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どれが使いやすい?マウスユーティリティを一挙比較。ロジクール/Razer/Microsoftなど5社で検証

 多くのマウスには、ごくシンプルな低価格モデルを省き、たいていメーカー独自のユーティリティが用意されており、公式ホームページから無料で入手することができる。しかし、メーカーによってこうしたユーティリティの内容に多少の違いがあり、使い勝手がどう変わってくるのか気になる人もいるだろう。ここでは、以下のメーカーのユーティリティの違いを詳しく紹介していく。

【表】メーカーごとのマウスユーティリティの違い
アプリの登録キー割り当てDPI設定ジェスチャーマクロ
ロジクール
Logi Options+
×
Razer
Synapse 3
×
Microsoft
マウスキーボードセンター
×
エレコム
マウスアシスタント 5
××
ケンジントン
KensingtonWorks
×××

※バージョンや使用するマウスによって機能が異なる場合があります

 マウス用ユーティリティには、基本的なものとして「アプリケーションを登録する」機能と、それと対になる「マウスの動作をカスタマイズする」機能が備わっており、Webブラウザといった特定のアプリケーションにショートカットキーを割り当てるなど、自分好みの設定を適用できるようになっている。

 たとえば、マウスのサイドボタンに対して、Webブラウザに画面キャプチャを、テキストエディタにはコピー&ペーストのショートカットキーを割り当てるといったことができ、1つのボタンをアプリケーションに応じて使い分け可能だ。

 ほかにも、スタートメニューの起動やウィンドウの最大化/最小化、仮想デスクトップの切り替えなど、Windowsの操作を割り当てるといったこともでき、中にはマウスジェスチャーで機能や操作を設定できるものもある。こうしたカスタマイズにより、PCの作業効率を飛躍的に向上できてしまうわけだ。

 それでは、それぞれのユーティリティの使い勝手や設定手順について、目的別に解説していこう。

メイン画面とアプリの登録方法

 まずは、マウス向けユーティリティのユーザーインターフェイスと、カスタマイズに必要なアプリケーションの登録手順を見ていくことにしよう。

ロジクール「Logi Options+」

 ロジクール「Logi Options+」(Ver.1.10.9317)のメイン画面には、中央にデバイスの画像、左側に各種機能にアクセスするボタン、右上に登録されているアプリケーションのアイコンが配置されている。Logi Options+のユーザーインターフェイスはスッキリとしていて見やすく、とても扱いやすい。洗練されたモダンなユーティリティといった印象である。

シンプルで使いやすい「Logi Options+」のメイン画面。アプリケーションの登録は右上の「+」ボタンからだ。筆者の環境ではMicrosoft EdgeとGoogle Chromeが自動認識され、アイコンが表示されていた

 アプリケーションをLogi Options+に登録するには、画面右上の「+」ボタンをクリックする。使用する環境によっては、すでにいくつかのアプリケーションが登録されているかもしれないが、これはLogi Options+の自動認識によるもの。EdgeやWord、Photoshop、Zoomなどに対応しており、これらがPCにインストールされている場合は、定義済み設定を自動的に適用してくれるのだ。

「+」ボタンをクリックすると、アプリケーションの一覧が表示される。追加したいアプリケーションにチェックを入れて「確認」ボタンを押せばOKだ。一覧には、メモ帳や付箋、メディアプレーヤーなど、Windows標準のアプリケーションもある

 筆者の環境で自動認識されたのは、Microsoft EdgeとGoogle Chromeの2つで、愛用のFirefoxは登録されなかった。こうした非対応のアプリケーションに関しては、手動で登録する必要があるわけだ。「+」ボタンをクリックすると画面右側にアプリケーションの一覧が表示されるので、この中から追加したいものにチェックを入れ(複数選択可)、「確認」ボタンを押せば登録完了である。

 もし、この一覧に目的のアプリケーションが表示されない場合は、リスト最下の「その他のアプリケーションを追加」ボタンをクリック。ファイル選択ダイアログが起動するので、プログラムファイルを直接指定すればよい。

