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RTX 4070搭載ゲーミングタブレット「ROG Flow Z13」。このサイズでデスクトップPC並みの性能
2023年3月31日 11:00
ASUSは3月31日より、アパレルブランドであるACRONYMとコラボレーションした13.4型ゲーミングノート「ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNM」を発売する。
キーボードの着脱が可能なゲーミング2in1であるROG Flow Z13をベースに、ACRONYMとのコラボ筐体を採用したこの製品は、Core i9-13900HとGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載したハイスペックモデルだ。その実力を確かめてみよう。
ACRONYMコラボデザインの筐体に最新鋭のハイスペックCPU/GPUを搭載
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、Core i9-13900HとGeForce RTX 4070 Laptop GPUのほか、32GBのLPDDR5-5200メモリや、1TBのNVMe SSD(PCIe 4.0 x4)などを搭載しており、デタッチャブル2in1としてはもちろん、モバイルゲーミングノートとしても先進的でハイスペックなPCとなっている。
【表1】ASUS ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMのスペック | |
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OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i9-13900H (6P+8Eコア/20スレッド) |
dGPU | GeForce RTX 4070 Laptop GPU (8GB) |
iGPU | Iris Xe Graphics |
メモリ | 32GB LPDDR5-5200 |
ストレージ | 1TB NVMe SSD (PCIe 4.0 x4) |
ディスプレイ | 13.4型WQXGA液晶ディスプレイ (2,560×1,600ドット、165Hz、10点マルチタッチ対応) |
キーボード | デタッチャブルキーボード (82キー日本語配列) |
有線LAN | 非搭載 |
無線機能 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.1 |
USB/Thunderbolt | Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1 |
そのほかのインターフェイス | ROG XG Mobileインターフェイス、microSDXCカードスロット、503万画素赤外線カメラ、1,258万画素Webカメラ、ヘッドセットジャック |
バッテリ | 容量:4セル/56Wh、駆動時間:約8.8時間(JEITA v2.0) |
ACアダプタ | 出力:130W、バッテリ充電時間:約1.7時間、USB Type-C給電対応 |
本体サイズ | 約318×222×20mm |
本体重量 | 約1.31kg |
デタッチャブル2in1のROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMには、ディスプレイカバーにもなる薄型キーボードが付属しており、これを着脱することでノートPCスタイルとタブレットPCスタイルを切り替えることができる。
本体背面には開閉式のキックスタンドを備えており、約170度までの範囲でディスプレイの角度を調整できる。
13.4型のディスプレイには、165Hz駆動とWQXGA解像度(2,560×1,600ドット)に対応した液晶パネルを採用。10点マルチタッチ対応のほか、同梱のスタイラスペン「ASUS Pen 2.0」での操作も行なえる。
なお、標準設定でのディスプレイはCPUの内蔵GPUと接続されているが、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMはMUXスイッチを搭載しているため、GPU動作モードを「Ultimate」に変更することでdGPUであるGeForce RTX 4070 Laptop GPUとディスプレイを直結することも可能だ。
タブレットPCスタイルでの筐体サイズは約318×222×20mmで、重量は約1.31kg。付属の薄型キーボードの重量は約393gなので、組み合わせると1.7kgほどになる。
USBを始めとするインターフェイスは本体側に実装されており、Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、USB 3.1 Type-Aを各1基ずつ搭載。
ROG Flow Z13ならでは機能として、外付けGPUドック「ROG XG Mobile」との接続に用いるROG XG Mobileインターフェイスが本体左側面に実装されている。
2in1の中でもタブレットPC寄りのデタッチャブル型であるROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、ディスプレイ上部に配置されたWindows Hello対応の203万画素赤外線インカメラに加え、本体背面にアウトカメラとして4K30p動画にも対応する1,280万画素のWebカメラを搭載。本体を持ち出した先でアウトカメラを使って高精細な写真や動画を撮影できる。
