買い物山脈

軽量至上主義者が選んだ5Gモバイルノート。30万円の価値はある富士通UH-X系の充実度

製品名 : LIFEBOOK WU2/E3 5Gモデル

購入金額 : 31万6,472円

購入時期 : 2020年12月

試用期間 : 1カ月

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです
購入した「LIFEBOOK WU2/E3 5Gモデル

 2020年冬にかけて、Tiger Lakeこと第11世代Coreプロセッサを搭載するモバイルノートが続々登場。またそのなかには、5G対応ワイヤレスWAN搭載モデルも用意され、モバイルノートが一歩先に進んだ印象だ。

 そこで筆者も、いいタイミングということでモバイルノートの買い換えを決意。選択したのは、富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK UH-X」シリーズのWeb直販モデル「LIFEBOOK WU2/E3 5Gモデル」だ。今回は、その顛末について紹介する。

選択するパソコンは、とにかく軽さを最優先

 筆者は、ライターの仕事をはじめて少し経ったころから現在まで、自宅でもほとんどデスクトップパソコンを使わず、モバイルノートを中心に仕事をこなしている。

 仕事上、国内や海外の取材がそこそこあり、パソコンを持ち出して外出先で記事を仕上げなければならないことも多い。そこで、簡単に外出先へ持ち出せるモバイルノートをメインPCにすれば、自宅だろうと外出先だろうと同じ感覚で仕事をこなせるだろうと考えて、仕事はすべてモバイルノートで行なうことにしたわけだ。

 もちろんそこには、性能からキーボードの使い勝手まで、モバイルノートが仕事用のメインPCとして十分活躍できるだけのスペックを備えている、という側面もある。もしモバイルノートを使って仕事をする場面で妥協点が多いようでは、筆者もメインPCとして使ってこなかっただろう。

 また、もう1つの理由が、決められた場所で仕事をするのがあまり好きではない、というものだ。たまにはデスクに座って仕事をすることもあるが、リビングルームのテーブルを使ったり、床にごろごろ寝転がってTVを見ながら仕事をすることもある。そういう場面でも、コンパクトで軽量なモバイルノートは都合がいい。

 そんな筆者が選ぶモバイルノートは、とにかく軽さを最優先している。それも、重量が1kgを下回るものを基本条件としている。これは、外出時には必ずと言っていいほどパソコンを持ち出すため、とにかく荷物を軽くしたいというのが大きな理由だ。

 このところの変遷は、NEC PCのLAVIE Hybrid ZEROシリーズ、富士通のLIFEBOOK UHシリーズ、ASUSのExpertBook B9といった感じで、すべて重量は900g切りとなっている。

筆者がこれまでに使ってきたモバイルノート。上がNEC PCの「LAVIE Hybrid Zero」、左下が富士通の「LIFEBOOK UH-X/C3」、右下がASUSの「ExpertBook B9」。どれも重量が900gを切る軽いものばかりだ

インターフェイスも重要な選択ポイント

 軽さを最優先しているとは言え、それ以外の部分を無視しているわけではない。日々文章を書いていることもあるため、キーボードやポインティングデバイスの使い勝手も当然しっかりチェックしており、あまりにも使い勝手の悪いものはいくら軽くても選択肢とはなり得ない。キーボードに関しては、フルピッチの確保は最低条件で、配列や打鍵感も確認して、納得できるものを搭載しているかチェックするようにしている。

 また、ディスプレイのサイズは、フルHDの等倍表示で文字の視認性をしっかり確保できるものということで、13型以上を選択している。

 そして、もう1つのポイントが、搭載されるインターフェイスの種類だ。

 近年のモバイルノートでは、USB Type-Cさえあればほかのインターフェイスがなくても問題ないだろう、とばかりにインターフェイスを減らしている製品が多い。確かに、USB Type-Cがあれば拡張性に困ることがあまりないのも事実だ。しかし実際には、USB Type-Cだけでは不便な場面も少なくない。

