西川和久の不定期コラム

キックスタンド搭載で軽くなった10.3型2in1「IdeaPad Duet 350i」

IdeaPad Duet 350i

 レノボ・ジャパンは6月29日、10.3型着脱式2in1「IdeaPad Duet 350i」を発表、7月2日から販売を開始した。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

従来モデルと比較してパネルを高解像度化しつつ薄型/軽量に

 従来モデルにあたる「IdeaPad D330」はほぼ1年前の2020年9月に出荷された。10.1型1280×800ドットのパネルを採用するクラムシェル型の2in1だ。スペック的にはCeleron N4000/4GB/eMMC 128GB、Office搭載など。2in1でもクラムシェル型なのでノートPC的に使え、ガッチリしているものの、その分約1.1kgと重く厚みも18.5mmだった。

 対して今回ご紹介する「IdeaPad Duet 350i」は、同じ2in1でもキーボードがSurfaceでお馴染みキーボードカバー的なものに変わり、筐体の薄型/軽量化に成功。合体時でも1kgを大幅に切る。加えてCPUのパワーアップ、パネルの高解像度化などの改良もあわせて行なわれた進化版とも言えるモデルとなる。主な仕様は以下の通り。

Lenovo「IdeaPad Duet 350i」の仕様
プロセッサCeleron N4020(2コア2スレッド/1.1GHz~2.8GHz/キャッシュ 4MB/TDP 6W
メモリ4GB/DDR4-2400 SDRAM
ストレージeMMC 128GB
OSWindows 10 Home(Sモード)/64bit版
ディスプレイ10.3型フルHD(1,920×1,200ドット)、光沢あり、10点タッチ対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 600、USB 3.0 Type-C(DisplayPort出力対応)
ネットワークWi-Fi 5対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 3.0 Type-C×2(Power Delivery/DisplayPort出力対応)、200万画素前面/500万画素背面カメラ、3.5mmジャック、microSDカードスロット
センサージャイロセンサー、加速度センサー
バッテリ/駆動時間2セルリチウムイオンバッテリ/最大約11時間
サイズ/重量約253×173.1×16.1mm(幅×奥行き×高さ)/約874g(キーボード装着時)、約253×167.5×11mm(同)/約602g(本体のみ)
カラーグラファイトグレー
そのほかOffice Home & Business 2019、デジタルペン、ディスプレイ背面にキックスタンド、着脱可能キーボード付属
価格6万280円

 プロセッサはCeleron N4020。2コア2スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.8GHz。キャッシュは4MB、TDPは6W。2019第4四半期リリースのGemini Lake Refreshとなる。従来モデルはCeleron N4000と1世代前のGemini Lakeで、最大クロックが0.2GHz遅い程度と、パフォーマンス自体はさほど変わらないと思われる。メモリはDDR4-2400 SDRAMで4GB。ストレージはeMMC 128GB。昨今、Windows 10を動かすにはほぼ最小構成となる。

 OSは64bit版のWindows 10 Home(Sモード)を搭載。20H2だったので、この範囲でUpdateを適応し評価した。SモードをProへ変更可能ではあるものの、不可逆なのでSモードのままで試用。従ってストアアプリしか使用できず、ベンチマークテストなどは簡易式となっている。あらかじめご了承いただきたい。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 600。外部出力用にUSB 3.0 Type-C(DisplayPort出力対応)が利用できる。ディスプレイは10.3型フルHD(1,920×1,200ドット)。アスペクト比16:10、光沢ありで10点タッチ、そしてデジタルペンに対応する。従来モデルから大きく変わった部分だ。

 ネットワークはWi-Fi 5対応、Bluetooth 5.0。その他のインターフェイスは、USB 3.0 Type-C×2(Power Delivery/DisplayPort出力対応)、200万画素前面(FF)/500万画素背面(AF)カメラ、3.5mmジャック、microSDカードスロット。背面にキックスタンドがあり、カバー兼で着脱可能なキーボードとデジタルペンも付属する。センサーはジャイロセンサー、加速度センサーを内蔵。

