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Macの「もしも」に備えたバックアップは必須。「Time Machine」活用テク
2023年10月30日 06:00
macOSに標準搭載されている「Time Machine」(タイムマシン)を使えば、Mac内のデータを簡単にバックアップできます。バックアップディスクを接続して初回のバックアップを行なえば、あとは自動的にバックアップし続けてくれるので、特に意識することなく利用している人が多いでしょう。しかし、Macの上級者なら、Time Machineをもっと便利に使うためのテクニックは知っておきたいところ。Time Machineの基本をおさらいしながら、さまざまな便利技を確認していきましょう。
iPhoneやiPadと異なるMacのバックアップ
Macを使ううえで欠かせないのが、日頃のデータのバックアップです。Macの内蔵ストレージに保存したデータを別の場所に重複して保存しておけば、故障や誤操作等のトラブルによってデータにアクセスできなくなっても、バックアップしたデータを利用して復元できます。
そのためにMacに搭載されているのが、Time Machineです。このバックアップ機能を利用すれば、アプリや音楽、写真、メール、書類などMacに保存されているデータを自動で外付けストレージにバックアップできます。
そのためOSインストール時のトラブルや、誤ってファイルを削除してしまった場合でもデータを復元できるほか、新しいMacを購入した際にバックアップデータから環境移行をすることもできます。
このTime Machineは、iPhoneやiPadには搭載されていない、Macだけの機能です。iPhoneやiPadではiCloudにデータをバックアップするのが一般的ですが、MacではローカルにあるフォルダでiCloud(iCloud Drive)に保存できるのは[デスクトップ]フォルダや[書類]フォルダのみ。
iPhoneやiPadと違ってMacに保存されるデータは大容量であるため、現状はシステム丸ごとiCloudに保存することはできないのです。
将来的にはiCloudへのバックアップが可能になるかもしれませんが、今のところはTime Machineを使って外付けストレージにデータを保存するのがMacのバックアップの基本だと理解しておきましょう。
もちろん、Windows PCのように、Mac向けにもサードパーティからさまざまなバックアップソフトがリリースされているので、それらを使ってバックアップをすることも可能です。
ただし、無料で利用でき、かつ操作性にも優れていることから、特別な理由がない限りは、まずは標準で組み込まれているTime Machineを利用するのが良いでしょう。
Time Machineの使い方をきちんと理解
Time Machineの使い方はとても簡単です。外付けストレージをMacに接続すると、Time Machineのバックアップディスクとして利用するかどうかを尋ねられますので、[バックアップディスクとして使用]をクリックします。
すると、しばらくして自動的にバックアップの準備が開始され、初期設定ではMacのボリューム全体がフルバックアップされます。
また、利用を尋ねられたときに[後で決める]を選択した場合は、「システム設定」の[一般]→[Time Machine]から手動で追加できます。この場合もバックアップディスクとして追加すると、初回のバックアップが自動的に開始されます。
Time Machineの基本的な設定はこれだけです。2回目以降のバックアップは、Macにバックアップディスクが接続されていれば自動的に行なわれますので、ユーザーは特別な作業をする必要はありません。
また、2回目以降のバックアップは前回のバックアップとの差分データのみを保存する「増分バックアップ」が実行されるので、初回ほど所要時間がかからないようになっています。
なお、Time Machineは復元作業の成功率を高めるために、増分バックアップを単純に繰り返すだけでなく、定期的に増分を統合してフルバックアップと同じように保存してくれます。
こうしたTime Machine独自のバックアップサイクルは、バックアップディスクの容量が許す限り行なわれ、容量が不足してきたら古い分から自動的に削除されます。
バックアップディスクの注意点
Time Machineのバックアップディスクとして利用する外付けストレージは、ハードディスクやSSD、NASなど、一般的に販売されていて、Macに対応したものであればどのようなものでも構いません。
現在は、容量やスピードのバランスに優れ、価格も安価になってきたUSB-C接続のハードディスクをチョイスする人が多いでしょう。
ただし、利用にあたってはいくつか注意点があります。まず1つ目は、バックアップディスクとして指定した場合は、ディスクのアクセス権が読み出しのみとして設定されるため、ほかのファイルなどを保存できなくなること。外付けストレージは、Time Machineのバックアップ専用に用意するようにしましょう。
