西川和久の不定期コラム
Snapdragon 636搭載の6.24型スマホ、モトローラ「moto g7 plus」
2019年6月25日 11:00
モトローラは5月30日、moto g7シリーズスマートフォンの「moto g7 plus」、「moto g7」、「moto g7 power」3機種を発表、6月7日より販売を開始した。
編集部から「moto g7 plus」と「moto g7」が送られて来たので、今回は前者の試用レポートをお届けしたい。
「moto g6 plus」から1年後の順当な進化版
前機種に相当する「moto g6 plus」も筆者がレビューを担当しているが、今回ご紹介する「moto g7 plus」とおもに異なるのは、SoCとディスプレイサイズ(+ノッチの有無)、背面カメラだ。
「moto g6 plus」がSnapdragon 630(8コア、2.2GHz、Adreno 508 GPU)と5.93型2,160×1,080ドット(ノッチなし)/1,200万画素カメラ(f/1.7)搭載に対して、「moto g7 plus」はSnapdragon 636(8コア、1.8GHz、Adreno509 GPU)/6.24型2,270×1,080ドット(ノッチあり)/1,600万画素(f/1.7)カメラとなる。
「moto g7 plus」の販売開始が2019年6月7日、「moto g6 plus」の販売開始が2018年6月8日とちょうど1年の違いで、そういった意味からも順当な進化版と言える。おもな仕様は以下のとおり。
モトローラ「moto g7 plus」 | |
---|---|
SoC | Snapdragon 636(オクタコア、1.8GHz、Adreno509 GPU内蔵) |
メモリ | 4GB/LPDDR4 1333 |
ストレージ | 64GB |
OS | Android 9 Pie |
ディスプレイ | 6.24型IPS式フルHD+(2,270×1,080ドット/19:9/403ppi) Max Vision |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0、NFC |
SIM | Nano SIMカードスロット×2(DSDS) |
LTE対応バンド | B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28/38/40/41 |
3G対応バンド | B1/2/5/8/19(B6含む) |
2G対応バンド | 850/900/1,800/1,900MHz |
インターフェイス | USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット(最大512GB)、3.5mmイヤホンジャック、ステレオスピーカー |
センサー | 指紋認証、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境照度 |
前面カメラ | 1,200万画素(f/2.0)、PDAF(位相差オートフォーカス)、TOFカメラ |
背面カメラ | 1,600万画素(f/1.7)+500万画素、OIS(光学式手振れ補正) |
サイズ/重量 | 約75.3×157×8.27mm(幅×奥行き×高さ)/約172g |
バッテリ | 3,000mAh |
本体色 | ビバレッド、ディープインディゴ |
税別直販価格 | 38,800円 |
SoCはSnapdragon 636。8コアでクロック1.8GHz、GPUにAdreno509を内蔵している。Snapdragon 630と型番は6違いだが、後述するベンチマークテストでは大きく性能が異なる。メモリはLPDDR4 1333 4GB、ストレージは64GB。OSはAndroid 9 Pieを搭載する。ディスプレイは6.24型IPS式フルHD+(2,270×1,080ドット) Max Vision。
ネットワークはIEEE 802.11ac無線LAN、Bluetooth 5.0、NFC。microSDカードと同時に使えるDSDS対応のNano SIM×2。対応バンドは表のとおり。
そのほかのインターフェイスは、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット(最大512GB)、3.5mmイヤホンジャック、ステレオスピーカー。センサーは指紋認証、加速度、ジャイロ、コンパス、近接、環境照度を内蔵。15分で最長12時間分の充電が可能な27Wターボパワー充電器が付属する。
カメラは前面1,200万画素(f/2.0)、PDAF(位相差オートフォーカス)、TOFカメラ。背面1,600万画素(f/1.7)+500万画素、OIS(光学式手振れ補正)。
本体サイズは約75.3×157×8.27mm(幅×奥行き×高さ)、重量約172g。カラーバリエーションはビバレッド、ディープインディゴの2種類。3,000mAhのバッテリを搭載し、税別直販価格は38,800円。仕様を細かく見比べると新旧で少し凸凹があるものの、正常進化版といえる。
