Hothotレビュー
2080 Tiに匹敵するのはホントか? GeForce RTX 3070を検証する
2020年10月27日 22:00
NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 3070」が10月29日に発売される。これに先立って、同GPUを搭載するNVIDIA純正ビデオカード「GeForce RTX 3070 Founders Edition」をテストする機会が得られたので、ベンチマークテストでそのパフォーマンスを確認する。
GeForce RTX 30シリーズのアッパーミドルGPU
GeForce RTX 3070は、NVIDIAのAmpereアーキテクチャに基づいて、8nmプロセスで製造されたGPUコア「GA104」を採用するアッパーミドル向けGPU。GeForce RTX 30シリーズではGeForce RTX 3080の下位に位置する。
GeForce RTX 3070のGA104コアでは、46基のStreaming Multiprocessorが有効化されており、5,888基のCUDAコア、184基の第3世代Tensorコア、46基の第2世代RTコアが利用できる。
VRAMには、14Gbps動作のGDDR6メモリを搭載。GPUと256bitのメモリインターフェイスで接続しており、448GB/sの帯域幅を実現する。インターフェイスはPCI Express 4.0 x16で、ビデオカードの消費電力指標であるTGP(Total Graphics Power)は220W。
【表1】GeForce RTX 3070の主な仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 3080 | GeForce RTX 3090 |
アーキテクチャ | Ampere (GA104) | Ampere (GA102) | Ampere (GA102) |
製造プロセス | 8nm | 8nm | 8nm |
Streaming Multiprocessor | 46基 | 68基 | 82基 |
CUDAコア | 5,888基 | 8,704基 | 10,496基 |
Tensorコア | 184基 (第3世代) | 272基 (第3世代) | 328基 (第3世代) |
RTコア | 46基 (第2世代) | 68基 (第2世代) | 82基 (第2世代) |
テクスチャーユニット | 184基 | 272基 | 328基 |
ROPユニット | 96基 | 96基 | 112基 |
ブーストクロック | 1,725MHz | 1,710MHz | 1,695MHz |
メモリ容量 | 8GB (GDDR6) | 10GB (GDDR6X) | 24GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 14.0Gbps | 19.0Gbps | 19.5Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 320bit | 384bit |
メモリ帯域幅 | 448GB/s | 760GB/s | 936GB/s |
PCI Express | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 | PCIe 4.0 x16 |
消費電力 (TGP) | 220W | 320W | 350W |
GeForce RTX 3070 Founders Edition
今回テストするのは、NVIDIA純正ビデオカードであるGeForce RTX 3070 Founders Edition。外観デザインは上位モデルであるGeForce RTX 3080/3090を踏襲しているが、上位モデルで特徴的であった表裏にファンを配置するレイアウトは、表面側に2基の冷却ファンを配置するものへと変更されている。
補助電源コネクタは、上位モデル同様12ピン補助電源コネクタを搭載。PCI-E 8ピンを12ピン補助電源に変換するケーブルが付属しているので、既存の電源ユニットが利用できる。画面出力端子はHDMI 2.1(1基)とDisplayPort 1.4a(3基)。NVLinkは非搭載で、SLIにも非対応。
テスト機材
GeForce RTX 3070の比較用には、GeForce RTX 20シリーズの最上位モデル「GeForce RTX 2080 Ti」を搭載するビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Edition」と、上位モデルの「GeForce RTX 3080 Founders Edition」を用意した。
GeForce RTX 30シリーズのFounders Editionは、GPUのリファレンス仕様通りの定格モデルである一方、ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Editionは、GeForce RTX 2080 Tiのブーストクロックを1,545MHzから1,665MHZ、パワーリミットを250Wから260Wに引き上げて搭載したオーバークロックモデルとなっている。
テストするビデオカードの動作仕様は以下のとおり。
【表2】各ビデオカードの動作仕様 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 2080 Ti | GeForce RTX 3080 |
ビデオカードベンダー | NVIDIA | ZOTAC | NVIDIA |
製品型番 | Founders Edition | ZT-T20810D-10P | Founders Edition |
ベースクロック | 1,500MHz | 1,350MHz | 1,440MHz |
ブーストクロック | 1,725MHz | 1,665MHz | 1,710MHz |
メモリ容量 | 8GB (GDDR6) | 11GB (GDDR6) | 10GB (GDDR6X) |
メモリスピード | 14.0Gbps | 14.0Gbps | 19.0Gbps |
メモリインターフェイス | 256bit | 384bit | 320bit |
メモリ帯域幅 | 448GB/s | 616GB/s | 760GB/s |
