西川和久の不定期コラム

Snapdragon 888とスマホ史上最大のメモリ18GB搭載!「ROG Phone 5 Ultimate」を使ってみた

製品写真

 ASUSは5月26日、最上位のゲーミングスマホ、「ROG Phone 5 Ultimate」を今夏から販売することを発表した。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

ROG Phone 5シリーズの最上位モデル

 ROG Phone 5シリーズは、海外ではROG Phone 5(メモリ8GB/12GB/16GB、ストレージ128GB/256GB)、ROG Phone 5 Pro(メモリ16GB、ストレージ512GB)、ROG Phone 5 Ultimate(メモリ18GB、ストレージ512GB)の3種類での販売だが、国内ではROG Phone 5、ROG Phone 5 Ultimateの2種類となる。主な違いがメモリ/ストレージ容量なので、真ん中のROG Phone 5 Proは外したのだと思われる。

 基本的に従来モデルROG Phone 3の後継機に相当し(4でないのは、中国における忌み数だからとのこと)、SoCはSnapdragon 888。メモリ(LPDDR5)、ストレージ(UFS 3.1)は、先に挙げたように各モデルで異なる。今回ご紹介するROG Phone 5 Ultimateはメモリ18GB、ストレージ512GBの最上位モデルだ。主な仕様は以下の通り。

ASUS「ROG Phone 5 Ultimate」の仕様
SoCSnapdragon 888(8コア、2.84GHz)、Adreno 660を内包
メモリ18GB LPDDR5
ストレージ512GB(UFS 3.1)
OSAndroid 11(ROG UI)
ディスプレイ6.78型ワイドAMOLED(2,448×1,080ドット)、Corning製Gorilla Glass Victus、144Hz。ROG Vision(背面モノクロディスプレイ)
ネットワークWi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa未対応)
SIMNano SIMカードスロット×2
対応バンド5G NR: n2/5/7/12/20/25/38/40/66/71/77/78/79
4G: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/
20/25/26/28/29/30/32/34/38/39/40/41/42/48/66/71
3G(W-CDMA): B1/2/3/4/5/6/8/19
GSM/EDGE: 850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、USB 2.0 Type-C、デュアルフロントスピーカー、クアッドマイク、3.5mmジャック、ポゴピン用コネクタ
センサーGPS(GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、NavICサポート)、加速度、電子コンパス、光、近接、ジャイロスコープ、指紋認証(画面内)、超音波
カメラ背面: 6,400万画素(広角)、1,300万画素(超広角)、500万画素(マクロ)
前面: 2,400万画素
サイズ/重量約77×173×9.9mm(幅×奥行き×高さ)/239g
バッテリ6,000mAh
駆動時間約12.5時間(5G)、約15.9時間(LTE)、約13.8時間(Wi-Fi)
カラーバリエーションストームホワイト
価格14万9,800円

 SoCはSnapdragon 888。Snapdragon 865の後継に相当し、5nmプロセスルール、CPUにKryo 680(1コア+3コアのCortex-X1/A78と4コアのCortex-A55)、GPUにAdreno 660を内包する。2021年にスマホ向けSoCとして出荷中のSnapdragonでは最上位となる。

 メモリはROG Phone 5が最大16GBなのに対して、本機では18GB(LPDDR5)を内蔵。同社によると、18GBはスマホ史上初となるそうだ。PCでは一般的に4GBから8GBが多いことを考えると、驚くべき容量となる。ストレージは512GB(UFS 3.1)、OSはAndroid 11(ROG UI)を搭載する。

 ディスプレイは、6.78型ワイドAMOLED(2,448×1,080ドット)。Corning製Gorilla Glass Victus、144Hzのリフレッシュレート(ROG Phone 3と同じ)、300Hzに引き上げたタッチサンプリングレート(タッチ入力の遅延を24.3msにまで短縮)、Always-on HDR機能、HDR10+のサポート、Delta E 1未満の色精度の高さなどといった特徴を持つ。また、背面にROG Visionと呼ばれるモノクロディスプレイも搭載している。

 ネットワーク機能は、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa未対応)、Nano SIMカードスロット×2。対応バンドはもちろん5Gも含んでいる。詳細は表を参照していただきたい。

