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まだキーボード入力?macOS Sonomaで強化された「音声入力」を活用しよう!

 Macで文字入力する際は、キーボードを使っている人が多いでしょう。もちろん、集中して文章を書くときはキーボードを使ったほうが効率的ですが、ちょっとしたメッセージや覚え書きを入力したり、手が塞がっていたりするときは音声入力を使うほうが便利です。macOS Sonomaでは音声入力中にキーボードを併用できるようになり、使い勝手がさらに向上しました。ここでは、macOS Sonomaでの音声入力の強化点に触れながら、音声入力を活用するための実践的なノウハウを紹介します。

macOS Sonomaでは音声入力が進化し、より実用的な機能になりました

macOS Sonomaの音声入力は何が変わった?

 macOS Sonomaでは音声入力が刷新され、使い勝手が非常に良くなりました。具体的には、「インターフェイスの変更」「音声認識エンジンの改良」「音声入力中のキーボード操作への対応」という3つの点が強化されています。それぞれ詳細を解説しましょう。

1. インターフェイスの変更

 macOSでは音声入力に切り替えるとカーソル付近にマイクのアイコンが表示され、音声入力が可能であることを教えてくれます。

 従来のmacOSではマイクのアイコンがやや大きめだったのですが、macOS Sonomaではサイズが小さくなり、周りのテキストを隠してしまうことがなくなりました。

 また、カーソルの周りにふんわりと光のアニメーションが表示され、音声入力中にカーソルがどこにあるかが判別しやすくなっています。

2. 音声認識エンジンの改良

 音声認識エンジンが改良され、より正確に認識されるようになりました。早口で話してもより高精度で認識されるようになったほか、入力の合間に「あー」「えーっと」のような発声が混ざった場合も自動的に除外してくれます。これまで以上に思い通りの入力ができるでしょう。

3. 音声入力中のキーボード操作への対応

 これまで音声入力を行なっている間にキーボードで文字を入力するには、音声入力を一時中断しなければなりませんでした。

それに対して、macOS Sonomaでは音声入力に切り替わっているときでもキーボードで文字入力できます(Appleシリコンを搭載したMacのみ)。

 これにより、音声入力で言い間違えた部分をキーボードで修正し、再び音声入力を続けるといった操作がシームレスにできるようになりました。とても実用性の高いアップデートだと言えます。

マイクのアイコンやカーソルは、システム設定の[外観]で設定されている「強調表示色」で表示されます。カーソルの周りの光は、呼吸するようにゆっくりと大きくなったり小さくなったりします
音声入力を中断しなくても、矢印キーでカーソルを移動させたり、文字をタイピング入力したりできます

音声入力の設定を確認しよう

 macOS Sonomaの音声入力の新機能を理解したら、次に基本的な音声入力の使い方について見ていきましょう。

 まず音声入力の設定は、「システム設定」の[キーボード]項目の中にあります。この項目を開くと、中に[音声入力]と書かれたエリアがあるので音声入力をオンにしましょう。

 次に、音声入力に用いる言語を設定します。日本語の文章を作成する場合、通常は日本語だけを設定しておけば問題ありません。他の言語で文章を入力することがある場合は、その言語をオンにしておきましょう。

 また、言語設定の下には、音声入力に使うマイクや、音声入力を開始するためのキーボードショートカットを設定するための項目があります。

 Appleシリコン搭載Macの場合、キーボードショートカットは初期設定ではマイクキーが割り当てられていますが、プルダウンメニューから別のものに変更することができます。さらに[カスタマイズ]から任意のキーを割り当てることも可能です。

 そして最後に「自動句読点」の設定がオンになっているかを確認しましょう。これは文字通り、文章の内容を分析して自動的に句読点を入れてくれる機能です。通常の場合はオンにしておいたほうが便利です。

音声入力の設定は、「システム設定」の[キーボード]項目内にあります
[言語]部分では、音声入力を利用する言語を選択できます。Sonomaでは、63の言語が音声入力に対応しています
[マイクの入力元]では、音声入力に使用するマイクを選択できます。Macに複数のマイクが接続されていると候補が表示されます
[ショートカット]では、音声入力を開始するためのキーコンビネーションを設定します。[カスタマイズ]から任意のキーボードショートカットを指定することも可能です

Macで音声入力を使ってみよう

 設定が終わったら、いよいよ音声入力を使ってみましょう。音声入力は文字入力が可能なすべてのアプリで使用できますので、任意のアプリを開いて文字を挿入するポイントを指定します。

 そして、システム設定で設定したキーボードショートカットを押すと、カーソルのそばにマイクのアイコンが表示されます。そうしたら、そのまま声で文章を入力していきましょう。