バッテリ駆動時間は約8.8時間(JEITA v2.0)で、付属のACアダプタ(130W)を使用すると約1.7時間で充電可能。
ACRONYMコラボモデルのユニークなモバイルキャリーシステム
アパレルブランドであるACRONYMとのコラボモデルだけあって、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMの外装は独特のセンスが感じられるビジュアルに仕上げられている。
素材の質感と金属加工のツールマークをあえて残した背面パネルや、専用の配色と印字を採用したキーボードは特に象徴的だ。
通常モデルとは異なるユニークな外観が特徴である一方、機能面でもACRONYMコラボモデル限定の要素が追加されている。それは、専用のストラップを用いたモバイルキャリーシステムだ。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNM本体の四角には、通常モデルにはないのダンパーが搭載されており、これは本体を保護するだけでなく、専用ストラップを固定するコネクタとしての機能を備えている。
専用ストラップは本体をさまざまなスタイルで携帯・運用できるユニークなもので、アパレルブランドとのコラボレーションらしさが感じられる。
なお、本体用のストラップのほかにも、キーボード用のストラップと、ACアダプタの持ち運びにちょうど良いサイズ感のキャリーバッグも同梱されている。
デスクトップ型ミドルレンジゲーミングPCと互角以上の性能をデタッチャブル2in1で実現
ここからは、ベンチマークテストでROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMのパフォーマンスをチェックしていく。実施したベンチマークテストは以下の通りだ。
- Cinebench R23
- Blender Benchmark
- 3DMark
- PCMark 10
- ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
- BLUE PROTOCOL ベンチマーク
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMの比較相手には、デスクトップ向けのミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060 8GB」を搭載したデスクトップゲーミングPCを用意。
ゲーマー向けのデスクトップPCとしてミドルクラスの実力を備える比較環境をものさしとして、最新のゲーミング2in1が実現する性能を測ってみよう。
【表2】テスト機材 | ||
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機材 | ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNM | 比較機材(Ryzen 7 5800X環境) |
CPU | Core i9-13900H (6P+8Eコア/20スレッド) | Ryzen 7 5800X (8コア/16スレッド) |
CPU電力/温度リミット | PL1=55W、PL2=95W、Tau=56秒、TjMax=100℃ | PPT=142W、TDC=95A、EDC=140A、TjMax=90℃ |
GPU電力/温度リミット | 電力=65W、温度=87℃ | 電力=170W、温度=83℃ |
マザーボード | ─ | ASUS TUF GAMING X570-PRO WIFI II |
メモリ | 32GB LPDDR5-5200 | 32GB DDR4-3200 (16GB×2) |
GPU | GeForce RTX 4070 Laptop GPU (8GB) | ASUS Dual GeForce RTX 3060 8GB GDDR6 |
GPUドライバ | Studio 528.49 (31.0.15.2849) | GRD 531.29 (31.0.15.3129) |
Resizable BAR | 有効 | 有効 |
システム用SSD | 1TB NVMe SSD (PCIe 4.0 x4) | CORSAIR MP600 1TB (PCIe 3.0 x4) |
電源 | 専用ACアダプタ (130W) | 1,200W電源 (80PLUS Platinum) |
OS | Windows 11 Home 22H2 (build 22621.1413、VBS有効) | Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1413、VBS有効) |
GPUモード | Ultimate | ─ |
電源プラン | バランス | バランス |
室温 | 約24℃ |
Cinebench R23
CPUの3DCGレンダリング性能を計測するCinebench R23では、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがMulti Coreで14,331、Single Coreで2,044を記録。Multi CoreではRyzen 7 5800Xを約7%下回ったものの、Single Coreでは逆に28%も上回った。
Blender Benchmark
Blenderの公式ベンチマークソフトである「Blender Benchmark」では、CPUとGPUでそれぞれテストを実行した。
