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RTX 3060と165Hz液晶を搭載。ゲーミングノートの優等生「G-Tune E5-165」
2021年5月6日 06:55
マウスコンピューターは4月22日、G-Tuneブランドの15.6型ゲーミングノート「G-Tune E5-165」を販売開始した。CPUにCore i7-10870H、GPUにノートPC向けGeForce RTX 3060を搭載し、ゲーミングPCとしては概ねミドルクラス相当の性能を備える。
自宅に据え置きで使うノートPCとしておすすめできるタイプの製品で、優秀な3Dグラフィックス描画性能とWQHD(2,560×1,440ドット)解像度の165Hzディスプレイにより、ノートPCながら非常に快適なゲーム体験が可能だ。
この記事では「G-Tune E5-165」の製品サンプルをもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。
ノートPC向けRTX 3060&165Hz液晶搭載でなめらかな描画を実現
まずはハードウェアの基本的な性能を確認していこう。先に述べた通り、本製品はCPUに8コア/16スレッド動作が可能なCore i7-10870H、GPUにノートPC向けのGeForce RTX 3060を搭載。CPUに関しては、ブースト時5GHz動作も可能なハイエンドモデルであり、性能は申し分ない。
GPUは今年(2021年)1月に発表されたノートPC向け「GeForce RTX 30」シリーズの中では最も下位に属するが、性能的にはミドルクラス相当のポテンシャルを備えていると言える。
デスクトップPC向けのGeForce RTX 3060と比較すると、演算ユニットであるCUDAコア数は若干多い反面、動作クロックがやや低めに調整されており、さらにビデオメモリの容量は半分の6GBまで削減されているのが特徴だ。
ビデオメモリが少ないため、特に高解像度対応はあまり得意ではないと思われるが、基本的なパワーそのものはデスクトップPC向けGPUに大きくひけを取らない。
ここ数年、CPUのコア/スレッド数増加やGPUのハイパワー化といったトレンドの影響もあり、ゲーミングノートPCの性能は目覚ましい向上を見せている。
本製品のようなミドルクラス相当のGPUを搭載するノートPCであれば、もはや一般的なフルHD(1,920×1,080ドット)解像度でのゲーム描画に困ることはなく、ほとんどのタイトルで最高設定・60fps超えが当たり前にできると思っていいだろう。
WQHD(2,560×1,440ドット)解像度では、さすがに144fpsを超えるような高いフレームレートは多くのタイトルで出せなくなるものの、一部のAAA級タイトルでない限りはプレイに支障はないはずだ。
こちらもすでに述べているが、本製品のディスプレイは165Hzの高リフレッシュレート仕様で、解像度は最大でWQHDに対応できる。ゲーミングノートの基礎スペック上昇に伴い、1秒あたりの画面更新回数が多い(なめらかな描画が可能になる)高リフレッシュレートディスプレイを搭載する機種もぐっと増えた印象があるが、本製品はそんなトレンドをしっかり押さえたモデルと言える。
負荷がそれほど高くないタイトルであればWQHD解像度で精細な描写を楽しみ、高負荷なタイトル、あるいはFPSシューターやMOBA系であれば解像度をフルHDに落としてフレームレートを高めるなど、タイトルに合わせて解像度を切り替ることができるのは本製品の強みだ。
メインメモリの容量は16GB(DDR4-2666、8GBデュアルチャネル)で、ストレージは高速な512GB NVMe SSD。こちらは今どきのノートPCとしては一般的な構成で、可もなく不可もないといったところ。
ちなみに近年は1タイトルで容量100GBを超えるような超大作ゲームも増加傾向にあるが、そういったタイトルを複数プレイする予定があるならば、BTOによるカスタマイズを検討するのもいいだろう。カスタマイズメニューには、1TB~2TBまでのアップグレードメニューが用意されており、1TB SSDならおおよそ1万円ほど。
ネットワーク機能は、本体背面の有線LANコネクタが使用できるほか、内蔵するIntel AX201モジュールによるWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)無線通信にも対応。ゲームのオンラインマルチプレイの際は基本的に高速で通信できる有線接続を推奨したいが、有線・無線どちらも使える取り回しの良さはメリットだ。
【表1】G-Tune E5-165の主なスペック | ||
---|---|---|
CPU | Core i7-10870H (8コア/ 16スレッド、2.2~5GHz、16MBスマートキャッシュ) | |
チップセット | Intel HM470 チップセット | |
GPU | GeForce RTX 3060(ノートPC向け、6GB GDDR6)、Intel UHD Graphics | |
メモリ | 16GB(DDR4-2666、8GB×2) | |
ストレージ | 512GB(M.2NVMe SSD) | |
ディスプレイ | 15.6型WQHD(2,560×1,440ドット)非光沢 | |
OS | Windows 10 Home 64bit | |
ネットワーク | Intel Wi-Fi 6 AX201(最大2.4Gbps/ IEEE 802.11ax + Bluetooth 5モジュール内蔵)、2.5Gbit Ethernet | |
バッテリ駆動時間 | 約 7.5時間 | |
