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筆者にとって4台目となる「ThinkPad X1 Carbon」。これまでのモデルとの違いは?
2024年1月23日 06:18
- 製品名
- ThinkPad X1 Carbon Gen 11(21HNCTO1WWJP6)
- 購入価格
- 25万2,098円
- 購入時期
- 2023年12月26日
- 使用期間
- 約1カ月
昨年(2023年)暮れ、仕事で使っているメインマシンであるレノボ「ThinkPad X1 Carbon」を、それまでの第9世代モデル(Gen 9)から、第11世代モデル(Gen 11)へと買い替えた。本来ならば買い替えるべき性能差も機能差もないのだが、従来使っていたGen 9を修理に出すことになったため、修理完了後はGen 9をバックアップに回すことを前提に入れ替えを行なうことにした。
本稿ではその「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」を、Gen 9との比較を中心に紹介する。筆者はGen 9と11の間に存在するGen 10は利用経験がないため、本稿でGen 9からの進化ポイントとして紹介している変更点の中には、Gen 10ですでに実現していた仕様が含まれている可能性があるので、予めご了承いただきたい。
実に4台目となるThinkPad X1 Carbon
14型ながら約1.2kgという軽量筐体が特徴の「ThinkPad X1 Carbon」を購入するのは、筆者にとって今回が4回目となる。同モデルは年に1度のモデルチェンジが行なわれており、これまで使っていたGen 9の前はGen 7を使用していたので、実質2年に1回のペースで買い替えていることになる。
もっとも、ThinkPad X1 Carbonの指名買いだった前回までと異なり、今回はかなり機種選択に悩んだ。理由の1つは価格の上昇で、従来はBTOで標準的なオプションにLTEモジュールを追加しても20万円以内に収まっていたところ、今回はメモリこそ増量したもののLTEオプションや顔認証対応カメラを外しても、割引後価格が25万円を超えてしまっている。
悩んだ理由のもう1つは、先日発売されたPFU「HHKB Studio」の存在だ。筆者がThinkPadにこだわるのはトラックポイントを搭載しているためだが、その同等品であるポインティングスティックを搭載するHHKB Studioがあれば、トラックポイント非搭載のノートPCと組み合わせ、ほぼ同じ操作性を実現できる。つまり無理にThinkPadにこだわる必要がない。
ただし実際にHHKB Studioを使ってみた結果、少なくとも初期ファームの段階では、ポインタが不意に動くなど、代替として使うには難しいという結論に至った。今後のアップデートで改善する可能性はあるが、現時点で乗り換えるのは高リスクと判断し、従来と同じThinkPad X1 Carbonの最新モデルを選んだ、というのが機種決定に至る経緯だ。
外観はほぼ同一。メモリは32GBの選択が容易に
さて本製品の特徴だが、筆者がこれまで使っていたGen 9と、外見周りでの変化はほぼ皆無だ。キー形状などで多少の変化はあるのだが(後述)、過去のモデルチェンジ時に行なわれた、画面のアスペクト比が16:9から16:10となって画面が縦方向に伸びたり、側面にあった指紋センサーがキーボードと同じ面に移動するといった、ドラスティックな変化はない。
一方で、従来は対象モデルが限定されていたメモリ32GBのオプションが、今回のGen 11では選択しやすくなったのは大きな違いだ。筆者がこれまで使っていたGen 9は16GBで、今回は迷わず32GBを選択した。パフォーマンスにどの程度の差が出るかは、のちほど詳しく見ていく。
なおこれまで必ず選択していたLTEのオプションは、今回選択したモデルはBTOで選択肢がなく、搭載を見送っている。筆者の場合、コロナ禍を挟んでワークスタイルが大きく変化し、必ずしもLTEが必要ではなくなったので問題はないのだが、人によっては困るケースもあるかもしれない。
側面のポートについては、左側面にはThunderbolt 4×2と、USB 3.1に対応したUSB Type-Aポート、さらにはHDMI端子を搭載する。右側面には、USB Type-Aポートが1つと、イヤフォンジャックを搭載する。これら左右側面ポートの配置は従来とは変わっておらず、ポートの並び順や間隔も違いはない。
キーボードの配置は変更なし。ただし嵐の前触れ?
