買い物山脈
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約4年ぶりにメインのノートPCを買い換えた。「FMV Note U WU1-K1」
2025年2月19日 06:13
- 製品名
- FMV Note U WU1-K1
- 購入価格
- 30万300円
- 購入時期
- 2025年1月23日
- 使用期間
- 約3週間
筆者がこれまでメインで使ってきたノートPCは、こちらの記事でも紹介した富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の「LIFEBOOK WU2/E3 5Gモデル」(WU2/E3)だ。現在でも、性能面ではまだまだ大きな不満はないものの、購入から約4年が経過しており、あちらこちらに古さが目立ってきていた。また、AI PCやCopilot+ PCの登場以降は、そろそろAIに備えられるPCに買い換えたいとも考えていた。
これまでに登場していたAI PCやCopilot+ PCは、筆者的に決め手に欠けていたのだが、2025年1月に、これなら買い換えてもいい、と思える製品が登場。それが、FCCLの「FMV Note U」だ。製品の受注が始まった1月16日に発注し、1月23日に手元に届いた。その後、1カ月ほど利用したので、使用感などを紹介する。
FMV Note Uを選択したのは必然
今回購入したのは、FMV Note UのWeb直販モデル「FMV Note U WU1-K1」(WU1-K1)だ。選択理由はいくつかあるが、主に以下にまとめたものが直接的な選択理由だ。
- Copilot+ PCであること
- ATOKが問題なく使えること
- それまでのLIFEBOOK WU2/E3 5Gモデルと重量が同等以下
- キーボードの利便性
まず、Copilot+ PCかつATOKが問題なく使える、という条件で、Snapdragon搭載製品はすべて除外となる。そのうえで、重量がLIFEBOOK WU2/E3 5Gモデルの898gと同等以下という条件となると、FMV Note U登場まで該当する製品が一切なかった。つまり、FMV Note Uが、条件を満たす初の製品だったわけだ。
そして、そもそも筆者がそれまで使っていたのは、FMV Note U直系の先祖であるWU2/E3。当然、キーボードの利便性も一切不安がない。
まあ、いろいろと理屈は付けたが、正しくは、LIFEBOOK UH(現在のFMV UH)シリーズ直系の、Copilot+ PCとして世界最軽量となるであろうモデルが登場するまで待っていたわけだ。
ただし、実際には1つ大いに悩んだ点がある。それは、WU1-K1ではWWANを搭載できない、という点だ。
WU2/E3を購入する時の選択理由の1つは、5G対応のワイヤレスWAN(WWAN)を搭載する、というものだった。もちろん、新たに購入するノートPCでも、WWANは可能か限り搭載したいと考えていた。
ところが、FMV Note Uの発表会に参加し、開発メンバーに尋ねてみたところ、FMV Note Uでは直販モデルも含めてWWAN搭載の計画はない、とのことだった。なぜWWAN搭載の計画がないのか、その理由までは教えてもらえなかったが、計画がないのであれば待ってもしかたがない。
というわけで今回は、WWAN搭載は不本意ながら諦め、PCの買い換えを優先することに。発表会の終了直後に、会場から富士通WEB MARTにアクセスし、WU1-K1を発注したのだった。
WU1-K1は、Web直販モデルということもあって、スペックをカスタマイズして購入できる。今回筆者が購入したWU1-K1については、OSをWindows 11 Pro、プロセッサをCore Ultra 7 258V、ストレージを1TB SSDにカスタマイズするとともに、メーカー延長保証「ワイド保証(3年)」を追加した。
ワイド保証は、落下や水こぼしなどのトラブルにも対応してもらえる有償の追加保証。従来もワイド保証に加入していたが、それによって助けられたことが何度かあったため、今回も加入することに。そちらは1万3,200円だ。
本体価格はFMVユーザー価格で29万100円、追加のワイド保証を加えて30万3,300円。そこからクーポン割引きが3,000円加わって、最終的には30万300円だった。ギリギリ30万円越えと想定よりかなり高くなり、ちょっと躊躇しかけたものの、それまでの4年間で買い換え予算をコツコツ貯めておいたので、まあ良しということにした。
