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【定番動画編集ソフト入門】これだけ読めば基礎が身につく DaVinci Resolve 18。ハリウッドプロ御用達で基本無料

Blackmagic Design「DaVinci Resolve 18」

 定番動画編集ソフトの基礎をレクチャーしていく本企画では、カット編集、テロップ入れ、BGM挿入などの基本操作を解説している。今回取り上げる動画編集ソフトは「DaVinci Resolve 18」(以下DaVinci)だ。

 本ソフトは、編集、カラーコレクション、VFX、モーショングラフィックス、オーディオポストプロダクションなどの機能が統合されており、プロの映像クリエイターも利用しているツールだ。しかも無償版でも4K/60fpsの編集、書き出しに対応しており、一部の上位機能を除けば無期限で利用可能。動画編集初心者が初めて挑戦するのにぴったりな動画編集ツールだ。それではDaVinciでの動画編集をステップごとに解説していこう。

アプリに撮影動画を読み込み、タイムラインに配置する

 まずは任意の名前でフォルダーを作成し、その中に撮影した動画をすべてコピーしよう。今回もこれまで同様、「20220911霧降の滝」というフォルダーを作成した。

 DaVinciの初回起動時、「プロジェクトメディア」の保存先を選択できるが、これはデフォルトのままで構わない。もし「プロジェクトメディア」と一緒に使われている全素材をほかのPCに移動させたいときには、「ファイル→プロジェクトマネージャー」と進み、「プロジェクトメディア」を右クリックすると表示されるメニューから「プロジェクトアーカイブの書き出し…」を選択する。これでほかのPCで編集可能なファイル群を作成できる。

フォルダー名は日付と撮影場所を組み合わせた「20220911霧降の滝」とした。今回はビデオフォルダー内に作成したが、もちろん管理しやすい任意の場所で構わない

 DaVinciをインストール、起動すると下記のような画面が最初に表示される。右上の言語から「日本語」を選択して、「続ける」をクリックしよう。

起動画面では最新バージョンの新機能がピックアップされて表示される。さらに詳しい内容を知りたい場合には「詳細」をクリック。今回はこのまま「続ける」を選択する
ここからがセットアップの本番。今回は「クイックセットアップ」を選択しよう。
ここではOSとGPUを診断し、DaVinciとの適合性が確認される。特に設定を変更する必要はないので、そのまま「継続」をクリックする
今度はプロジェクトの種類(解像度)を選択する。デフォルトでは「HD」(1080p)が選択されているが、今回の動画は4K(3840×2160ドット)で撮影しているので、「Ultra HD」(2160p)に切り替えてから「継続」をクリックする
ここでは「プロジェクト」の保存先を選択できる。デフォルトのフォルダーのままでもいいし、任意のフォルダーを作成してもいい。準備ができたら「継続」をクリックする
最後にキーボードレイアウトを選択する。ほかの動画編集ソフトを使ったことがある場合には、そのレイアウトを踏襲できるわけだ。今回は「DaVinci Resolve」のキーレイアウトを使用する
以上で「新規プロジェクト」のセットアップは完了。「開始」をクリックすると編集画面が表示される

 下に表示されているのがDaVinciのメイン画面。左上が「メディアプール」、右上が「タイムラインビューア」、下が「タイムライン」と呼ばれている。まずはメディアプールに動画を読み込もう。

これがDaVinciのメイン画面
「ファイル→プロジェクト設定」と進み、「マスター設定」の「タイムラインフォーマット」を確認する。今回撮影した動画は3840×2160ドット、59.94fpsなので、タイムライン解像度とタイムラインフレームレートをそれに合わせておく。設定が終わったら「保存」をクリックする
「ファイル」→「読み込み」→「メディア」と進む
「20220911霧降の滝」に移動し、今回使用する5つのファイルを範囲選択し、「開く」をクリックする
プロジェクトのフレームレートとクリップ(動画)のフレームレートが合っていない場合は、「プロジェクトフレームレートを変更しますか?」というメッセージが表示される。クリップ本来のフレームレートで編集、書き出ししたいので「変更」をクリックする
「メディアプール」にクリップが読み込まれたら範囲選択して、右クリックメニューから「選択したクリップで新規タイムラインを作成……」を選択する
ここの設定項目はあとで変更できるので、この時点で変える必要はない。「作成」をクリックする
タイムラインの上部では全体を表示し、タイムラインの下部ではその詳細が表示されている。ここまで来たら、いったんセーブしておこう
「ファイル→プロジェクトを別名で保存…」を選択する
任意のプロジェクト名を入力して「保存」をクリック
そうするとプロジェクト名が「20220911霧降の滝」に変更される

