Hothotレビュー

使って分かった!世界最軽量14型モバイルノート「LIFEBOOK UH90/H1」の魅力

富士通クライアントコンピューティング「LIFEBOOK UH90/H1 FMVU90H1B」

 富士通クライアントコンピューティングから、軽量モバイルノート「LIFEBOOK UH」シリーズの最新モデルが登場。従来モデルと比べディスプレイをアスペクト比16:10の14型に大型化しつつも、最軽量モデルでは689gと14型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量を実現するなど、従来モデルの魅力をしっかり受け継ぎながら大きく進化している。

 今回は、最新のLIFEBOOK UHシリーズの中から、高性能モデルの「LIFEBOOK UH90/H1 FMVU90H1B」を取り上げる。最軽量モデルの「LIFEBOOK UH-X/H1」については、後日改めて紹介する予定だ。すでに発売中で、直販サイト「富士通 WEB MART」での価格は263,780円。

デザインコンセプトは踏襲も、メーカーロゴが目立たなくなった

 「LIFEBOOK UH90/H1 FMVU90H1B」(以下、UH90/H1)の実機を手にして真っ先に感じたのは、やっぱり軽いな、というものだ。UH90/H1は、最新のUHシリーズとして最軽量ではなく、848~858gと800g半ばの重量となっている。最軽量モデルのUH-X/H1は689gなので160gほど重く、実際に手にしても、本当にこれでノートPCとして動作するのか疑問に思うほど軽い、とまでは感じない。とはいえ、13.3型ディスプレイ搭載モバイルノートPCでも900gを切る軽さの製品は少なく、やはり圧倒的な軽さを実現しているのは間違いない。

 なお、試用機の実測の重量は817gと、公称を31gも下回っていた。

 この軽さを実現するためUH90/H1では、筐体素材として天板に東レ社製カーボン素材、キーボード面にマグネシウム合金、底面にマグネシウムリチウム合金を採用。合わせて、ディスプレイは4辺狭額ベゼル仕様となっており、ディスプレイが14型になってもフットプリントを極力小型化。これにより、他を圧倒する軽さを実現している。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。ディスプレイは14型に大型化したが、4辺狭額ベゼル仕様により本体の大型化は最小限にとどめている

 同時に、優れた堅牢性も確保。約76cmからの落下試験や約35kgfの一点加圧試験、約200kgfの全面加圧試験、振動試験などの堅牢性試験をクリアしており、モバイルノートPCとして申し分ない堅牢性を兼ね備えている。実際に本体をやや強くひねってみても、ほとんど歪まず、安心感が伝わってくる。

 本体デザインは、従来のUHシリーズから大きく変わっていない。比較的直線的でフラットなデザインは、ビジネス向けのモバイルノートPCとしてオーソドックスなものとなっている。

 そういった中、天板の富士通ロゴが小さくなり、天板左下に小さく配置されるようになった。従来モデルでも天板ロゴはそこまで目立っていなかったが、より目立たなくなったことで、よりスタイリッシュな印象が高まっている。

天板はフラットでシンプルなデザイン。東レ製カーボン素材を採用し軽さと優れた堅牢性を両立
天板の富士通ロゴが、天板左下に小さく刻印されるだけとなり、かなり目立たなくなっている
従来はディスプレイ下部に印刷されていたFUJITSUロゴも、キーボード左上に小さく印刷されるようになり、こちらも目立たなくなった
本体正面
左側面
後部側面
右側面
底面。底面の素材はマグネシウムリチウム合金を採用

 筐体カラーは、試用機のピクトブラックに加えて、シルバーホワイトとフロストグレーの3色を用意。なお重量はピクトブラックが848gで、シルバーホワイトとフロストグレーは858gと10g重くなる。

試用機の実測の重量は817gと、公称より31g軽かった

 サイズは308.8×209×15.8~17.3mm。筆者が普段利用している従来モデル(LIFEBOOK WU2/E3)と比べると、幅が1.8mm、奥行きが12mm大きくなっている。横に並べるとその違いがよく分かるが、ディスプレイが14型に大型化してもこの程度のサイズアップで収めているのは大きな魅力と感じる。