FMV Zeroには敵わないが、重量に関して不満なし
無事WU1-K1が手元に届いたので、WU2/E3と比較していこう。
WU2/E3と並べて比べてみると、WU1-K1のほうが奥行きが長いなど、フットプリントは大きくなっている。これは、搭載ディスプレイがWU2/E3のアスペクト比16:9の13.3型液晶から、WU1-K1ではアスペクト比16:10の14型液晶に変わったことが要因。とはいえ、幅が1.8mm、奥行きが12mm大きくなっているだけで、そこまで大幅なサイズ増ではない。しかも、以前から、次ノートPCを買い換えるときにはアスペクト比16:20の14型ディスプレイ搭載と考えていたので、この点は全く問題なしだ。
また今回は、FCCLから重量634gの世界最軽量モデル「FMV Zero WU5/J3」をお借りし、そちらとも比較してみたが、WU1-K1とFMV Zeroはほぼ同等の筐体を採用しているため、全く同じという印象だった。
重量は、WU1-K1とWU2/E3を持って比べてみても、ほとんど違いを感じなかった。それもそのはず、双方の実測の重量は、WU2/E3が868.5g、WU1-K1が860gと8.5gの差でしかなかった。ちなみに、公称の重量はWU2/E3が898g、WU1-K1が868gだから、どちらも公称を下回っている形。なんにせよ、もともと使っていたWU2/E3と同等以下の重量は死守したかったので、これは嬉しい。
もちろん、634gのFMV Zeroと持ち比べると、200g以上の差があることからWU1-K1はかなり重く感じる。とはいえ、そこは当初から織り込み済みなので、特に不満はない。
ロゴが目立たなくなり、ノイズレスですっきりとした印象
本体デザインは、WU2/E3からサイズが変わっているとはいっても、大きな違いはない。また、FMV Zeroとは同じ筐体を採用していることもあって、外観の違いはない。それでも、細かく見るといくつか違いがみつかる。
まず天板の富士通マークは、WU2/E3では天板中央にやや大きく刻まれているのに対し、WU1-K1では左下隅に小さく刻まれるだけだ。これはLIFEBOOK UHの数世代前からの変更なので新しい特徴ではないが、WU2/E3を使っていた身としては、大きな違いと感じる。
また、ディスプレイが4辺狭額縁仕様となったことで、WU2/E3にあったディスプレイ下部のFujitsuロゴもなくなっている。これはLIFEBOOK UHでアスペクト比16:10の14型液晶を採用してからその仕様だが、こちらも見た目にすっきりとした印象だ。
同時に、FMV Zeroではキーボード左上にFujitsuロゴが刻まれているが、WU1-K1ではそのFujitsuロゴもなくなっている。代わりに、キーボード左下、左パームレスト部にFMVロゴが新たに刻まれている。天板の富士通マークと合わせ、小さく控えめに刻まれているため、ほとんど目立たない。
ノイズレスという意味では、キーボードの刻印も同様だ。WU2/E3のキーボードではキーにカナ刻印があったが、WU1-K1のキーではカナ刻印が省かれている。また、「半角/全角」や「変換」「無変換」などの日本語表記も英語表記や記号表記となっている。
FMV Zeroではキーボード刻印がかなり薄く、さらに目立たなくなっているが、WU1-K1ではキーボードバックライトを搭載することもあって、刻印はFMV Zeroよりは目立つ。とはいえ、キーボード面の見た目は非常にすっきりとしていて、ノイズレスの印象を強めている。これはなかなか好印象だ。
CPUクーラー排気口付近の構造が変わった点も嬉しい
普段筆者は、自宅でWU2/E3を利用する時には、ディスプレイを閉じた状態でスタンドに縦置きし、USB Type-Cケーブルで外部ディスプレイに接続している。その場合、WU2/E3ではCPUクーラーの排気口が本体背面ギリギリに設けられているため、スタンドに縦置きした時に排気口が塞がれ、排気の流れが妨げられる心配があった。
それに対しWU1-K1の排気口は、本体背面からやや内側に位置し、ディスプレイを閉るとディスプレイヒンジ底面側の斜めの切り込みに沿って排気が流れるような構造となっている。そのためスタンドに縦置きしても排気の流れがほとんど妨げられず、安定して冷却できるようになっている。