撮影した動画から不要なところをカットする

 何度も繰り返しお伝えしているが、動画編集で最も重要な作業が不要なシーンをカットすること。間が必要なこともあるが、基本的には意味のないシーンはどんどんカットしていった方がテンポのいい動画に仕上がる。DaVinciにはカット編集の方法が複数用意されており、専用の「編集キーボード」も販売されている。今回は最も初歩的なマウスとキーボードを組み合わせた方法を解説しよう。

 なおDaVinciには、「カットページ」と「エディットページ」という2つの編集モードが用意されている。今回はカット編集を「カットページ」、トランジション効果の挿入、テロップの挿入、BGMの挿入は「エディットページ」で作業した。

 ただし個人的には、トランジション効果の挿入、テロップの挿入も「カットページ」で作業してもいいと思う。「カットページ」のほうが、ズームイン、ズームアウト操作が不要で前後の見通しがいいからだ。作業によって使い分けるのがベストだ。

まずはタイムラインビューアの下にある再生コントロールで動画を再生し、不要な箇所を見つけたら「再生ヘッド」(赤い線)を開始地点に移動させて、「イン点をマーク」をクリックする
次に不要な箇所の終了地点に再生ヘッドを移動させて「アウト点をマーク」をクリックする
タイムラインの目盛り部分にグレーのラインが入る。これがイン点とアウト点で選択されている箇所だ。正しく選択できていたら、ここで「Delete」キーを押す
そうするとイン点とアウト点で選択されていたシーンがカットされ、そのうしろのクリップがすべて前に詰められる。この作業を地道に繰り返していけば、カット編集作業は完了だ。

動画と動画を馴染ませるためにトランジション効果を入れる

 単にカット編集しただけだと、クリップとクリップが突然切り替わるので違和感がある。そこで「トランジション効果」を入れて動画間を馴染ませよう。広く一般的に使われているトランジション効果が「クロスディゾルブ」。前のクリップのフェードアウトと、あとのクリップのフェードインを同時に行なうことで滑らかに動画をつなぐことが可能だ。ここからは「カットページ」ではなく「エディットページ」で作業を行なう。

画面下の「エディット」アイコンをクリックすると、「エディットページ」に切り替わる
「メディアプール」から「エフェクト」に切り替える
今回使うのは「クロスディゾルブ」。タイムラインのクリップとクリップの間に「クロスディゾルブ」をドラッグ&ドロップする
これは「クロスディゾルブ」適用後の画面。クリップ間のサムネイルに「クロスディゾルブ」が追加されたことを示す囲み線とエフェクトが追加されている。あとはすべてのクリップ間に同じ作業を繰り返せばOKだ
たまに「クロスディゾルブ」を適用できない場合がある。そのときはクリップとクリップの間で右クリップして「Add ● framesクロスディゾルブ」を選択する。今回は「60 frames」に設定した
そのあと「トランジションを追加」というメッセージが表示されたら「トリム」をクリックすると、クリップの長さを調整することで「クロスディゾルブ」が適用される

注目させたい場所、説明が必要な場所にテロップを入れる

 動画を撮影した際にナレーションを入れたとしても、注目させたい場所や、説明が必要な場所にテロップを入れると、より分かりやすい動画となる。そこで要所にテロップを挿入していこう。今回はDaVinciに用意されているスタンダードなテロップ「テキスト」を使用する。

まずは「ツールボックス」の「タイトル」をクリックする
「タイトル」内の「テキスト」をタイムライン上のテロップを入れたい場所にドラッグ&ドロップする
ドラッグ&ドロップしたテキストの後端をつかみ、長さを調整する
右上の「インスペクタ」をクリックし、テキストの編集画面を表示する
ダミーのテキストから実際に使うテキストに変更する
テキストのフォントを変更する。今回は「UDデジタル教科書体NK-B」を選択した
フォントのサイズを変更する。今回は「150」に設定した
テロップの位置を下側に変更する。細かな位置は自動的に決められるので微調整する必要はない
テキストのカラーを「赤」に変更
テキストのストローク(縁取り)を「白」に変更
テキストのストロークのサイズを「4」に設定
完成したテロップを右クリックメニューからコピーする
つぎにテロップを入れたい場所に再生ヘッドを動かして、右クリックメニューからペーストする
テロップの長さを調整し、テキストを新しい文言に変更すれば2つ目が完成。これを繰り返して、必要な箇所すべてにテロップを入れる