左がUH90/H1、右が従来モデルのWU2/E3。横幅は重ねてもほとんど気にならないほどの差だが、奥行きはUH90/H1が12mm大きくなっている
下がUH90/H1、上がWU2/E3。高さもUH90/H1がわずかに増えているが、その差はわずかだ

Raptor Lakeこと第13世代Core i7-1360Pを搭載

 UH90/H1の主な仕様は、以下の表1にまとめたとおりだ。

【表1】LIFEBOOK UH90/H1 FMVU90H1B(試用機)の主な仕様
プロセッサCore i7-1360P
Pコア:4コア・8スレッド/ブースト時最大5.00GHz
Eコア:8コア/ブースト時最大3.70GHz
スレッド数:16
メモリLPDDR5-6400 16GB
内蔵ストレージ512GB PCIe 4.0 SSD
ディスプレイ14型液晶、1,920×1,200ドット
ノングレア、60Hz
無線LANIEEE 802.11ax 2x2(Wi-Fi 6E)
BluetoothBluetooth 5.1
キーボード日本語、キーピッチ約19mm、キーストローク約1.5mm
キーボードバックライト
カメラ207万画素Webカメラ、プライバシーシャッター
生体認証指紋認証センサー
インターフェイスThunderbolt 4×2
USB 3.2 Gen1 Typa-A×2
HDMI
Gigabit Ethernet
microSDカードスロット
3.5mmオーディオジャック
OSWindows 11 Home
内蔵バッテリ容量64Wh
駆動時間約29.5時間
サイズ/重量308.8×209×15.8~17.3mm/約848g

 CPUにはRaptor Lakeこと第13世代CoreプロセッサであるCore i7-1360Pを搭載。最軽量モデルのUH-X/H1ではCore i7-1355Uと15WのUプロセッサを採用しているのに対し、UH90/H1はより高性能な28WのPプロセッサを採用。Core i7-1360Pの性能を最大限引き出せるよう、UH90/H1ではデュアルファン仕様の冷却システムを採用しており、そのあたりが重量増につながっている要因だ。ただ、性能面では大きく上回るため、軽さと性能の両立を求めるならUH90/H1のほうが魅力的だろう。

Core i7-1360Pの性能を最大限引き出せるように、デュアルファン仕様の冷却システムを採用している

 メモリは標準でLPDDR5-6400を16GB搭載。容量に余裕があるだけでなく、LPDDR5-6400と第13世代Coreプロセッサが対応する最も高速なメモリを採用。当然、CPU性能を最大限引き出せる要因となっている。内蔵ストレージは、PCIe 4.0準拠の512GB SSDを採用。

 無線機能は、Wi-Fi 6E準拠の無線LANと、Bluetooth 5.1を標準搭載。

 生体認証機能は、Windows Hello対応の指紋認証センサーを搭載。従来同様、電源ボタンと一体型となっており、電源断時には電源ボタンを押すと同時に指紋が読み取られ、OS起動時に再度指紋認証センサーに触れることなくログインが可能だ。直販のカスタマイズモデルでは顔認証カメラも同時搭載可能だが、できればUH90/H1にも標準搭載してもらいたかった。

従来モデル同様、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを標準搭載

 Webカメラは207万画素で、フルHD撮影に対応。従来モデルはHD(720P)撮影対応のWebカメラだったので、こちらも進化している。不要時にカメラを物理的に覆い遮断できるプライバシーシャッターも搭載しているため、ビジネス利用も安心だ。

 同時に、内蔵マイクで集音した音からバックグラウンドノイズや周囲の人の声を除去し、自分の声だけをクリアに届けるマイクノイズキャンセリング機能や、相手から届く音のノイズを除去し再生するスピーカーノイズキャンセリング機能も搭載。これらによって、Web会議も快適に行なえそうだ。

 ただ、従来モデル同様に本体前方底面に搭載するスピーカーの音質はいま一歩という印象。人の声はそれなりに聞こえるものの、音楽などを再生するにはクオリティがかなり低い印象だ。ビジネス向けモバイルノートPCということから、スピーカーの音質はそこまで求められないかもしれないが、ほかの機能の強化を考えると少々残念。今後、スピーカーの高音質化も実現してもらいたい。