この構造は、こういった使い方を想定したものかどうかは分からないが、個人的にはありがたいと感じる。
インターフェイスが豊富なのはいいが、microSDカードスロットは少々残念
そもそも筆者がLIFEBOOK UHシリーズを使ってきたのは、その軽さやキーボードの使い勝手はもちろん、豊富なインターフェイスを備えている点も大きな要因だ。
競合のモバイルPCでは、USB Type-C/Thunderbolt 4しかなかったり、有線LANやメモリカードスロットがない製品がかなり多い。それに対しLIFEBOOK UHシリーズは、従来よりUSB Type-C/Thunderbolt 4はもとより、USB Type-A、HDMI、有線LAN、メモリカードスロットを備えており、別途アダプタなど不要でそれらを利用できる利便性の高さは、非常に重宝してきた。
それはWU1-K1にもしっかり受け継がれていて、Thunderbolt 4 2基、USB Type-A 2基、HDMI、有線LAN、メモリカードスロットを標準で備えており、利便性はほぼ失われていない。
また、従来の電源ボタン一体型指紋センサーに加えて、WU2/E3では非搭載だった顔認証カメラも標準に搭載される点も大きな進化と感じる。
先に紹介したように、自宅ではディスプレイを閉じ外部ディスプレイに接続して利用しているため、本体内蔵の指紋センサーと顔認証カメラはほぼ使うことがないが、外出時にはかなり便利に活用できている。
ただ、1点だけ残念な部分がある。それはメモリカードスロットがmicroSDカードスロットとなっている点だ。WU2/E3では標準サイズのSDカードスロットだったため、デジタルカメラで撮影したデータの転送も楽に行なえていたが、それが不可能となった。
仕方がないので、デジタルカメラで利用するSDカードをmicroSDカードに変更したが、どうしてもカメラから取り出したあとに、アダプタからmicroSDカードを抜くというワンアクションが加わってしまい、少々面倒に感じる。
このあたりはサイズ的な制約が大きかったと考えられるが、やはり利便性を考えても、可能なら将来のモデルでSDカードスロットに戻してもらいたいと思う。
バッテリ駆動時間が大幅に延びてありがたい
WU1-K1が届いてから1カ月弱ほどになるが、その間に取材などで外に持ち出して利用する機会も何度かあった。そこで感じたのが、バッテリ駆動時間が大きく改善された、という点だ。
それまで使っていたWU2/E3は、当初こそあまり省電力を気にせず利用しても、4~5時間ほど駆動できていたが、利用期間が長くなるにつれて駆動時間も短くなり、最近では3時間持てばいいほう、といった状態だった。
それに対しWU1-K1では、1日に1時間~1時間半の記者会見を3つハシゴし、それぞれで会見内容をメモするだけでなく、会見内容の録音を敢えてWU1-K1で行なうなど、それなりに酷使してみた。設定は、ディスプレイの輝度を50%(会見会場は多くの場合暗く、50%でも明るすぎるぐらい)、スマートフォンをテザリング設定にしてWi-Fiで接続、キーボードバックライトはオフ、Windowsの省電力設定はバランスとした。
その状態で、トータル3時間半ほどの利用でもバッテリは59%ほど残っていた。そのまま使い続けたとしても、9時間ほどは問題なく利用できる計算。実は途中、バッテリの減りがやや多いなと思って確認したところ、裏でWindows Updateが動いており、そこでかなり多くの電力が消費されたようだ。そのため、Windows Updateが動いていなければもっと消費量は少なかったはず。
そう考えると、おそらく普段の使い方なら10時間は余裕で利用できると考えられる。いくら取材が重なっていたとしても、それだけの長時間バッテリ駆動のみで使い続けることはなく、これならバッテリ駆動時間は全く気にせず利用できそうだ。
ちなみに、WU1-K1と、それまで使っていたWU2/E3、借用したFMV Zeroで、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用した駆動時間もチェックしてみた。計測条件は、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、Wi-Fi接続、WU2/E3ではWWANをオフにして計測した。