こちらはレノボの「ThinkPad X1 Nano」だが、インターフェイスはThunderbolt 4を2つとオーディオジャックを用意するのみとなっている。今回の買い換え候補に入れていたのだが、最終的にはインターフェイスの点で購入を見送った

 たとえば、外出先で取材記事を書く場合には、取材で撮影した写真をパソコンに取り込む必要がある。展示会取材などではプレスルームに用意されている無線LANがあまりにも遅く、有線LANを利用したい場面も多い。

 とは言え、最近のモバイルノートはSDカードスロットや有線LANポートを標準搭載するものは少数派だ。また、電源にUSB PD準拠のACアダプタを利用する製品も増えており、USB Type-C×2だけではインターフェイスが足りなくなる場合もある。

 パソコンに豊富なインターフェイスなんて不要という声もよく聞くが、おそらくそういう人の多くは、そのパソコンを外に持ち出さず、つねにデスクに置いて使っているのではないだろうか。確かにそれなら、USB Type-Cさえあれば問題ないだろう。そして、そういった人の多くが、モバイルノートであってもアダプタやポートリプリケータを同時に持ち歩けばすむだろう、と言う。それも間違ってはいない。

 ただ、アダプタやポートリプリケータを同時に持ち歩くということは、それだけ外出時の荷物が増えてしまうことになる。また、それらを持ち出し忘れたり紛失したら、かなりの不便を強いられてしまう。

 しかし、はじめから豊富なインターフェイスが用意されていれば、そもそもそういった問題は発生しない。USB Type-Cしかなくて困ることはあっても、それ以外の豊富なインターフェイスが用意されていて困ることはない。

自宅での作業時には、このようなポートリプリケータがあれば問題ないが、外出時にこれを持ち出すのは面倒だし、忘れたりなくしたときにはかなり困ってしまう
ExpertBook B9は有線LANとSDカードスロットがなかったため、USB接続のGigabit EthernetアダプタとSDカードリーダを同時に持ち歩いていたが、正直面倒だった

 ちなみに、性能についても可能なかぎり犠牲にしたくないが、仕事では極端に高負荷なアプリは利用しないので、Intel製CPUならCore i7 Uシリーズでまったく問題ない。

 以前はパソコンでもゲームをプレイする機会が多かったが、現在はパソコンでほとんどプレイしなくなったので、ディスクリートGPUも不要。

 というわけで、重量はわずか634gと13.3型ノートパソコン世界最軽量を実現しつつ、CPUにCore i7-1165G7を採用と性能面は申し分なく、キーボードの使い勝手に優れ、USB Type-C、USB Type-A、有線LAN、HDMI、SDカードスロットなど、インターフェイスも豊富に用意していることから、LIFEBOOK UHシリーズを選択したわけだ。

 過去にLIFEBOOK UH-X/C3も使っていたため、ExpertBook B9を挟んでまたLIFEBOOK UHシリーズに戻ってきたかたちだ。

最軽量の634gモデルではなく、全部入りのLIFEBOOK WU2/E3 5Gモデルを選択

 今回購入したのは、2020年10月に発表された「LIFEBOOK UH」シリーズ最新モデルのWeb直販モデル「LIFEBOOK WU2/E3」(以下、WU2/E3)だ。ただし、今回は634gの最軽量モデルは選択しなかった。

 最軽量モデルでも、CPUはCore i7-1165G7、メモリは最大32GB、内蔵ストレージは最大2TBを選択できるため、スペック面は申し分ない。最軽量モデルはバッテリ駆動時間がかなり短いものの、それも近年では外出先で仕事を行なう場合に電源を取れない場面がほとんどなくなっているため、個人的には大きな問題とは感じていない。

 それでも世界最軽量モデルを選択しなかったのは、せっかくなら5G対応ワイヤレスWANを搭載したかったのと、最軽量モデルはThunderbolt 4を搭載しないからだ。せっかくTiger Lakeを搭載しているのなら、Thunderbolt 4も使えるようにしておきたいと考えるのは自然だろう。