本体サイズ | 355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 約 1.73kg | |
直販価格 | 19万7,780円 |
意外にも本体重量は2kg切り。サイズが気にならなければ持ち運びも視野に
続いて、本体の外観やインターフェイス類をチェックしよう。本体カラーはガンメタリック一色のゲーミングPCらしい佇まいで、装飾らしい装飾は天面にG-Tuneのロゴがある程度と、シンプルなデザインを採用する。
本体サイズは約355.5×236.7×20.6mm(幅×奥行き×高さ)。ディスプレイの上辺および左右辺のベゼルを狭めたナローベゼルデザインにより、15.6型のゲーミングPCとしては比較的コンパクトだ。
加えて重量は約1.73kgと、このクラスの製品では非常に軽い。ACアダプタが実測約840g程度だったので、合計するとおよそ2.6kgほどになる。
コンパクトと言っても15.6型なので、入れるバッグやリュックサックは多少選ぶものの、ゲーミングノートとしては持ち運びは楽な部類に入るだろう。
旅行の際にトランクに入れて持っていったり、学生であれば長期休みの帰省で実家に持ち帰ったりするような使い方ならばあまり負担にはならないはずだ。
インターフェイスは、HDMI端子×2(うち1つはType-C形状)、USB 3.0×2、USB 3.1×1、microSDカードリーダ、有線LANコネクタ、ヘッドフォン出力端子、マイク入力端子。また、ディスプレイ上部には100万画素のWebカメラを内蔵しており、Windows Helloによる顔認証ログインを利用できる。
ゲーミングマウスやゲームコントローラを接続するためのUSBポートや外部ディスプレイ接続用のHDMI端子など、必要になりそうなインターフェイスは一通り揃っており、そうそう困ることはなさそうだ。
キーボードは合計100キー、テンキーありの日本語配列を採用。キーピッチは18.75mm、キーストロークは1.4mmで、このサイズのノートPCでは打鍵感はまずまずといったところ。
ファンクションキーが一般的なキーボードの約半分のサイズになっているのはノートPCとしてはありがちだが、その他PCゲームで使用しやすいWASDキー、左SHIFTやスペースバーまわりはキー配置も特殊ではないため、このままゲームや簡単なチャットなどに使う分には大きな問題はないだろう。
キーボードバックライトはRGB LEDで、プリインストールアプリの「Control Center」から発光パターンやカラーを調整できる。パターンは「虹色」や「ブリーズ」(呼吸)などオーソドックスなもので、ファンクションキーからの完全消灯も可能だ。
「G-Tune E5-165」の性能をベンチマークでチェック
では、「G-Tune E5-165」の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。
今回は「3DMark」および「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTSY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」といったベンチマークアプリに加え、「Apex Legends」、「Horizon Zero Dawn」、「Cyberpunk 2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」などの実ゲームタイトルでもフレームレートを計測した。ちなみに計測時の本体動作モードは全て「パフォーマンスモード」としている。
【表2】3DMark v2.17.7137 | |
---|---|
Time Spy Extreme score | 4,030 |
Time Spy Extreme Graphics score | 3,999 |
Time Spy Extreme CPU score | 4,222 |
Time Spy score | 8,431 |
Time Spy Graphics score | 8,303 |
Time Spy CPU score | 9,240 |
Fire Strike Ultra score | 5,220 |
Fire Strike Ultra Graphics score | 5,063 |
Fire Strike Ultra Physics score | 20,775 |
Fire Strike Ultra Combined score | 2,763 |
Fire Strike Extreme score | 9,841 |
Fire Strike Extreme Graphics score | 10,217 |
Fire Strike Extreme Physics score | 20,459 |
Fire Strike Extreme Combined score | 4,791 |
Fire Strike score | 18,630 |
Fire Strike Graphics score | 21,586 |
Fire Strike Physics score | 20,641 |
Fire Strike Combined score | 8,574 |
Port Royal score | 4,926 |
「3DMark」に関しては、内部的にWQHD解像度で描画される「Time Spy」や「Fire Strike Extreme」でも十分に高いスコアが出ており、フルHDの「Fire Strike」に関しては極めて快適な描画が期待できる結果だ。
