ベンチで検証! CPUのキキどころ
3世代9種類のCPUで「XSplit Broadcaster」のゲーム配信負荷を検証
2020年11月27日 06:50
今回テストするのは、SplitmediaLabsのライブ配信ソフト「XSplit Broadcaster」。このソフトを使って、ゲームをライブ配信したさいのCPU負荷がどの程度のものなのか、3世代9種類のCPUでテストする。
テストするCPUとそのほかの機材は以下のとおり。
プロセッサー・ナンバー | Core i9-10900K | Core i5-10600 | Core i3-10100 | Core i7-6700K | Core i5-6600K | Core i3-6100 | Core i7-2600K | Core i5-2500K | Core i3-2105 |
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世代 | 第10世代 | 第6世代 | 第2世代 | ||||||
CPUアーキテクチャ | Comet Lake | Skylake | Sandy Bridge | ||||||
製造プロセス | 14nm | 14nm | 32nm | ||||||
コア数 | 10 | 6 | 4 | 4 | 4 | 2 | 4 | 4 | 2 |
スレッド数 | 20 | 12 | 8 | 8 | 4 | 4 | 8 | 4 | 4 |
ベースクロック | 3.7GHz | 3.3GHz | 3.6GHz | 4.0GHz | 3.5GHz | 3.7GHz | 3.4GHz | 3.3GHz | 3.1GHz |
最大ブーストクロック | 5.3GHz | 4.8GHz | 4.3GHz | 4.2GHz | 3.9GHz | ─ | 3.8GHz | 3.7GHz | ─ |
L3キャッシュ | 20MB | 12MB | 6MB | 8MB | 6MB | 3MB | 8MB | 6MB | 3MB |
対応メモリ | DDR4-2933 (2ch) | DDR4-2666 (2ch) | DDR4-2133/DDR3L-1600 (2ch) | DDR3-1333 (2ch) | |||||
PCI Express | PCIe 3.0 x16 | PCIe 3.0 x16 | PCIe 2.0 x16 | ||||||
TDP | 125W | 65W | 65W | 91W | 91W | 51W | 95W | 95W | 65W |
対応ソケット | LGA1200 | LGA1151 | LGA1155 |
CPU | Core i9-10900K | Core i5-10600 | Core i3-10100 | Core i7-6700K | Core i5-6600K | Core i3-6100 | Core i7-2600K | Core i5-2500K | Core i3-2105 |
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コア数/スレッド数 | 10/20 | 6/12 | 4/8 | 4/8 | 4/4 | 2/4 | 4/8 | 4/4 | 2/4 |
パワーリミット (PL1) | 125W | 65W | 65W | 95W | 95W | 51W | 95W | 95W | 65W |
パワーリミット (PL2) | 250W | 134W | 90W | 118.75W | 118.75W | 63.75W | 118.75W | 118.75W | 81.25W |
パワーリミット (Tau) | 56秒 | 28秒 | 28秒 | 8秒 | 8秒 | 8秒 | 1秒 | 1秒 | 1秒 |
マザーボード | ASUS TUF GAMING Z490-PLUS (WI-FI) [UEFI:1001] | ASUS Z170-A [UEFI:3802] | ASUS P8Z68-V PRO [UEFI:3603] | ||||||
メモリ | DDR4-2933 8GB×2 (2ch、21-21-21-47、1.20V) | DDR4-2133 8GB×2 (2ch、15-15-15-36、1.20V) | DDR3-1333 8GB×2 (2ch、9-9-9-24、1.50V) | ||||||
ビデオカード | ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 | ||||||||
システム用SSD | Crucial MX500 500GB (SSD/6Gbps SATA) | ||||||||
アプリケーション用SSD | SanDisk Ultra 3D SSD 1TB (SSD/6Gbps SATA) | ||||||||
電源 | CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold) | ||||||||
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 451.48 DCH (27.21.14.5148) | ||||||||
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 2004 / build 19041.329) | ||||||||
電源プラン | 高パフォーマンス | ||||||||
室温 | 約25℃ |
1080p/60fpsの配信+ローカル保存でCPU負荷を計測
XSplit Broadcasterでは、フルHD(1,920×1,080ドット)かつ60fpsでライブ配信とローカル保存を行なったさいのCPU負荷を計測する。ここで言うローカル保存とは「ローカル ドライブにレコーディングを自動で保存」を利用したもので、配信用にエンコードしたデータをローカルにも記録するものだ。テストに用いたXSplit Broadcasterのバージョンは4.0.2007.2909。
配信画面は、フルスクリーンのゲーム映像を背景に、Webカメラの映像をワイプで表示した。背景となるゲーム映像には、バトルロイヤルTPS「フォートナイト」を、フルHDかつ高画質設定(描画品質「最高」、DirectX 12、FPS制限なし)で実行したものを表示し、ワイプの映像は1280×720ドット/60fps。
今回は、GPU内蔵のハードウェアエンコーダー「NVENC」を利用した場合と、ソフトウェアエンコーダー「x264」を使った場合の2パターンでテストを実施した。
「NVENC」利用時のCPU使用率
まず、GPU内蔵のハードウェアエンコーダー「NVENC」を使った場合のCPU使用率からチェックする。
以下のグラフでは、ゲームのみを実行したさいのCPU使用率と、XSplit Broadcasterでライブ配信を行なったさいのCPU使用率のほか、ローカル保存された動画のフレームレートから算出した記録できていないフレームの割合「フレームスキップ率」をまとめている。また、ゲームの平均フレームレートが60fpsを下回った条件では、CPU使用率の数値を赤太字で表記している。
4スレッド以下のCPUでは、使用率がほぼ100%に達しているものが多いものの、録画データからはフレームスキップの発生はほぼみられなかった。ただし、Core i3-2105に関してはゲームのフレームレートが60fpsを割り込んでいるので、ゲームの映像自体が滑らかさを欠いた映像になっている。
「x264」利用時のCPU使用率
ソフトウェアエンコーダーの「x264」を使って、CPUでエンコードを行なったさいのCPU使用率をまとめたものが以下のグラフだ。
NVENCの時点でCPU使用率が100%近くに達するCPUが見られたことからも予想できた結果ではあるが、4スレッド以下のCPUはすべて8割を超えるフレームスキップ率を記録している。CPUによってフレームスキップ率に多少の違いはあるが、いずれも視聴できるものではないレベルで破綻した映像であることには変わりない。
フレームスキップが生じなかったのは第10世代CoreプロセッサとCore i7-6700Kの4製品のみで、その中でも4コア8スレッドCPUのCore i3-10100とCore i7-6700Kは、CPU使用率が97%以上に達している。
ゲーム側のフレームレートもチェック
参考データとして、背景映像に利用したフォートナイトの平均フレームレートを紹介する。
GPUのハードウェアエンコーダーであるNVENCを使った場合でも、CPUのコア数が少ないほどフレームレートが大きく低下する傾向がみられる。エンコード処理をハードウェアエンコーダーに任せるとしても、ライブ配信ソフトを稼働させればCPUの負担は増えるということだ。
NVENCを使えばコア数の少ないCPUでも破綻の無い配信映像を用意することは可能だが、余力の少ないCPUではゲーム側のフレームレートが大きく低下してしまうこともある。今回の結果を見ると、フルHDかつ60fpsでプレイ動画の配信を行なうのであれば、Core i3-10100やCore i7-6700Kのような、新しいアーキテクチャを採用した4コア8スレッドCPUを最低ラインと考えるべきだろう。予算が許すのであれば6コア12スレッドや、それ以上のコアを備えたCPUを選びたい。
[制作協力: インテル]