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大画面を最大限に生かすシャレオツテクニック!「FancyZones」で作業をもっと効率化

 ウィンドウを手早く整列させる方法としてよく知られているのは、Windows 11が標準で備えるスナップ機能。しかし、整列するときのレイアウトをあらかじめ決められたパターンからしか選ぶことができないのが弱点だ。

 自分の求めるアプリケーションごとの最適なサイズや位置と微妙に異なっていたりして、「あともうちょっと縦横サイズがあれば(なければ)」と感じることもあるのではないだろうか。

 そんなときは、Windowsの機能拡張ユーティリティ「Microsoft PowerToys」に含まれる、スナップ機能を発展させたような「FancyZones」を試してみてほしい。はるかにフレキシブルな、かゆいところに手が届くウィンドウレイアウトが可能になり、大画面のウルトラワイドやマルチモニターを最大限に活用するのにも貢献してくれる。

FancyZonesの始め方

 FancyZonesを利用するには、まずMicrosoft Storeなどから「Microsoft PowerToys」をインストールする必要がある。インストール直後からFancyZonesの機能が有効になっているはずだが、念のため設定画面を開いて有効化していることを確認しよう。

インストールと有効化
Microsoft PowerToysをインストール
設定画面からFancyZonesが有効になっていることを確認

 有効化している状態で、Shiftキーを押しながら、試しにどれかのウィンドウをマウスドラッグで移動してみると、背景に3分割された半透明の枠が表示される。あとは好きな枠内にウィンドウを移動してマウスボタンを離せば、その枠の位置・サイズにウィンドウが収まるようにして配置される。使い勝手はスナップ機能と大きく変わらないので、すぐに慣れるだろう。

Shiftキーを押しながらウィンドウをドラッグするだけ
Shiftキーを押しながらウィンドウを移動すると背景に枠が表示される
目的の枠の上でマウスボタンを離すと、その枠のサイズ・位置でウィンドウが配置される

レイアウトを選択、編集、または新たに作る

 FancyZonesの使いこなしの鍵は、レイアウトの設定にある。FancyZonesの設定画面から(または「Windows+Shift+@」キーなどで)「レイアウト エディター」を起動し、そこで自分好みのレイアウトを選択しよう。

 デフォルトではレイアウトなしを含め6つのテンプレートが定義済みとなっている。その中から選んでもいいし、それらをベースにカスタマイズしてもいい。あるいは「新しいレイアウトの作成」で一からレイアウトを作り上げていくこともできる。

便利さの鍵はレイアウト エディター
設定画面から、またはショートカットキーで「レイアウト エディター」を起動
初期状態のレイアウト エディター

 ウィンドウを配置する枠1つ1つは「ゾーン」と呼ばれる。これは「ゾーンの数」を調整することで、1画面内に最小1個から最大128個まで作成可能。指定した個数でグリッド状に分割していくこともできれば、少しずつ重なるレイアウト(キャンバス)にすることもできる。

 また、「ゾーンの周りのスペース」を調整すればゾーンとゾーンの間隔をぴったり揃えたり、スペースを空けたりするのもOK。マイナス値も設定でき、その場合は最大10ピクセル分だけ隣のゾーンと重なるようにしておける。

ウィンドウを並べたり重ねたり、配置は自由自在
既存のテンプレートの編集画面。ゾーンの数は最大128個
ウィンドウを重ねて配置するレイアウトもある
隙間なく配置したいときは「ゾーンの周りのスペース」をオフにするか、「0」に設定する

 もっと細かくカスタマイズして自分に最適なレイアウトにしたいなら、「新しいレイアウトの作成」で「カスタムレイアウト」を一から作ってみよう。

 グリッド状に配置するレイアウトにするか、キャンバス状に配置するレイアウトにするかを選んだら、直接デスクトップ上でゾーンを追加していく。ゾーンの位置やサイズはピクセル単位で調整できるので、自分の使い方にフィットするレイアウトを完成させられるはずだ。

一から自分専用のレイアウトも作れる
レイアウト エディターの「新しいレイアウトの作成」をタップ
グリッド状に配置するか、重ねて配置するかを選ぶ
縦横ラインを配置してゾーンを分割
境界をマウスやキーボードで動かしてサイズ調整できる

