買い物山脈

骨伝導ヘッドフォン「Shokz OpenMeet UC」を衝動買いした
2025年3月18日 06:11
- 利用期間
- 1カ月
- お気に入り度
- ☆☆☆(5点満点中)
- 価格 3万9,880円
・めがねとの相性がよい
・ドングル接続がシンプル
・ブームマイクに慣れが必要
・音漏れが激しい
・価格が可愛くない
結論:朝から晩までリモート会議する人には導入する価値あり
現在私はぷーたん。3年半ぶり7回目の退職をキメていま再び無職である。前職では働き過ぎ運動不足で+10kgの「わがままバディ」を手に入れてしまったため、毎日自転車トレーニングを2時間続けている。退職後たった4カ月でマイナス10kgの減量に成功して、ハイプレッシャーの労働は身体に悪いと身をもって示している今日この頃だ。
前職の最後の部署はわずか半年で8名の同僚のうち6名を失った。原因は新任マネージャーである。炎上プロジェクト火消し人として名高い筆者もバケモノ退治は専門外で、長年付き添った戦友を脱出させた上で自分も会社員の立場を損切りした。
無職同士となった戦友と昼下がりのコメダコーヒー、つい先日の昔話をするのが密かな楽しみだ。とはいえ、主夫業はいろいろ忙しく、特に働きづめで後回しだった機材設備の更新などでとてもお金がかかる。今回もそんな設備更新の話だ。
さて、筆者は収入ゼロという金融危機に直面している。とにかく面接をいれて次の仕事を探さなければいけない。
そんな時に見かけたのがこの「Shokz OpenMee UC」の情報である。面接の無用な選考ノイズを最小化するには、しっかりした機材を使うに限る。人にメッセージを伝えるのに物理的に重要なのはマイクの性能だ。次に重要なのは、プロとして本気度を示せる道具の見栄え(仕事への敬意)だ。見栄え重視は大工さんなど建築系では一般的な考えらしい。
この間まで無職だった我が家のアネサマは炎上スタートアップについうっかり就職してしまい、筆者のワークスペース設備を引き継ぐ形で朝から晩までテレカンをしまくっているため、筆者のワークスペースは折りたたみデスクにアップグレードされた。筆者は前職時代を通して「Shokz OpenRun」をヘッドセットとして使ってきた。これもアネサマが引き継ぎ常時使っているのでいまのところ手頃なヘッドセットも外部マイクもない。自分の面接は旅行用に使っていた簡易的なヘッドフォンを使っていた。
Shokz OpenMeet UC、数日迷っていたのでほしいリストにいれていたが、本気を出したいVPoEポジションの面接が設定されたのでポチってみた。もちろん届いて利用テスト開始後わずか30分でアネサマに気づかれ、「無職の分際で無駄遣い」と強烈な嫌みをいただくのはお約束だ。こういう設備投資は先に説明しても後に説明してもともに理解されないので、買ってから謝る、もしくは無視に限る。さて、実戦投入しよう。
第一ラウンド FinTechスタートアップCTO募集カジュアル面談
「カジュアル面談と言ったな……あれは嘘だ」
だいたいCTO募集というのは例外なく地雷だ。以前経験した面接は業績不振の責任を今のCTOに押しつけて責任逃れのクビすげ替えというスケープゴートがすべてだった。
今回は様子が違い、この会社にとって初めてのCTO募集のようだった。社会貢献と思ってCTOとVPoEの定義の違いと、ビジネス課題からどんなエンジニア人材が必要なのか壁打ち相手をすることになった。
1時間のカジュアル面談のはずが、2時間オーバーの面談になった。金融とIT系のヘビーな話を2時間したので激しく疲労困憊である。そもそもヘッドハンターがFinTech(金融サービス+情報技術)と、FinOps(クラウドコストマネジメント)を勘違いして設定したものだった。私は彼らの求めるCTOではないし、このまま採用活動するのは危険だ。あなたが必要なエンジニアリーダーシップ募集のJD(Job Description)はこう書くのだと整理をして無償コンサルをした感じである。しかしこれで一発目の効果測定テストはOKだった。OpenMeetヘッドセットは2時間ぶっ続けでも耳のあたりを快適に過ごすことができた。
このタイプのヘッドセットの美点は、めがねの弦と干渉しないことである。耳掛けのタイプだと、めがねの重さとヘッドセットの重さがかかり、半日くらいすると痛みと不快感があった。筆者が毎日5時間以上会議をしている時に発売してほしかった。
