Hothotレビュー
144Hz液晶/RTX 3070搭載で税別20万円切り。高性能/高コスパのパソコン工房製ゲーミングノート
2021年5月5日 06:55
パソコン工房のiiyama PCブランド「LEVEL∞」より、ゲーミングノートPC「LEVEL-15FR105-i7-TASX」が発売された。
本機は15.6型のゲーミングノートで、同社が販売するノートPCの中で上位クラスのGPUとなるGeForce RTX 3070を搭載している。さらにディスプレイは144Hzのハイリフレッシュレートに対応するなど、ハイスペックノートPCとしてのこだわりも見えるマシンとなっている。
こちらの実機をお借りしたので、性能の検証とともに製品の特徴を探っていきたい。
ハイリフレッシュレート対応で税別20万円切り
「LEVEL-15FR105-i7-TASX」のスペックは下記の通り。
【表1】LEVEL-15FR105-i7-TASX | |
---|---|
CPU | Core i7-10870H(8コア/16スレッド、2.2~5GHz) |
GPU | GeForce RTX 3070(8GB) |
メモリ | 16GB DDR4-2666(8GB×2) |
SSD | 500GB(M.2 NVMe) |
光学ドライブ | なし |
ディスプレイ | 15.6型非光沢液晶(1,920×1,080ドット/144Hz) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
汎用ポート | Thunderbolt 3、USB 3.0×3 |
カードスロット | microSDXC |
映像出力 | HDMI、Mini DisplayPort |
無線機能 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5 |
有線LAN | Gigabit Ethernet |
その他 | 前面100万画素カメラ、マイク、音声入出力など |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 357.5×238×26.4mm |
重量 | 約2.02kg |
税別価格 | 19万6,980円(5月6日14時まで特価で18万9,980円) |
CPUは8コア/16スレッドのCore i7-10870H、GPUはGeForce RTX 3070で、同社のノートPCでは上位クラスのグレードとなる。メインメモリが16GB、SSDが500GBというのは最近のゲーミングPCとしては最低ラインかなと思うが、カスタマイズでメインメモリは32GB、SSDは2TB×2まで拡張できる。
ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)ながら144Hzのハイリフレッシュレートに対応。FPSなどリフレッシュレートを上げて遊びたいタイトルに向いている。ネットワーク周りでは、Gigabit Ethernetを搭載する他、最新のWi-Fi 6にも対応する。
本機の特徴としては、本体のコンパクトさが挙げられる。筐体サイズは最厚部こそ26.4mmあるが、15.6型のゲーミングPCとしては小さく、また重量が約2.02kgというのもスペックから考えればかなり軽量だ。
価格も税別で20万円を切っており、高性能なゲーミングノートPCとしてはコストパフォーマンスが高い。
十分な冷却性能で高い処理能力を発揮
まずは性能のチェックから。ベンチマークテストに利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2508」、「3DMark v2.17.7166」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.1」。
本機は専用ソフト「Control Center 3.0」で動作モードを切り替えられる。初期値の「エンターテイメント」の他、「パフォーマンス」、「省電力」、「静音」の計4つのモードが用意されており、ワンクリックで切り替えができる。
今回のテストでは、「PCMark 10 v2.1.2508」に限り4つの動作モードで測定。他のテスト、およびバッテリテストについては標準設定となる「エンターテイメント」を利用した。
【表2】ベンチマークスコア | ||||
---|---|---|---|---|
エンターテイメント | パフォーマンス | 省電力 | 静音 | |
PCMark 10 v2.1.2508 | ||||
PCMark 10 | 6,012 | 6,007 | 4,839 | 5,302 |
Essentials | 8,978 | 8,956 | 8,278 | 8,232 |
Apps Start-up score | 11,719 | 11,655 | 10,841 | 10,554 |
Video Conferencing Score | 7,278 | 7,298 | 6,978 | 6,990 |
Web Browsing Score | 8,485 | 8,447 | 7,508 | 7,564 |
