西川和久の不定期コラム

Snapdragon 632搭載で3万円の6.24型スマホ「moto g7」

moto g7

 モトローラ・モビリティ・ジャパンはmoto g7シリーズのスマートフォン「moto g7 plus」、「moto g7」、「moto g7 power」の3機種を6月7日に発売した。前回はmoto g7 plusをご紹介したので、今回は下位の「moto g7」の試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 632搭載の「moto g7 plus」弟分

 先日moto g7 plusの試用記事(Snapdragon 636搭載の6.24型スマホ、モトローラmoto g7 plus)を掲載したが、今回ご紹介する「moto g7」はその弟分に相当し、パネルを含むサイズ/重量などの見た目はそっくりで、おもにSoCとカメラが違うモデルだ。税別直販価格は30,800円で価格差は8,000円。1万円にも満たない差でどれだけ内容が違うのか興味のあるところ。

 おもな仕様は以下のとおり。

【表】モトローラ「moto g7」の仕様
SoCSnapdragon 632(8コア/1.8GHz、Adreno506 GPU内蔵)
メモリ4GB/LPDDR4
ストレージ64GB
OSAndroid 9 Pie
ディスプレイ6.24型LTPSフルHD+(2,270×1,080ドット/19:9/403ppi)
ネットワークIEEE 802.11n対応、Bluetooth 4.2、LTE
対応バンドLTE : B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28/38/40/41
3G : B1/2/5/8/19(B6含む)
2G : 850/900/1,800/1,900MHz
インターフェイスUSB 2.0(Type-C)、microSDカードスロット(最大512GB)、NFC、Nano SIMカードスロット×2(DSDS対応)、3.5mmイヤフォンジャック、モノラルスピーカー
センサー指紋認証、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境照度
カメラ前面800万画素(f/2.2)、背面1,200万画素(f/1.8)+500万画素、PDAF(位相差オートフォーカス)
サイズ/重量約75.3×157×8.27mm(幅×奥行き×高さ)/約174g
バッテリ3,000mAh
カラーバリエーションセラミックブラック、クリアホワイト
税別直販価格30,800円

 SoCはSnapdragon 632。8コアで最大1.8GHz。GPUとしてAdreno506を内蔵している。moto g7 plusはSnapdragon 636だったが、内蔵するGPUがAdreno506かAdreno509かの違いもある。前機種に相当する「moto g6(Snapdragon 450)」と比較して50%処理能力が向上しているようだ。メモリはLPDDR4で4GB、ストレージは64GB。OSはAndroid 9 Pieを搭載している。

 ディスプレイは、6.24型LTPSフルHD+(2,270×1,080ドット/19:9/403ppi)。moto g7 plusと比較して、サイズ/解像度は同じだが、IPS式かLTPS液晶かの違いがある。

 ネットワーク機能は、IEEE 802.11n対応、Bluetooth 4.2、NFCと、moto g7 plusのIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0から少しスペックダウンした。ただ、SIMはDSDS対応のNano SIM×2。対応バンドは表のとおりでmoto g7 plusと同じだ。

 インターフェイスは、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット(最大512GB)、3.5mmイヤフォンジャック、モノラルスピーカー。スピーカーはmoto g7 plusのステレオからモノラルへ変更されている。センサーは、指紋認証、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境照度を内蔵。ACアダプタは15Wターボパワー充電器(moto g7 plusは27W)が付属する。

 カメラは前面800万画素(f/2.2)、背面1,200万画素(f/1.8)+500万画素、PDAF(位相差オートフォーカス)。おもに画素数、TOFカメラ/光学式手振れ補正の有無が違いとなる。

 3,000mAhのバッテリを内蔵し、サイズ約75.3×157×8.27mm(幅×奥行き×高さ)、重量約174g。若干重量が違うもののほとんど同じ。カラーバリエーションはセラミックブラックとクリアホワイトの2色。税別直販価格は30,800円。

 以上のようにmoto g7 plusと比較して、サイズ/重量はほぼそのまま、SoC、カメラ、パネルの種類、Wi-Fi、Bluetooth、スピーカー、ACアダプタがスペックダウンで価格差8,000円。個人的にはこれだけの差しかないなら、いっそplusのみにして、1機種分浮いたサポートコストなどでplusの価格を気持ち下げたほうがいいのではないかと思ってしまう。