個別配置と複数ゾーン配置を使い分ける

 1つのウィンドウは1つのゾーンに配置するのが基本だが、1つのウィンドウを複数のゾーンにまたがるようにして配置できるようにもなっている。たとえば3分割したレイアウトの場合、3つのゾーンそれぞれにウィンドウを配置できるだけでなく、ウィンドウ移動中にマウスカーソルをゾーンの境界付近に合わせることで、隣り合う2ゾーン分のサイズで配置できる。

ゾーンをまたいで配置することも可能
ウィンドウをドラッグするときに、境界付近にマウスカーソルを合わせると……
隣り合うゾーンを合体させたレイアウトで配置できる

 つまり、たくさん分割したレイアウトは、それより少ない分割数のレイアウトとしても活用可能ということ。よく使うアプリの最適なサイズ感から厳密にゾーン数を決めるのもいいが、複数ゾーンにまたがって配置できることも考慮してゾーン数やレイアウトを決めておけば、より柔軟な運用が可能になるだろう。

 「距離を強調表示」の設定は、こうした複数ゾーン配置に関わる重要な設定だ。マウスカーソルをゾーンの境界付近に合わせているとき、「複数ゾーンを選択している」と判定する範囲をどれくらいの広さにするかを決める値となる。

 たとえば「0」であれば判定する範囲がないので、複数ゾーンにまたがった配置はできないが、数値を大きくしていけば、その分境界から離れた位置にマウスカーソルがあっても複数ゾーンにまたがって配置できるようになる。

少し分かりにくいが、「距離を強調表示」の設定は複数ゾーンにまたがって配置するときに、境界線からどのぐらいの範囲で判定を有効にするか決めるためのものだ

カスタムレイアウトを素早く呼び出す

 Shiftキー+ウィンドウのドラッグで呼び出されるのは通常1つだけ。レイアウト エディターで選択している、青枠でフォーカスされたレイアウト設定のみだ。

通常使えるレイアウトは1つだけ
最初に呼び出されるレイアウトは、クリックして選択した青枠でフォーカスされたもの

 あらかじめ選択した1パターンのレイアウトしか利用できないことになるわけだが、これだといろいろなアプリケーションの組み合わせごとに最適なレイアウトを実現したいときには不便だ。

 そこで活用したいのが、カスタムレイアウトをショートカットキーで呼び出せるようにする設定。カスタムレイアウトを作成してから、その後にキーボードの0~9までのショートカットキーを割り当てておこう。

各レイアウトにショートカットキーを設定
カスタムレイアウトを作成後、レイアウト エディターから改めて編集画面へ
0~9までの数字キーをショートカットとして割り当てられる

 こうすると、ウィンドウのドラッグ中にそのショートカットキーを押すことで、好きなカスタムレイアウトに切り替えることができる。Shiftキーを押しながら数字キーも押す、ということになるので、操作のしやすさを考えると左寄りの1~5あたりまでが実用的かもしれない。

ショートカットキーでレイアウトを使い分けできる
Shiftキー+ウィンドウドラッグでデフォルトのレイアウトが表示
そのままショートカットキー「1」を押すとカスタムレイアウトに切り替わる
ショートカットキー「2」を押すとまた別のカスタムレイアウトに

モニターごとに別のレイアウトにする

 FancyZonesはマルチモニターにも対応している。複数のモニターを接続していると、レイアウト エディター内にモニターの切り替えボタンが現れ、そのモニターごとに呼び出すレイアウトを変えることができる。

 モニターのサイズや解像度、用途などに合わせて適したレイアウトにすれば、マルチモニターでの作業効率はさらに高まるはずだ。

モニターごとのレイアウト設定にも対応
複数モニター接続時はレイアウト エディターに設定ターゲットの切り替えボタンが現れる。レイアウト設定したいモニターを選んで、反映するレイアウトを決めよう

ウィンドウ操作を楽にして仕事のパフォーマンスを最大化!

 Windows標準のスナップ機能には満足できなかった人でも、このようにきめ細かくカスタマイズできるFancyZonesなら望み通りの使い勝手を実現できること間違いなしだ。

 なお、PowerToysのウィンドウ操作に関わる機能としては、任意のウィンドウを最前面に固定できるようにする「Always On Top」や、特定のアプリケーションウィンドウをあらかじめ決めたレイアウトに一発で配置する「ワークスペース」などもある。これらも駆使して、仕事のパフォーマンスを最大化させてみてほしい。