西川和久の不定期コラム
Whiskey Lake搭載の高性能モバイルノート、Lenovo「Yoga S730」
~2in1ヒンジ非搭載でクラムシェルタイプのYoga
2018年12月13日 06:00
レノボ・ジャパン株式会社は10月4日、13.3型でWhiskey Lakeを搭載したYogaを発表した。
従来Yogaは2in1モデルのみだったものの、今回のモデルはクラムシェルタイプだ。編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
クラムシェルタイプでWhiskey Lake搭載のYoga
同社の「Yoga」と言えば、クラムシェルタイプに加え、ヒンジが360度回転し、テント/スタンド/タブレットモードへ変身する2in1のイメージが強い。名前もその様が「ヨガのポーズのよう」とのことで「Yoga」となっている。
しかし今回ご紹介するLenovo「Yoga S730」は、“クラムシェルのみ”で2in1ではない。パネルは180度傾くものの、3つのモードには変身しないのだ。「180度しか倒れないのにヨガなのか!?」と、体育の日が10月10日(1年で晴れる可能性が最も高い日)だったのに、ほかに日になってしまったのと同じ違和感をおぼえた筆者は頭が固いのだろうか(笑)。
発表時の記事によると「今後はプレミアムPCブランドとして、クラムシェルなどそのほかの製品種でもYogaの名を冠するモデルが投入される」とのこと。いろいろな機種がYogaブランドで出てきそうだ。
冒頭から余談を書いてしまったが、おもな仕様は以下の通り。内容的にはWhiskey Lake搭載、薄くて軽くて狭額縁、Power DeliveryやThunderbolt 3にも対応した、ハイパワーで最新鋭のノートPCとなる。
Lenovo「Yoga S730」の仕様 | |
---|---|
プロセッサ | Core i5-8265U(4コア/8スレッド、1.6~3.9GHz、キャッシュ6MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB(オンボード)/LPDDR3-2133 |
ストレージ | PCIe NVMe/M.2 SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)IPSパネル、光沢あり、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 620/Type-C |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | Thunderbolt 3×2、USB 3.0 Type-C、720p Webカメラ、音声入出力、指紋センサー |
バッテリ/駆動時間 | 4セル リチウムイオンポリマー/約12時間 |
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 | 約307×210×11.9mm/約1.1kg |
販売価格 | 129,384円(税込/送料無料)、eクーポン適用後: 108,683円(税込/送料無料) |
プロセッサは、第8世代Whiskey LakeのCore i5-8265U。4コア/8スレッドでクロックは1.6GHzから最大3.9GHz。キャッシュは8MB、TDPは15W。現在モバイル用のWhiskey Lakeは、Core i7-8565U(4C/8T、1.8~4.6GHz)、今回のi5-8265U、そしてCore i3-8145U(2C/4T、2.1~3.9GHz)とSKUが3つあり、搭載しているCore i5-8265Uは、中位のモデルとなる。
メモリはオンボードLPDDR3-2133 8GBで、PCMark 10のSystem Informationによると4GB×2の構成。ストレージは256GB NVMe SSD。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics 620。外部出力用としてUSB 3.1 Type-C/Thunderbolt 3が2ポートある。ディスプレイは13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)IPS。光沢ありでタッチ非対応。3辺フレームレスで、画面占有率82%超を謳っている。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1。有線LANはない。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 3×2、USB 3.0 Type-C、720p Webカメラ、音声入出力、指紋センサー。USB 3.0 Type-Cはおもに電源入力用に使用。Thunderbolt 3×2は、USB 3.1とPower Delivery対応、DisplayPort出力機能付きだ。うち1つはPowered USBとなる。
サイズは約307×210×11.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.1kg。4セルのリチウムイオンポリマーバッテリを内蔵し、駆動時間は約12時間。価格は税込/送料無料で129,384円だが、eクーポン適用で108,683円となる。
なお、落下、水漏れ、火災による破損など予期しない事故による傷害をカバーし、盗難、紛失にも対応する、ADP(アクシデント・ダメージ・プロテクション)が1年間標準保証で付いている。モバイル機器としてはなかなかありがたいサービスと言えよう。
筐体はアルミ製でなかなかクール。重量は実測で1,090g。片手で楽々持ちあがる。さらに厚みは11.9mm。カバンなどへ入れてもかさばらない。まさにモバイルノートPCと言ったところだ。
前面は上左右の3辺フレームレスで、画面占有率82%超。従来、これだけ細いとWebカメラは下辺のベゼルやキーボード上にポップアップするような実装だったが、本機は気合で従来どおり上ベゼルの中央上に小さいWebカメラを搭載している。
裏は、手前左右のスリットにスピーカー。ゴム足は手前左右2つ、奥は長い1本。左側面はUSB 3.0 Type-C(おもに電源入力)、音声入出力、Power LED。右側面はThunderbolt 3×2。
左側のType-Cは基本的に電源入力用だ。試しにType-C/DisplayPortケーブルを接続してみたが、映像信号は出ていなかった。右側の2つあるType-Cは、Power Delivery対応、Thunderbolt 3、DisplayPort出力機能付き。奥側がPowered USBとなる。もちろんこちら側でも電源入力は可能だが、機能の多い方をわざわざ電源で1つ潰すこともないだろう。
身の回りの環境にもよるだろうが、筆者の場合、Type-Aがまったくないのは、USBメモリを使ったりするときに、Type-CのUSB Hubを経由しなければならず少し不便だった。またカードリーダがないのも地味に不便かも知れない。
付属のACアダプタのサイズは105×45×30mm(同)、重量228g。本体側がコンパクトな割には大きめだろうか。出力は20V/3.25A、15V/3A、9V/2A、5V/2A。
13.3型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角すべて良好。光沢パネルなので、写真や映像は見栄えする。とにかく綺麗だ。ただし輝度0%は、暗過ぎて実質は使えない。