Webカメラは207万画素でフルHD撮影に対応。顔認証カメラは直販のカスタマイズモデルで搭載できる
Webカメラには、カメラを物理的に覆えるプライバシーシャッターを搭載
マイクで集音した音からノイズや周囲の声を除去したり、スピーカーで再生する音のノイズを除去するノイズキャンセリング機能を搭載
前方底面のスピーカーは音質がいま一歩。もうすこし高音質のスピーカーを搭載してもらいたい

 側面ポート類は、左側面にThunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、3.5mmオーディオジャックを、右側面にmicroSDカードスロット、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、HDMI、Gigabit Ethernetをそれぞれ配置。従来モデル同様にポート類を豊富に用意する点は非常に心強いが、個人的にはSDカードスロットではなくmicroSDカードスロットに変更となった点は少々残念だ。

 付属ACアダプタは従来モデル同様に、USB Type-C接続のUSB PD準拠のものとなっている。出力は65W。サイズは特別コンパクトというわけではなく、重量も付属電源ケーブル込みで実測240gとなっている。より小型軽量の汎用USB PD ACアダプタを利用してもいいので、より荷物を軽くしたいならそういったものの利用を考慮したい。

左側面にThunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、3.5mmオーディオジャックを配置
右側面ににmicroSDカードスロット、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、HDMI、Gigabit Ethernet。従来同様に豊富なポートを搭載するが、microSDカードスロットに変更となった点は少々残念
Gigabit Ethernetはフック部分を引き上げて利用する
付属ACアダプタは従来モデル同様。USB PD準拠で、本体のThunderbolt 4ポートに接続して利用。出力は65W
ACアダプタの重量は、付属電源ケーブル込みで実測240gだった

アスペクト比16:10の14型液晶を搭載

 UH90/H1の大きな特徴の1つが搭載ディスプレイだ。従来モデルまではフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応も13.3型液晶を搭載していたが、新モデルではアスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の14型液晶に刷新された。

 縦の情報量が増えることでWeb閲覧やExcel/Wordなどを利用した作業効率が高まるため、近年ビジネス向けモバイルノートPCでも縦長ディスプレイを搭載する製品が増えている。LIFEBOOK UHシリーズもその流れに乗った形だが、やはり使ってみるとフルHDディスプレイよりも作業効率が高まることを実感できる。そういった意味でも、このディスプレイの刷新は大いに歓迎できる。

 なお、液晶パネルは従来モデルではIGZOパネルの採用を公表していたが、新モデルではIGZOパネルではなくなっている。とはいえ、視野角は十分広く、発色の鮮やかさも申し分ないので、大きな問題はないはずだ。また、ディスプレイ表面が非光沢処理となっており、外光の映り込みがほとんど気にならない点もありがたい。

アスペクト比16:10、1,920×1,200ドット表示対応の14型液晶を搭載
左がUH90/H1、右がWU2/E3。UH90/H1は縦の情報量が増え、より快適な作業性を実現。下部ベゼル幅も狭められ、洗練とした印象となった
IGZO液晶ではなくなったが、発色は十分に鮮やかで、表示品質はビジネス向けのモバイルノートPCとして申し分ない印象だ
ディスプレイは水平まで開いて利用できる

キーボードは従来モデル同様で、バックライトも標準搭載

 LIFEBOOK UHシリーズは、非常に扱いやすいキーボードも大きな特徴となっている。もちろんUH90/H1にも従来同様のキーボードが引き続き搭載されている。

 キーピッチは19mmフルピッチ、ストロークは1.5mm。標準的な固さとクリック感のある打鍵感に、標準的なキー配列、1段下がって搭載しているカーソルキー、キーボードバックライト搭載など、完成度は非常に高い。実際に扱ってみても、従来モデル同様の軽快な入力が可能で、非常に魅力的に感じる。このキーボードがあるからLIFEBOOK UHを選ぶという声も多く、しっかり受け継がれている点もうれしい部分だ。