 5Gモデルは容量50Whのバッテリを搭載することもあり、重量は最軽量モデルより250g以上重い898gとなるが、それでも900gは切っている。軽いことに越したことはないが、それでも900g切りなので個人的に問題なしだ。

 ただ、LIFEBOOK WU2/E3の5Gモデルは、予約が開始されて以降、納入時期が1~2カ月という状況がずっと続いていた。発注しても、いつ実機を入手できるかわからない状況だったため、購入も見合わせていたわけだ。ところが、12月15日にふと直販サイトを覗いてみたところ、納期が「1週間程度」になっていることを発見。これなら2020年内に入手できるぞ、ということで、その場で即発注したのだった。

12月15日に何気なく直販サイトを覗いてみたら、WU2/E3の5G対応モデルの納期が1週間程度になっていたため、その場で即発注した

 購入したWU2/E3は、OSがWindows 10 Pro、CPUがCore i7-1165G7、メモリは32GB、内蔵ストレージは1TB SSDという構成。これまで使ってきたパソコンはメモリが8GBまたは16GBだったが、今回はとにかくめいっぱいメモリを積む方向で上限の32GBを選択した。

 この構成での価格は39万6,000円。さすがにちょっとクラクラくる金額だったが、筆者は過去に直販サイトで製品を購入したことがあったため、購入時点で22%引きの割引クーポンが利用できたことと、キャンペーンの5,000円引きも加わって、30万3,162円に減額。これに3年ワイド保証を加えて、最終的には31万6,472円となった。これでもなかなかの金額だが、仕事用のメインPCでもあり、個人的には納得している。

購入時したWU2/E3の構成。価格は39万6,000円だったが、各種割引きで30万3,162円に。最終的には3年ワイド保証を加えて316,472円だった

製品が届くまでの間にスマホの契約を5Gに切り替え

 通常なら、発注後は製品が届くまでとくに準備することはないが、今回は1つやっておくことがあった。それは、内蔵の5G対応ワイヤレスWAN用に5G契約のSIMを用意するというものだ。

 筆者のメインスマホはNTTドコモ版のXperia 1で、SIMの契約は4G契約のままとなっていた。ただ、2020年12月1日より端末購入を伴わず5Gサービスへの契約変更が可能となった。そこで、スマートフォン端末はXperia 1のまま、契約を5Gギガホに変更し、新たに5Gデータプラスを契約することで、WU2/E3の5GワイヤレスWAN用の5G契約SIMを入手することにした。

メインスマホのドコモ版Xperia 1。契約は4G契約だったが、WU2/E3のワイヤレスWANのために5G契約となる「5Gギガホ」へとプランを変更

 5Gデータプラスでは1カ月あたりのデータ量が30GBまでとなるが、現在は外出する機会がほとんどないし、外出する場合でも過去の経験から1カ月で30GBを使い切ることはほぼないと判断。また、もし30GBを使い切ったとしても、5Gギガホ契約のスマートフォンでテザリングを行なえば問題ない。

 というわけで、さっそくオンラインで契約変更の手続き、と思ったものの、ほかの端末用の回線契約の関係でオンラインでサクッと変更というわけにいかず、仕方なく最寄りのドコモショップを予約することに。すると、運良くキャンセルが出たとのことで当日分の予約が取れ、1時間ほどで契約変更が完了。無事、WU2/E3用の5G契約SIMを入手できたのだった。

スマートフォンのプラン変更に合わせて5Gデータプラスを追加で契約し、WU2/E3用の5G契約SIMを確保した

重量は実測で874gと公称よりも結構軽い

 発注からちょうど1週間後の12月22日、無事WU2/E3が自宅に配達されてきた。すでに最軽量モデルのUH-X/E3はレビューで触っていたとは言え、やはり新しい製品を手にする瞬間はワクワクするものだ。