キーボードはバックライト付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチが約19mm確保され、またクリック感のある打鍵感で入力しやすい。気になるとすれば[Enter]キーに隣接する[」む]キー、右側の[ね]、[る]、[め]、[ろ]など少しピッチの狭いキーだろうか。
タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも含めちょうどいい感じの面積が確保されている。また、タッチパッドの表面はかなりツルツルで、指が滑りやすく良い。
指紋センサーは面積自体は狭いものの、登録/認識どちらも問題なく、そしてスムーズに行なえた。
ノイズや振動は試用した範囲ではまったく気にならないレベルだ。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、おもにキーボードの上が熱を持つ。ただ熱いと言うレベルではないため、とくに問題にはならないだろう。
サウンドはスピーカーが裏にあるので、机などへ反射するタイプだが、薄型ノートPCにありがちなシャリシャリした感じではなく、どっしり、そしてパンチのある音だ。パワーも十分。当初それなりだろうと思っていたので、これには驚いてしましった。音楽も映像も本体だけで十分に楽しめる。
スリムな筐体ながらBBench 12時間越えでハイパフォーマンス
OSは64bit版のWindows 10 Home。スタート画面(タブレットモード)は1画面。Lenovoグループがプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更と、タスクバーに若干アプリを置いている。
Whiskey LakeのCore i5で4コア8スレッド、メモリ8GB、ストレージもNVMe SSDの構成なので当然爆速。キビキビ動き気持ちいい。次買い替えるなら、やはりこのクラスが欲しいところか。
ストレージはPCIe NVMe/M.2 SSDのSAMSUNG「MZVLB256HAHQ」。Cドライブのみの1パーティションで約237GBが割り当てられ空き211GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。
プリインストールのアプリは、「Lenovo App Explorer」、「Lenovo Vantage」、「Lenovo Utility」と言った同社お馴染みのツール系と、「マカフィーリブセーフ」、(本機のケースでは)「Microsoft Office」、「Thunderboltソフトウェア」など。すべて定番なのでとくに説明の必要もないだろう。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R15、CrystalDiskMark、BBench。結果は以下のとおり。
ベンチマーク結果 | |
---|---|
PCMark 10 v1.1.739 | |
PCMark 10 Score | 3,822 |
Essentials | 8,252 |
App Start-up Score | 10,870 |
Video Conferencing Score | 7,110 |
Web Browsing Score | 7,273 |
Productivity | 6,102 |
Spreadsheets Score | 7,637 |
Writing Score | 4,877 |
Digital Content Creation | 3,009 |
Photo Editing Score | 3,704 |
Rendering and Visualization Score | 1,956 |
Video Editting Score | 3,761 |
PCMark 8 v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 3,365 |
Creative Accelarated 3.0 | 3,411 |
Work Accelarated 2.0 | 4,702 |
Storage | 5,060 |
3DMark v2.6.61764 | |
Time Spy | 438 |
Fire Strike Ultra | 288 |
Fire Strike Extreme | 522 |
Fire Strike | 1,186 |
Sky Diver | 4,736 |
Cloud Gate | 9,080 |
Ice Storm Extreme | 46,887 |
Ice Storm | 67,596 |
CINEBENCH R15 | |
OpenGL | 46.42 fps |
CPU | 479 cb |
CPU(Single Core) | 160 cb |
CrystalDiskMark 6.0.0 | |
Q32T1 シーケンシャルリード | 3,425.381 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1,323.898 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 883.472 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 1,053.220 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 267.331 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 206.704 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 54.080 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 110.321 MB/s |
BBench(キーボードバックライト/ディスプレイの明るさ0%、電源モード:バッテリー節約機能) | |
バッテリ残量5%まで | 14時間25分30秒 |
プロセッサが4コア8スレッド、クロック1.6~3.90GHzなので、ノートPCとしてはこれだけでも高性能な上に、NVMe SSDでリード3,000MB/s、ライト1,000MB/sを超える爆速。内蔵GPUなので3D系は仕方ないにしても、各種ベンチマークテストのスコアは、このクラスとしてはかなりのものだ。デスクトップPCでも上位クラスに近くなければここまでのスコアは出ない。
バッテリ駆動時間は、仕様上約12時間のところ約14時間半。ただし輝度最小は暗いため、実際少し明るくして使うと12時間程度に落ち着きそうな感じだ。
以上のようにLenovo「Yoga S730」は、第8世代Whiskey LakeのCore i5、4コア8スレッド、メモリ8GB、ストレージPCIe NVMe/M.2 256GB、狭額縁13.3型IPS式フルHDで、重量約1kg、厚み11.9mmと、スリムなモバイルノートPCに仕上がっている。
ベンチマーク結果からも分かるように、性能もバッテリ駆動時間も十分。パネルやサウンドの品質も文句なし。USB Type-Aがないので使いにくい面があるものの、これは現在Type-Cの過渡期なので仕方ないところ。キーボード右側のキーピッチが若干気になると言えば気になるが、全体的にかなりハイレベルだ。
10万円少し超えたあたりで、軽量、狭額縁、ハイパワー、フルHDのIPS液晶でキーボードバックライト付きと、すべてを求めているユーザーにおすすめしたい逸品だ。