西川和久の不定期コラム
2万円ちょっとのスマホ「Xperia Ace II」。おサイフケータイも使えてとりあえず買いたくなる1台!
2021年6月8日 09:50
ソニーは5月19日、Xperiaシリーズのエントリーモデル「Xperia Ace II」を発表。5月下旬から販売中だ。編集部から試作機が届いたので試用レポートをお届けしたい。FeliCaなど全部入りで2万2,000円の実力はいかに!?
2万2,000円でおサイフケータイも含め全部入り!
docomoのXperiaシリーズは、「Xperia 10 II」、「Xperia 5 II」、「Xperia 1 II」。2021年になって「Xperia 10 III」、「Xperia 1 III」も発表済みだ。歴代は各モデルのマークIIなどがないもの、そして「Xperia Ace SO-02L」(2019年)、「Xperia XZ3 SO-01L」(2018年)などが挙げられるだろうか。
今回ご紹介するのは、2019年の「Xperia Ace」(SO-02L)の、2021年モデルに相当する「Xperia Ace II」(SO-41B)。4G機でMediatek Helio P35/メモリ4GB/ストレージ64GBと最小構成ながら、防塵防水、おサイフケータイ、深度センサーありのカメラ、指紋センサーなどを搭載し、価格は何と2万2,000円(ドコモ一括払い時)と激安な意欲作だ。
なお、手元に届いたのが試作機ということもあり、ベンチマークテスト、おサイフケータイ、回線テストなどができなかった。また、パッケージや付属品などもなく、本体と別売のケースのみでの評価となることを、あらかじめご了承いただきたい。
主な仕様は以下の通り。
【表】「Xperia Ace II」の仕様 | |
---|---|
SoC | Mediatek Helio P35(2.3GHz+1.8GHz/8コア) |
GPU | IMG PowerVR GE8320 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB |
OS | Android 11 |
ディスプレイ | 5.5型HD+(1,496×720ドット)、Corning Gorilla Glass 6 |
通信機能 | 4G LTE、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0、NFC(FeliCa対応) |
SIM | Nano SIMカードスロット |
インターフェイス | USB Type-C(USB PD対応)、microSDカードスロット(最大1TB)、スピーカー、3.5mmイヤフォンジャック |
センサー | 指紋認証 |
カメラ | 前面:800万画素(F2.0) 背面:1,300万画素(焦点距離25mm/F2.0)+深度センサー |
サイズ | 約69×140×8.9mm(幅×奥行き×高さ) |
重量 | 約159g |
バッテリ | 4,500mAh |
カラーバリエーション | ブラック、ホワイト、ブルー |
その他 | 防水(IPX5/IPX8)/防塵(IP6X)、FMラジオ |
価格 | 2万2,000円(ドコモ一括払い) |
SoCはMediatek Helio P35で、2.3GHz+1.8GHzで8コア、GPUとしてIMG PowerVR GE8320を内包している。メモリは4GB、ストレージはeMMC 64GB。昨今のAndroid搭載スマホとして最小構成だろうか。Androidのバージョンは最新の11。
ディスプレイは5.5型HD+(1,496×720ドット)。Corning Gorilla Glass 6対応だ。通信機能は、4G LTE(対応バンドは不明)、Wi-Fi 5対応、Bluetooth 5.0、NFC(FeliCa対応)。SIMはNano SIMとなる。
インターフェイスはUSB Type-C(USB PD対応)、microSDカードスロット(最大1TB)、スピーカー、3.5mmイヤフォンジャック。センサーは指紋認証。日本の周波数をカバーしたFMラジオも搭載する。
カメラは前面800万画素(F2.0)、背面1,300万画素(焦点距離25mm/F2.0)+深度センサー。詳細は後述しているので参考にしていただきたい。
サイズ約69×140×8.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約159g。3年使っても劣化しにくいと言われる4,500mAhのバッテリを内蔵し、カラーバリエーションはブラック、ホワイト、ブルーの3色。防水(IPX5/IPX8)/防塵(IP6X)対応で、ドコモ一括払い時の価格は何と2万2,000円!全部入りでこの価格はある意味衝撃的と言える。
手元に届いたのはホワイトのモデル。コンパクトで軽く非常に持ちやすい。また2万2,000円とは思えない質感でさすがソニーと言ったところか。