Productivity | 7,863 | 7,692 | 7,135 | 8,418 |
Spreadsheets Score | 9,421 | 8,778 | 7,878 | 10,907 |
Writing Score | 6,563 | 6,741 | 6,513 | 6,497 |
Digital Content Creation | 8,357 | 8,539 | 5,209 | 5,840 |
Photo Editing Score | 12,782 | 12,785 | 8,665 | 10,232 |
Rendering and Visualization Score | 9,977 | 10,690 | 4,833 | 5,736 |
Video Editing Score | 4,577 | 4,556 | 3,376 | 3,394 |
Idle Battery Life | 9時間7分 | |||
Modern Office Battery Life | 6時間45分 | |||
Gaming Battery Life | 2時間23分 | |||
3DMark v2.17.7166 - Time Spy | ||||
Score | 9,044 | |||
Graphics score | 9,069 | |||
CPU score | 8,909 | |||
3DMark v2.17.7166 - Port Royal | ||||
Score | 5,575 | |||
3DMark v2.17.7166 - Fire Strike | ||||
Score | 19,989 | |||
Graphics score | 23,836 | |||
Physics score | 20,652 | |||
Combined score | 8,851 | |||
3DMark v2.17.7166 - Wild Life | ||||
Score | 48,485 | |||
3DMark v2.17.7166 - Night Raid | ||||
Score | 44,682 | |||
Graphics score | 78,920 | |||
CPU score | 12,920 | |||
VRMark v1.3.2020 - Orange Room | ||||
Score | 8,526 | |||
Average frame rate | 185.86FPS | |||
VRMark v1.3.2020 - Blue Room | ||||
Score | 2,765 | |||
Average frame rate | 60.27FPS | |||
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(高品質) | ||||
3,840×2,160ドット | 3,973 | |||
1,920×1,080ドット | 8,235 | |||
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(最高品質) | ||||
1,920×1,080ドット | 14,292 | |||
Cinebench R23 | ||||
CPU(Multi Core) | 9,862pts | |||
CPU(Single Core) | 1,207pts |
テストの結果を見ると、フルHDクラスであれば十分な性能を発揮できているのが分かる。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONベンチマークでは惜しくも最上位から落ちる「快適」の評価だったものの、最高画質での結果なのでノートPCとしては上々だ。
Cinebench R23の結果では、マルチコアの結果が良好で、MP Ratioが8.17と実コア数を上回る数字になっている。ノートPCではマルチコア処理時の冷却が間に合わずスコアが悪くなりやすいが、本機に関してはそういった問題は見られなかった。
動作モードについては、「エンターテイメント」で冷却性能が足りていたのか、「パフォーマンス」でもはっきりした性能向上は見られなかった。「省電力」と「静音」ではグラフィックス系の処理ではっきりとスコアの低下が見られるので、重めのゲームプレイ時には使用しないほうがよさそうだ。
バッテリ持続時間は、画面の明るさ50%、NVIDIA Battery Boostオフの設定で、オフィスユースは6時間45分、ゲーミングで2時間23分となった。ACアダプタ未接続時に動作モードが切り替わるような挙動はなかったが、ゲーミングでは表示画面のフレームレートが低く抑えられているように見えた。ゲームプレイ時はACアダプタを接続して使うほうがいいだろう。
ストレージはIntel製SSD「SSDPEKNW512G8」が使われていた。QLC 3D NANDを採用したエントリークラスの製品で、シーケンシャルリードは約1.6GB/s、同ライトは約1GB/sと、NVMe SSDとしては控えめ目な性能となっている。それでもSATA接続のSSDに比べれば数倍高速で、試用中も特に違和感はなかった。