 インターフェイスは、USB 2.0 Type-C、USB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、デュアルフロントスピーカー、クアッドマイク、3.5mmジャック、ポゴピン用コネクタ。microSDカードには未対応。ポゴピンは写真からも分かるようにイルミネーション、ファン、スタンドを兼ねたアクセサリだ。

 センサーはGPS(GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、NavICサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー(画面内)、超音波センサーを内蔵。

 カメラは、前面が2,400万画素。背面が6,400万画素(広角)、1,300万画素(超広角)、500万画素(マクロ)の3レンズ構成となる。

 カラーバリエーションはストームホワイトのみ。サイズ約77×173×9.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量239g。6,000mAhのバッテリを搭載し、駆動時間は最大約13.8時間(Wi-Fi)、約15.9時間(LTE)、約12.5時間(5G)。

 価格は14万9,800円。「ROG Phone 5」のメモリ12GB/ストレージ256GBで9万9,800円、同16GB/256GBで11万4,800円(Amazon調べ)。メモリ2GB増/ストレージ256GB増と本体背面モノクロディスプレイ(ROG Vision)などで3.5万円の差となる。昨今のハイエンドスマホ市場や構成を考慮すると特別高いわけではない。

パネル中央上に前面カメラ。ナビゲーションボタンはジェスチャー式にも変更可能。指紋認証は画面内
左上にカメラ群。中央少し下にROG Vision(モノクロディスプレイ)
左側面にUSB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、ポゴピン用コネクタ、SIMスロット。下側面にUSB 2.0 Type-C、3.5mmジャック
右側面に音量±ボタン、電源ボタン。上側面は何もない
Nano SIMスロット付近。上(表)がSIM1、下(裏)がSIM2。イジェクトピンの形状も凝っている
重量。実測で244g
付属品。ACアダプタのサイズは約58×55×28mm(幅×奥行き×高さ)、重量151g。出力は5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3.25Aの65W)、ポゴピン、Type-Cケーブル、イジェクトピンなど
ポゴピン装着時。ファン、横置き用スタンド、イルミネーションなどを兼ねている。重量は実測で40g
ROG Vision。小型のモノクロディスプレイ。後述するArmoury Crate内のコンソールでカスタマイズ可能

 筐体はご覧のように独特な雰囲気を持つ。パネルサイズが6.78型なので結構大きいが、実際持つとそうでもない。ただし重量が244gと、iPhone 12 Pro Maxの226gより重く、長時間持っていると手が疲れる。

 フロントはパネル中央上に前面カメラ。ナビゲーションボタンはジェスチャー式にも変更可能だ。指紋認証は画面内。フチはそれほど広くない。リアは左上にカメラ群。中央少し下にROG Vision(モノクロディスプレイ)を装備。

 左側面にUSB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、ポゴピン用コネクタ、SIMスロット。下側面にUSB 2.0 Type-C、3.5mmジャック。SIMスロットは上(表)がSIM1、下(裏)がSIM2。右側面に音量±ボタン、電源ボタンを配置。

 付属のACアダプタは、サイズ約58×55×28mm(幅×奥行き×高さ)、重量151g。出力は5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/3.25Aの65W。最近のノートPCと同レベルの出力となる。ポゴピンはファン、横置き用スタンド、イルミネーションを兼ねるアクセサリだ。重量40gと意外と軽い。

 6.78型ワイドAMOLEDディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角など申し分なく美しい。色精度がDelta E 1未満なので、色はかなり正確。「設定/ディスプレイ/リフレッシュレート」内で自動/144Hz/120Hz/60Hzの設定が可能だ。

 試しに左側面のUSB 3.1 Type-Cへ外部ディスプレイを接続したところ、ミラー表示のみでデスクトップモード的なものは非対応だった。これだけのパワーを持つスマホなので、デスクトップモードもあれば便利だと思うのだが……。

 発熱はベンチマークテストやカメラで連続撮影などを行なうとそれなりに熱を持つ。ポゴピンに冷却ファンがあるほどなので、ここは想定内なのだろう。

 サウンドは、スピーカーがデュアルフロントスピーカーで横位置時にステレオとなる。出力は十分、低音も結構出ており、スマホとしてはめずらしいピラミッドバランス的な鳴り方だ。これならゲーム時に十分な迫力でプレイできる。加えてバイブレーション機能があり、体感的にも迫力が増す。