 ポインティングデバイスは、独立したクリックボタンを備えるタッチパッドを搭載。クリックボタン一体型のタッチパッドと比べると、どうしてもパッドの面積が狭くなるが、カーソル操作やジェスチャー操作など、特に操作性が劣るとは感じない。それよりも、クリックボタンが独立していることで、確実にクリック操作が可能な点は魅力的。同時に、キーボードのホームポジション中心に搭載している点も、非常に扱いやすいと感じる。

LIFEBOOK UHシリーズで定評のある、扱いやすいキーボードをしっかり継承。UH90/H1ではキートップのかな表記がなくなり、すっきりとしている
主要キーのキーピッチは19mmフルピッチを確保
ストロークは1.5mmと標準的。ちょうどいい固さとクリック感で打鍵感も良好だ
標準でキーボードバックライトも搭載している
カーソルキーが1段下がって搭載されるなど、とにかく扱いやすさ抜群だ
独立したクリックボタンを備えるタッチパッドを搭載。キーボードのホームポジション中心に搭載していることもあって扱いやすい

優れた性能を発揮しつつ、静音性に優れる点も魅力

 では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介する。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2574」、「3DMark Professional Edition v2.25.8056」、Maxonの「Cinebench R23.200」の3種類だ。比較用として、筆者が普段利用している、CPUにCore i7-1165G7を搭載する「LIFEBOOK WU2/E3」の結果も掲載する。

【グラフ1】PCMark 10
【グラフ2】3DMark
【グラフ3】Cinebench R23.200

 結果を見ると、筆者が普段利用している比較用のWU2/E3の結果を大きく凌駕していることが分かる。WU2/E3はCore i7とはいえ2世代前のプロセッサということもあり、この結果もある意味当然と言える。とはいえ、ここまで大きな差があるというのは、個人的にかなりショックで、UH90/H1に買い換えたいと強く感じたほどだ。

 実際に、今回この記事を執筆する上で必要となる画像編集などの作業をUH90/H1で行なってみたが、簡単なレタッチやサイズ変更などもより短時間で行なえた。同時に、アスペクト比16:10の14型ディスプレイの快適さも強く感じられた。

 また、ベンチマークテスト中に感じたのが、冷却ファンの静かさだ。従来のLIFEBOOK UHの空冷ファンは、爆音とまでは言わないが、キーンという金属的な動作音がかなり耳に付く印象で、結構不快に感じるものだった。

 それに対しUH90/H1の空冷ファンは、金属的な動作音がほぼなく、風切り音も小さくなっている。ベンチマークテスト実行中にファンがフルに動作している状態でもなかなかの静かさで、静かな場所でもほぼ気兼ねなく高負荷作業を行なえそうだ。

 続いてバッテリ駆動時間だ。UH90/H1の公称の駆動時間は約29.5時間と非常に長いものとなっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオン、キーボードバックライトをオフに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測してみたところ、10時間33分を記録した。

 公称に対して3分の1ほどの駆動時間だが、もともと公称の駆動時間はJEITA測定法 Ver.2.0での数値であり、実利用時とかけ離れた駆動時間となっている。そういった意味では10時間半ほどの駆動時間はこのクラスのモバイルノートPCとして標準的と言っていいだろう。

 おそらく、通常利用では駆動時間がもう少し短くなると思うが、よほど高負荷な作業を長時間行わない限り7時間程度はほぼ問題なく利用できるはずで、1日外出して作業を行う場合でもバッテリ残量を気にする必要はなさそうだ。

軽さと性能を高いレベルで両立するモバイルノートPCとして魅力的

 今回見てきたようにUH90/H1は、最新LIFEBOOK UHシリーズ最軽量モデルではない。それでも十分な軽さと堅牢性に優れる筐体に、アスペクト比16:10の14型ディスプレイや高性能CPUのCore i7-1360Pを内蔵することで、軽さ、堅牢性、性能のいずれも高いレベルで実現した魅力的なビジネスモバイルノートPCに仕上がっている。

 価格はやや高めではあるが、そのコストに見合う魅力をしっかり備えており、間違いなく満足できる製品と言える。軽さ、モバイル性、性能のいずれも妥協しないビジネスモバイルノートPCを探しているなら、間違いなく検討に値する製品と言える。