Razer「Synapse 3」

 Razer「Synapse 3」(Ver.3.7.630.62903)の初期画面には、最上段に「SYNAPSE」「マウス」「プロファイル」のタブが、その下に「ダッシュボード」「モジュール」「グローバルショートカット」のタブが配置されている。このようなタブの入れ子構造となっているのが、Synapse 3のインターフェイスの大きな特徴だ。

ダッシュボードと呼ばれる、Synapse 3の初期画面。接続されているデバイスや導入済みのモジュール、Razer Storeやヘルプなどのオンラインサービスが表示されている

 Synapse 3におけるアプリケーションの登録は、今回試用したほかのユーティリティと比べ、ひと手間かかる仕様になっている。まずカスタマイズの保存先となる「プロファイル」を作成し、そのプロファイルに対してアプリケーションを紐付ける、という手順を取る。少々煩雑だが、1つのプロファイルに複数のアプリケーションをリンクできるため、それらのアプリケーションすべてに設定を適用できるメリットがあるのだ。

 まず、「プロファイル」→「デバイス」タブに移動する。「デバイス」画面には、「コンピュータ名-Default」と名付けられた既定のプロファイルが用意されており、その上にある「+」ボタンをクリックすることで、既定プロファイルの複製を作成できる。デフォルトのままでは分かりづらいので、たとえば「Web Browser」など、管理しやすい適切な名前に付け変えよう。

「プロファイル」→「デバイス」タブでは、プロファイルの作成とアプリケーションとの紐付けを設定できる。まずプロファイルを作成し、右側の「+」リンク→追加ボタンとたどる
すると、PCにインストールされているアプリケーションの一覧が表示される。目的のアプリケーションを選択し、「リンク」ボタンをクリックすれば、プロファイルに紐付けできる

 次に、「リンク中のゲーム」横の「+」もしくは「このプロファイルとリンクするゲームを〜」をクリックし、「ゲームの選択」ダイアログを起動する。筆者の環境では「Counter-Strike: Global Offensive」と「DOTA 2」が自動登録されていたが、これは、Synapse 3が元々ゲーミングマウス向けのユーティリティであるためだ。

 通常のアプリケーションは自動では登録されないので、右上の「追加」ボタンを押し、表示されるリストの中から登録したいアプリケーションを選択する。一覧に目的のアプリケーションが表示されない場合は、「参照」ボタンからプログラムファイルを直接指定すればよい。これらの作業を繰り返すことで、1つのプロファイルに複数のアプリケーションを紐付けることができる。

 なお、「デバイス」→「リンク中のゲーム」タブで、Synapse 3に登録されているアプリケーション/ゲームの一覧を確認可能だ。また、アプリケーション/ゲームの登録削除や、プロファイルとの紐付け解除なども、この画面から行なえるようになっている。

Microsoft「マウスキーボードセンター」

 Microsoft「マウスキーボードセンター」(Ver.14.41.137.0)のメイン画面には、左側にデバイスの画像、右側に「基本設定」および「アプリケーション固有の設定」タブが配置されている。文字がやや小さいうえにテキスト量が多いためか、少しゴチャゴチャとした印象だ。

マウスキーボードセンターのメイン画面。左側には今回使用した「Microsoft Ergonomic Mouse」の画像が表示され、また右側には設定可能な項目が列挙されている

 アプリケーションを登録するには、「アプリケーション固有の設定」タブに移動する。「追加」ボタンをクリックしてリストを表示し、登録したいアプリケーションを選択すればOKだ。

「アプリケーション固有の設定」→「追加」ボタンとたどると、登録可能なアプリケーションが一覧表示される。Edgeのほか、FirefoxやVLC media playerなどが表示された

 目的のアプリケーションがリストにない場合は、リスト最下にある「手動でプログラムを追加」からファイル選択ダイアログを起動し、プログラムファイルを直接指定する。このあたりの手順は、Logi Options+やSynapse 3と同様である。