今回、手元にはビバレッドとディープインディゴの両方が届いた。どちらもメタリックな印象で質感も良い。筐体はディスプレイサイズが6.24型ということもあり大きめだ。重量は実測で177g。
前面はパネル中央上に前面カメラ。ノッチ式だがかなり狭い。ナビゲーションボタンはソフトウェア式。背面は上側に背面カメラ。その下「M」の部分が指紋センサー。下側面にスピーカー、Type-C、3.5mmイヤフォンジャック。上側面にNano SIM/microSDカードスロット。写真から分かるようにNano SIM 2枚とmicroSDカードは排他にならず、すべて同時に使える。右側面に音量±ボタンと電源ボタンを配置。
付属品はソフトケース、USBケーブル、イヤフォン/イヤパッド、イジェクトピン、USB式ACアダプタ。ACアダプタのサイズ約50×40×25mm(同)、重量61g、出力5V3A/9V3A。ターボパワー充電器となっている。
6.24型のディスプレイは明るさ、コントラスト、視野角、発色すべて良好。とはいえ、最大輝度はiPhone Xと比較するとかなり低い。目測で倍は違いそうだ。
403ppiなので文字のジャギなどは判別できない。設定/ディスプレイ/カラーで自然/ブースト/ビビッドの設定が可能だ。ナイトディスプレイにも対応している。
振動やノイズはもちろん皆無。発熱はベンチマークテストやカメラの連続撮影でもさほど熱くならなかった。
サウンドはDolbyオーディオに対応。ステレオスピーカーの鳴りっぷりも良く、低音もドシンと響く。パワーも結構あり、本体で聴くなら十分だ。イヤフォン出力も音色は同じ傾向。Bluetoothのオーディオコーディックは、SBC/AAC/aptX(HD)/LDACに対応する(設定/開発者向けオプションより)。
7世代目に相当するだけあって、総じてこなれており、完成度は高い。価格を考慮すると文句なしと言ったところだ。
カメラは背面OISに加え前面/背面共にポートレートモード対応
前面カメラは、1,200万画素(f/2.0)でPDAF(位相差オートフォーカス)とTOFカメラも搭載している。背面カメラは、1,600万画素(f/1.7)+500万画素、OIS(光学式手振れ補正)に対応。低照度時シャッタースピードが遅いケースでも安心だ。
最大出力解像度は3,456×4,608ピクセル。仕様ではf/1.7だがExif上ではf/1.8となっている。レンズの物理的な焦点距離は4mm。
オートモードは上に、HDRがAuto/ON/OFF、フラッシュがAuto/ON/OFF、タイマーがOFF/3秒/10秒、アクティブフォトが自動/ON/OFF、オート/マニュアル切り替えがある。HDRはデフォルトでAuto。いろいろ作例を撮ったが、日中はほぼすべてHDR ONとなっていた(ファイル名で判別可能)。
ポートレートモードは、撮影時にボケ味の調整が可能で、画角/出力解像度はノーマルと変わらず。撮影後、フォトアプリの編集からピント位置とぼけ味を再設定できる。
マニュアルは、AF、WB、シャッタースピードが1/6,000~1/6秒、ISOが100~3,200、露出補正が±2の調整が可能だ。
設定は、背面が写真サイズ(16MP/11.9MP/10.1MP/8MP/6MP/5MP)/ビデオサイズ(4K30fps/FHD60fps/FHD30fps/HD30fps)/スローモーションのサイズ、前面が写真サイズ(12MP/9.4MP/7.9MP/8MP/6MP/5MP)/ビデオサイズ(4K30fps/FHD30fps/HD30fps)/自撮り写真をミラー表示、保存設定(DNG、JPEG+DNG対応)など。AIに関しては、シーン認識はなく、スマイルキャプチャとスマート構図、そしてGoogle Lensのみとなる。
以下に作例を24点掲載したのでご覧いただきたい。モードはオートで必要に応じて露出補正のみ行なっている。
カメラの起動、AF、書き込みは爆速ではないものの、必要十分。撮影中ストレスになることはなかった。OISも程よく効いている。発熱も問題ないレベルだ。
写りは少し前に掲載したGoogle Pixel 3aに似てるだろうか。色乗りが薄めで、ある意味平凡な当たりさわりのない絵となっている。ISPがQualcommなので、Snapdragon搭載機の写りは(手の込んだことをしない限り)似るというのもある。
気になったのは、夜景時の光源や、日中背景が(広い面積で)白くそこへ光が反射しているケースなどでフレアが発生し、コントラストが浅くなることが多かった。
これまで数々のスマホカメラで撮ってきたが、ここまで出るのはあまり記憶にない。この点以外は、価格を考慮すれば機能も含めイマドキのカメラとして妥当といったところだろうか。
初期セットアップ