 なお、同じくmoto g7シリーズの「moto g7 power」はmoto g7の主要部分は同じで3,000mAhバッテリを5,000mAhに増量したモデルだ。バッテリ容量が増えているためサイズと重量も異なり、約75.3×159.4×9.3mm(幅×奥行き×高さ)で奥行きと高さが増し、重量は約193gで19g重い。

パネル中央上に前面カメラ。ノッチはかなりせまい。ナビゲーションボタンはソフトウェア式
中央上に背面カメラ、その下「M」の部分が指紋センサー
下側面にスピーカー、Type-C、3.5mmイヤフォンジャック。左側面にはなにもない
上側面にmicroSDカード/Nano SIMカードスロット。右側面に音量±ボタンと電源ボタン
Nano SIMスロット付近。手前から順にmicroSDカード、SIM1、SIM2。排他ではなくすべて同時に使用できる
付属品はソフトケース、USBケーブル、イヤフォン/イヤパッド、イジェクトピン、USB式ACアダプタはサイズ約4.5×4×2.2cm、重量48g、出力5V3A/9V2A/12V1.5A
重量は実測で173g
moto g7 plus(奥)とのツーショット。パネルやサイズが同じなので並ぶとまったく判別が付かない。唯一カラーバリエーションの2色が異なる。IPS式かLTPS液晶かの差もほとんどない

 moto g7は2つのカラーバリエーション「セラミックブラック」と「クリアホワイト」があり、どちらも綺麗だが個人的な好みはクリアホワイトだろうか。moto g7 plusとのツーショット写真を見ればわかるように、見た目やサイズなどはまったく同じ。背面のカラーバリエーションの色で判別しないかぎり、どちらなのか見分けが付かない。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。ノッチはかなりせまい。ナビゲーションボタンはソフトウェア式。背面は中央上に背面カメラ、その下「M」の部分が指紋センサー。下側面にスピーカー、Type-C、3.5mmイヤフォンジャック。上側面にmicroSDカード/Nano SIMカードスロット。右側面に音量±ボタンと電源ボタンを配置。microSDカードはSIM1/2と排他ではなくすべて同時に使用できる。

 付属品は、ソフトケース、USBケーブル、イヤフォン/イヤパッド、イジェクトピン、USB式ACアダプタはサイズ約45×40×22mm、重量48g、出力5V3A/9V2A/12V1.5A(15Wターボパワー充電器)。ACアダプタは出力が低くなった分、若干小型だ。

 ディスプレイは6.24型LTPSフルHD+(2,270×1,080ドット/19:9/403ppi)。IPS式ではなくLTPSなのだが、明るさ、発色、コントラスト、視野角など、目視では差がわからない。ただし最大輝度はiPhone Xの半分ほどとなる。設定でカラー:自然/ブースト/ビビッド、ナイトディスプレイにも対応している。

 発熱はベンチマークテストやカメラの連続撮影など負荷をかけても少し暖かくなる程度だった。

 サウンドはDolbyオーディオ対応だがスピーカーはモノラル。ステレオスピーカーのmoto g7 plusと比較してパワー感や音の広がりなど圧倒的に劣る。音質はスピーカー/イヤフォン出力ともに同じ傾向。moto g7 plusとも同じで中域中心のメリハリのある音だ。反面透明感や静かさには乏しいのでクラシック系は多分苦手ではないだろうか。

 Bluetoothのオーディオコーディックは、SBC/AAC/aptX(HD)/LDACに対応している(設定/開発者向けオプションより)。

気持ち写りが平面的でOISなしのため手ぶれに注意

 カメラは前面800万画素(f/2.2)、背面1,200万画素(f/1.8)+500万画素、PDAF(位相差オートフォーカス)。moto g7 plusと比較して解像度、TOFカメラ/OISの有無がおもな違いとなる。レンズの物理的な焦点距離は4mm(Exifより)。これは同じだ。

 モードは、写真が「ポートレート」、「カットアウト」、「スポットカラー」、「Cinemagraph」、「パノラマ」、「ライブフィルタ」。動画が「スローモーション」、「タイムラプス」、「YouTubeライブ」、「ARステッカー」。