 このリストにはMicrosoft EdgeとWindows Explorerはあったが、メモ帳や付箋、メール、メディアプレーヤーなど、ほかの多くのWindows標準アプリケーションは表示されなかった。ただ、SkypeやTeamsには対応しているようである。

エレコム「マウスアシスタント5」

 エレコム「マウスアシスタント5」(Ver.5.2.05.000)のメイン画面は、最上段にプロファイルを切り替えるドロップダウンメニュー、その下に「ボタン機能割当」「プレゼンテーションモード機能割当」「ジェスチャー機能割当」のタブが並んでいる。全体的に、やや古めかしい感じのインターフェイスである。

マウスアシスタント5のメイン画面。ボタンやメニューなどが小さく、かつ密集しているため、やや使いづらい印象を受ける。プロファイルの作成は「プロファイル編集」ボタンから

 マウスアシスタント5の場合、Synapse 3と似たプロファイル方式を導入しており、アプリケーションの登録には若干の手間がかかる。まず、メイン画面右上の「プロファイル編集」ボタンから「プロファイル編集」ダイアログを起動し、新しいプロファイルを作成する。Synapse 3と同様、1つのプロファイルに複数のアプリケーションを紐付けられるので、それを考慮した名前を付ければ後々管理しやすくなるはずだ。

 次に、「割り当てるプログラム」の「追加」ボタンをクリックし、「割当プログラムの選択」ダイアログで紐付けたいアプリケーションを選択する。この一覧に目的のアプリケーションが表示されない場合は、「参照」ボタンからファイル選択ダイアログを起動して、直接プログラムファイルを指定しよう。

プロファイルを作成したら、「追加」ボタンから紐付けたいアプリケーションを選択する。そのアプリケーションが起動している場合は、「ウィンドウ選択」ボタンで直接指定することもできる

 この作業を繰り返すことで、1つのプロファイルに複数のアプリケーションをリンクできる。

 最後に、メイン画面の「OK」もしくは「適用」ボタンを押す。これを忘れてマウスアシスタント5を終了すると、今までの作業がすべて失われてしまうので、気をつけよう。

「割り当てるプログラム」の欄に目的のアプリケーションが表示されているのを確認したら「OK」ボタンで確定する。忘れてならないのは、メイン画面でも「OK」または「適用」ボタンを押すことだ

ケンジントン「KensingtonWorks」

 ケンジントン「KensingtonWorks」(Ver.2.4.0)のメイン画面には、中央にデバイスの画像、上段にツールバー、左側には「ボタン」「ポインター」「スクロール」タブが配置されている。インターフェイスのパーツやテキストは大きめに取られており、各機能にもアクセスしやすく、使い勝手に配慮したデザインとなっている。

KensingtonWorksのメイン画面。ボタンやアイコン、文字などが大きく、見やすく使いやすいインターフェイスとなっていて好感が持てる。アプリケーションの登録は「すべてのアプリケーション...」から

 アプリケーションの登録は、ツールバーの「すべてのアプリケーション...」から行なう。マウスカーソルをホバーするとメニューが表示されるので、右側の「+」ボタンをクリックし、リストの中から登録したいアプリケーションを選択すればよい。

ツールバーの「すべてのアプリケーション...」にカーソルを当てると、メニューがドロップする。「+」ボタンを押してアプリケーションのリストを表示し、目的のアプリケーションを選択すればよい

 目的のアプリケーションが表示されない場合は、リスト最下にある「その他」ボタンからファイル選択ダイアログを呼び出し、プログラムファイルを直接指定する。ほかのユーティリティと同様の操作だ。

 ちなみに、同じくツールバーにある「クラウドにバイ...」(「バインド」が途中で切れてしまっているようだ)からは、設定ファイルをGoogle DriveもしくはMicrosoft OneDriveに自動アップロードするセッティングを行なえる。どちらかのアカウントを所有しているなら、初めにこの設定を済ませておくとよいだろう。