マイクの性能については、「Loop120」という専用ドングル付きということで広帯域のクリアな音質を期待したが、筆者の試した限りでは所詮Bluetoothの圧縮の効いた音質であった。静かな環境においてはPC本体マイクまたは有線外部マイクを利用したほうが良い結果が出るはずだ。第1回の面接では運良く元の仕事机の外部マイクがある環境で行なうことができた。
付属のブームマイクは指向性が強く、自分の声だけを上手く拾ってくれるので、環境音を拾わない点で聞き手側にとって聞きやすいかもしれない。にぎやかなオフィスやカフェなどでは、Bluetoothの音質低下とマイクのすぐれた指向性のトレードオフになる。
ブームマイクを跳ね上げると声をほぼ拾わなくなるが、周囲の環境音を拾うようになる。会議中に中座してトイレに入った時はヤバイ音が聞こえてしまうのでマイクのミュートに要注意だ。ここはブームを跳ね上げたら物理ミュートをしてほしかった。
スピーカーの音質のほうは、以前使っていた古いOpenRunと大差ない。一般的な骨伝導と同じ形式になったスピーカー部分は空気伝導+骨伝導で、結構盛大に音漏れがする。同居人が同じ部屋にいると流している音楽に気がつくレベルだ。骨伝導というより骨伝導を補助的に使った会議用イヤフォンというのが正解かもしれない。主な用途が会議用なので音楽を聞く時の音質についてうるさいことを言うのは野暮というものだろう。
オーバーヘッド型の弦を使っているので、後頭部までカバーするヘッドレストの椅子と相性がよい。耳掛け後頭部に弦があるタイプだとヘッドレストに干渉する。このあたりもオフィス利用を主に考えた製品コンセプトなのだと納得がいく。
第二ラウンド ヘッドハンターとの会議
開始時にLoop120ドングルの扱いで混乱した。ドングルを使う場合は、PCとのBluetooth接続は不要だ。こんな罠にはまり面接開始時の接続でトラブルとなりLoop120ドングル経由の音声が使えず、普通のBluetooth接続にマイクは外部マイクとなった。PCのBluetoothペアリングは不要でドングルに任せるべきと理解した。
ケースから出した状態だとブームマイクが跳ね上がっているため、毎回マイクを下ろすあたりは要注意のオペレーションだ。
筆者の使うMacBook AirではUSB-Cが2ポートしかないため、外部モニター、外部カメラでそれぞれUSB-Cを使う。USB-Cハブの設定が決まるまで結構難儀しそうだ。USB-Cハブを追加購入し、念のためUSB Type-Aへのアダプタをケースに入れることにした。
第三ラウンド IoT-DX VPoE募集本面接
すでにCTOとのカジュアル面談は通過していたので、CTO以外の部長クラスメンバー2名との本面談だ。
どうやら前のVPoEは、筆者の前職の会社に自分と入れ替わりタイミングで来た方で、この会社ではカルチャー問題で相当苦労したという事前情報を得ていた。
ヘッドセット含めバックグラウンドと本気な部分は見せられたと思ったが、筆者が持っているエンジニア組織の人/物/金に対するマネジメントスキルは今回の面接担当者たちの問題意識に刺さらなかったようだ。
というよりも、面接担当者達は今回のポジションを昇格で狙っている人たちだったので、面接前から結果は決まっていたと思う。当て馬として何人か落とした上で彼らのどちらかがVPoEになるバトルをするのだろう。
週末を過ぎて、不採用の通知が届いた。また次の求人にチャレンジだ。
その後の面談面接もマイク周りでアプリが制御を取り合う系のマイナーな接続トラブルがあるものの、概ね良好な使用感だった。
評決
OpenMeet UCについてだが、機能は申し分なく、気に入ったのは見た目で、気に入らないのは値段だ。この値段を払う必要があると家族や会社に対して説明しなければいけないのだが、よほど強い理由がない限り、個人での経費申請は難しいと感じている。
そして面接を続けながらレビュー記録を作っているうちに、我が家のアネサマが学級崩壊スタートアップのガバナンス崩壊に嫌気がさし、試用期間終了タイミングでのロスカット退職をキメた。いい動きだ、判断が速い。夫婦そろって無職だ。ますます面白くなってきやがった。
男には、なにをやってもダメな時がある。そういう時はすっぱり諦めて酒でも飲んでいるしかない。しかし生活費の資金繰りどうしよう。とりあえず占い師にお伺いを立ててみることにする。
撮影協力 西浅草 道一 金卯先生(セキュリティコンサルタント兼占い師)