 箱から出したWU2/E3は、見た目はUH-X/E3とほぼ同じだが、やはり手に持ったときの印象は異なった。UH-X/E3は手に持った瞬間にそのあまりの軽さに驚かされたが、WU2/E3ではそういった印象はなかった。さすがに重量が898gなのだから、そういう感じるのもしかたがないだろう。それでも、900gを切っているのだから十分に軽い。

 ちなみに、外観などはUH-X/E3のレビュー記事を参照してもらいたい。ただ、右側面にワイヤレスWAN用のSIMカードスロットが用意されていたり、キーボードにバックライトを内蔵しているなどの違いもある。

発注からちょうど1週間経った12月22日に無事WU2/E3が自宅に届いた
WU2/E3は、外観こそ最軽量モデルのUH-X/E3とほぼ同じだが、250g以上重いためにUH-X/E3をはじめて手にしたときのような驚きはなかった
外観は、最軽量モデルのUH-X/E3とほぼ同じ
WU2/E3 5Gモデルでは、右側面にワイヤレスWAN用のSIMカードスロットがある
キーボードにバックライトを内蔵している点もUH-X/E3とは異なる部分だ

 では、実際の重量はどのくらいなのか。そこは購入した時点から強く興味のある部分だったので、箱から出してまず最初に行なったのが重量のチェックだった。

 おそらく公称からそんなに大きくは変わらないだろう。そう思いつつ秤に乗せてみたところ、表示された数字は875g。なんと公称より23gも軽かったのだ。23g軽いからと言って、実際に手に持ってもほとんどわからない程度だとは思うが、かぎりなく900gに近い数字を見るのとは気分的にもかなりの違いだ。これはいいほうに期待が裏切られたかたちで、かなりうれしく感じた。なお、SIMカードを装着した状態での重量は875.5gだ。

購入したWU2/E3の重量を測定してみたところ、875gと公称より23gも軽かった

 WU2/E3購入まで使っていたExpertBook B9の重量は実測で865gだったので、それと比べると10gほど重くなったかたちだ。ExpertBook B9は14型液晶搭載なので、ディスプレイサイズが小さくなった上に重くなるというのはちょっと気になる部分ではあるが、実際に持ち比べてみても重さの差はまったくわからなかった。そのうえで、スペックが強化され、5G対応ワイヤレスWANも内蔵していることを考えると十分納得できる。

 そのかわり、WU2/E3にはSDカードスロットと有線LANが内蔵されているため、これまでExpertBook B9といっしょに持ち歩いていたSDカードリーダとLANアダプタが不要となる。それらの重量は合わせて48.9g。トータルでは40g弱軽くなる計算で、取材などでWU2/E3持ち出す場合、これまでと比べて荷物の重量はわずかに軽くなることに。

 本体はわずかに重くなったが、トータルでの重量が軽くなり、アダプタを忘れて困るといったこともなくなるのは、重量が軽いうえに豊富なインターフェイスを備えるWU2/E3の大きな利点と言っていいだろう。

 さて、ひととおり重量を計測した後、半日ほどをかけて環境構築と必要なデータの転送を行ない、12月24日より本格的な利用を開始したのだった。

これまでExpertBook B9と一緒に持ち歩いていたLANアダプタとSDカードリーダの重量は合わせて48.9g。これを持ち出す必要がなくなるので、トータルでの重量はWU2/E3単体のほうが軽くなる

5Gはさすがに高速だが、しばらく出番がないのは残念

 さて、セットアップが終わったら、次に試したくなるのが5G対応ワイヤレスWANだ。ただ、購入した2020年12月の時点では、筆者の自宅周辺でドコモの5G対応エリアはまったくと言っていいほどなく、試そうと思ったら対応エリアまで出掛ける必要があった。

 そういったなか、ちょうど12月24日に年内最後となるオフライン取材の機会があったため、そこで5GワイヤレスWANを試すことにした。取材場所は六本木だったため、そこからもっとも近いドコモの5G対応エリアとなる渋谷駅近くの宮益坂下交差点付近に狙いを定めた。

