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【定番動画編集ソフト入門】これだけ読めば基礎が身につくVivaVideo。スマホだけでも高品位な動画編集

 定番動画編集ソフトの基本テクニックを解説している本企画。これまでPC用の「Adobe Premiere Pro 2022」、「Adobe Premiere Rush」、「Filmora」、「DaVinci Resolve 18」を取り上げてきたが、今回はAndroid、iOSデバイス用に公開されている「VivaVideo」を使用する。全ての機能を利用するためにはアプリ内課金が必要だが、3日間の無料トライアルが用意されている。

 今回も動画編集の基本である、タイムラインへの読み込み、カット編集、トランジション効果の追加、テロップの挿入、BGMの配置などを解説していく。使用する端末はAndroidスマホ「Pixel 7 Pro」だ。無課金の状態でどこまで利用できるのか試しつつ、PC版動画編集ソフトと使い勝手や機能がどのように違っているのか、ぜひご覧いただきたい。

アプリに撮影動画を読み込み、タイムラインに配置する

 動画を編集するのにスマホを利用する場合、動画撮影もスマホで行なっている場合がほとんどだろう。今回の企画では同じカメラ「Osmo Action 3」で撮影した動画を使用することにしているため、撮影済みの動画をスマホの「内部ストレージ→DCIM→Camera」内にインポートした。

 動画編集作業はこのスマホで全て行ない、プロジェクトファイルをエクスポートする機能も用意されていないので、PCのときとは異なり特にフォルダーは作成していない。

今回はアクションカメラ「Osmo Action 3」で撮影した動画を、スマホの「内部ストレージ→DCIM→Camera」内にインポートした
これが「VivaVideo」の起動画面。まずは「+新しい動画」をタップする
初回はストレージへのアクセス許可を求められるので、「許可する」をタップし、つぎの画面でも「許可」を選択する
「クリップを選択」画面が表示されたら、サムネイル上の「動画」タブをタップする
動画のサムネイルが表示されたら、タイムラインに配置したい順番で動画を選択し、「つぎ」をタップする
読み込んだ動画の総時間が5分を超えているので、「制限を解除(VIP会員の購入)」を促される。しかし、編集後の動画が5分を下回っていれば問題ないので、今回は「戻る操作(右スワイプ)」をする
これでタイムラインへの動画の配置は完了だ

 なおVIP会員の登録を途中まで試してみたが、「月間VIP」が700円、「永久VIP」が6,500円、「3日無料試用」が3,320円に設定されていた。試用期間内に解約すれば請求は発生しないが、意図せず課金されないように注意してほしい。もちろん気に入ったのなら喜んで課金しよう。とは言え、じっくり試用するなら700円の「月間VIP」が手頃だと思う。

ここでコースを選択すると、Google Playのサブスクリプション画面に移動する

撮影した動画から不要なところをカットする

 まずは動画編集で最も重要なカット編集から行なおう。「VivaVideo」のカット編集も基本的な操作はPC版動画編集ソフトと変わらない。ただしマウスを使えないのでPCユーザーだと慣れるまでに少し時間がかかることだろう。

 また、使われている用語が少し独特だ。たとえば、カット編集モードなどに入るためのアイコンには「作成」と表示されている。アイコン下の説明書きだけでなく、アイコン自体でどのような機能なのか判断したほうがよいかもしれない。

まずはタイムラインの動画を再生して、不要な箇所を探す。タイムラインでピンチイン・ピンチアウトすれば、拡大・縮小操作が可能だ
不要な箇所を見つけたら画面下の「作成」アイコンをタップする
各種編集アイコンに切り替わるので、不要な箇所の前または後に再生バーを移動させたら「分割」アイコンをタップする
再生バーの位置を中心に、1つのクリップが分割される。罫線で囲まれているのが現在選択されているクリップだ
今回削除したいのは前のクリップ。サムネイルをタップして選択したあと、「ごみ箱」アイコンを押す
選択されていたクリップが削除され、うしろのクリップが全て前に詰められる。これを繰り返して、タイムラインの動画から不要な箇所を全て削除していこう

動画と動画を馴染ませるためにトランジション効果を入れる

 動画をカット編集しただけでは、クリップとクリップが唐突につながるため違和感がある。そこで「トランジション効果」を入れて動画と動画を馴染ませよう。「VivaVideo」では「作成」アイコンの中の「トランジション」から各種トランジションを適用可能。無課金でも基本的なトランジションを利用できる。

トランジションを何も適用していないと、クリップとクリップの間のアイコンはグレーアウトした状態になっている。まずは「作成」アイコンをタップしよう
下に表示されるメニューから「トランジション」アイコンを選択する
「Xフェード(クロスフェード)」を選択して「全部クリップ」にチェックを入れたら、「終了」をタップする
そうすると全てのクリップ間に「Xフェード(クロスフェード)」が適用される。非常にお手軽だ

注目させたい場所、説明が必要な場所にテロップを入れる

 たとえナレーションが入っていても、特に注目させたい箇所や、補足説明が必要なところにはテロップを入れておこう。面倒な作業だが、最終的な動画の仕上がりに大きな差が付く。もちろん「VivaVideo」にもテロップを入れる機能が用意されている。