動画の雰囲気に合ったBGMを入れる

 動画の最後の仕上げとしてBGMを入れよう。動画の雰囲気に合わせたBGMを挿入すれば、完成度がグッと上がる。BGMはさまざまな入手方法があるが、YouTubeなどで公開するのであれば「YouTube Studio」の「オーディオライブラリー」が便利。YouTubeで収益化する際にも利用できるBGM、効果音が数多く公開されている。

BGMはタイトル、ジャンル、ムード、アーティスト名などで検索できる。まずはジャンルとムードでソートして、ひとつずつBGMをチェックしていこう。きっと気に入ったBGMが見つかるはずだ。なお帰属表示の要/不要などのライセンス条件は必ずチェックしよう
ダウンロードしたBGMは動画ファイルと同じフォルダーに保存しておこう
「ファイル」→「読み込み」→「メディア」と進む
ダウンロードしたBGMファイルを選択して「開く」をクリックする
「メディアプール」に読み込まれたBGMをタイムラインにドラッグ&ドロップする

 BGMを音声トラックに配置したら、BGMの長さとフェードアウトを設定しよう。

画面下のスライダーを動かして、タイムラインの終端に移動する
動画とBGMの長さが合っていない場合は、BGMの長さを調整する
動画の音声トラックの終端右上にマウスカーソルを合わせると、左右の矢印が現われる
そのまま左側にスライドさせるとフェードアウトが適用される。今回は2秒に設定してみた
同じくBGMにも2秒のフェードアウトを設定しよう
最後に動画の音声とBGMのボリュームを調整する。右上の「ミキサー」をクリックするとオーディオミキサーが表示される。全体を通して聞きながらBGMのボリュームを決めよう。今回は「-30」に設定した

最後にファイルを書き出して完成

 最後にもう一度動画を通しで確認したら、いよいよ書き出しだ。画面下部の「デリバー」ボタンを押してから、ファイル名、保存先を設定し、「レンダーキューに追加」をクリック。そうすると右上の「レンダーキュー」につぎの「ジョブ」として登録されるので、「すべてレンダー」をクリックする。マシンのスペックにもよるが、あとは数分待てば動画の完成だ。

画面下部の「デリバー」をクリック。ファイル名と保存先を設定してから「レンダーキューに追加」ボタンを押す
右上の「レンダーキュー」に「ジョブ」として登録されるので、「すべてレンダー」をクリックすると動画の書き出しがスタートする。複数の「ジョブ」を登録してから、まとめて書き出すことも可能だ

今回使用したノートPC「DAIV 6H」のショートレビュー

 今回の動画編集にはマウスコンピューターの16型ノートPC「DAIV 6H」を使用した。CPUは第12世代の「Core i9-12900H」、GPUは「NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU」を採用。標準でメモリは32GB(DDR5-4800)、ストレージは1TB (PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。もちろん国内生産が売りのマウスコンピューター製なので、メモリ、ストレージ容量はカスタマイズが可能。また上位モデルとしてメモリを64GB、ストレージを2TB搭載したプレミアムモデルもラインナップされている。

マウスコンピューター「DAIV 6H」

 14コア(Pコア×6、Eコア×8)、20スレッド、最大5.00GHz動作の「Core i7-12900H」と「GeForce RTX 3070 Ti」を組み合わせているだけに、クリエイティブアプリだけでなく3Dゲームも快適に動作させられるパフォーマンスを備えている。仕事中の息抜きにもってこいだ。

「Core i7-12900H」と「GeForce RTX 3070 Ti」を搭載したハイパフォーマンスノートPCながら、サイズは353.7×245.3×18.5mm、重量は約1.65kg(実測1,645g)、バッテリ駆動時間は約11.5時間(JEITA 2.0)とモバイルマシンとしても魅力的だ

 プロのクリエイター向けマシンとして開発されただけにインターフェイスも充実。Thunderbolt 4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×2、HDMI×1、SDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1を装備。Thunderbolt 4とUSB 3.1 Type-Cは映像出力とUSB Power Deliveryに対応しているので、HDMI端子も活用した4画面環境を構築したり、外出時にはコンパクトなUSB Power Delivery充電器やモバイルバッテリなども利用できる。

 ハイパフォーマンスなCPUとGPU、高速なメモリとストレージ、Dolby VisionとDolby Atmosに対応した臨場感高いビジュアルオーディオ機能、豊富なインターフェイス、そして携帯性とロングバッテリと、「DAIV 6H」はスキなしのクリエイティブ向けマシンと言える。

左右側面には新旧インターフェイスを装備。特にフルサイズのSDメモリーカードスロットは手軽にデジカメとデータをやり取りする装備として重宝する