 ちなみに、WU2/E3に搭載されるワイヤレスWANアダプタは、5GはSub6のみの対応で、対応バンドはn77/n78/n79の3種類。国内キャリアが利用する5G Sub6のバンドを網羅しているため、WU2/E3用として用意したドコモの5G対応SIMも問題なく利用できるはずだ。なお、モジュールが対応する最大通信速度は、下り最大4.5Gbps、上り最大660Mbpsだ。

 というわけで、12月24日の六本木での取材終了後に渋谷へと移動。そして宮益坂下交差点付近でWU2/E3を使ってみた。すると、ワイヤレスWANが電波を拾い、しばらくすると5G表記へと切り替わった。とりあえず、まったく問題なく5Gに接続できたわけで一安心。

渋谷駅近くの宮益坂下交差点付近でWU2/E3を開いた
無事ワイヤレスWANが5Gの電波を掴んだ

 となると、どの程度の速度が発揮されるのか気になるところだ。もちろんさっそく試してみた。ブラウザを開いてspeedtest.netにアクセスし速度をチェック。すると、上りは30.99Mbpsとイマイチだったが、下りは786.11Mbpsと5Gらしい速度が記録された。

 モバイルデータ通信の速度は、そのときの環境によって大きく上下するため、これが最大の性能ではないと思う。とは言え、下りだけなら自宅の光回線同等以上の速度で、まったく不満はない。これなら、外出先でも快適に仕事ができそうだ。

speedtest.netで速度を計測してみると、下りが786.11Mbps、上りが30.99Mbpsを記録。下りは自宅の光回線以上の速度で、これなら外で仕事するときも快適だ。もちろん5Gエリアでなければならないが

 もちろん、現時点では5G対応エリアが非常に狭く、せっかくの5Gも活かせない場面が多い。2020年末の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2021年1月8日より東京都などに緊急事態宣言が発出されたことで、1月以降はオフラインでの取材案件がほとんどなくなってしまった。筆者も2021年に入ってからはほとんど外出していない。

 そのため、現時点では宝の持ち腐れとなってはいるが、今後状況が改善され取材に出掛けられるようになれば、かなり活躍してくれるはずだ。そして、そのころには5Gエリアも広がって、使える場面が増えてくれるとうれしいところだ。

やはり豊富なインターフェイスの存在は非常に便利

 WU2/E3を使いはじめて1カ月少々経過したが、その間にWU2/E3を持って外出したのはまだ2度しかない。そのため、現時点ではモバイル性能についてほとんど確認できていない状態だ。とは言え、自宅で使っていてもその実力は十分に実感できている。

 なかでも、とくに実感しているのが、豊富なインターフェイスが備わっていることによる便利さだ。たとえばレビュー記事では、WU2/E3で記事を書くだけではなく、レビュー機器の撮影を行ない、WU2/E3で写真のレタッチも行なう必要がある。また、レビュー機器で計測したベンチマークテストの結果やスクリーンショットなどのデータも転送しなければならない。

 そういったときに、SDカードスロットやUSB Type-Aの存在が非常にありがたい。別途変換アダプタなどを用意することなくSDカードやUSBメモリのデータを読み取れるため、途中のワンアクションが不要となるわけで、やっぱり便利だ。

SDカードのデータを直接読み取れるのは、やっぱり便利だ

 性能面についても非常に満足できている。とくに感じているのが、メモリ搭載量を32GBとしたことによる効果だ。

 筆者は、ブラウザにFirefoxを利用しているが、つねに30近くのタブを開いた状態となっているため、かなりのメモリ喰いとなっている。このほかにも、テキストエディタやExcel、Wordなどを同時に開いて利用しているので、以前は16GBのメモリを搭載しているパソコンでもやや動作が重くなる場面があった。しかしWU2/E3にしてからはメモリ不足が要因と思われるような動作の重さは感じなくなった。これはかなり大きいと感じている。