パワーリミット | 320W | 260W | 320W |
両ビデオカードをテストするベース機材には、PCI Express 4.0に対応するRyzen 9 3950Xを搭載したAMD X570環境を用意した。グラフィックスドライバについては、GeForce RTX 3070にはレビュアー用の「GeForce Game Ready Driver 456.96」、比較用のGPUにはテスト時点での最新版である「GeForce Game Ready Driver 456.71」を使用した。
そのほかの機材等については以下のとおり。
【表3】テスト機材一覧 | |||
---|---|---|---|
GPU | GeForce RTX 3070 | GeForce RTX 2080 Ti | GeForce RTX 3080 |
CPU | Ryzen 9 3950X | ||
CPUパワーリミット | PPT:142W、TDC:95A、EDC:140A | ||
CPUクーラー | ASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%) | ||
マザーボード | ASUS TUF GAMING X570-PLUS (WI-FI) [UEFI:2607] | ||
メモリ | DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V) | ||
システム用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
アプリケーション用SSD | CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4) | ||
電源 | CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold) | ||
グラフィックスドライバ | GeForce Game Ready Driver 456.96 (27.21.14.5696) | GeForce Game Ready Driver 456.71 (27.21.14.5671) | |
OS | Windows 10 Pro 64bit (Ver 2004 / build 19041.572) | ||
電源プラン | AMD Ryzen Balanced | ||
室温 | 約27℃ |
ベンチマーク結果
それではベンチマーク結果をみていこう。
実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「VALORANT」、「オーバーウォッチ」、「CONTROL」、「モンスターハンターワールド : アイスボーン」、「アサシン クリード オデッセイ」、「ゴーストリコン ブレイクポイント」、「レッド・デッド・リデンプション 2」、「デス・ストランディング 」、「Horizon Zero Dawn」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」。
今回のテストでは、描画設定を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。
3DMark
3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、DirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」を実行した。
GeForce RTX 3070のスコアは、Fire Strike Ultraで約2%上回ったことを除いてGeForce RTX 2080 Tiを下回っており、その差はTime Spyで2~5%、Fire Strikeで1~3%、Port Royalで約10%差となっている。
一方、上位モデルであるGeForce RTX 3080との差は、Time Spyで24~27%、Fire Strikeで17~29%、Port Royalで約42%。上位モデルとの差はかなり大きなものであることがわかる。
VRMark
VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orange Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。
もっともGPU負荷の低いOrange Roomの結果は、CPUのボトルネックによってスコアが頭打ちとなっているためGPU性能の差がスコアに反映されていない。
DirectX 12を用いるCyan Roomでは、GeForce RTX 3070とGeForce RTX 3080の差が約9%に拡大しており、GPU性能の差がある程度スコアに反映されているが、GeForce RTX 2080 Tiとの差は約1%となっている。GeForce RTX 3070が前世代の最上位GPUに近いパフォーマンスを発揮していることが伺える。
一方、もっともGPU負荷の高い5K解像度テストのBlue Roomでは、GeForce RTX 3070と比較製品の差が拡大しており、GeForce RTX 2080 Tiに約13%、GeForce RTX 3080には約35%の差をつけられている。このあたりは、VRAM帯域の差が効いてきているという印象だ。
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画設定を「最高品質」に固定してテストを実行した。
WQHD解像度以下の設定において、GeForce RTX 3070と比較GPUの差は小さく、GeForce RTX 2080 Tiと約1%、GeForce RTX 3080とは約7%となっている。4K解像度ではその差が、それぞれ約6%と約29%に拡大している。
WQHD解像度以下でスコア差が小さいのは、GPU負荷が低いためCPUがボトルネック気味であるというのも一因ではあるが、4K解像度のようにメモリ帯域幅の重要性が増す条件でスコア差が拡大するという結果は、メモリ周りのスペックで劣るGeForce RTX 3070の仕様を考えれば、順当なものと思える。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画設定を「高品質」に固定してテストを実行した。