 3.5mmジャックからの出力はソニーの「MDR-EX800ST」で試聴したところ、さらにズッシリとしたピラミッド的なバランスに加え、中高域の抜けが良くなる。ロックやジャズ、ポップス系が合いそうな感じだ。

オプションの専用アクセサリ
ROG STRIX GO BT。aptX Adaptive対応で低遅延/ビットレート可変のBluetoothヘッドフォン(3.5mmジャックでワイヤードも可能)。最大45時間使用可能。価格は2万8,578円
ROG Kunai 3 Gamepad。十字キー、サムスティックなどを搭載するゲームコントローラ。単独で使用するゲームパッドモードと、専用バンパーを取り付けスマホの左右に接続するハンドヘルドモードに対応。価格は1万2,078円

光学的な望遠はないものの良く写るカメラ!

 搭載しているカメラは、前面が2,400万画素/F2.4/焦点距離4mm。背面は6,400万画素/F1.8/6mm(広角)、1,300万画素/F2.2/2mm(超広角)、500万画素/F2/2mm(マクロ)。F値と焦点距離はExifからのピックアップ。光学式の望遠レンズ相当はない。出力画素数は順に2,112×2,816ピクセル、3,432×4,576ピクセル、3,120×4,160ピクセル、1,944×2,592ピクセル。

カメラ。左から広角、超広角、マクロ

 背面カメラのモードは、スローモーション、タイムラプス、動画、写真、ポートレート、パノラマ、ドキュメント、その他にモーショントラッキング、PROビデオ、PROモード、マクロ、夜景。前面カメラのモードは、動画、写真、ポートレート。

 ポートレートでは背景ぼかしに加え、肌のトーン、ファンデ、美白、目の大きさ、小顔など、いわゆる盛れる機能付きだ。ただし画角が変わり約1.5倍ほどになるため使いづらい(前面カメラは変わらず)。

 設定は、カメラ解像度(4:3 64MP、4:3、16:9、1:1、全画面表示)、セルフタイマー、カウントダウン点滅表示、夜間撮影を自動検出、AIシーン検出、ウォーターマーク、タッチシャッター、AF自動調整、追跡オートフォーカス、QRコードをスキャン、カメラモードの編集、電子水準器、グリッド、カメラサウンド、場所サービス、ちらつき防止、音量ボタンを押した時の設定。カメラ解像度4:3 64MPの時は美人エフェクトやHDRは使えない。

 動画の設定では8K/4K(60fps)/4K/FHD(60fps)/FHD/HD、スローモーションの設定では4K(120fps)/FHD(240fps)/FHD(120fps)/HD(480fps)に対応する。

 撮った後の編集はギャラリーを使う。トリミング/回転、明るさコントラストなど基本的な機能はもちろん、背景ぼかし、モザイク、そして人物の場合は美肌モードなどが調整可能となる。

写真モード
PROモード
ポートレートモード
前面カメラ
設定(1/2)
設定(2/2)
右上にシーン認識(フード)
ギャラリーで後から美肌モードの調整も可能
作例にある恐竜の写真と同じ位置から標準で撮影。背面カメラのポートレートモードは画角が変わる

 以下作例を日中(屋内も含む)10枚、夜景10枚、人物(前面カメラの自撮りと背面カメラでの撮影)各1枚の計22枚を掲載する。基本オート(HDR Auto)で、露出補正もほとんど触っていない。人物はポートレートモードだが、恐竜もポートレートモードで背景ぼかし。葉っぱはマクロだ。超広角も結構混じっている。日中はご覧のように夏っぽい空や雰囲気が良く出ている。夜景もなかなか。光学的な望遠はないものの、全体的に結構好印象だ。

 ただ起動やオートフォーカス(AF)は速いものの、連続してシャッターを切るとバッファリングの関係だろうか、画像が確認できるまで秒単位で待たされ熱も持つ。この点だけが残念。

モデル:茜音愛

ゲーミングらしい独特のセットアップ!