 搭載CPUであるCore i7-1165G7の処理能力についてもなかなか快適という印象。たとえば、昨年来よりさまざまな企業の記者会見がZoomやMicrosoft Teams、WebExなどを利用したオンライン形式となっている。

オンライン会見時にはモバイルディスプレイを接続して利用しているが、このようにオンライン会見を視聴しながらメモを取ったり資料を見たりする場合でもかなり動作が軽くなったと感じる

 そういった場合、オンライン会見の様子をメモ用に録画しつつ、別途配布された資料を開いて参照したり、エディタでメモを取ったりする必要があるが、従来までは動作の重さを感じることが多かった。

 しかしWU2/E3では、これまで感じていた動作の重さがかなり軽減されたと感じる。このあたりは、CPUだけでなく搭載メモリが増えたことも影響しているだろう。ほかにも、写真のレタッチやリサイズなどの作業もかなり速くなったと感じる。

写真のレタッチやリサイズなども速くなった
念のため計測したPCMark 10の結果。このほかにもCinebenchや3DMarkなどを実行してみたが、スコアはUH-X/E3のレビュー記事の結果とほぼ同じだった。

 ディスプレイは、13.3型フルHD表示対応のIGZO液晶だが、こちらの表示品質も十分満足できるものだ。発色も鮮やかで、写真のレタッチなどもしっかりと色を確認しながら行なえる。また、非光沢パネルなので天井の照明など外光がほとんど映り込まない点も快適だ。

 ただ、輝度の自動調節を有効にしている場合に発色がやや白っぽく変化することがあり、その点がやや気になっていたが、輝度の自動調節を無効にすると改善したので、輝度調節は手動で行なうようにしている。

 このほか、ディスプレイまわりで気に入ったのが、ディスプレイを片手で開けられるという点だ。最軽量モデルでは片手でディスプレイを開こうとしても本体も一緒に持ち上がってしまうため、両手でディスプレイを開かないといけなかった。しかしWU2/E3は重量が重い分だけディスプレイを片手で開いても本体が持ち上がらない。これは地味ではあるが軽快に利用できる利点と感じている。

ディスプレイ輝度の自動調節を有効にしていると、発色がやや白っぽく変化することがあったため、輝度の自動調節は無効にしている
本体がやや重いこともあってか、ディスプレイを片手で開けられるのは便利

バッテリ駆動時間はまずまず

 このように、CPUの強化とメモリの増量によって、十分に快適さを実感できている。とは言え、やはりモバイル性能もじっくり確認したい。

 その前にまず、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して、ベンチマークテストでのバッテリ駆動時間をチェックしてみた。

 ちなみに、WU2/E3の公称の駆動時間は約21.5時間。また、最軽量モデルのUH-X/E3は約11時間だ。そして、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効、ワイヤレスWANをオフにした状態での結果は12時間7分だった。

 ちなみに、同条件でのUH-X/E3の結果は6時間11分。WU2/E3はUH-X/E3と比べて容量2倍のバッテリを搭載しており、駆動時間もほぼ約2倍となっているのは当然だろう。そして、ベンチマークで約12時間の駆動が可能だったということは、そこそこパワフルに使った場合でもほぼその半分程度の6時間は持つと考えられる。

PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」では12時間7分を記録した

 では、ベンチマークテストではなく、普通に使った場合はどうか。先ほど、WU2/E3を持って外出したのはまだ2度しかないと述べたが、そのうち1回は、1月下旬のオフライン取材だった。そのときには、実際に取材を行なったあとに、すぐに記事を仕上げる必要があったため、外出先のカフェで記事を書き上げたが、ちょうどいいタイミングだったので、そこで実際に使った場合のバッテリ駆動時間をチェックしてみることにした。

 合わせて、比較的電力消費の大きい状況での駆動時間をチェックしたかったので、Windowsの電源モードは「高パフォーマンス」、バックライト輝度は80%とやや過酷な設定で検証。ネットワークは無線LANを有効のままカフェの公衆無線LANには接続せず、ワイヤレスWANで4G回線に接続。