CPUテストでは、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがmonsterでRyzen 7 5800Xを約13%上回ったものの、junkshopとclassroomでは逆に約5%下回った。
この結果はCPUのブースト動作によるもので、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMではCore i9-13900Hに対する電力リミットが「56秒間の95W動作」と「時間無制限の55W動作」という2段階に分かれており、テストの大部分を95W動作で実行できたmonsterのスコアが高い。
一方、続けて実行されるjunkshopといclassroomは55W動作の時間が長くなるため、常に142Wまでの電力消費が許容されるRyzen 7 5800Xを下回ったというわけだ。
GPUテストでは、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMが搭載するGeForce RTX 4070 Laptop GPUが、GeForce RTX 3060 8GBを38~80%と大きく上回った。
モバイルGPUでありながら、GeForce RTX 4070 Laptop GPUが優れた性能を備えたGPUであることが確認できる。
3DMark「CPU Profile」
CPUの性能をスレッド数ごとに確認する3DMarkのCPU Profileでは、8スレッドテストで約7%下回ったことを除き、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがRyzen 7 5800Xを6~17%上回った。
PCMark 10
PCMark 10でもっともテスト数の多いExtendedを実行した結果、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMはRyzen 7 5800X環境を総合スコアで約9%上回った。
また、サブスコアについてもROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがRyzen 7 5800X環境を4~14%上回っている。
3DMark
3DMarkではCPU Profile以外にも、ゲーミング性能を計測する「Speed Way」、「Port Royal」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、Speed Wayで約30%、Port Royalで約15%、Time Spyで約18%、Fire Strikeで約8%、Wild Lifeでも3~6%、それぞれRyzen 7 5800X環境を上回った。
まるで当然かのようにROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがRyzen 7 5800X環境を上回っているわけだが、最大130Wまでの電力しか消費出来ないゲーミング2in1が、2倍以上の電力を消費することもあるデスクトップ環境を相手に互角以上の性能を発揮しているのは驚くべき結果だ。
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、フルHDとWQXGAの最高品質設定でベンチマークを実行し、スコアと平均フレームレートを計測した。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMのスコアは、フルHDでRyzen 7 5800X環境を約5%下回り、WQXGAではまったく同じスコアを記録した。
平均フレームレートに関しては、フルHDで約131.0fps、WQXGAで約82.8fpsを記録しており、どちらの条件でも十分にプレイできるだけのパフォーマンスを発揮している。
実際のゲームでのパフォーマンスを検証
DLSS 3対応タイトルではRTX 3080を圧倒
ここからは、実際のゲームを使ってパフォーマンスを比較する。テストしたゲームは次の通り。
- エルデンリング
- モンスターハンターライズ : サンブレイク
- サイバーパンク2077
- ホグワーツレガシー
エルデンリング
エルデンリングでは、レイトレーシングのサポートが追加されたv1.09にて、グラフィックプリセットを「最高」に設定し、レイトレーシングを「オフ」または「高」にした条件で平均フレームレートを計測した。
なお、このゲームでのみ、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMのグラフィックスドライバを「Studio 531.41」に更新している。
レイトレーシング「オフ」では、フルHDで上限フレームレート(60fps)をわずかに割り込んだROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがRyzen 7 5800X環境を約1%下回った一方、WQXGAでは逆に約8%上回った。
レイトレーシングを「高」に設定した場合では、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMがRyzen 7 5800X環境を12~13%上回っている。
GeForce RTX 3060 8GBが備えるものより、1つ世代の進んだRTコアをより多く搭載するGeForce RTX 4070 Laptop GPUが、優れたレイトレーシング性能を備えていることが伺える結果だ。
モンスターハンターライズ : サンブレイク