 オートモードは上に、HDR : Auto/オン/オフ、フラッシュ : Auto/オン/オフ、タイマー : オフ/3秒/10秒、アクティブフォト : 自動/オン/オフ、オート/マニュアル切り替えがある。ポートレートモードは撮影時にボケ味の調整が可能、加えて編集時にピンの位置とボケ味を再調整できる。

 マニュアルは、AF、WB、シャッタースピード : 1/6,000~1/4秒、ISO : 100~3,200、露出補正 : ±2の調整が可能。なぜかシャッタースピードの下限が1/6秒から1/4秒へと変わっている。レンズがf/1.8とmoto g7 plusのf/1.7と比較して気持ち暗く、その分低照度時の写りをそろえるためだろうか。

 設定は、背面:写真サイズ(12MP/9.4MP/7.9MP/8MP/6MP/5MP)/ビデオサイズ(4K30fps/FHD60fps/FHD30fps/HD30fps)、前面:写真サイズ(8MP/6MP/5MP)/ビデオサイズ(FHD30fps/HD30fps)/自撮り写真をミラー表示、保存設定(DNG、JPEG+DNG対応)など。AIに関しては、シーン認識はなく、スマイルキャプチャとスマート構図、そしてGoogle Lensのみとなる。

 これからもわかるように解像度に関連する部分以外はすべてmoto g7 plusと同等の機能を持っている。したがって今回掲載しなかったポートレートモードの編集画面などはmoto g7 plusの記事を参考にしていただければと思う。

カメラアプリ/オートモード。上に各モード設定、右端に露出補正
カメラアプリ/モード切替(moto g7 plusと同じモード内容)
カメラアプリ/ポートレートモード。下のバーはぼかし具合
設定(1/3)
設定(2/3)
設定(3/3)
カメラアプリ/マニュアルモード(1/2)
カメラアプリ/マニュアルモード(2/2)
カメラアプリ/前面カメラ。ポートレートモードあり
カメラアプリ/Google Lens

 以下作例を20点掲載したのでご覧いただきたい。moto g7 plusの原稿入稿後撮影したのだがあいにくの天気で日中はスカッと晴れた空が撮れていない。怪獣?のカットのみポートレートモード、ほかはオートモードで必要に応じて露出補正を行なった。

 撮影自体は起動、AF、書き込みなど、とくにストレスなくサクサク操作できる。またmoto g7 plusで気になったフレアは試したかぎりあれほど出ていない。夜景に関しては結構暗いシーンもあり、シャッター速度が遅くなっているが(一番暗いシーンで1/12秒)、OISがない分、気合で止めた。このOISの有無が撮影時一番影響しそうな感じだ。発色はこちらのほうがベタっと塗った雰囲気で平面的か。色のつながりや立体感はmoto g7 plusのほうが良いと思われる。

 全体的に写りに関しては、はやはりmoto g7 plusのほうがワンランク上と言えるだろうか。

※以下の写真をクリックすると原寸(3,072×4,096ドット)で表示されます

初期セットアップ

 初期設定は、SIMなし、Googleアカウントや指紋認証などの設定はスキップして行なった。この状態で計11画面。画面内容も含めmoto g7 plusとまったく同じだ。以降、指紋/顔認証登録、APNなども同じだが、画面キャプチャはひととおり掲載する。

 顔認証はmoto g7 plusでは眼鏡ありで登録したので今度はなしに、Nano SIMはSIM2に入れたが、眼鏡の有無に関わらず顔認証は有効、Nano SIMも再起動なしでネットに接続できた。

ようこそ
モバイルネットワークに接続する(スキップ)
Wi-Fiに接続
アプリとデータのコピー(コピーしない)
Googleログイン(スキップ)
Googleサービス
指紋でロックを解除する(スキップ)
画面ロックの設定(スキップ)
追加するアプリ
プライバシーについて
Motorolaとの連絡
指紋登録/センサーを探す
指紋登録/指紋を追加
顔登録/ひと目見てロック解除
顔認証/顔を正しい位置に合わせる
SIMカード/SIMスロット2
APN

moto g7 plusと瓜2つの構成

 OSはAndroid 9 Pie。初回起動時、ホーム画面は2画面。1画面目に「Google」フォルダ、「Duo」、「Moto」、「フォト」、「Playストア」。2画面目に「設定」、「ニュース」。Dockに「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Google」、「カメラ」を配置。moto g7 plusとまったく同じ構成でデフォルトの壁紙だけ違っている。ストレージは64GB中14.77GB使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。