 色はグラファイトグレーのみ。2セルリチウムイオンバッテリを内蔵し、駆動時間は最大約11時間。キーボード装着時でサイズ約253×173.1×16.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約874g。本体のみでサイズ約253×167.5×11mm(同)、重量約602g。価格は6万280円。

 後述するが、作りも良く、カッチリしたキーボード付属、そしてOffice Home & Business 2019とデジタルペン装備を考えると妥当な(少しお買い得)と言ったところだろうか。

パネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりにある
斜め後ろから。キックスタンドで任意の位置に固定できる
左側面。Lスピーカー、3.5mmジャック、microSDカードスロット、Type-C×2
右側面。Rスピーカー、電源ボタン、音量±ボタン。下の凹みは左側にもあり、キックスタンドを出しやすいようになっている
キーボードはJIS配列73キー。タッチパッドは1枚プレート式。右下側近くにあるボタンはBluetooth接続用
キーピッチは実測で約18mm。数字など一番上行が狭いのが気になる
裏。上中央少し右寄りに背面カメラ。キックスタンド部分は若干色が違う
横から。Type-Cのコネクタからもわかるように結構薄い
重量(キーボード込み)は実測で873g
ACアダプタのサイズ約93×40×30mm(同)、重量200g、出力5V/2A、9V/2A、15V/3A、20V/2.25Aの45Wタイプ
付属のペンと本体(タブレット)。傾きはこれが最大。ペン入力にちょうど良い。本体だけだと実測で601g。付属のデジタルペンは単6形電池1本を使用

 筐体は渋いメタリックな感じのグラファイトグレー。ありがちなタブレットよりカッチリしており高級感がある。単体だと重量601gと片手でも楽々持ち上がり、キーボードと合体時も実測で873gと、1kgを大幅に切っている。

 前面はパネル中央上にWebカメラ。フチはそれなりにあるが、これはキーボードのフットプリントを稼ぐためで仕方ないところか。裏は上中央少し右寄りに背面カメラ。キックスタンド部分は若干色が違う。左側面にLスピーカー、3.5mmジャック、microSDカードスロット、Type-C×2。右側面にRスピーカー、電源ボタン、音量±ボタン、上側面には何もなく、下側面にキーボード用の接点を配置。左右にある下の凹みはキックスタンドを出しやすいようになっている

 付属のACアダプタは、サイズ約93×40×30mm(同)、重量200g、出力5V/2A、9V/2A、15V/3A、20V/2.25Aの45Wタイプ。市販のPDアダプタでも充電可能だ。デジタルペンは単6形電池1本を使用する。

 10.3型フルHD(1,920×1,200ドット)のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好、タッチの反応も良い。ペンはiPad Pro+Apple Pencil 2とまではいかないが、滑らかに書け、メモ書き的に使うなら全く問題ないレベルだ。パネルにしてもペンにしても価格を考えれば十分なクオリティと言える。

 キーボードは着脱可能で未使用時カバーになる。キックスタンドと合わせて使う、いわゆるSurfaceタイプだ。JIS配列73キー。タッチパッドは一枚プレート式。主要キーのキーピッチは約18mm。打鍵感もしっかりしており好印象だ。ただし最上段の数字のキーピッチが狭く、数字を入力しようとすると、いきなり戸惑ってしまう。ここは慣れが必要となるだろう。

  少し変わっているのは右側面手前近くにあるボタンでBluetooth接続もできること(Bluetoothで接続すると「Lenovo Duet 3 BT Folio」となる)。通常は本体下側面にある接点で物理的に接続するのだが、これにより本体から離してもキーボードを操作可能。実際使ってみると、設置場所によっては便利だった。充電は物理的接続時に行なわれる。