 もし音声入力中に文字を削除したくなったら、矢印キーやポインタを使ってカーソルを移動させ、[delete]キーで削除します。

 また、言い間違えた箇所などを修正したいときは、カーソルを移動させてからキーボードで文字を入力し直すといいでしょう。

 音声入力を終了するには、開始に用いたキーボードショートカットを再度押すか[esc]キーを押します。また、30秒間音声を検知しなかったときも自動で終了します。

 なお、Appleシリコンを搭載したMacであれば、デバイス上で処理が行なわれるためインターネットへの接続は必要ありません。

音声入力を開始するとこのようなアイコンが表示され、カーソルの周りにもぼんやりと色がつきます(アプリによっては、カーソルの周りに色がつかないこともあります)
言い間違いを修正したいときは、カーソルを移動させて削除したり、入力し直したりしましょう。いちいち音声入力を終了する必要はありません

音声入力がはかどる実践テク

 Macの音声入力は難しいことを知らなくてもすぐに利用できますが、ちょっとしたテクニックを知っておくともっと便利になります。いくつかご紹介しましょう。

1. 句読点を入力する

 「、」や「。」などの句読点は、システム設定で「自動句読点」をオンにしておけば自動で挿入されます。

 しかし、自分の思い通りに入れたいときは、音声で指示するといいでしょう。「、」は「てん」、「。」は「まる」と発声すれば、それぞれ挿入されます。

2. 改行を入れる

 文字入力中に行を変えたいときは、「かいぎょう(改行)」と発声しましょう。

 ただし、音声入力の実行中は改行が反映されず、音声入力を終了したときに反映されます。使い勝手に少々クセがあるので注意しましょう。

3. さまざまな記号を入れる

 たとえば、括弧を入れたいときは「かっこ」と発声します。また、括弧を閉じたいときは「かっことじる」と発声します。同様にカギ括弧は「かぎかっこ」「かぎかっことじる」と発声しましょう。

 「?」は「はてな」、「!」は「びっくりまーく」で入力できます。四則演算の記号は、「たす(プラス)」「ひく(マイナス)」「かける」「わる」で入力できます。

 ほかにも声で入力できる記号はいろいろとあります。どんな発声で入力できるのか探してみましょう。

4. 絵文字を入力する

 絵文字は、「〇〇の絵文字」と発声することで入力できます。「ハートの絵文字」「自転車の絵文字」「泣いている絵文字」などです。

 実は、絵文字にはそれぞれ読み方が設定されており、「文字ビューワ」上で確認できます。よく使う絵文字の読み方をチェックしておきましょう。

5. アルファベット混じりの文章を入力する

 日本語での音声入力中、外来語はカタカナで入力されます。しかし、作成する文章によっては英単語をそのままのスペルで入れたいこともあるでしょう。

 英語混じりの日本語を音声入力したい人は、あらかじめ音声入力の設定で日本語と英語の両方を登録しておきます。あとは、音声入力中に使用言語を切り替えれば、英語をそのまま入力できます。

入力メニューから[絵文字と記号を表示]を選ぶと「文字ビューワ」が表示されます。絵文字を選ぶと下側に読み方が表示されるので、それを「〇〇の絵文字」と発声して入力しましょう。ただし、「目が星になっている顔」など、長い読みの絵文字は音声入力で正しく判断されないことがあります
アルファベット混じりの文章を入力するには、まずシステム環境設定の[キーボード]項目を開いて設定します。[音声入力]の[言語]部分で、日本語に加えて[英語]→[アメリカ合衆国]も選択しておきましょう
音声入力中、マイクアイコンの横にある「あ」のマークをクリックすると音声入力の言語を切り替えられます。日本語キーボードの場合、[かな]キーと[英数]キーでも言語を切り替えられます
言語を切り替えながら入力していけば、このようなアルファベットと日本語が混ざった文章も音声だけで入力できます

慣れれば慣れるほど入力効率は上がる

 音声入力に慣れないうちは、理路整然とした文章を音声で入力するのは難しく感じるかもしれません。言葉に詰まってイライラすることもあるでしょう。しかし、そこで音声入力を諦めてしまうのはもったいないことです。

 まずは、メッセージなど話し言葉に近いコミュニケーションで活用してみるといいでしょう。日頃から話している感覚で文字入力をすれば、言葉に詰まることも少ないはずです。

 また、自分のためだけの「アイデアメモ」を書き留めるときに使うのもおすすめです。文法や体裁などを気にせず、思いついたことをそのまま記録するといいでしょう。

 このようにして音声入力の使用頻度を上げると、少しずつ音声入力に慣れていき、入力効率も上がっていきます。

 iPhoneやiPadでも同じような使い勝手で音声入力ができるので、外出先でも音声でアイデアのストックができるようになります。