特集
【定番動画編集ソフト入門】これだけ読めば基礎が身につくAdobeの初心者向けPremiere Rush。無料利用可
2022年10月26日 06:18
動画編集ソフトの基礎をレクチャーしていく本企画では、カット編集、BGM挿入、テロップ入れなどの操作を解説している。今回取り上げる動画編集ソフトは「Adobe Premiere Rush」。無料の「Premiere Rushスタータープラン」は基本機能と2GBのクラウドストレージを利用可能で、すべての機能と100GBのクラウドストレージなどを使用できる有料プラン「Adobe Express」も月額1,078円と比較的リーズナブル。
初めての動画編集ソフトとしてピッタリのツール。またスマホ版が用意されているのも特徴だ。それでは早速Premiere Rushでの動画編集をステップごとに解説していこう。
●アプリに撮影動画を読み込み、タイムラインに配置する
まずは任意のフォルダーを作成し、その中に撮影した動画をすべてコピーする。その後、そのフォルダー内に「プロジェクトファイル」を作成する。プロジェクトファイルと使用する動画、音声ファイルなどをすべて同じフォルダーに入れておけば、そのフォルダーごと別のPCにコピーしても、そのまま編集を続けられるからだ。
それではPremiere Rushを起動してみよう。起動が完了すると、下のようなスタート画面が表示される。Premiere Proに比べて、初心者向けということでシンプルな画面だ。
ここでは下準備として、プロジェクトファイルを作成する。ただ、その前に画面左下の「Creative Cloudと同期」をオフにしておこう。今回はすべてPC内のフォルダーだけで作業を進めるためだ。
つぎにプロジェクト名を「名称未設定」から覚えやすい名前に変更しよう。今回は「霧降の滝」に変更した。左のメニューから「ビデオ→20220911霧降の滝」とクリックしていくと、動画ファイルのサムネイルが表示される。今度はこのサムネイルをマウスカーソルでひとつずつクリックしていくか、「Ctrl+A」ですべて選択しよう。ここで選択した動画ファイルが、タイムラインに自動的に配置される。最後に「作成」ボタンをクリックすれば、プロジェクトファイルの作成作業は完了だ。
これまでの手順どおりに作業していれば、下記のような画面が表示されているはずだ。Premiere Proとずいぶん画面の構成が異なるが、機能が絞られているぶん画面がシンプルで、またプレビュー画面も大きく表示されている。動画編集初心者にはPremiere Rushの方がとっつきやすいはずだ。
●撮影した動画から不要なところをカットする
以前の記事で、動画編集で最も重要な作業が不要なシーンをカットすることとお伝えしたが、Premiere Rushはこの作業が非常に手軽。利用するのは「再生ヘッド」と「はさみ」と「削除」だけ。Premiere Proのような「リップル削除」という機能は存在せず、クリップを「削除」した時点で自動的にその後のクリップがすべて前に詰められる。
●動画と動画を馴染ませるためにトランジション効果を入れる
クリップとクリップをつないだだけでは唐突に画面が切り替わるので、違和感が強い。そこで大きく画面が切り替わる際には「トランジション効果」を入れていこう。Premiere Proほど豊富ではないがPremiere Rushにも複数のトランジション効果が用意されている。今回も、自然なつながりを重視して「ディゾルブ」を使用する。
●注目させたい場所、説明が必要な場所にテロップを入れる
今回の動画ではナレーションを入れているが、結構説明不足である。そこで注目させたい箇所、説明が必要な場所にテロップを入れていこう。Premiere Rushには手軽で見栄えのいい「タイトル」が用意されているが、今回は前回のPremiere Proと仕上がりを合わせるために大人しめの「Basic Caption Fade」を選択する。
思い通りのテロップを作成するためには、フォント、色、境界線などを指定する必要があるが、2つ目以降は元のテロップをコピー&ペーストして、テキストのみ変更すればいいので手間は大してかからない。
テロップが1つ完成したら、あとはこのテロップをコピー&ペーストして、テキストのみを変更して量産すればいい。今回はテロップの種類は1つだが、話者によって、話題によって色や書体を変えてもいいだろう。
●動画の雰囲気に合ったBGMを入れる
最後の仕上げとして今回もBGMを入れよう。Premiere Rushは無料でありながら、ロイヤリティフリーのサウンドトラックがいくつか用意されているので、その中から好みのものを選べば良い。
あるいは、「YouTube Studio」の「オーディオライブラリー」も便利。YouTubeで収益化する際にも利用できるBGM、効果音が数多く公開されている。この中から雰囲気に合ったBGMを選択しよう。今回はこちらの例で説明を行なう。
なおBGMを入れると動画の完成度がグッと上がるが、BGMの音量が大きすぎるとナレーションが聞き取りづらくなるし、せっかくの環境音が台無しだ。動画全体を通して聞いて、適切なボリュームに調節しよう。
●最後にファイルを書き出して完成
最後にもう一度動画を通しでチェックしよう。問題がなかったら、いよいよ書き出しだ。「共有」タブをクリックしたのち、ファイル名、保存先を設定。念のため、詳細設定を確認したら「書き出し」ボタンをクリックする。あとはマシンスペックにもよるが、数分待てば動画の書き出しが完了する。
なお、Premiere Rushでは保存先にYouTubeなどを選択できるが、書き出した動画でプレビューの際に気づかなかったミスを発見することはよくある。完成動画を全画面表示でもう一度見直してから、YouTubeなどにアップすることをお勧めする。
今回使用したノートPC「DAIV 6P」のショートレビュー
今回の動画編集にはマウスコンピューターの16型ノートPC「DAIV 6P」を使用した。CPUは第12世代の「Core i7-12700H」、GPUは内蔵グラフィックス「Intel Iris Xe Graphics」。標準でメモリは16GB(DDR4-3200)、ストレージは512GB(PCIe Gen3 x4接続SSD)を搭載している。もちろん国内生産が売りのマウスコンピューター製なので、メモリ、ストレージ容量はカスタマイズが可能だ。
ディスクリートGPUは搭載されていないが、14コア(Pコア×6、Eコア×8)、20スレッド、最大4.70GHz動作の「Core i7-12700H」を採用しているだけに、クリエイティブワークにも対応できるパフォーマンスを備えている。ちなみに今回は4K/60fpsで約2分40秒の動画を書き出したが、4分3秒で処理を終えている。
クリエイティブワークを見据えたマシンならではの特徴が充実したインターフェイス。Thunderbolt 4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×2、HDMI×1、SDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を装備。Thunderbolt 4、USB 3.1 Type-C、HDMIを同時利用すれば、本体と合わせて最大4画面に同時出力が可能だ。
「DAIV 6P」は、パフォーマンス、携帯性、バッテリ駆動時間、拡張性のバランスのよさが光るクリエイティブワーク向けマシンと言えよう。