GeForce RTX 3070は、GeForce RTX 2080 Tiに約7%、GeForce RTX 3080に10~30%の差をつけられている。GeForce RTX 2080 Tiとの差は設定を問わずほぼ一定だが、GeForce RTX 3080との差は解像度が上がるほど拡大している。
Forza Horizon 4
Forza Horizon 4では、描画設定を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3070は比較製品中2番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 2080 Tiに3~4%の差をつけて上回っている。GeForce RTX 3080との差は4~21%。
フォートナイト
フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画設定を「最高」にした状態と、それに加えてレイトレーシング(DXR)設定を最高にした状態、さらにDLSSを「パフォーマンス」モードで有効にした状態の3パターンでフレームレートを測定した。
レイトレーシングとDLSSを無効にした状態では、GeForce RTX 3070がわずかにGeForce RTX 2080 Tiを上回っている。トップのGeForce RTX 3080との差は12~34%。
レイトレーシングを最高設定で有効にした場合、GeForce RTX 3070はGeForce RTX 2080 Tiに4~5%の差をつけられ逆転されている。GeForce RTX 3080との差も37~40%に拡大した。
レイトレーシングに加えてDLSSを「パフォーマンス」モードにした場合、GeForce RTX 3070はGeForce RTX 2080 Tiに2~4%の差をつけられており、上位モデルのGeForce RTX 3080とは15~38%差となっている。
レインボーシックス シージ
レインボーシックス シージでは、描画設定「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。
GeForce RTX 3070は、フルHD解像度でGeForce RTX 2080 Tiを2%上回り、WQHDと4Kでもほぼ同等のフレームレートを記録している。GeForce RTX 3080との差は18~32%。
VALORANT
VALORANTでは、設定可能な描画設定を最高にして、フレームレートを測定した。
VALORANTでのGeForce RTX 3070とGeForce RTX 2080 Tiの差は2%以内で、フルHDではGeForce RTX 3070、WQHD以上ではGeForce RTX 2080 Tiがやや上回っているが、フレームレートの差は小さい。
GeForce RTX 3080の結果をみると、フルHDからWQHDまではGeForce RTX 3070に対して1~6%の差しかついておらず、この範囲ではCPUのボトルネックが生じていることがわかる。4K解像度でのGeForce RTX 3080とGeForce RTX 3070の差は34%に拡大しており、この条件での測定結果は、GPUの性能差が反映されたものだ。
オーバーウォッチ
オーバーウォッチでは、描画設定を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。
GeForce RTX 3070の測定結果は比較製品中もっとも低く、GeForce RTX 2080 Tiに3~5%、GeForce RTX 3080に26~32%の差をつけられている。GeForce RTX 3070の記録したフレームレートも十分に高いものではあるが、最速クラスのゲーミングディスプレイの表示性能をフル活用するためには、多少の画質調整が必要になるだろう。
CONTROL
CONTROLでは、描画設定とDXR設定をともに「高」に設定し、DLSS有り無しの2パターンでフレームレートを測定した。
DLSS無効時のGeForce RTX 3070は、GeForce RTX 2080 Tiに2~27%、GeForce RTX 3080に39~81%の差をつけられている。両GPUとの差は4K解像度で一気に拡大しており、VRAMの容量や速度が性能差に影響しているようだ。
DLSS有効時のGeForce RTX 3070は、GeForce RTX 2080 Tiとの差を1~4%に縮めている。GeForce RTX 3080との差は、フルHDではほぼ同等ながら、WQHD以上では34~41%の差がついている。
モンスターハンターワールド : アイスボーン
モンスターハンターワールド : アイスボーンでは、描画設定「最高」をベースにしつつ、テクスチャ品質を「High Resolution Texture Pack」に設定。DLSS有り無しの2パターンでフレームレートを測定した。グラフィックスAPIにはDirectX 12を利用している。
DLSS無効時のGeForce RTX 3070は、GeForce RTX 2080 Tiに2~4%、GeForce RTX 3080に19~32%の差をつけられている。WQHDまでは60fpsを上回るフレームレートを記録しており快適にプレイできることが期待できる。
DLSS有効時のGeForce RTX 3070は、GeForce RTX 2080 Tiに4~9%、GeForce RTX 3080に25~34%の差をつけられた。DLSSを有効化することで4K解像度でも60fpsを上回っているが、VRAM使用量の目安は8.66GBでGeForce RTX 3070のVRAM容量(8GB)を超えているため、長期的なプレイではVRAM不足による不具合が生じるおそれがある。
アサシン クリード オデッセイ
アサシン クリード オデッセイでは、描画設定を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3070は、WQHD以下でGeForce RTX 2080 Tiを2fps上回るなど同程度のパフォーマンスを発揮しているが、4K解像度では逆に11%の差をつけられている。GeForce RTX 3080との差は9~30%。