続いてキーボードについて。日本語JISの配列については変更点は一切ない。これまではキーの手前がやや丸みを帯びていたのが、一部のキーにおいて直線的なデザインに改められているのが目立つ程度で、打鍵感にも違いはない。ポインティングデバイスについても同様だ。トラックパッドは基本オフにして使っているので評価保留としておく。
指紋センサーについても変化はない。ThinkPad X1 Carbonの指紋センサーは、世代が変わるたびに本体の側面からキーボードの手前、さらにキーボードの上と、搭載位置がダイナミックに変化しているが、本製品の指紋センサーの位置はGen 9と同じ、キーボードの右上となっている。
こうした配置のせいもあって、指紋センサーは天地が狭く、指を上下にスライドさせなくてはならないなど、使い勝手はお世辞にもよくない。筆者はデスク上での利用時には別の生体認証を使っており、この指紋センサーを使う機会はほぼないのだが、たまに使うと認識に失敗してイライラさせられることが多い。後述するように次期モデルのGen 12では改良が加えられているようなので、そちらに期待したい。
なお、すでに海外で発表されている本製品の次世代モデル(Gen 12)は、キーボードの左下のFnとCtrlキーの場所が入れ替わっているほか、PrintScreenキーが複数キーによるショートカットへと置き換わり、それによって減ったキーの代わりに指紋センサーが配置されるなど、キーボード周りで大掛かりな変更が行なわれている。
本稿執筆時点ではまだ日本向けモデルが発表されておらず、日本語JISキーボードでの配置が不明なため評価ができないのだが、指紋認証センサーは面積の拡大により使い勝手の向上が期待できる一方、キー配置の変更などにより、日本語入力での使い勝手は逆に悪化する可能性もある。今回筆者がGen 12を待つことなく、Gen 11に買い替えた理由の1つでもある。いずれ機会があれば使い比べてみたい。
ベンチマークのスコアは10~15&程度向上
さてパフォーマンスについてだが、複数のベンチマークアプリを試した限りでは、Gen 9からは10~15%程度のスコアの向上が見られる。
このスコアの伸びは、ビジネス向けのベンチマークアプリでも、ゲーミング用のベンチマークアプリでもほぼ同等なので、純粋にCPU性能の向上(Core i7-1165G7→Core i7-1355U)と、メモリ容量の増加(16GB→32GB)によるものと見ていいだろう。
またタスクマネージャーでCPUやメモリの使用率を見ても、負荷は明らかに低くなっている。特にメモリについては、仕事で使う約20個のWebサイトをブラウザで同時に開いた場合、従来のGen 9は使用率が65%程度まで跳ね上がっていたのが、本製品であればせいぜい50%程度。全ページを開き終わるまでの所要時間も明らかに短い。
その一方、底面のファンが回る頻度は、従来よりも高いようだ。従来のGen 9は画像処理ソフトで複数のファイルを同時に開くなど、よほどのことがなければファンは回らなかったが、本製品ではブラウザで複数のタブをまとめて開くだけで、ファンが回り始めることがある。それほど騒々しくはないのだが、従来のGen 9に慣れていると違いを感じる。
本 製品は内部構造は従来のGen 9とほぼ同じと考えられるので、CPUの性能向上によって発生しやすくなった熱を効率的に逃がすには、ファンを回す頻度をより高くするしか方法がないのだろう。このあたり、構造も見直されたであろう次期モデル(Gen 12)でどのような変化が見られるのかは、1つのチェックポイントと言えるだろう。
次世代のGen 12ではさらに大きな変化が?
以上のように、性能面では若干の向上は見られるが、筆者のようにやむを得ない事情がある場合を除けば、わざわざGen 9→今回のGen 11へと買い替える必然性は感じない。手元にGen 9、あるいはその後継であるGen 10があるのならば、そのまま使い続ける方向で問題ないはずだ。
もっとも筆者個人は、実際に使っていても満足感は高い。従来のGen 9では、ある画像処理アプリを長時間立ち上げたままにしていると、新しいファイルを開けなくなる問題があったのだが、本製品ではそれが解消されているからだ。発生するのはこのアプリだけで、ほかにさしたる問題はなかったのだが、筆者的には非常にストレスだったので、日々快適さを実感している。
ともあれ、次世代のGen 12では、このGen 9からGen 11まで共通して採用されていたフォームファクターが一新されており、性能面にせよ使い勝手にせよ、より明確な違いがあると考えられる。モデルチェンジ後は従来モデルがしばらく併売されることを考えると、Gen 12が国内で投入されたあと、このGen 11の価格が見直されるかも気になるところだ。