技術)」、後半のテーマは「Storage Tiering(ストレージの階層化)」である。

「Flash Technology(フラッシュメモリ技術)」分野の講演題目一覧(ハーフセッション)。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 「Flash Technology(フラッシュメモリ技術)」セッションでは、5件とかなり多くの講演を実施する。始めにSamsung Electronicsが、「Enabling the NVMe Atomic Ecosystem(NVMeストレージにおけるアトミック(不可分)性エコシステムの具現化)」と題して講演する。

 続いてKIOXIA Americaが「Unlocking QLC Performance and Scalability(SLCスペースとQLCスペースを統合するミクスドメディアSSDアーキテクチャ)」のタイトルで、高耐久なSLCネームスペース(小容量)と高密度なQLCネームスペース(大容量)を統合する「混合メディアSSDアーキテクチャ」について解説する。

 次にIBMが「Near-line drives vs QLC … what about Near-line killer? (ニアラインHDD対QLC SSD: QLC SSDはニアラインキラーとなるのか)」と題して講演する。AI推論のワークロードは膨大な量のウォームデータやコールドデータを生成する。このためニアラインHDDは深刻な供給不足に陥っており、52週間を超える納期をHDDユーザーが強いられる事例も出てきた。ハイパースケーラーの一部はQLC方式SSDを代替として調達している。講演では、両ストレージの将来を展望する。

 それからMeta Platformsが「Improving QLC write efficiency using FDP(フレキシブルデータ配置技術を活用したQLC SSDの書き込み効率向上)」と題し、QLC方式SSDがFDP(Flexible Data Placement)を効果的に活用する手法と、FDPが書き込み増幅(WAF)をどの程度まで低減できるかを説明する。セッションの末尾ではSandiskが「Fear Not QLC: Innovations in QLC User Experience(QLCを怖がるな: QLC SSDのユーザー体験における革新)」と題して講演する。

 QLC方式SSDは大容量と低コストを特徴とする一方、遅延時間(レイテンシ)の長さや読み書きスループットの低さが弱点とされる。これらの弱点をNVMe仕様の「Thin Provisioning(シンプロビジョニング)」によって緩和する手法を説明する。

ニアライン用途を狙うQLC方式の超大容量SSD

 前半と同じ「Ballroom F」では上述のように、「Storage Tiering(ストレージの階層化)」セッションを後半に実施する。4件の講演を予定する。

「Storage Tiering(ストレージの階層化)」分野の講演題目一覧(ハーフセッション)。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 始めにAMDが「The Memory Crunch Is Back: Surviving the Next RAM Supercycle(メモリ不足の再来: 次のRAMスーパーサイクルを生き抜く)」と題して講演する。メモリの不足と価格高騰はかつてないほど厳しく、今後はさらに悪化する。そこでDRAM依存を緩和するソリューション「MEXT Predictive Memory」を提案する。

 次にDDNが「Flash-Native Inference: Redesigning the I/O Path for Large Context LLM Serving(フラッシュネイティブな推論処理: 大きなコンテキストの大規模言語モデル(LLM)に向けた入出力パスの再設計)」と題してAI推論フレームワークにおけるKVキャッシュのあり方を議論する。

 それからNetpremeが「The Rise of Disaggregated Tiered Memory/Storage Fabrics(分離かつ階層化されたメモリとストレージによるファブリックの勃興)」と題して講演する。セッションの最後にはKIOXIA Americaが「The Opportunity for Nearline SSD for HDD displacement(HDDの置き換えとしてのニアラインSSDへの期待)」と題し、ニアラインSSDの市場機会やエコシステムの要件、トータルコスト、データ保護などを解説する。

次世代の高密度DRAMを実現する要素技術

 ここからは「Ballroom G」で8月5日午前に実施されるセッション「DRAM(ダイナミックRAM)」を紹介する。フルセッションである。前半に3件の講演、後半に1件のパネル討論会と2件の講演を予定する。

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「DRAM(ダイナミックRAM)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 始めにIMSolutionとNational Tsing-Hua Univ.が共同で、「A Novel 3D Cell Array Architecture for Capacitor less DRAM(キャパシタレスDRAM向けの新たな3次元セルアレイアーキテクチャ)」と題して講演する。次世代向けにキャパシタがなく、1個のトランジスタだけでDRAMセルを構成する3次元構造を提案する。