「クラウドにバイ...」からは、Google DriveもしくはMicrosoft OneDriveをバインドできる。これらのクラウドストレージに、設定ファイルを自動バックアップできるようになるのだ

マウスボタンに機能を割り当てる

 アプリケーションをユーティリティに登録し終えたら、次はマウスのカスタマイズだ。元から備わっている設定(便宜上、以降はグローバル設定と呼称する)に加え、登録したアプリケーションやプロファイルに対して個別にカスタマイズを行なうことが可能だ。

 アプリケーション/プロファイルごとの設定はアプリケーションがアクティブの間だけ有効化され、それ以外はグローバル設定が有効化されるようになっている。

ロジクール「Logi Options+」

 Logi Options+では、メイン画面右上に登録したアプリケーションのアイコンが並んでおり、ここからカスタマイズの対象を選択する。

デバイス画像のカスタマイズしたいボタンを選択すると、右側に設定可能な項目が出現する。「キーボードショートカット」では、修飾キーと組み合わせて複数キーの同時押しを設定可能だ

 デバイス画像のマウスボタンをクリックすると、画面右側に設定できる項目のリストが表示されるので、割り当てたい機能を選択すればよい。左右ボタンはカスタマイズの対象外で、変更できない仕様となっている。

「ポイントとスクロール」ボタンからは、マウスカーソルおよびスクロールホイールの設定を行なえる。カーソルの移動速度やスクロール速度などは、スライダーで細かく調節できる

 また、メイン画面左の「ポイントとスクロール」ボタンからは、カーソルやホイールの設定を行なえる。Logi Options+の場合、DPIは50単位で調節可能だ。また、スクロールの速度や方向反転、ロジクール独自のSmartShift機能のオン/オフなど、細かな設定と調節を行なうことが可能である。

Razer「Synapse 3」

 Synapse 3の場合は、「マウス」→「カスタマイズ」タブでボタンの割り当てなどを設定する。まずは「プロファイル」ドロップダウンメニューから、設定したいプロファイルを選択。デバイス画像のマウスボタンをクリックすると、画面左側に設定可能な項目が表示されるので、割り当てたい機能を指定すればよい。左ボタンはそのままだとカスタマイズできないが、右ボタンなどほかのボタンに左ボタンを割り当てておくと、変更できるようになる。

【おわびと訂正】初出時に、左ボタンはカスタマイズできない仕様としておりましたが、正しくは可能です。おわびして訂正させていただきます。

ボタン類のカスタマイズは、「マウス」→「カスタマイズ」タブで行なえる。「キーボードの機能」の「キー登録」では、修飾キーとの組み合わせで複数キーの同時押しを設定可能だ

 ここで注目したいのは「HyperShift」機能だ。これは、HyperShiftボタンを押している間だけ、ボタン設定がセカンダリにシフトするというもの。つまりHyperShiftを利用すれば、ボタン数が倍増したのと同様の効果を得られるわけだ。

 マウス画像の下にある「標準」を「HyperShift」に切り替えた状態でセットした設定が、セカンダリとして機能するようになる。ちなみに、セカンダリ設定なら左ボタンもカスタマイズ可能だ。

HyperShiftを設定するには、マウス画像下の「標準」をクリックし、オレンジ色の「HyperShift」に切り替える。この状態で割り当てた機能が、HyperShiftとして利用できるようになる

 また、「マウス」→「パフォーマンス」タブでは、プロファイルごとのDPI調節が可能だ。DPIは5ステージに分かれており、50単位で調節できる。「ステージの数」メニューからは、DPIステージを増減することも可能。なお、ホイールに関する設定は用意されていないようだ。

「マウス」→「パフォーマンス」タブでは、プロファイルごとのDPI調節が可能。ホイール関連の設定は見当たらなかったが、その代わりか「マウス プロパティ」へのリンクが用意されている