 画面上から下へのスワイプで通知パネル、下から上へのスワイプでアプリ一覧。壁紙長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙。標準でナビゲーションボタンは3つあるパターンだが、MotoのMotoアクション/ワンボタンナビでiOS風の操作も可能と、なにもかもmoto g7 plusそっくり。先に述べたとおり、見た目もそっくりなので、モデル名plusの有無は単に内部ハードウェアの違いとなる。

 Motoディスプレイは、親切ディスプレイ/通知に対応、Motoキー対応、Motoアクションは、カメラ起動、LEDライト点灯、ワンボタンナビ、片手操作切換、持ち上げて着信音停止、伏せて置いて無音化、3本指でスクリーンショットに対応する。

Home(1/2)
Home(2/2)
通知パネル(1/2)
通知パネル(2/2)
Googleフォルダ
タスク切り替え
Androidバージョン9
ストレージ/64GB中14.77GB使用中

 アプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「レンズ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「壁紙」、「連絡帳」、「Chrome」、「Dolby Audio」、「Duo」、「Facebook」、「Files」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google Pay」、「Moto」、「Motoヘルプ」、「Playストア」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「YouTube」。

 基本的にGoogle系に+αの構成でmoto g7 plusと同じ。「ピュアAndroid+Motoエクスペリエンス」になっている。またmoto g7 plusでは「FMラジオ」についてふれなかったが、日本の周波数に対応している。災害時などはあれば便利だろう。

アプリ(1/2)
アプリ(2/2)
Motoヘルプ
FMラジオ。76MHzから95MHzまでをカバー

 ウィジェットは、「カレンダー」×2、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」×3、「マップ」×5、「時計」×2、「時刻と天気」、「設定」、「連絡帳」×3、「Chrome」×2、「Gmail」×2、「Google」×5、「Googleニュース」、「Google Play Nusic」×3。アプリが同じなのでウィジェットも同じとなる。

ホームの設定/ウィジェット/壁紙
ウィジェット(1/5)
ウィジェット(2/5)
ウィジェット(3/5)
ウィジェット(4/5)
ウィジェット(5/5)

moto g7 plusと比較してパフォーマンスは若干劣るがおおむね大差なし

 ベンチマークテストは簡易式だが「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。Google Octane 2.0は8,084、AnTuTu Benchmarkは108,408(51位)。Snapdragon 636を搭載したmoto g7 plusはGoogle Octane 2.0が8,513、AnTuTu Benchmarkが113,555(51位)なのでさほど差はない。

 細かく見るとCPU:54,580 vs 52,456、GPU: 13,874 vs 21,315、UX: 29,743 vs 31,384、MEM: 10,211 vs 8,400。一部逆転しているスコアもあるが、一番違うのはGPU。やはりAdreno506かAdreno509かの違いが大きいようだ。

 実際両方を操作すると「moto g7」のほうがなにをしても気持ち反応が遅い。とは言え、「moto g7」だけを操作している分には遅いとは思わず(3D系のゲーム以外は)普通に使えるレベルにある。

 バッテリのベンチマークテストは、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画の全画面連続再生を行なった。20:00から開始して、画面キャプチャでは電池切れの推定時間8:00となっているが、実際は約11時間半で電源が落ちた。moto g7 plusよりおおよそ30分伸びたがほぼ同じと思っていいだろう。

AnTuTu Benchmark「108,408」
AnTuTu Benchmark「51位」
Google Octane 2.0「8,084」
輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生。10時間経過後で残15%

 以上のように「moto g7」は、サイズ/重量も含め見た目はmoto g7 plusと瓜2つ。違いはSnapdragon 632、パネルの種類、前面800万画素(f/2.2)、背面1,200万画素(f/1.8)+500万画素、IEEE 802.11n対応、Bluetooth 4.2などとなる。価格差8,000円。両者を操作してもパフォーマンスやバッテリ駆動時間などは大差なく、試用上一番の違いは光学式手振れ補正なしとモノラルスピーカーになるだろうか。

 少しでも高性能がほしいときはmoto g7 plus、できるだけ安く購入したいときはmoto g7。どちらもミドルレンジとしてはおすすめできるスマートフォンと言えよう。