初期設定は、SIMなし、Googleアカウントや指紋認証などの設定はスキップして行なった。この状態で計11画面。最後の「プライバシーについて」と「Motorolaとの連絡」以外は素のAndroid 9とほぼ同じ画面構成でわかりやすい。
認識は指紋と顔に対応。まず予備ロックパターンを選択/設定し、その後の設定となる。ここではPIN(4桁)を選択した。指紋および顔の登録は一般的なものだ。またメガネありで登録したが、なしでも認識された。
SIM/ネットワークの設定もDSDS対応で一般的なものだ。Nano SIMを入れAPNを選べば、再起動なしでインターネットに接続できる。
独自のMotoアクション以外はほぼAndroid 9準拠のUI
OSはAndroid 9 Pie。初期起動時、ホーム画面は2画面。1画面目に「Google」フォルダ、「Duo」、「Moto」、「フォト」、「Playストア」。2画面目に「設定」、「ニュース」。Dockに「電話」、「連絡帳」、「Chrome」、「Google」、「カメラ」を配置。ストレージは64GB中13.17GB使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。
画面上から下へのスワイプで通知パネル、下から上へのスワイプでアプリ一覧。壁紙長押しでホームの設定/ウィジェット/壁紙。標準でナビゲーションボタンは3つあるパターンだが、MotoのMotoアクション/ワンボタンナビでiOS風の操作も可能だ。
Motoキー対応、Motoディスプレイは親切ディスプレイと通知対応。Motoアクションは、カメラ起動、LEDライト点灯、ワンボタンナビ、片手操作切換、持ち上げて着信音停止、伏せて置いて無音化、3本指でスクリーンショットに対応する。
基本Android 9ベースに+αでMotoアクションなどを追加。わかりやすく扱いやすいUIと言えよう。「moto g6 plus」で、同社は「Androidピュアで、スムーズな動作 - スマートフォンの動作を鈍らせる余計なソフトウェアは非搭載。最新AndroidとMotoエクスペリエンス用アプリだけをプリインストール」と謳っていたが、moto g7 plusも変わらないコンセプトになっている。
アプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」、「ニュース」、「フォト」、「マップ」、「メッセージ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「壁紙」、「連絡帳」、「Chrome」、「Dolby Audio」、「Duo」、「Facebook」、「Files Go」、「FMラジオ」、「Gmail」、「Google」、「Google Pay」、「Moto」、「Motoヘルプ」、「Playストア」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「YoueYube」。
Android/Google標準アプリに若干のアプリが加わった感じだ。
ウィジェットは、「スケジュール」×2、「スプレッドシート」、「スライド」、「ドキュメント」、「ドライブ」×3、「マップ」×4、「時計」×2、「時刻と天気」、「設定」、「連絡帳」×3、「Chrome」×2、「Gmail」×2、「Google」×5、「Googleニュース」、「Play Music」×3。
「moto g6 plus」と比較してパフォーマンスとバッテリ駆動時間が向上
ベンチマークテストは簡易式だが「Google Octane 2.0」と「AnTuTu Benchmark」を使用した。Google Octane 2.0は8,513、AnTuTu Benchmarkは113,555(51位)。
Snapdragon 630を搭載した「moto g6 plus」は、Google Octane 2.0が5,073、AnTuTu Benchmarkが90,251なので、かなり性能向上しているのがわかる。じっさい操作してもまったく不満のない速度/反応だった。3D系のゲーム以外であれば十分使えるだろう。
バッテリのベンチマークテストは、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画の全画面連続再生を行なった。
画面キャプチャ上では予測12時間(開始19時)なのだが、じっさいは11時間ほどで電源が落ちた。「moto g6 plus」では約9時間だったので、2時間ほど向上している。
以上のようにモトローラ「moto g7 plus」は、Snapdragon 636/4GB/64GB、6.24型フルHD+、Android 9、OISやポートレートモード対応のカメラ、そして独自のMotoアクションなどを搭載したスマートフォンだ。「moto g6 plus」と比較して、性能やバッテリの持ちも向上している。
カメラのフレアが少し気になるものの、それ以外は価格を考えると十分な内容。4万円ほどでSIMロックフリー機を考えているユーザーにオススメできる1台と言えよう。