さすがに4K(3,860×2,160ドット)解像度の「Time Spy Extreme」、「Fire Strike Ultra」はやや心許ないスコアだが、そもそも本製品のディスプレイは最大解像度がWQHDまでとなるため、外部ディスプレイを接続しない限りは問題にならない。
なお、ノートPC向けGeForce RTX 3060は対応タイトルに限りDXR(リアルタイムレイトレーシング)機能を有効化できるものの、Port Royalの結果を見る限り、フレームレートはそれほど上げられないと思われる。
次に、比較的軽量な実ゲームベースのベンチマークである「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」に関しては、フルHDとWQHD、どちらの解像度でも最高判定である「非常に快適」の基準を上回るスコアを達成できている。
WQHD解像度でもテスト中の平均フレームレートは90fpsを上回っており、本製品の165Hzディスプレイを存分に活用できると言えそうだ。
【表3】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークの結果 | |
---|---|
1,920×1,080ドット 最高品質 | 16,166 |
2,560×1,440ドット 最高品質 | 12,889 |
一方、高負荷タイトルである「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」は、フルHD~WQHD解像度までが「快適」判定で、4K解像度は「普通」という結果に。この手の大作タイトルでは、無理に解像度を上げるよりもフルHD解像度で高いフレームレートを目指すほうが、本製品の特徴にはマッチするだろう。
【表4】FINAL FANTSY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK | |
---|---|
1,920×1,080ドット 高品質 | 8,167 |
2,560×1,440ドット 高品質 | 6,316 |
3,840×2,160ドット 高品質 | 3,761 |
続いて、実ゲームのフレームレート計測結果を見てみよう。
【表5】ゲームタイトルごとのフレームレート | ||
---|---|---|
平均fps | 最小fps | |
Horizon Zero Dawn | ||
1,920×1,080ドット 最高画質 | 82.0 | 41.0 |
Horizon Zero Dawn | ||
2,560×1,440ドット 最高画質 | 69.0 | 32.0 |
アサシン クリード ヴァルハラ | ||
1,920×1,080ドット 最高画質 | 74.0 | 31.0 |
アサシン クリード ヴァルハラ | ||
2,560×1,440ドット 最高画質 | 57.0 | 26.0 |
Apex Legends | ||
1,920×1,080ドット 最高画質 | 164.09 | 120.855 |
Apex Legends | ||
2,560×1,440ドット 最高画質 | 129.41 | 97.759 |
Cyberpunk 2077 | ||
1,920×1,080ドット 画質:ウルトラ | 57.389 | 42.377 |
Cyberpunk 2077 | ||
2,560×1,440ドット 画質:ウルトラ | 36.042 | 28.764 |
「Horizon Zero Dawn」および「アサシン クリード ヴァルハラ」は、どちらもゲーム内ベンチマークモードでフレームレートを計測した。両タイトルともAAA級の高負荷タイトルではあるが、フルHD解像度の計測では難なく平均60fps超えを達成。
WQHD解像度の計測では、「アサシン クリード ヴァルハラ」がわずかに平均60fpsを割り込んでしまうものの、どちらのタイトルも十分快適にプレイできる水準ではある。
「Apex Legends」および「Cyberpunk 2077」は、NVIDIAの計測ソフト「Frame View」を使用し、どちらもゲーム内の一定コースを移動した際の1分間のフレームレートを計測している。
「Apex Legends」に関しては、フルHDで平均フレームレートが164fpsと、ディスプレイの最大リフレッシュレートに近しい値が出ており、WQHD解像度でも平均120fps超えを達成。こういったシューター系タイトルは高リフレッシュレート液晶と相性がいいため、本製品を購入してバトルロイヤルゲームにデビューするのも悪い選択肢ではないだろう。
「Cyberpunk 2077」は現行屈指のヘビー級タイトルということもあり、フルHD解像度でも平均フレームレートは60fpsをわずかに割り込んでしまう。WQHD解像度では平均30fps前後までフレームレートが落ちるものの、これでも十分健闘しているほうで、プレイ自体は可能と言っていい。
なお、本作にはさらに負荷を重くするレイトレーシング設定があるものの、さすがに全てのオプションを有効化してしまうと画面のカクつきが目立ち、フレームレートも低下してしまうため、あまり現実的な選択肢ではないかもしれない。
最後に、ストレージ系のベンチマークも確認してみよう。
データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施。シーケンシャルリードでは毎秒2,000MB超え、シーケンシャルライトは毎秒1,389MBと、NVMe接続のSSDらしい速度が出ていることが分かる。
ハイエンドなNVMe SSDと比較するとそれほど高速とは言えないかもしれないが、それでもSATA接続のSSDをはるかに上回る速度で、データコピーやゲームの読み込みの高速化を実現してくれるはずだ。