 この状態でACアダプタを接続せず、バッテリ駆動で記事執筆作業を行なってみた。作業としては、WebブラウザでのWebアクセスやExcel、Wordなどで資料の表示やグラフなどの作成、写真の取り込みとレタッチなどだ。

 作業は約2時間半で終了したが、その間にバッテリは40%ほど消費した。そのまま使うとおよそ5~6時間でバッテリが尽きる計算だ。

 ワイヤレスWANの消費電力が大きいのか、想定よりもやや短いという印象だったが、電源モードを変更したりバックライト輝度を落とすなどの対策を行なえば、7~8時間程度は問題なく使えると考えて良さそうだ。この程度の駆動時間が確保できるなら、個人的にも十分満足できると感じる。

カフェで仕事をしてみたが、2時間半ほどで40%程度のバッテリを消費。かなり電力消費の大きい状態で使ったことを考えると、まずまず満足できると感じる

できれば顔認証IRカメラは搭載してほしかった

 今のところ自宅での利用がほとんどのため、モバイルノートであるWU2/E3の本領は発揮できていない。ただ、そういったなかでも、実際に使ってみて改善してほしいと感じる部分があるのも事実だ。

 その1つはディスプレイ。ディスプレイは従来モデルよりもベゼル幅が狭められてスッキリした印象となったのはいい部分。ただ、できればより縦に長いパネルの採用もそろそろ検討してもらいたいように思う。競合製品を見ても、アスペクト比16:10や3:2といったパネルを採用する例が増えてきており、LIFEBOOK UHシリーズでもそろそろ考えてもいいのではないか、という気がしている。

 縦長のディスプレイを搭載することは重量増につながるため、世界最軽量を実現する場合のハードルは高くなる。ただこれまでも、もうこれ以上軽くするのは難しいのでは、という考えを覆してきているのだから、アスペクト比16:10や3:2のディスプレイを搭載しつつも世界最軽量を更新、というのも不可能ではないかもしれない。ここはぜひともチャレンジしてもらいたいと思う。

アスペクト比16:9ではなく、縦の広い16:10や3:2のディスプレイを搭載してほしい

 また、スピーカーの仕様もどうにかしてほしい部分だ。もちろん、モバイルノートにスピーカーの音質を求めてもしようがない、というのはわかる。とは言え、競合製品と比べてスピーカーの音質がかなり残念というのも事実だ。音楽鑑賞に堪える品質までは不要だが、もう少しスピーカーの音質にもこだわってもらいたい。

本体手前底面に搭載するスピーカーは音質がいまいち。ここは改善を期待したい

 あともう1つ、強く残念に感じている部分が、顔認証IRカメラを搭載しない点だ。WU2/E3ではそのかわりに電源ボタン一体型の指紋認証センサーを採用しているが、自宅で使っている場合には指紋認証よりも顔認証のほうが便利で、どうせなら両方搭載してほしかった。

 実際、競合製品では両方搭載しているものも多く、今回UHシリーズで顔認証をやめて指紋認証のみにしたのはちょっと残念だった。重量的またはスペース的な制約があったとは思うが、次のモデルではぜひとも両方搭載してほしい。

生体認証機能は、電源ボタン一体型の指紋認証センサーのみとなった
自宅では指紋認証より顔認証のほうが便利なので、顔認証IRカメラも搭載して指紋認証と使い分けられるようにしてほしかった

 とは言え、全体的にはかなり満足度の高い製品だ。少なくとも、仕事を進める上では、今のところ不満点はまったくと言っていいほどないため、非常に快適に利用できている。値段はそこそこ高かったものの、その値段に見合う満足度は十分に得られており、買って正解だったと感じている。あとは、WU2/E3を実際に持って国内外に取材に出掛ける機会が増えてくれれば言うことなしだ。