買い物山脈

ThinkPad一択だった人間が、買い替えでFMVになったワケ

製品名:FMV LIFEBOOK UH(WU2/H1・FMVUH01005)

購入価格:20万5,416円

購入時期:2024年3月23日

使用期間:約3カ月

「買い物山脈」は、編集部員やライター氏などが実際に購入したもの、使ってみたものについて、語るコーナーです

 先日、3年ぶりにノートPCの買い替えを行なった。3年ぶりと言っても筆者にとっては割といつも通りの買い替えサイクルなのだが、今回に限ってはいつも通りともいかないこともあった。

 今回はその理由や買い替えたモデルについてご紹介していく。

キーボード配列、変わるってよ

 筆者のノートPC遍歴の中で特に台数が多いのがThinkPadシリーズだ。直近で使っていたのも2021年発売の「ThinkPad X13 Gen 2」であり、その前に使っていたのも「ThinkPad X1 Carbon Gen 5」なので、少なくともWindowsの入ったノートPCを選ぶ時に第一に候補に挙げ、そして購入に至ることが多いのはThinkPadシリーズだ。

 もちろん、今回の買い替えもThinkPadを買う予定だった。だが、昨年(2023年)末に「ThinkPadのキーボード配列が変更になる」と報じられ、実際に2024年モデルからは一部モデルでキーボード配列が変更になっている。

 具体的には「ThinkPad X1 Carbon Gen 12」の例が分かりやすく、キーボード左下の「Ctrlキー」と「Fnキー」の位置が入れ替わっている。Windowsでは多くのショートカットがCtrlキーを組み合わせて利用するし、ノートPCではディスプレイの明るさの調整などFnキーを使った操作を行なうことも多い。

 これまでにもThinkPadは7段キーボードから6段キーボードに変更になったりWindowsキーが追加になったりと、何度かその歴史の中でキーボード配列が大きく変更になっている。

 そのため今回も「またか」とも思ったのだが、頻繁に使うキーだからこそ場所が変わってしまうと使用中のストレスは大きいだろう。

 ちょうどノートPCの買い替えのタイミングでキーボード配列が変更になることで、筆者の中で「違うメーカーを選んでみてもいいかもしれない」という気持ちが湧いてきたのだ。

 ThinkPadを選んでいた理由はいくつかあるが、まず第一に「英語配列キーボードが選べること」が挙げられる。慣れの問題ではあるが、かれこれ20年近く英語配列キーボードを使っているためほかの配列のキーボードを使うのが億劫であり、英語配列キーボードをほぼすべてのモデルで購入時に選択できるのはThinkPadくらいしかないため、必然的に購入時にThinkPadを選ぶしかなかったというのもある。

 第二に「ノートPCとデスクトップPCで、同じ配列のキーボードが使えること」がある。

 「ThinkPad TrackPoint Keyboard II」のように、ThinkPadのキーボードだけを好きなPCに繋いで使える周辺機器が用意されているので、ThinkPadと自宅デスクトップPCを行き来してもほぼ同じフィーリングでキータイプができることが気に入っていたわけだ。

ThinkPadとThinkPadキーボードの組み合わせが長年のお気に入りだった

 だが新しいThinkPadでキーボード配列が変更になると、ThinkPadと自宅デスクトップPCの行き来に支障が出てしまう。

 それであれば新しいThinkPadを選ぶ意味は薄れてしまうし、最近は英語配列キーボードが選べないものの、そのほかの部分で魅力的に感じるノートPCやキーボードの新製品も多いので、これを機会にいっそ「ThinkPad以外」でかつ「英語配列キーボード以外」に作業環境をシフトしてもいいかな、と考えるようになったのだ。

選ばれたのはFMV LIFEBOOK UH

 ThinkPadを選ばない、英語配列キーボードにも縛らないと決めたことで筆者の買い替え先となるノートPCの選択肢はかなり増えた。

 増えた選択肢からどのモデルを選ぶかにあたり設けた条件は以下の通りだ。

  • 重量1kg以下
  • バッテリ容量が50Wh以上
  • メインメモリ容量は16GB以上(可能であれば32GB)
  • WWAN搭載可
  • 予算は20万円ほど

 この条件のうち「WWAN搭載可」となるとかなりモデルが限られてくる。またWWAN搭載可のモデルは家電量販店など店頭で購入できるモデルも少なく、主に法人向けなど販売チャネルが限定され、予算を大きく超過してしまうものが多い。

 WWAN搭載だけは見送ろうかと考え始めた矢先、さまざまなキャンペーンを適用することで「ほぼ予算内で求めていた仕様のモデルが買える」となったのが、今回買い替え先に選んだ富士通クライアントコンピューティングの「FMV LIFEBOOK UH(WU2/H1・FMVUH01005、以下LIFEBOOK UH)」だ。

悩んだ末に選んだLIFEBOOK UH

 CPUに第13世代Coreプロセッサの「Core i7-1360P」、メインメモリは希望通りの32GBを搭載し、重量も1kgを切り実測で908gと軽量ながら64Whの大容量バッテリも搭載している。もちろんWWANも5Gに対応した高速なタイプだ。

 発表と発売が2023年1月なので、購入時点ですでに市場に投入されて1年が経過しているのも安かった理由かもしれないが、性能と仕様は筆者の理想通りだった。

 なお本稿執筆時点で市場には新製品として「Core Ultra搭載モデル」、「Copilot+ PC」などが投入されている。職業柄、最新モデルを買いたい気持ちもあったが、LIFEBOOK UHで不満はない。