Microsoft「マウスキーボードセンター」

 マウスキーボードセンターには、前述した通り「基本設定」および「アプリケーション固有の設定」タブが配置されており、前者がグローバル設定を、後者がアプリケーションごとの設定を行なえるセクションになっている。

「キーの組み合わせ」では、Ctrl、Alt、Shiftなど修飾キーとの組み合わせで複数キーの同時押しを設定できる。また、Windowsキーとの組み合わせによるショートカットも作成可能だ

 ボタンのリストからカスタマイズしたいものを選び、好みの機能を割り当てよう。なお、アプリケーション固有の設定では左右ボタンの設定を変更できないなど、基本設定より制限が加えられている。

 スクロールホイールの速度やDPIの調節は、それぞれ、「基本設定」タブにある「ホイール」および「DPI設定」の項目から行なえる。スクロールホイールは速度や方向の反転、DPIは今回使用したマウスでは200DPIごとの設定が可能だった。

「DPI設定」で基本のDPIを設定できるほか、サイドボタンの「DPIを上げる」(または下げる)からは、最大5つまでのDPIステージの増減や、ステージごとのDPIをスライダーで調節できる

エレコム「マウスアシスタント5」

 マウスアシスタント5の場合、まずメイン画面の上部にあるドロップダウンメニューから、設定したいプロファイルを選択する。

マウスボタンのカスタマイズは、「ボタン機能割当」タブのドロップダウンメニューで行なう。「任意キー」からは、あらゆる組み合わせで3キーまでの同時押しを設定できる

 マウスボタンの設定変更は「ボタン機能割当」タブの画面右側に列挙されているメニューから行なえるわけだが、すべてのボタンに対してカスタマイズできるようになっており、ほかのユーティリティと比べて自由度が高い仕様だ。ただし、マウスによるPC操作の喪失を避けるため、左クリックはいずれかのボタンに設定しておかなければならないので、注意である。

 エレコム独自の「フライングスクロール」についても触れておこう。これは、「回転数」で指定した分だけすばやくホイールを回すと、即座に自動スクロールに移行するというユニークな機能だ。

フライングスクロール機能は、WebサイトやPDF文書の閲覧など、縦スクロールを多用する際に役に立つ機能である。スクロール速度など3項目についてカスタマイズが可能だ

 マウス画像の下にある設定項目から、回転数や回転速度、スクロール速度をカスタマイズし、自分好みに調節できる。縦スクロールを多用する使い方をしているなら、一度試してみる価値のある機能である。

ケンジントン「KensingtonWorks」

 KensingtonWorksにおけるカスタマイズは、メイン画面の左側に配置されている「ボタン」「ポインター」「スクロール」の各タブに集約されている。

 もちろん、ボタンの割り当ては「ボタン」タブからだ。今回使用した「Expert Mouse Wired Trackball」の場合、搭載されている4個のボタンに加え、上側ボタン2個の同時押し、および下側ボタン2個の同時押しの計6箇所についてカスタマイズが可能であった。ボタンに割り当てられる機能は多数用意されているが、カテゴリ分けにより整頓されており、目的のものを探しやすくなっている。

「ボタン」タブで、マウスボタンのカスタマイズが行なえる。「マウスとキーボード」の「キーボードショートカット」では、修飾キーとの組み合わせで複数キーの同時押しを設定できる

 「ポインター」タブでは、マウスカーソルの速度や加速度、修飾キーを押している間だけカーソルを遅くする「遅いポインター」などを設定できる。また、「スクロール」タブでは、スクロールリング(通常のマウスであればホイール)のスクロール速度や慣性、スクロール方向などを設定可能だ。

「ポインター」タブでは、マウスカーソルの速度や加速度を調節できる。「遅いポインター」では、修飾キーを押している間だけカーソル速度を遅くするというユニークな機能を設定可能

ジェスチャー機能を割り当てる

 ジェスチャー機能は、ジェスチャーボタンを押しながらマウスを特定の方向に動かすことで、割り当てておいた機能を発動するというものだ。ジェスチャー機能はLogi Options+とマウスアシスタント5に搭載されている。