容量に余裕がある場合は、事前に「ディスクユーティリティ」でパーティションを分割して、片方のボリュームをTime Machine専用に指定することもできます。
2つ目は、当然ながら、あまりにも容量の少ないストレージはバックアップディスクには適さないことです。
Time Machineでは、システム全体をバックアップするためのストレージ容量が不足していたり、継続的な利用で残りのストレージ容量が少なくなってくるとアラートが表示されます。
古いバックアップから自動的に削除してストレージ容量を確保する機能もありますが、バックアップ対象のすべてのディスクやボリュームの総量の2倍以上の容量があることが理想です。
そして最後は、ファイルフォーマットです。Time Machineで利用するバックアップディスクのフォーマットは「APFS(Apple File System)」にするようにしましょう。
macOS Big Sur以降のMacではTime MachineバックアップディスクにAPFSが選択できるようになり、バックアップ作業をより高速に行なえるためです。
なお、APFSのメリットについては、こちらの記事「理解してる?Macのフォーマット「APFS」のメリット/デメリット」も参照してください。
知っておきたいTime Machineの便利技
では、ここからはTime Machineをより便利に使うためのテクニックをいくつか紹介していきます。Macに慣れている人も、基本的なものから応用的なテクニックまで知らないものがないかチェックしてみてください。
バックアップ対象を限定する
Time Machineバックアップは、保存するデータが少ないほど高速に作業が終了します。そのため、バックアップの必要性が低いデータは手動で保存対象から外しておくことをおすすめします。
たとえば、接続されている外付けストレージなどは最初からバックアップ対象外となっていますが、Macのボリューム内でも[ダウンロード]フォルダなどを保存対象外に指定することで容量の節約につながります。
特に、仮想ソフトを利用していると、[ホーム]フォルダ内にWindowsなどの仮想イメージが数十GB単位で保存されていることがあります。このようなデータはTime Machineの保存対象外として別の方法で管理すると良いでしょう。
バックアップの頻度と継続時間を変更する
Time Machineは過去24時間分の毎時間のバックアップ、過去1カ月分の毎日のバックアップ、過去のすべての月の1週間ごとのバックアップを作成します。
ただし、このバックアップの頻度はmacOS Ventura以降、ユーザーが自動で設定できます。「システム設定」の「Time Machine」から[オプション]をクリックすると[自動で1時間ごと][自動で1日ごと][自動で1週間ごと]または[手動]に変更可能です。
バッテリ駆動時にもバックアップする
MacBook AirやMacBook Proでは、バッテリ駆動時にTime Machineバックアップを実行するかどうかを選択できます。
初期設定ではバッテリの節約のためにオフになっていますが、電源やネットワークの利用環境によってはオンにしておくことで、モバイルでも作業中のファイルを安全に保つことができます。
なお、Time Machineを実行していない間もシステム内ではボリューム内のある瞬間の状態が「スナップショット」として複数記録され、次のTime Machine実行時にバックアップとして保存されます。
APFS採用以降のMacでは、Time Machineのバックアップ自体がこのスナップショットの仕組みを利用し、複数のスナップショットの差分のみを効率よく保存できるようになっています。
バックアップデータを個別に削除する
外付けストレージの空き容量が少なくなると、Time Machineでは一番古いバックアップから順番に自動的に削除されるようになっています。
そのため、ユーザーが手動で古いバックアップを削除する必要はありません。もし、何らかの理由で過去のバックアップを個別に削除したい場合は、FinderでTime Machineバックアップディスクを開いて特定の日付のバックアップを削除できます。
なお、以前はTime Machineバックアップのブラウズ画面で日付またはファイル単位での削除ができましたが、現行のMacではできないようになっています。
複数のディスクにバックアップを作成する
Time Machineは、複数のディスクにバックアップを作成できます。たとえば、自宅とオフィスでそれぞれにバックアップを作成したり、複数のストレージにバックアップしたりして安全性を高めることができます。
複数のディスクを登録したときはバックアップが交互に実行されますので、バックアップ頻度が1時間ごとでは短い場合は、1日単位に設定したり、手動で実行したりするのがおすすめです。