 筆者が3月末に買い替えを行なう時点でこれらのモデルを待つという選択肢もあったのだが、発売済みのモデルから選ぶにしても選択肢や予算の問題があり、もし待ったとしても、互換性の問題もあったので決して今回の買い替えを早まったとは思っていない(と書くと、少し悔しがっているようにも見えるがまったくそんなことはない)。

豊富な拡張性と大幅な性能向上に大満足

 購入から約3カ月が経とうとしているLIFEBOOK UHだが、使用感については大変満足している。満足の理由は色々あるのだが、特に満足度の高い部分は「拡張性の高さ」と「性能の向上」の2点だ。

 LIFEBOOK UHの外部接続端子は本体の左右に設けられている。

 左側面にはThunderbolt 4にも対応するUSB Type-C×2、USB 3.0、3.5mmのオーディオジャックが配置されている。右側面にはGigabit Ethernet端、HDMI、USB 3.0、そしてmicroSDカードスロットが配置されている。

 実はどの端子も使用頻度は低いのだが、ないよりはあった方が便利なのは間違いない。

 約3カ月の間でも、USBフラッシュメモリを使ってのデータのやりとりやレンズ交換式カメラからのデータの取り込みなど、各端子に何かしらの出番があった。

 特にあって嬉しかったのはGigabit Ethernet端子で、外出先で宿泊したホテルのWi-Fiがものすごく遅く、LANケーブルでの有線接続が利用できたことで速度問題をすぐに解決することができた。

 使い道の難しいmicroSDカードスロットだが、ここはmicroSDカードを使ってデータのやりとりをするデバイスが手持ちにほとんどなく余してしまうところ、1TBのmicroSDカードを挿入しクラウドストレージの同期用の領域として活用することにした。

USB Type-CだけでなくUSB Type-Aポートもあるのは意外と使いやすい
有線LANケーブルが使えるのは旅先などネットワーク環境が不安定な場所で頼りになる
microSDカードスロットには大容量のカードを入れてストレージの拡張を行なった

 性能の向上についてだが、「Cinebench R23」と「PCMark 10」を購入したLIFEBOOK UHと、これまで使っていたThinkPad X13 Gen 2で実行した結果は以下の通りだ。なお比較対象となるThinkPad X13 Gen 2はCore i7-1165G7、メモリ容量は16GBという構成だ。

Cinebench R23の実行結果
PCMark 10の実行結果

 Cinebench R23でCPU単体をテストした結果を見ると、特にマルチコアでの性能向上が大きく、ThinkPad X13 Gen 2と比べLIFEBOOK UHでは約60%増のスコアを記録した。シングルコアでも約20%の性能向上と、買い替えに伴う性能向上としては十分といえる。

 またPCMark 10の結果だが、テスト内容も比較的軽量なものが多いため、結果は約13%の向上に留まっている。

 とはいえ、実際に使っていると主にCPUの性能向上の恩恵を感じることは多く、PC自体の起動時やブラウザでタブを複数開いている際の切替などはLIFEBOOK UHの方が圧倒的にキビキビと動作する。

 またAdobeのアプリケーションのような重いアプリケーションの起動速度は段違いで、頻繁にレンズ交換式カメラで撮影した写真をLightroom ClassicやPhotoshopで編集することも多いため、買い替えの効果を実感する場面は多い。

 処理能力以外の部分の性能だが、購入時に気にしていたバッテリについても、大容量バッテリを選んだことで、今のところ外出先でバッテリ残量(駆動時間)に悩まされたことはない。使い方にもよるが、Webブラウザとテキストエディタ、それにSlackやTeamsといったメッセンジャーアプリを立ち上げ利用しながらでも、4~5時間は残量を気にせず利用することができている。

 WWANもThinkPad X13 Gen 2と比べ受信感度がいいのか、通信速度も以前より出ているため、総合的な使い勝手の面でもLIFEBOOK UHの購入に満足している。

次の買い替えは多分3年後。今までの選び方で選ぶノートPCはこれが最後?

 冒頭で述べた通り、筆者のノートPCの買い替えサイクルはだいたい3年周期。つまり、購入時に加入した延長保証サービスが切れるタイミングを狙って次のノートPCを購入している。

 今回も買い替えの動機は同じであり、買い替え先のノートPCの選び方も少しばかり従来と変えた部分はあったが、概ねいつも通りの選び方をしたと言っていいだろう。

 もちろんこの買い替えの結果には満足していて、この先3年間は外出先でLIFEBOOK UHにはたくさん活躍してもらいたいと考えている。

 その上で次の3年後だが、今回までの選び方は通用しないのではとも考えている。

 多くのアプリケーションでAIを活用するような流れは、PCの使い方が大きく変わる可能性もある。そうなると求めるスペックも変わってくるだろうし、それに伴いキーボードレイアウトだけでなく、PCのデザインなども今と変わってくる可能性もゼロではない。

 思い切って日本語配列キーボードを選んでみたものの、3年後には今回と同じように選び方を大きく変えて次のPCを購入する可能性を考ええると、楽しみでもあり、すでに少しだけ気が重くなっている。

ThinkPad同様にFMVもデスクトップとキーボードを揃えられる利点は3年後にも残っているといいのだが……