その結果は、WU2/E3が5時間24分、FMV Zeroが7時間22分だったのに対し、WU1-K1は24時間と圧倒的だった。この結果からも、バッテリ駆動に関して今後数年は全く気にしなくて良さそうだ。
最後に性能をチェック
今回、WU1-K1を購入するうえで、Copilot+ PCに対応という点は重視したものの、性能についてはそこまで重視していなかったが、やはりそれまで使っていたWU2/E3からどの程度性能が向上しているのか、という点が気になるのも事実。そこでまず、ベンチマークテストで確認することにした。合わせて今回は、FMV Zeroもお借りしているので、そちらとも比較してみた。
なお、搭載プロセッサはWU1-K1がCore Ultra 7 258V、WU2/E3がCore i7-1165G7、FMV ZeroがCore Ultra 7 155Uで、搭載メモリ容量はWU1-K1とWU2/E3が32GB、FMV Zeroが16GB。
利用したベンチマークソフトは、PCMark 10、Cinebench R23、3DMarkだ。結果は以下にまとめた通り。
結果を見ると、WU1-K1はWU2/E3はもちろん、FMV Zeroのスコアと比べてもほとんどの項目で大きく上回っている。細かく見ると、PCMark 10ではDigital Content Creationのスコアの違いがかなり大きいし、Cinebench R23もマルチコア、シングルコアともにスコアが大きく上回っている。3DMarkについてもFMV Zeroに対しほぼ2倍以上のスコアが得られた。
これは、やはりWU1-K1が搭載するCore Ultraシリーズ2のCPUおよび内蔵GPUの性能の高さによるものだ。性能を重視していなかったとはいえ、当然性能は優れている方が作業の快適度が高まるため、嬉しいのは間違いない。
実際に、普段の作業の快適度も、それなりに向上したと感じる。筆者は動画編集を行なうことはほとんどないが、それでも撮影した写真のレタッチなどは処理が軽くなって、短時間で処理できるようになったと感じる。そういった意味では、やはり4年前のPCとは違うな、という印象だ。
WWANが搭載できれば完璧だった
筆者は、これまでは仕事用のノートPCを2~3年のペースで買い換えていた。仕事柄、可能か限り新しいPCを使っておきたいということや、以前は2年もすれば性能や機能の向上が大きく、買い換えの動機にもなっていた。
しかし、ここ数年ノートPCでは、性能や機能の向上はそれほど劇的には進んでいない。確かにAI PCやCopilot+ PCのような、新しい要素も登場してはいるが、AI関連機能はまだ登場したばかりで。ローカルでのAI処理に対応すべくプロセッサにNPUが搭載されていても、そのNPUがなければ利用できないAIのキラーアプリと呼べるものもまだ存在しない。そういったこともあって、WU2/E3からの買い換えにも腰が重くなり、4年間、同じノートPCを使い続けることになったわけだ。
今回購入したWU1-K1については、概ね満足できている。性能や機能はもちろん、Copilot+ PC準拠ということで、AI関連機能にも備えられる。そのため、これからまた数年は十分活躍してくれそうだ。
ただし、不満が全くないというわけではない。そのうちの1つが、Copilot+ PCの要件を満たしているものの、この原稿を執筆している2月中旬時点では、Copilot+ PCの機能を利用するにはWindows Insider Programに参加しなければならないという点。Copilot+ PCのAI関連機能は、現時点で使えなくても困ることはないが、せっかくCopilot+ PC準拠のPCを手に入れたのに、Copilot+ PCの機能を標準で利用できないのは残念だ。これはFCCLではなくマイクロソフトの対応が原因と思われるが、早急に対応してもらいたい。
そして、もう1つの不満は、WWANだ。WU1-K1にはWWAN搭載の予定がないということで、ある程度納得して購入してはいるが、実際にWU1-K1を持って取材に行くと、そのたびにWWANがないことに不満を感じている。
Copilot+ PC関連についてはともかく、WWANに関しては要望が多いはずなので、次はぜひとも搭載してもらいたいと思う。