西川和久の不定期コラム

6コアCore i7搭載で10万円台からの17.3型ノート、ユニットコム「STYLE-17FH054-i7-UHFS」

STYLE-17FH054-i7-UHFS

 ユニットコムは、Coffee Lake世代のCore i7プロセッサを搭載する17.3型ノートPC「STYLE-17FH054-i7-UHFS」を発売中だ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

Core i7-8750Hと17.3型フルHD解像度のノートPC

 ここ数年、ノートPCは狭額縁で、筐体もスリム、そして軽量なマシンが主流だ。薄く、できるだけ熱も出さないとなると、プロセッサはTDP 15W以下が一般的。もちろんそれで要件は満たされるものの、犠牲になるのは性能だ。

 Coffee Lake世代のプロセッサのリストを見ると、執筆時点ではCoffee Lakeのモバイル用Core iでTDP 15WのSKUはなく、省エネのCore i3-8109UでもTDP 28W。そして2コア4スレッドだ。たとえばNEC PCの15.6型ノートPC「LAVIE Note NEXT NX850/LA」は、Core i7-8750H(6コア/12スレッド、2.2GHz、TDP 45W)だが、15.6型で薄いとはいえ本体の厚みは24.6mm。6コア12スレッドを実現する薄型ノートPCは、少しお預けの状態となっている。

 このような状況下、17.3型と筐体が大きい分、冷却に余裕ができたため、6コア12スレッドのCoffee Lakeを搭載可能としたのが、今回ご紹介する「STYLE-17FH054-i7-UHFS」だ。おもな仕様は以下のとおり。

【表1】ユニットコム「STYLE-17FH054-i7-UHFS」の仕様
プロセッサCore i7-8750H(6コア12スレッド/2.2~4.1GHz/キャッシュ9MB/TDP 45W)
メモリDDR4-2400 8GB(4GB×2)
ストレージSATA SSD 480GB
OSWindows 10 Home
ディスプレイ17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)、光沢なし、タッチ非対応
グラフィックスIntel UHD Graphics 630
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.0
インターフェイスUSB 2.0、USB 3.0、USB 3.1×2(1基はType-C)、ミニD-Sub15ピン、HDMI、100万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力
バッテリ駆動時間約5.1時間
サイズ約419×289×34mm(幅×奥行き×高さ)
重量約2.62kg
税別価格104,980円

 プロセッサはCoffee Lake世代のCore i7-8750H。6コア12スレッドでクロックは2.2GHzから最大4.1GHz。キャッシュは9MBでTDPは45W。現時点でモバイル用としてはCore i9-8950HK(6コア12スレッド、2.9~4.8GHz)、Core i7-8850H(6コア12スレッド、2.6~4.3GHz)に次ぐ高性能なプロセッサだ。ただTDPが45Wのため、排熱機構上、基本的に本機のような据え置き型ノート向けとなる。

 メモリは2スロットあり、4GB×2で計8GB。DDR4-2400 S.O.DIMMが使われている。ストレージはSATA SSD 480GB。ベーシックな構成では、メモリが4GBからとなっていて、その場合の価格は税別では99,980円(税込110,138円)。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 GPUはプロセッサ内蔵のIntel UHD Graphics 630。外部出力用にミニD-Sub15ピンとHDMIを装備している。ディスプレイは非光沢の17.3型フルHD(1,920×1,080ドット)と大型。タッチには非対応だ。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet。無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 5.0も内蔵している。

 そのほかのインターフェイスは、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1×2(1基はType-C)、100万画素Webカメラ、SDカードリーダ、音声入出力。筐体が大きく両側面に余裕があるためポート数も多めだ。USB 2.0、USB 3.0に加え、USB 3.1はType-AとType-Cがある。

 本体サイズは約419×289×34mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.62kg。バッテリ駆動時間はさすがに短めの約5.1時間。税別価格は104,980円となっている。

 プロセッサのクラスやディスプレイのサイズなどを考慮すると、なかなかリーズナブルな製品ではないだろうか。なお、12月25日までは税別99,980円で販売されている。

パネル中央上に100万画素Webカメラ。正面側面右側に各種ステータスLED
天板は小さめ(筐体が大きいので相対的に)にロゴ。後ろ側が少し高く、キーボードが傾いているのがわかる
左側面。ロックポート、電源入力、Gigabit Ethernet、にミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.1 Type-C、USB 3.1 Type-A、SDカードリーダ
右側面USB 3.0、USB 2.0、音声入出力
キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。フットプリントが広いだけに余裕があり、とくにいびつな並びもない。タッチパッドは2ボタン型
キーピッチは実測で約19mm
底面の手前左右のスリットにスピーカー。メモリなどにアクセスできる小パネルはない
ACアダプタのサイズは約120×50×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量は332g。このクラスのわりには小さめ。出力19V/4.74A。バッテリにゴム足が1つついている

 筐体はいわゆるプラスチック製で高級感はなくクラス相応だが、サイズが大きいだけに迫力がある。パネルのフチとキーボード、裏はブラック。ほかの部分はダークなシルバー系だ。天板もご覧のようにシンプル。