 発熱はベンチマークテストなどで負荷をかけると、裏上半分(キックスタンドではない部分)が熱を持つが、ほんのりのレベルなので気になることはない。

 サウンドは左右側面上に外側に向いてスピーカーが付いているため音が逃げ、パワー感がない。音質自体は安価なタブレットにありがちなシャリシャリ音だ。タブレットとして両手で持つ時、スピーカーの部分を覆うようにすれば、音が前に向くので迫力が増す。

 軽くカメラを試したところ、背面は正直無くてもいいのではと思える写り。画質を語れるレベルではない。前面は肌色もそれなりでWeb会議的な用途であれば画質にこだわっていないユーザーであれば大丈夫だろう。

 このように10型クラスの2in1としてはなかなかの完成度だ。標準でペンが付属し、キックスタンドも結構傾けられることもあり、ネット系やOffice系に加え、A4用紙でのメモ書き的な用途で本機で行なうのもなかなか良さそうだ。

それなりに使えてバッテリ駆動7時間!

 初期起動時、スタートメニュー(タブレットモード)は1画面。Lenovoグループが追加されている。デスクトップは壁紙のみの変更とシンプルだ。作動速度はCeleron/4GB/eMMCと言うこともあり、Core i/SSDよりは明らかに遅い。後述したベンチマークテストにもあらわれている。従って基本的にライトな用途と言ったところだろうか。とは言え、一昔前のAtom搭載機よりはズッと快適に作動する。

 ストレージはeMMC 128GBの「Samsung DUTA42」。C:ドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられ空き81.1GB。このタイプとしては珍しくBitLockerを適応していない。Wi-FiおよびBluetoothはIntel製、Windows 11で話題のセキュリティデバイス、(eTPMだと思うが)TPM 2.0に対応しているのがわかる。

スタートメニュー(タブレットモード)の1画面。Lenovoグループが追加されている
起動時のデスクトップは壁紙のみの変更とシンプル
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージはeMMC 128GBの「Samsung DUTA42」。Wi-FiおよびBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられている

 主なプリインストールのソフトウェアは、「Lenovo Vantage」、「McAfee Personal Security」、「MirKat」、「Microsoft Office」など。Lenovo Vantageは同社お馴染みのシステム系ツール。MirKatは、今回初めてみたが、調べたところ、データ漏洩やプライバシー侵害から守るツールのようだ。ただし英語版のため少々ハードルが高い。

Lenovo Vantage / ダッシュボード
Lenovo Vantage / デバイス
Lenovo Vantage / デバイス / 電源
MirKat

 ベンチマークテストは、Windows 10 Sと言うこともあり、いつものPCMark 10、PCMark 8、3DMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeなどが使えず、Google Octane 2.0、CINEBENCH R23、Wi-Fi経由でのフルHD動画再生の簡易式となる。

 Google Octane 2.0は10,182。CINEBENCH R23のCPUは539pts、Singleは341pts。前者は筆者の合格ライン1万なので、Web系はそれなりに閲覧可能だ。CINEBENCH R23は正直かなり低いスコアだ。Celeronなので仕方ないと言ったところか。

 バッテリ駆動時間は、明るさ50%/音量50%、Wi-Fi経由でフルHDの動画を再生したところ、約7時間(バッテリモードなどはシステム標準)だった。仕様上の最大約11時間には届かないが妥当なところだと思われる。

Google Octane 2.0は10,182
CINEBENCH R23
CPU539 pts(12位)
CPU(Single Core)341 pts(12位)

 以上のようにLenovo「IdeaPad Duet 350i」は、Celeron N4020、メモリ4GB、ストレージ eMMC 128GBを搭載した10.3型2in1だ。用途に応じて単体、もしくはキックスタンド+キーボードで利用でき、前者で601g、後者でも873gと軽量なのが嬉しいところ。Type-Cで外部ディスプレイを接続できるので簡易デスクトップ化することも可能だ。

 Celeronなのでパワーはそれなりだが、ペンが使え、Office付属で6万280円。手軽に持ち運べ全部入りの2in1を探しているユーザーに使って欲しい1台と言えよう。