高品質なパーツと多彩なカスタマイズツールを搭載
続いて使用感を見ていく。筐体は全面ブラックで統一されており、天面は落ち着いたマットブラック。中央に「LEVEL∞」のロゴがある以外に装飾類はなく、形状もフラット。ビジネス向けとして見ても支障はない。
ディスプレイを畳んだ状態で手に持つと、厚さ26.4mmのわりには薄く感じ、特に前部はゴム足の部分を除くと実測で約19mmだった。ゲーミングノートPCとしては相当に薄型の部類だ。それでも筐体の剛性は高く、ねじる動きにもたわみがない。ただしディスプレイ部だけをねじると容易にたわみ、天面を押すとややへこむので圧迫には注意が要りそうだ。
液晶は光量がかなり高く、そのせいか若干コントラストが低めに感じられる。ただ発色は鮮やかで、視野角も極めて広く、あらゆる角度で色相変化は見られない。144HzのハイリフレッシュレートのおかげでWebブラウザなどのスクロールも滑らかで、ゲーム以外の用途でもとても快適に使える。
さらに本機には、カラープロファイルを切り替えられる「X-Rite Color Assistant」がプリインストールされている。Rec.709とsRGBを選択でき、映像編集や画像処理にも対応できる。実際に切り替えてみると、画面の色味がかなり大きく変わるのが分かる。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプ。テンキーはやや縦長だが、アルファベットキーとその周辺はほぼ正方形のキートップを維持できている。キータッチは柔らかめで、ゴムのような弱いクリック感があり、タイピングのノイズはかなり小さい。スペースキーなど長いキーの端を押してもまっすぐに押下され、ゲームのみならずテキスト入力も快適だ。
キーボードバックライトも搭載しており、キーの外周が淡く光る。バックライトの色はキーボード全体で共通になっており、色や明るさの変更ができる。また任意のキーにマクロ機能を持たせるツールも用意する。
スピーカーは底面の前部左右に内蔵。小型スピーカーのせいか低音はほとんど出ておらず、音量を大きくすると音割れもしやすい。ただ人の声はクリアで聞き取りやすく、高音も耳触りにならない。ステレオ感もしっかりあり、出せる音の範囲で上手く聴かせようとしているのが分かる。
サウンドに関しても「Sound Blaster Atlas」というツールを備えており、複数のプロファイルを切り替えて使える。FPSやレースといったゲームジャンル別のプロファイルに加え、「Battlefield 1」や「DOTA 2」、「Overwatch」といった特定のゲームタイトルに最適化したプロファイルも用意する点はユニークだ。
排熱処理は、底面吸気、背面と側面から排気となる。高負荷時はキーボードの中央部がはっきりと温かくなるが、W/A/S/Dキー付近から右手のリストレスト部にかけてはほとんど温かさを感じない。重めのゲームプレイ時も、マウスを接続してプレイする限りはさほど違和感なく遊べるだろう。
ファンの騒音は、低負荷ではほぼ無音だが、高負荷になるとファンが高速に回転する音が鳴る。音質はホワイトノイズとやや高めの風切り音が半々という印象で、音量もそれなりにある。スピーカーでゲームの音を出せば、かろうじて許せる範囲かなと思うが、できればヘッドフォンを装着したい。
ちょっと残念なのがインターフェイス部。右側面にUSB 3.0×2とGigabit Ethernetがあるのだが、LANケーブルをつなげると本体の右側のスペースを食ってしまい、マウスの位置と干渉しやすい。左側面にあるmicroSDXCカードスロットとGigabit Ethernetの位置が逆であれば問題なかっただけに惜しい。
ACアダプタは出力180Wで、厚さは約22mmと本体とほぼ同等。ゲーミングノートPCとしては比較的小型の部類だとは思うが、ケーブルはかなり太いので、あまり頻繁に持ち運ぶ想定はしないほうがよさそうだ。
性能、サイズ、価格のいずれも優秀なゲーミングノートPC
デスクトップPC向けのビデオカードが深刻な品不足に陥り、価格が暴騰する中、ゲーミングノートPCは比較的価格も安定している。普段ならデスクトップPCを購入しようという人も、このご時世なら割安感のあるノートPCで全部まとめてしまおうかと考えるかもしれない。
そのような状況にあって、本機は基本的な性能の高さに加え、144Hzのハイリフレッシュレート液晶を搭載し、キーボードも含めてこれといった弱点もなく、満足度の高いゲーミング環境を実現できている。これで税別20万円を切るというコストパフォーマンスの高さが、本機の最大の魅力であろう。
また、ノートPCとしてはハイエンドに近い性能を持ちつつ、約2kgの軽量・薄型筐体である点も重要だ。昨今は新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増えており、仕事の環境を高性能なノートPCにまとめたいという人も多いはず。性能に妥協せず、持ち運びも考慮し、価格もなるべく安く……というありがちなニーズを、高いレベルで満たしてくれる1台だ。