 初期セットアップはSIMなし、Wi-Fi接続で行なった。またGoogleアカウントやコピーなどは基本スキップ。この状態で計14画面。ASUSアカウントへのログインといった追加分があるため、素のAndroidより少し画面が多めになる。また多くが黒バックの独特な画面(途中Google関連だけ白バックになる)で、ゲーミングらしい雰囲気だ。いくつか画面キャプチャを掲載するので参考にしていただきたい。

ようこそ。ここから雰囲気が違う
充電は左側面のType-Cを使うようにとの説明
AirTriggers(強く握るとXモードオンなど)のセットアップ
システムスタイルの選択。左側を使用

 少し面白いのは一連のセットアップの後、化粧箱のグリッドをスキャンすると、AR体験ができるゲームなどが入っていることだ。これまで色々なスマホを試用したが、これは初。なかなか楽しめる内容だった。

ゲーム開始

 顔認証と指紋認証は、パターン/PIN/パスワード設定後にセット可能だ。顔認証は一般的な前面カメラを使うタイプだが、指紋認証は画面内センサーだ。見た目を損なわない分、反応が気になるものの、試用した範囲では登録も含め全く問題なかった。マスクをすると顔認証しづらいので、今だと指紋認証の方が便利だろうか。

 SIMは手持ちの関係で4Gでのチェックとなる。スロットは上(表)がSIM1、下(裏)がSIM2。再起動などは必要なくAPNを設定すると簡単に開通した。このクラスを購入するユーザーであれば特に難しいところはないだろう。

指紋認証。画面内センサー
顔認証
デュアルSIMカード設定
APN

 ホーム画面はDockに電話、メッセージ、Armoury Crate、Chrome、カメラ。そして独特の壁紙に1画面目、GoogleフォルダとPlayストア。2画面目にToolsフォルダ、Netflix、Facebookを配置。通知パネルやウィジェットの設定などは従来通りだ。

 通知パネルにある「Xモード」はゲームプレイ時の専用的な機能のオン/オフとなる。参考までに内部処理的には、ハードウェア処理の最適化および、バックグラウンドのメモリを解放、ゲームに割り当てるとのこと。またこの時、壁紙も自動的に変わる。

 Androidのバージョンは11、IMEはGboard。ストレージは512GB中17.82GBが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。うちシステムは12GB。

 設定/ディスプレイにSplendid(画面カラーモード)、スマートスクリーン(見ている間はスリープへの移行時間を延長)、システムナビゲーション/ジャスチャーもしくはナビゲーションバー、リフレッシュレートなど、様々な機能が入っている。

Home(1/2)、Xモードオフ
Home(2/2)、Xモードオン(壁紙が赤系になる)
通知パネル(1/2)
通知パネル(2/2)
アプリ一覧
壁紙/ウィジェット/ホームを編集/ユーザー設定
設定/デバイス情報
設定/ストレージ

 固有アプリのArmoury Crateは、本機固有のコントロールパネルだ。大きく分けてゲームライブラリ、コンソール、Connect、特集、マイプロファイルの5つの機能があり、コンソールではXモード、ダイナミック、超省電力、アドバンスドと言った動作モードの調整が可能。また背面にあるROG Visionに表示する内容もここで設定可能だ。

Armoury Crate内、ゲームライブラリ
コンソール(1/3)
コンソール(2/3) 。ROG Visionの設定はここにある
コンソール(3/3)
Connect
特集

さすがのスコアでスマホとしては爆速!

 ベンチマークテストは簡易式だが「Geekbench 5.1.1」と「Google Octane 2.0」を使用した。GeekbenchはSingle-Core 1,122、Multi-Core 3,676、OpenCL 4,606。Google Octane 2.0は38,450とさすがのスコアだ。今年試用したスマホの中では最速となる。

 バッテリ駆動時間は、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生したところ約13時間で電源が落ちた。ほぼ仕様通り。6,000mAhなのでもう少し行くかと思ったが、SoCも含めシステム的にパワーを食うのだろう。

Geekbench 5.4.1(1/2)。Single-Core 1,122、Multi-Core 3,676
Geekbench 5.4.1(2/2)。OpenCL 4,606
Google Octane 2.0。38,450
輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生。13時間経過で残3%

パッケージもかっこいい

 以上のようにROG Phone 5 Ultimateは、Snapdragon 888、メモリ18GB、ストレージ512GB、6.78型ワイドAMOLEDに背面モノクロディスプレイを搭載。サウンドやカメラもよくできているAndroid 11搭載ゲーミングスマホだ。独特なデザインもなかなかカッコイイ。

 少し大きく重く、本体が熱くなるほか、microSDカード未対応が欠点と言えば欠点だが、ゲーミング用途はもちろん、ハイエンドなスマホが欲しいユーザーに試してもらいたい1台だ。