 前面はパネル中央上に100万画素Webカメラ。右側に各種ステータスLED。左側面にロックポート、電源入力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.1 Type-C、USB 3.1 Type-A、カードリーダ。右側面にUSB 3.0、USB 2.0、音声入出力を配置。多くの部分が左側面に集中している。

 裏は手前左右のスリットにスピーカー。バッテリは着脱式だ。ゴム足は3つしかないが、もう1つは写真からわかるようにバッテリ側についている。これまで多くのノートPCをさわってきたが、1つだけバッテリ側というのは結構めずらしい。また後ろ側のゴム足は若干高くなっておりキーボードが少し手前に傾く。

 17.3型のディスプレイはそこそこ明るく、発色、コントラスト、視野角もこのサイズとしては悪くない。輝度最小でも暗めの室内であれば十分見える明るさだ。上下左右かなり斜めから見ても色が変わらないのでIPS式だろうか。

 また、Windows/ディスプレイのスケーリングが100%になっている。14型前後のノートPCでは150%になっていることが多く、標準設定で100%は17.3型ならではだろう。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプだ。主要キーのキーピッチは実測で約19mm。17.3型なのでフットプリントも広く、とくにいびつな並びはない。タッチパッドは2ボタン型だ。パームレストを含めて十分な面積が確保されているので使いやすい。

 振動やノイズは試用した範囲では許容範囲。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけるとおもにキーボード左上に熱を持つが、とくに気になるほどの熱さではなかった。サウンドは、スピーカーが本体の下側にあるため、机などに反射して手前に出るタイプだ。シャリシャリ音だが、最大にするとそれなりにパワーはある。

CINEBENCH R15のCPUが1K cb超えの高性能

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。ここはとくにプリインストールアプリなどは設定されていない。デスクトップは壁紙の変更と、左側にAcrobatReader、eFax、Microsoft Office 365登録、U-NEXT、Zoner Photo Studio、動画かんたん作成LoiLoなどのショートカットと多めだ。

 6コア12スレッドのCore i7プロセッサ、8GBメモリ、SSD 480GBということもあり、なにをしても気持ちよく動作する。またパネルが大きいので、普段からモバイルタイプのノートPCを使い慣れていると新鮮な感覚になる。

 ストレージは容量480GBのSATA SSD。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられ空き453GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製が使われている。

スタート画面(タブレットモード)は1画面。とくにプリインストールアプリなどは登録されていない
起動時のデスクトップは壁紙の変更と左側に多めのショートカットが並ぶ
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージは容量480GBのSATA SSD。Wi-FiとBluetoothはIntel製、Gigabit EthernetはRealtek製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約475GBが割り当てられている

 プリインストールされているソフトウェアは、「LoiLoScope 2」、「ノートンセキュリティ」、「WPS Office」、「Zoner Photo Studio 15」などアプリケーション系と、「Intel Rapid Storage Technology」などシステム系となる。また「ユニットコムのお勧め」フォルダには、「Amazon」、「eFAX」といったブックマークが並んでいる。

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。

【表2】ベンチマーク結果
PCMark 10 v1.0.1457
PCMark 10 Score4,249
Essentials8,419
App Start-up Score11,577
Video Conferencing Score7,475
Web Browsing Score6,896
Productivity7,012
Spreadsheets Score8,227
Writing Score5,977
Digital Content Creation3,527
Photo Editing Score4,141
Rendering and Visualization Score2,591
Video Editting Score4,092
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,771
Creative Accelarated 3.03,973
Work Accelarated 2.05,192
Storage4,935
3DMark v2.4.4264
Time Spy401
Fire Strike Ultra242
Fire Strike Extreme423
Fire Strike974
Sky Diver4,498
Cloud Gate9,210
Ice Storm Extreme54,757
Ice Storm81,662
CINEBENCH R15
OpenGL52.02 fps
CPU1115 cb
CPU(Single Core)162 cb
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード558.226 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト489.803 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード320.241 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト303.654 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード320.243 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト260.936 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード36.975 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト82.232 MB/s
BBench
(ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリ節約機能)
バッテリ残量6%まで6時間27分23秒(仕様上約5.1時間)

 ベンチマークテストの結果を見ると、高クロックで12スレッドとなるとCINEBENCH R15のスコアが1,000を超えるなど、そのパワーがはっきりわかる結果が出ている。ストレージやGPUの性能に左右されない純粋な演算能力はかなりありそうだ。

 バッテリ駆動時間は約6時間半。仕様上の約5.1時間よりは伸びている。本機の特性的にはノートPCというより、トランスポータブル的な要素のほうが高いと思われるのでまったく問題はないだろう。


 以上のようにユニットコム「STYLE-17FH054-i7-UHFS」は、17.3型フルHDのディスプレイと、現時点でモバイル用Coffee Lakeとしては上位のプロセッサを搭載。6コア12スレッド、最大4.1GHzと高性能を実現するノートPCだ。サイズがサイズなだけに一般的なノートPCと比較すれば大きく重いものの、これだけのパワーを持ち運べるのはそれだけで魅力的で、需要もあるだろう。

 仕様上、とくに気になる部分もなく、大画面でハイパワーのマシンを持ち運びたいユーザーにおすすめしたい。