西川和久の不定期コラム
3万円のAndroid搭載10.1型タブレット「LAVIE Tab E」
2018年11月27日 11:00
11月20日NEC PCは、LAVIE Tab Eシリーズから10.1型のAndroidタブレット「TE410/JAW」を発表、11月28日から販売を開始する。販売に先駆け、一足先に編集部から実機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。
一般家庭向けのAndroid 8.1搭載タブレット
本誌ではその特徴上、どちらかと言えばパワーユーザーに向けた製品のレビューが多いものの、世の中一般的には家で普通に使えるPCやタブレットがほしいユーザー層のほうがボリュームゾーンだ。
ちょうど、山田祥平氏のコラム「普通のPCが普通に買えない」を読んでいる間にこのタブレットが届いたのもなにかの運命か(笑)。もはやその代わりとして、このクラスのタブレットが使われているのかもしれない(おそらく、Webブラウザ、メール、Officeなど……そのクラスのPCの代替えなら十分機能する)。
今回ご紹介するタブレットは、まさにそのボリュームゾーンへ向けた一般家庭用だ。本誌的におもしろいハードウェアの特徴はいい意味でなに1つない。その分、初めて使う人向けのシートがあったり、アプリでフォローしたりと、サポート面で差別化を図っている。おもな仕様は以下のとおり。
【表】NEC「TE410/JAW」の仕様 | |
---|---|
SoC | Qualcomm Snapdragon 450(8コア/1.8GHz) |
メモリ | 2GB(LPDDR3) |
ストレージ | 16GB |
OS | Android 8.1(Oreo) |
ディスプレイ | 10.1型IPS式1,920×1,200ドット、10点タッチ対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2 |
インターフェイス | USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット、ステレオスピーカー(Dolby Atmos対応)、モノラルマイク、3.5mmステレオミニジャック |
カメラ | 前面:有効画素数約200万画素/固定フォーカス、背面:有効画素数約500万画素/オートフォーカス |
センサー | GPS、加速度 |
バッテリ | リチウムポリマー/4850mAh、Web閲覧:約11時間、ビデオ再生:約8時間 |
サイズ/重量 | 242×168×8.1mm(幅×奥行き×高さ)/約480g |
その他 | 「フォリオケース」(カバー兼スタンド)、税別価格4,980円 |
税別価格 | 29,800円 |
SoCは Qualcomm Snapdragon 450。8コア1.8GHzで、ミドルレンジ以下のSKUだ。メモリはLPDDR3の2GB、ストレージは16GB。これからもわかるように、Android搭載機とは言え、ほぼ最小構成となる。OSはAndroid 8.1(Oreo)。Android 9 Pie対応も含め、今後のアップデートがどうなるかは気になるものの、現時点(2018年末)で8.1なら合格だろう。
ディスプレイは10.1型IPS式1,920×1,200ドット、10点タッチ対応。10.1型IPS式WUXGAなら使い勝手も良さそうだ。カメラは前面:有効画素数約200万画素/固定フォーカス、背面:有効画素数約500万画素/オートフォーカス。
ネットワークは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2。SIMスロットはない。インターフェイスは、USB Type-C(USB 2.0)、microSDカードスロット、ステレオスピーカー(Dolby Atmos対応)、モノラルマイク、3.5mmステレオミニジャック。Type-Cは充電用も兼ねている。センサーはGPS、加速度を内蔵。
サイズは242×168×8.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約480g。4,850mAhのリチウムポリマーバッテリを内蔵し、駆動時間はWeb閲覧で約11時間、ビデオ再生で約8時間。税別価格は29,800円。
メモリとストレージ容量が少ないとは言え、パネルなど勘所を押さえ、OSはAndroid 8.1、そしてNEC製で価格は3万円切り。サポート面も期待でき、(単にパーツや構成だけ見れば高めだが)そう考えるとリーズナブルではないだろうか。
筐体はよくある白いタブレットだ。iPadよりライトな感じでこれはこれで見栄えする。また筐体の色は一見ホワイトに見えるが薄いブルーがかかっており、ちょっと違う雰囲気を醸し出している。サイズ242×168×8.1mm、重量は実測485gなので、とくに薄くも軽くもない。
前面は、パネル中央上に約200万画素前面カメラ。また写真からはわからないが、その右横に青く光る通知用LEDが埋め込まれている。背面は、右上に約500万画素背面カメラ。先に書いたとおり、前面のフチも含め少しブルーがかったホワイトだ。
左側面には音量±ボタンと電源ボタン。上側面左右のスリットはスピーカー。右側面に3.5mmステレオミニジャック、充電用も兼ねたType-C、microSDカードスロットを配置。また下側面にオプション機器用の接点がある。microSDカードスロットは、SIMスロットと同じくイジェクトピンを使って取り出すタイプだ。したがって頻繁に出し入れはできない。
付属品は、USB式電源アダプタ、USB/Type-Cケーブル、イジェクトピン、かんたん!セットアップシート、サポートガイド。USB式電源アダプタの出力は5V/2A。