フロントはパネル中央上に前面カメラ。リアは左側に背面カメラがある。その横中央あたりにFeliCaマーク。左側面にNano SIM/microSDカードスロット。スロットの表裏にそれぞれ入れる仕掛けになっている。
下側面にUSB Type-Cとスピーカー。右側面に音量±ボタン、指紋センサー兼の電源ボタン、アシストボタン。上側面に3.5mmジャックを配置。
防水防塵なので、SIM/microSDカードスロットはイジェクトピンを使用しないタイプ(つまりピン穴がない)になっている。加えてUSB Type-Cとスピーカー、3.5mmジャックはキャップレス。このあたりのこだわりは見事だ。
5.5型HD+(1,496×720ドット)のディスプレイは、発色、視野角などは価格を考えれば十分以上。画面設定でホワイトバランスも調整できる。ただ明るさはそれほどでもなく、炎天下では少々見づらい。ここは仕方ない部分だろう。特筆すべきは指紋が付きにくいこと。この点は筆者所有のXperia 1 IIよりいいかもしれない。
発熱は試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドはスピーカーはモノラルながらパワーもあり、音もクリア。中域中心でシャリシャリ気味だが、ボーカルなどは前に出る。
イヤフォン出力は手持ちのソニー MDR-EX800STで視聴したところ傾向はスピーカーと同じで上下に伸びる。ただ透明感など+αの部分はなく普通に鳴っている感じだ。価格が価格なので、あまり贅沢は言えないところだろう。
意外と撮れる!35mm換算25mm/F2.0+深度センサー
搭載しているカメラは、前面800万画素(F2.0)、背面1,300万画素(焦点距離25mm/F2.0)+深度センサー。最大出力解像度は順に3,264×2,448ピクセルと4,160×3,120ピクセル。
モードは、写真、ビデオ、ポートレートセルフィ、Google Lens、パノラマ。プロモードに相当するものはない。写真モードは、ストロボ 自動/強制発光/オフ/照明、背景ぼかしのオン/オフ、HDR オン/オフ、明るさ/色合い調整オン/オフ。ビデオは明るさ/色合い調整オン/オフが可能だ。
またAI機能もあり、被写体に応じて料理や低照度など13種類のシーンと、固定/動き/歩き検出/オートの4コンディションを合わせた「プレミアムおまかせオート」に対応する。
前面カメラでは、背景ぼかし、美肌、肌の明るさ、目の大きさ、輪郭補正などいわゆる盛れる機能が標準搭載だ。ここまでするならアイキャッチ(瞳の中の光の写り込み)強調も欲しかった。
以下作例を日中(屋内も含む)、夜景、人物(フロント/リア)と計22枚掲載する。一部、露出補正、HDRや背景ぼかしをオンとしているが、基本AI任せのフルオートだ。
撮り始めは値段が値段なので期待していなかったが、ご覧のように意外とよく写る。光学的な広角や望遠はないものの、これだけ写れば普段使いなら十分ではないかと思うほどだ。マクロ的な使い方でも結構寄れるし、リアは深度センサーがあるので人以外でも背景ぼかしできる。
ポートレートは、筆者が背面カメラを使い、自撮りは前面カメラを使っているが、前面カメラの方が写りは(色も含め)甘くなる感じだ。女性が使う時は自撮りが多くなるので、前面カメラは後一歩頑張ってほしいところか。
起動やオートフォーカスはそれなりに速く、全体的に概ね良好だが、背景ぼかしやHDRのオン/オフ、撮った後の確認表示などは非常に遅く一呼吸以上かかる。SoCのスペックを考えれば仕方ない部分であるが、写りがいいだけに惜しい部分だ。
ユーザーに合わせて3つのホーム画面を用意
今回は試作機でSIMが使用できなかったため、SIM関係は試していない。ほぼAndroid準拠で、ドコモ初期設以降はdアカウントの設定になるため(いったんこの画面に入ると[戻る]で戻れない)、「セットアップを続行しますか?」で[中断し、リマインダーを受け取る]を選ぶと、追加するアプリ画面に切り替わり、その後セットアップ終了となる。
指紋認証は右側にある電源ボタン兼なので、通常だと右手の親指と人差し指になるだろうか。サクッと登録でき、認証も即時。マスクとは無関係なので今だと非常に便利と言えよう。
OSはAndroid 11。my daizが中央にあるのがdocomoらしい(オフにできる)。ホーム画面はXperiaホーム、docomo LIVE UX、簡単ホームと3種類設定できるが、画面キャプチャはXperiaホームで撮影している。
ストレージは64GB中の約18GBが使用中。あまり余裕がないため、音楽や動画、写真などはmicroSDカードに逃すことになる。IMEはGboard。
ストレージ容量が少ないわりにdocomo/Sony連合アプリで山盛りだ。キャリア端末なので仕方ない部分なのだが、起動しないと分からない「これは何?」的なアプリがいくつもあり、本機がターゲットにしている一般ユーザーがこれらを全て理解できるとは考えにくい。もう少しスッキリさせてはいかがだろうか。
ハイエンドと比較して価格が約5分の1、性能もざっくり5分の1だがスタミナは抜群!