モンスターハンターライズ : サンブレイクでは、グラフィックプリセットを「高」に設定して、フルHDとWQXGAでの平均フレームレートを計測した。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、フルHDで約139.4fps、WQXGAで約132.5fpsを記録。フルHDではRyzen 7 5800X環境とほぼ同等だが、WQXGAでは約45%も上回った。
サイバーパンク2077
サイバーパンク2077では、グラフィックプリセット「レイトレーシング : ウルトラ」でベンチマークモードを実行した。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMについては、DLSS 3のフレーム生成を有効にしたさいのパフォーマンスも計測している。
フレーム生成無効時はRyzen 7 5800X環境を6~9%下回ったROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMだが、フレーム生成を有効にすると逆に50~52%もRyzen 7 5800X環境を上回った。
サイバーパンク2077はフレーム生成の効果が特に顕著なタイトルの1つで、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMはフレーム生成によって6割以上も平均フレームレートが向上している。
結果的にフルHDで72.7fps、WQXGAでも52.3fpsに達しており、より快適にプレイできるパフォーマンスを得られている。
ホグワーツ・レガシー
ホグワーツ・レガシーでは、グラフィックプリセットを「高」、レイトレーシングを「オフ」、DLSSの超解像を「バランス」に設定して、フルHDとWQXGAでの平均フレームレートを計測した。
ここでも、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMについてはDLSS 3のフレーム生成を「オン」にした場合のパフォーマンスを計測している。
フレーム生成無効時のROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、フルHDで約73.8fps、WQXGAで約59.5fpsを記録しており、それぞれRyzen 7 5800X環境を約6%と約3%下回った。
とは言え、フレームレート的には十分プレイできるだけのパフォーマンスは得られている。
DLSS 3のフレーム生成を有効にすると、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMのフレームレートはフルHDで約104.7fps、WQXGAで約71.2fpsに上昇し、Ryzen 7 5800X環境をそれぞれ約34%と約16%上回った。
ベンチマーク実行中のモニタリングデータをチェック
最後に、ベンチマークテスト実行中に取得したモニタリングデータから、高負荷動作中のROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMの状態を確認してみよう。
計測を行なったベンチマークテストは、Cinebench R23の「Multi Core」と、WQXGA解像度で実行した「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」。
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMでは、温度リミットがCPUは100℃、GPUは87℃に設定されているが、どちらのベンチマークを実行している状況でも温度リミット未満で動作しており、サーマルスロットリングは動作していない。冷却システムがCPUとGPUをしっかりと冷却できていることが伺える。
Cinebench R23実行中のモニタリングデータを確認してみると、テスト開始直後の1分間ほど100W弱の電力を消費しながらPコア=4.2GHz前後、Eコア=3.2GHz前後で動作したあと、消費電力が55Wほどに低下して、CPUクロックもPコア=3.7GHz前後、Eコア=2.8GHz前後に低下しているのが確認できる。
これが電力リミットによるブースト動作の変化であり、短時間のテストでRyzen 7 5800Xを上回る性能を発揮する一方、長時間の高負荷処理では逆転されていた理由だ。
見た目以上にパワフルなゲーミング2in1
ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMは、アパレルブランドACRONYMとのコラボレーションによる特徴的なデザインと、ユニークなモバイルキャリーシステムを採用したモバイルゲーミングノートであり、どちらかと言えばタブレットスタイルでの利用に適した製品だ。
驚くべきはそのパフォーマンスで、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMが搭載するIntelとNVIDIAの最新鋭プロセッサは、消費電力面での制約がありながらもミドルクラスのデスクトップゲーミングPCと互角以上とも言える実力を発揮した。
このスタイルのモバイルPCで、ホグワーツ・レガシーのような新作タイトルを高画質設定でもしっかりプレイできることには驚かされた。
本体のビジュアルやキャリーシステムを用いた携帯性に魅力を感じるユーザーはもちろん、タブレットスタイルで使えるパワフルなPCを求めているゲーマーやクリエイターにとっても、ROG Flow Z13 GZ301VIC-ACRNMはユニークな魅力のある一台となるだろう。