 続いてIBMが「Enabling Memory for Accelerated AI: Innovations in DRAM Cell and 3D Integration Technologies(AIを高速化するメモリの具現化: DRAMセル技術と3次元集積技術の革新)」のタイトルで講演する。DRAMセルアレイの密度向上を継続させる次世代のデバイス技術とプロセス技術、アーキテクチャ技術を述べる。

 午前の末尾はCadence Design Systemsが「Analog features and training modes modelling in digital simulation for memory devices(メモリデバイスのデジタルシミュレーションにおけるアナログ機能とトレーニング動作のモデル化)」と題して講演する。

MRDIMM、KVキャッシュオフロード、PIMの最新状況

 午前の後半はパネル討論会で始まる。討論テーマは「MRDIMM(Multiplexed Rank DIMM): Enabling Next-Generation Memory Bandwidth for AI, Cloud, HPC, and Accelerated Computing(次世代のメモリ帯域を実現するMRDIMM: AI、クラウド、高性能コンピューティング、アクセラレイテッドコンピューティングへの応用)」である。複数のランク(通常は2つ)を扱うDRAMモジュール「MRDIMM」の特徴と課題、応用をRenesas(2名)、Micron、Intelの代表者が議論する。

 次は発表講演に戻る。Micron Technologyが「Scaling AI Inference with High‑Capacity LPDDR for KV‑Cache Offload(KVキャッシュのオフロードに大容量LPDDRを活用してAI推論を大規模化」)と題してAI推論のKVキャッシュをHBMからLPDDR DRAMへオフロードするメリットを論じる。

 午前の最後はSK hynix Americaが「AI-driven memory, memory-driven AI: LPDDR6-PIM’s Journey from Specification to Market(AI駆動のメモリとメモリ駆動のAI: LPDDR6のPIM機能における共通仕様策定から市場導入までの道のり)」と題して講演する。

 LPDDR6メモリのPIM(Processing-In-Memory)技術では、汎用行列ベクトル積(GEMV: General Matrix-Vector Multiplication)に特化した演算ユニットをDRAMバンクの近傍にレイアウトする。PIMの導入が性能と消費電力に与える利点を説明する。

AIインフラの性能向上を制限するメモリとエネルギーの「壁」

 午前の最後は「Ballroom H」で実施される「Business Strategies & Memory Markets(事業戦略とメモリ市場)」セッションの概要を説明する。前半は4件の講演、後半は1件のパネル討論会を予定する。

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「Business Strategies & Memory Markets(事業戦略とメモリ市場)」分野の講演題目一覧。公式Webサイトと公式アプリから筆者が作成したもの

 始めに、IBM Supply Chainが「AI Infrastructure Super Cycle – Technology Driving Forces & Supply Chain Dynamics(AIインフラのスーパーサイクル: 技術開発の牽引役とサプライチェーンの動き)」と題してメモリとストレージの需給動向について講演する。

 続いてAMDが「Rethinking AI Infrastructure: Memory, Storage, and Interconnect as One System(AIのインフラを再考する: メモリとストレージ、相互接続を1つのシステムとして扱う)」のタイトルで講演する。AIインフラの性能はプロセッサの性能だけでなく、むしろアクセラレータとメモリ、ストレージをつなぐデータの移動速度によって左右されること、高性能でオープンなインターコネクトが次世代AIインフラでは不可欠であることを示す。

 それからSandiskが「Monte Carlo for Schedule Accuracy(モンテカルロ法を活用したスケジュール管理の精度向上)」と題し、大規模ストレージ開発プロジェクトのスケジュール管理におけるモンテカルロ・シミュレーションの導入が作業完了時期を高い精度で予測可能にすることを述べる。前半の最後にはInfinidat(a Lenovo company)が「Focusing on the Enterprise Customer Experience(エンタープライズ顧客の体験に集中する)」と題して講演する。

 午前の後半は「CTO-Vision Panel: The Memory Wall & the Energy Wall in the Age of AI(最高技術責任者(CTO)によるパネル討論: AI時代における「メモリの壁」と「エネルギーの壁」)」とのテーマでパネル討論会を実施する。登壇者にはIBM Supply Chain、Phison Technology、Seagate、ETH Zurichの代表者を予定する。

 ここまで、8月5日(水曜日)の午前に実施される一般講演セッションを紹介してきた。同日午後以降の一般講演セッションについては、本コラムの次回以降で説明したい。