今回は試作機のためベンチマークテストは実行できない。そのため、搭載SoCのMediaTek Helio P35の性能から軽く考察してみたい。
Notebookcheckという海外サイトに掲載されているHelio P35のスコアでは「Geekbench 5.4」のSingle-Coreが168、Multi-Coreが967、「Google Octane 2.0」は4,568.5(全てmedianのスコア)だった。個体が違うため、あくまでも参考値だが、ここから大きく外れることもないと思われる。いずれにしても今時としてはかなり低い。
筆者所有のXperia 1 II(Snapdragon 865 5G)は、「Geekbench 5.4」のSingle-Coreが870、Multi-Coreが3,122。「Google Octane 2.0」は30,706。価格差約5倍なので、スコアもざっくり5分の1前後で、妥当なところだろうか。
バッテリ駆動時間は、輝度と音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生し少し試したところ、10時間で残58%と、軽く20時間を越えそうな雰囲気。考えてみればXperia 1 IIのバッテリは4,000mAh。低性能のMediatek Helio P35で+500mAhも多いのだからスタミナがあって当然と言える。
最後に短期間であるが、実際FacebookやInstagramアプリなどを使いつつ試用して思ったことを書く。
iPhone 12 Pro MaxやXperia 1 IIなどハイエンドスマホユーザー目線だと、速度、動きの滑らかさ、写りやレンズの数、画面の綺麗さ、サウンド……全てがイマイチでもっさり。何ひとつ満足できるものはない。
ただし、それら全てが使えないほど酷いわけではなく、本機が狙っている一般ユーザー層目線だと、特に何も困ることもなく普通に使える。実際作例撮りの時、モデルの子に少し触ってもらったが「え!これで十分」と言っていた(彼女は普段iPhone 11 Pro)。
加えて指紋認証、防塵防水、おサイフケータイ、FMラジオなど全部入り。バッテリの持ちも良さそうだ。4G機だが、5Gはまだまだ使えるエリアが狭く今のところ考える必要はない。これで2万2,000円。驚くべきコストパフォーマンスと言えるだろう。かなり人気機種になるのではないだろうか。
昨今のスマホの基準で考えれば、価格を抑えつつこれだけのものを作るのはなかなか難しい。「やるなXperia!」と思った次第だ。
以上のように「Xperia Ace II」は、5.5型HD+のディスプレイで、Mediatek Helio P35、メモリ4GB、ストレージ64GBを搭載するAndroid 11のスマホだ。コンパクトなサイズに指紋認証、防塵防水、おサイフケータイなど全部入り。普段使いなら問題ないレベルで動作する。カメラの写りも悪くない。そして価格は驚きの2万2,000円。
仕様上特に気になる部分もなく、スマホ入門者のみならずハイエンドユーザーのセカンド/サード機など、とにかく安いので「とりあえず行っとくか!」のノリでぜひ使ってほしい1台だ。