ベンチで検証! CPUのキキどころ
3世代9種類のCPUで「OBS Studio」のゲーム配信負荷を検証
2020年11月20日 09:50
今回テストするのは、オープンソースで開発されているライブ配信ソフト「OBS Studio」。ライブ配信ソフトを使ったさいのCPU負荷がどの程度のものなのか、3世代9種類のCPUでテストする。
テストするCPUとそのほかの機材は以下のとおり。
プロセッサー・ナンバー | Core i9-10900K | Core i5-10600 | Core i3-10100 | Core i7-6700K | Core i5-6600K | Core i3-6100 | Core i7-2600K | Core i5-2500K | Core i3-2105 |
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世代 | 第10世代 | 第6世代 | 第2世代 | ||||||
CPUアーキテクチャ | Comet Lake | Skylake | Sandy Bridge | ||||||
製造プロセス | 14nm | 14nm | 32nm | ||||||
コア数 | 10 | 6 | 4 | 4 | 4 | 2 | 4 | 4 | 2 |
スレッド数 | 20 | 12 | 8 | 8 | 4 | 4 | 8 | 4 | 4 |
ベースクロック | 3.7GHz | 3.3GHz | 3.6GHz | 4.0GHz | 3.5GHz | 3.7GHz | 3.4GHz | 3.3GHz | 3.1GHz |
最大ブーストクロック | 5.3GHz | 4.8GHz | 4.3GHz | 4.2GHz | 3.9GHz | ─ | 3.8GHz | 3.7GHz | ─ |
L3キャッシュ | 20MB | 12MB | 6MB | 8MB | 6MB | 3MB | 8MB | 6MB | 3MB |
対応メモリ | DDR4-2933 (2ch) | DDR4-2666 (2ch) | DDR4-2133/DDR3L-1600 (2ch) | DDR3-1333 (2ch) | |||||
PCI Express | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 | PCIe 2.0 x16 | ||||||
TDP | 125W | 65W | 65W | 91W | 91W | 51W | 95W | 95W | 65W |
対応ソケット | LGA1200 | LGA1151 | LGA1155 |
CPU | Core i9-10900K | Core i5-10600 | Core i3-10100 | Core i7-6700K | Core i5-6600K | Core i3-6100 | Core i7-2600K | Core i5-2500K | Core i3-2105 |
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コア数/スレッド数 | 10/20 | 6/12 | 4/8 | 4/8 | 4/4 | 2/4 | 4/8 | 4/4 | 2/4 |
パワーリミット (PL1) | 125W | 65W | 65W | 95W | 95W | 51W | 95W | 95W | 65W |
パワーリミット (PL2) | 250W | 134W | 90W | 118.75W | 118.75W | 63.75W | 118.75W | 118.75W | 81.25W |
パワーリミット (Tau) | 56秒 | 28秒 | 28秒 | 8秒 | 8秒 | 8秒 | 1秒 | 1秒 | 1秒 |
マザーボード | ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) [UEFI:1001] | ASUS Z170-A [UEFI:3802] | ASUS P8Z68-V PRO [UEFI:3603] | ||||||
メモリ | DDR4-2933 8GB×2 (2ch、21-21-21-47、1.20V) | DDR4-2133 8GB×2 (2ch、15-15-15-36、1.20V) | DDR3-1333 8GB×2 (2ch、9-9-9-24、1.50V) | ||||||
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 | ||||||||
システム用SSD | Crucial MX500 500GB (SSD/6Gbps SATA) | ||||||||
アプリケーション用SSD | SanDisk Ultra 3D SSD 1TB (SSD/6Gbps SATA) | ||||||||
電源 | CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold) | ||||||||
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 451.48 DCH (27.21.14.5148) | ||||||||
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 2004 / build 19041.329) | ||||||||
電源プラン | 高パフォーマンス | ||||||||
室温 | 約25℃ |
1080p/60fps配信相当でのCPU負荷をチェック
OBS Studioでは、フルHD(1,920×1,080ドット)かつ60fpsで配信を行なうことを想定して、配信設定と同じ出力設定で録画を行なったさいのCPU負荷を計測する。テストに用いたOBS Studioのバージョンは26.0.2。
配信画面の構成は、フルスクリーンのゲーム映像に、ウェブカメラの映像をワイプ表示するというもの。ゲーム映像は、バトルロイヤルTPS「フォートナイト」を、フルHDかつ高画質設定(描画品質「最高」、DirectX 12、FPS制限なし)で実行したものをOBS Studioのゲームキャプチャで表示する。ワイプ表示するウェブカメラの映像は1280×720ドット/60fps。
また、今回のテストでは、GPU内蔵のハードウェアエンコーダー「NVENC」を利用した場合と、ソフトウェアエンコーダー「x264」を使った場合の2パターンでテストを実施する。エンコーダーの設定は、どちらもビットレートは9Mbps(9,000kbps)
GPUハードウェアエンコーダー「NVENC」利用時
まずは、GeForce RTX 2080が備えるハードウェアエンコーダー「NVENC」を使った場合の結果から。ゲーム(フォートナイト)のみを実行したさいのCPU使用率と、OBS Studioで録画実行中のCPU使用率に加え、録画されなかったフレームの割合である「フレームスキップ率」をグラフ化している。また、ゲームの平均フレームレートが60fpsを下回った条件では、CPU使用率の数値を赤太字で表記している。
動画のエンコードはGPU内蔵のNVENCが担っているため、CPU使用率の増加は4~21%程度にとどまっている。フレームスキップ率もCore i3-2105の1.3%が最大であり、どのCPUでも大きな破綻の無い映像が得られている。また、ゲームの平均フレームレートが60fpsを割り込んだのは、ゲーム単体の時点で60fpsに達していないCore i3-2105のみだった。
ソフトウェアエンコーダー「x264」利用時
続いて、ソフトウェアエンコーダーの「x264(veryfast)」を使い、CPUでエンコード処理を行なったさいの結果をみてみよう。
NVENCの結果と比べれば一目瞭然だが、第10世代CoreプロセッサとCore i7-6700K以外のCPUは、80%を超えるフレームスキップ率を記録している。秒間60フレームのうち8割以上のフレームを録画できていないわけなので、映像としては完全に破綻している。
映像が破綻しなかったCPUについても、CPU使用率は62~93%も増加しており、x264で9MbpsのフルHD動画をエンコードするのがCPUにとって重たい処理であることがうかがえる。
OBS Studioでゲームとライブ配信を両立するなら6コア12スレッド以上がおすすめ
最後に、参考データとしてフォートナイトで計測した平均フレームレートを掲載しておく。
これをみると、x264で破綻のない映像を得られたCPUの中でも、Core i9-10900KとCore i5-10600が10~12%しかフレームレートが低下していないのに対し、4コア8スレッドのCore i3-10100とCore i7-6700Kは4割近くフレームレートが低下していることが分かる。破綻のない配信映像が得られるという点では同等でも、ゲーム体験では結構な差がつく場合もあるということであり、NVENC利用時の結果にも同じことが言える。
今回試したフォートナイトでは、NVENCを用いれば多くのCPUで破綻のほぼない配信映像を得られたが、4コア4スレッドCPUではCPU使用率が90%以上に達しており、よりCPUを積極的に活用するゲームの配信をしようとすれば、配信映像の破綻やゲームのフレームレート低下を招くだろう。
1台のPCでゲームのプレイと配信の両立を目指すなら、今回のテストで余力がある様子が見られるCore i5-10600と同じ6コア12スレッド以上を備えたCPUの導入をおすすめする。
[制作協力: インテル]