かんたん! セットアップシートは、広げるとA3サイズのシートになり、付属品の確認、ACアダプタの接続、電源を入れる、初期設定、Wi-Fi接続、Googleアカウントの設定。ソフトウェアキーボードの使い方、アプリの使い方……など、それなりに書かれており、本機のターゲットが一般層なのがわかる。
10.1型IPS式1,920×1,200ドットのディスプレイは、最大輝度はかなり明るく、また最小でも暗めの室内であれば問題ないレベルだ。コントラスト、発色、視野角も価格を考えれば十分以上。3万円を切る大手メーカー製でこれだけ綺麗なら文句なし。ストレスがたまることもない。夜間モードにも対応している。
カメラは1点作例を掲載するが、スマートフォンのカメラが高性能化している昨今、あえてこのタブレットで撮る必要もないだろう(初期起動時のホーム画面にカメラアプリがないのも、同社としてもこの件は承知なのかもしれない)。
発熱はベンチマークテスト中も含め、試した範囲ではほんのり暖かくなる程度だった。サウンドは、上側面左右にスピーカーを配置と少しめずらしいタイプだ。下にあれば机などに反射するが、上の場合、反射するものがなく、ダイレクトに耳に届く。音質自体は薄いタブレットにありがちなシャリシャリ音だが、その範囲内で低音もパワーもあり、本機単独で音楽や映像などを楽しめる。
オプションのフォリオケースは基本前面/背面をカバーするタイプだ。本体は、上の左右と下の中央にはめ込み固定する。スタンドは、本体下側面をカバーの溝に合わすだけなので、ちょっとした振動でパタリと倒れたりする。重量は実測で316g。合わすと801gなので、まずまずの重量感だ。前面/背面保護用だけならもう少し軽いカバーもほしいところか。
初期セットアップ
初期セットアップは、一般家庭を対象としている関係上、計8つと画面数がかなり少なくなっている。これでつまずくことはまずないだろう。とは言えこれだけスマートフォンが使われているので、昔ほどハードルが高いこともなさそうだ。
シンプルなホーム画面にわかりやすいベーシックな構成
初期起動時のホーム画面は2画面。1画面目はGoogle、2画面目はドックに「YouYube」、「Google Play」、「Yahoo!Japan」、「Googleフォト」。サポートフォルダに「LAVIEアシスト」、「お客様登録」、「サービス一覧」。Googleフォルダに「Google」、「Chrome」、「Gmail」、「マップ」、「ドライブ」、「Play Music」、「Playムービー&TV」、「ハングアウト」、「カレンダー」、「Files Go」。Microsoftフォルダに「Word」、「Excel」、「PowerPoint」、「OneNote」、「Skype」、「Outlook」、「OneDrive」。
Androidのバージョンは8.1.0、セキュリティパッチは2018/8/5。ストレージ16GBの空きは8.15GBと、ほぼ半分しか残っていない。アプリだけなら問題ないが、映像や音楽、写真など、大容量データはmicroSDカードに逃がして運用する必要がある。IMEはFSKAREN。
ホーム画面にないアプリとしては、「ウイルスバスター」、「カメラ」、「カレンダー」、「パスワードマネージャー」、「音声レコーダー」、「時計」、「電卓」、「連絡先」、「Dolby Atmos」、「i-Filter」、「info.Board」、「U-NEXT」などがある。ストレージ容量の関係もあるだろうが、国産メーカー固有のゴチャゴチャした感じもなく、ほぼ定番アプリだけ。非常にわかりやすくスッキリしている。
これらに加え、Facebook、Instagram、Twitterなどがあれば、一般的には普通に使える環境となるだろう。
ウィジェットは、カレンダー×2、ドライブ×3、マップ×3、時計×2、設定、連絡先、Chrome×2、Gmail×2、Google×3、Play Music×3、info.Board×1、OneDrive×2、OneNote×4、Outlook×2。info.Board以外はありがちのパターンだ。
info.Boardウィジェットは、ご覧のようにドーンとまんなかに陣取っているウィジェットで、ニュース、天気、カレンダーを一括閲覧できる同社固有の便利なアプリだ。たまたま山田祥平氏のコラムがトップだったので、そのまま画面キャプチャを撮影した。
高性能ではないが、普段使いなら十分なレベル
ベンチマークテストは簡易式だが、Google Octane 2.0とAnTuTuベンチマークとの結果を掲載する。結果は、Google Octane 2.0 : 3,906、AnTuTuベンチマーク : 70,915(51位)。
もともとSnapdragon 450なので高スコアは望めないが、普段使いでライトな用途であれば、普通に使える性能だ。
バッテリ駆動時間は、音量/輝度50%音量50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約8時間で電源が落ちた。これはジャスト仕様どおり。
以上のようにNEC「TE410/JAW」は、10.1型IPS式1,920×1,200ドットのディスプレイ、メモリ2GB、ストレージ16GB、そしてAndroid 8.1を搭載したタブレットだ。Snapdragon 450なので性能はそこそこ、メモリやストレージ容量は少ないものの、質感、ディスプレイの品質、サウンドなど、勘所を抑え、国内大手のNEC製で税別3万円切り。なかなかうまいさじ加減だ。
パワーユーザーには物足りないと思われるが、家庭で普通に使え、NECのサポートに期待したいユーザーにおすすめできる1台と言えよう。