まずテロップを入れたい場所に再生バーを移動させて、「テキスト」アイコンをタップする
「文字追加」アイコンをタップする
サムネイルからイメージに合ったスタイルのテキストを選択する。今回は赤い字に、グレーの縁取りをあしらったテキストを選んだ
テキストに正しい文言を入力してから、スライダーでフォントサイズを調整する。テロップの最大文字数を想定してフォントサイズを設定しておくと、このあとのテロップ作成時の手間が減る。テキストを入力したら、オレンジ色の「決定」アイコンをタップする
今度はテキストの位置を調整する。テキストは好きな場所に配置できるが、綺麗に並べたいときには中央や下のラインに合わせると表示される「赤い線」を参考にしよう
最後にテロップの尺(長さ)をスライドさせて調整すれば完成だ。テロップがクリップ間をまたがないように注意しよう
以降のテロップはコピー機能により同じ書式で量産できる。まずテキストを選択する
次にテキストを入れたい箇所に移動したら「コピー」アイコンを押す
プレビュー画面上のテキストをタップする
そのクリップに合わせて新しい文言をテキストボックスに入れれば2つ目が完成。あとはこれを繰り返していけばいい

動画の雰囲気に合ったBGMを入れる

 最後の仕上げとして動画にBGMを追加しよう。BGMを入れると完成度がグッと上がる。ここまで苦労してきただけにどのようなBGMを入れようかと思案するのは楽しい作業だ。

 今回も「YouTube Studio」の「オーディオライブラリー」で公開されているBGMを使用するが、スマホ用に用意されている「YouTube Studio」アプリからはBGMをダウンロードできない。そのためPCでダウンロードしたBGMをスマホのストレージにコピーして、それを「VivaVideo」で読み込むという手順を採用している。

「YouTube Studio」の「オーディオライブラリー」には、YouTubeで収益化する場合でも利用できる音楽、効果音が多数公開されている
ダウンロードしたBGMは「内部ストレージ→Download」に保存した
「BGM」アイコン、「音楽」アイコンの順番でタップしていく
「VivaVideo」アプリからBGMをダウンロードすることも可能。今回は右下の「ローカル音楽」をタップする
ストレージに保存済みのBGMを選び「使用」をタップする
そうするとBGMがタイムラインに配置される
このままではBGMの音量が大きすぎるので、「ボリューム」アイコンをタップしてからスライダーで音量を調節する。今回は「15」に設定した
動画よりBGMが長いので、BGMの尺を動画に揃える。終端をホールドしてスライドさせればOKだ
BGMが突然途切れるのは不自然だ。そこで「フェード」アイコンをタップしてから、「フェードアウト」を有効にしよう
無料トライアルでは最後に「VivaVideo」のクレジットが入る。これもちょっと唐突なので、最後のクリップに「Xフェード(クロスフェード)」を適用した。また最後のテロップが「VivaVideo」のクレジット表示にかかってしまったので、テロップのタイムライン上の位置を少し前にずらした。これで編集作業は全て完了だ

最後にファイルを書き出して完成

 最後にファイルの書き出しを行なう。「VivaVideo」は「4KウルトラHD」、「1080PフルHD」、「720P HD」、「480Pノーマル」、「GIF」で動画を保存できる。ただし画質やファイル形式などの細かな設定は用意されていない。なお、無課金では「480Pノーマル」、「GIF」のいずれかしか選択できない。今回は無課金で試用しているので、「480Pノーマル」で書き出しを行なった。

まずは「保存」をタップする
無料トライアルでは「480pノーマル」と「GIF」しか選べない。今回は「480pノーマル」を選択する
すぐに動画ファイルの書き出し(保存)がスタートする。選べるのは解像度とフレームレート。画質やファイル形式などの細かな設定は用意されていない
動画の書き出しが完了したらYouTube、Twitter、Instagram、LINEなどにすぐに共有可能だ。出先でも即共有できるというのは、スマホ用動画編集ソフトのアドバンテージだ
これが「VivaVideo」で編集した動画。「480pノーマル」で書き出しているが、どのような動画を編集、書き出し可能なのか参考にしてほしい

高い機能性を備えており、課金に値するスマホ用動画編集ソフト

 筆者はこれまでPC用の動画編集ソフトばかりを使ってきたので、スマホでの操作に最適化された「VivaVideo」は少々勝手が違って最初は戸惑った。しかし十数分使っただけで基本操作は快適にこなせるようになった。凝った編集をするならPC用の動画編集ソフトの方がいいが、出先で撮影した動画を移動中に素早く編集して、即アップするといった用途であれば「VivaVideo」は非常に便利に活用できると思う。

 本記事では基本機能を中心に利用しているが、トランジションやエフェクトも非常に多くの種類が用意されている。ユーザーインターフェイスも分かりやすく、Android 13がインストールされたPixel 7 Proでも安定して動作していた。今回は無課金縛りで試用したが、高い機能性を考慮すれば十分課金するのに値するスマホ用動画編集ソフトと言えよう。