ゴーストリコン ブレイクポイント
ゴーストリコン ブレイクポイントでは、グラフィックスAPI「Vulkan」で描画設定を最高の「アルティメット」に固定して、ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3070は、WQHD以下の画面解像度でGeForce RTX 2080 Tiとほぼ同じフレームレートを記録しているが、VRAM使用量の目安が8GBを超える4K解像度では大きくフレームレートが低下し、GeForce RTX 2080 Tiとの間に5倍以上の差が生じている。
4K解像度での大幅なパフォーマンス低下は、明らかにVRAM容量が不足した結果だ。4K解像度かつ最高画質設定でゲームを楽しむには、8GBのVRAMでは十分ではないということであり、8GBしかVRAMを搭載していないGeForce RTX 3070がそれをターゲットにしていないということだ。
レッド・デッド・リデンプション 2
レッド・デッド・リデンプション 2では、描画設定プリセットである「精密度プリセットレベル」を20段階の最大値に固定して、ベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「DirectX 12」を利用している。
GeForce RTX 3070はここでも比較製品中3番手の結果だが、GeForce RTX 2080 Tiには2~3%差で肉薄している。GeForce RTX 3080との差は23~30%。
デス・ストランディング
デス・ストランディングでは、描画設定を「最高」にしてフレームレートを測定した。
GeForce RTX 3070は、フルHD解像度でGeForce RTX 2080 Tiとほぼ同等のフレームレートを記録し、WQHD解像度以上でも2~3%差に肉薄している。GeForce RTX 3080との差は8~30%。
Horizon Zero Dawn
Horizon Zero Dawnでは、描画設定を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。
GeForce RTX 3070とGeForce RTX 2080 Tiを比較すると、フルHD解像度で約8%、WQHD解像度で約3%の差でGeForce RTX 2080 Tiが上回っているが、4K解像度ではどちらも58fpsで並んでいる。
解像度を上げると差が縮小するというのは、VRAM周りのスペックを考えると不思議だが、GeForce RTX 3080との差が23~31%で、こちらは逆に解像度が上がるほど差が拡大していることを考えると、GeForce RTX 2080 Tiとの差は、GPUアーキテクチャの違いによるものと考えられる。
Microsoft Flight Simulator
Microsoft Flight Simulatorでは、描画設定を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行った。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。
GeForce RTX 3070は、フルHDとWQHDでは約2%差でGeForce RTX 2080 Tiを上回っているが、4K解像度になると逆に10%の差をつけられている。Microsoft Flight SimulatorはVRAM使用量の大きいタイトルであり、4K解像度かつULTRA設定では10GB近いVRAMを消費することもあるため、GeForce RTX 3070ではVRAM容量が不足気味だ。
なお、本タイトルで描画設定をULTRAにした場合、CPUのボトルネックがパフォーマンスに大きく影響している。実際、WQHD解像度以下ではGPU毎の差は小さなものとなっており、4K解像度以外であればGeForce RTX 3070でも上位GPUと同様のゲーム体験を得られた。
消費電力とモニタリングデータ
ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。
アイドル時消費電力は、54Wを記録したGeForce RTX 3070がもっとも低く、62WのGeForce RTX 2080 Tiと8W、58WのGeForce RTX 3080にも4Wの差をつけている。
ベンチマーク実行中のピーク消費電力についても、350~443WであったGeForce RTX 3070がすべての条件でもっとも低い数値となっている。ゲーム性能で肉薄していたGeForce RTX 2080 Tiは393~484Wで9~18%高い消費電力となっており、スコア差を考えればGeForce RTX 3070の方が高い電力効率を実現していることがわかる。
続いて、ベンチマークテスト実行中にモニタリングソフト「HWiNFO」を使って取得したデータをグラフ化した。使用したベンチマークテストは「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」で、テスト時の室温は約27℃。
ベンチマーク中のGeForce RTX 3070は、電力リミットである220W弱の電力を消費しながら、1,900MHz強のGPUクロックで動作している。ピークGPU温度は70℃で、この数値はGPUブーストのリミット温度であるTemp Targetの83℃より10℃以上低いものだ。
旧世代最上位GPU並のゲーミング性能を低消費電力かつ安価に実現
Blender Benchmarkのように、ゲーム以外でGeForce RTX 3070が発揮する性能も興味深いものがある。ただ、こうした用途は4K解像度でのゲーム同様、8GBというGeForce RTX 3070のVRAM容量がネックになる場合もある。GeForce RTX 3070は間違いなく魅力的なGPUだが、自分の用途が8GBのVRAMで足りるのかという点には注意したい。
とはいえ、GeForce RTX 3070は、オーバークロック仕様のGeForce RTX 2080 Tiに肉薄するゲーミング性能をより低消費電力で実現したGPUであることは間違いない。WQHD解像度以下でゲームを楽しみたいユーザーにとっては、ほとんどのゲームを高画質設定で楽しめる性能と、電力効率、そしてコストパフォーマンスを兼ね備えた有力な選択肢となり得るGPUだ。