ロジクール「Logi Options+」

 Logi Options+の場合は、ボタンに割り当て可能な機能のリストに「ジェスチャー」が用意されており、上下左右の4方向の動きに対してさまざまな機能を設定することができる。なお、今回使用したマウスのMX MASTER 3Sでは、初期状態で親指ボタンがジェスチャーボタンとして登録されていた。

Logi Options+では、「仮想デスクトップ」や「ウィンドウの管理」などのプリセットが用意されているほか、「カスタム」では上下左右の4方向に対して自由に機能を割り当てられる

エレコム「マウスアシスタント5」

 マウスアシスタント5では、初期状態ではジェスチャーボタンは用意されていないので、まず任意のボタンに「ジェスチャー機能」を割り当てる必要がある。

 次に「ジェスチャー機能割当」タブに移動し、「追加」ボタンから自作のジェスチャーを登録する。ジェスチャーは、たとえば↑↓↑↓や→↑←↓など、上下左右の4方向を最大4ステップまで設定できるため、多数のジェスチャーを作成可能だ。

マウスアシスタント5のジェスチャー機能では、マウスの動作として、上下左右の4方向を最大4ステップまで設定可能。そのためジェスチャーの自由度が高く、多くのパターンを作成できる

マクロ機能を割り当てる

 マクロとは、キーボードやマウスの入力を記録しておき、ボタン1つで再生する機能のことだ。マクロ機能はSynapse 3とマウスキーボードセンターに搭載されている。

Razer「Synapse 3」

 Synapse 3の場合、マクロ機能はデフォルトでは搭載しておらず、外部モジュールとして用意されている。

 「SYNAPSE」→「モジュール」タブにあるリストから「マクロ」モジュールをインストールすると、画面最上段に「マクロ」タブが表示され、マクロを作成できるようになる仕組みだ。作成したマクロは、「マウス」→「カスタマイズ」タブから、任意のボタンに割り当てることで使用可能となる。

Synapse 3のマクロは高機能で、キーボードのキー押下やマウスボタンのクリックの記録はもちろん、遅延時間の調節やループの設定、イベントの挿入や変更、削除などが可能だ

Microsoft「マウスキーボードセンター」

 マウスキーボードセンターは、今回試用した中で唯一、デフォルトでマクロ機能を搭載しているユーティリティだ。

 マウスボタンに割り当てられる機能の1つとして用意されており、「基本設定」「アプリケーション固有の設定」タブのどちらからも設定できる。マウスキーボードセンターのマクロは極めてシンプルなもので、手軽に扱える一方、機能が少ないため応用範囲は狭いと言えそうである。

マウスキーボードセンターのマクロ機能は非常にシンプルで、できることは、キー押下やクリックの記録とループ設定くらいである。オマケ機能と割り切って使うのがよさそうだ

まとめ - どのユーティリティも基本機能はしっかりしている

 それでは、まとめに入ろう。

 今回試用した5種のマウス向けユーティリティは、基本機能である「アプリケーションを登録する」および「マウスの動作をカスタマイズする」については同様の機能を備えており、いずれも問題ない水準の性能であった。

 大きく異なっていたのは、やはり各々のユーザーインターフェイスである。ソフトウェアのインターフェイスは、メーカーの工夫がよく現れるところだからだ。

 中でも異彩を放っていたのは、RazerのSynapse 3だろう。前述した通り、Synapse 3は元々ゲーミングマウス向けのユーティリティで、そのまま通常マウス向けとして転用しているものだ。そのため、派手過ぎるビビットな色使いや、散見される“ゲーム”の文言、ゲームを自動認識する仕様など、実用上問題ないものの違和感を感じる部分が多く残されていた。

 もっとも使いやすかったのは、ロジクールのLogi Options+である。Logi Options+のインターフェイスは、シンプルかつモダンでユーザビリティに優れており、エレガントささえ感じるほど。4方向までと限定的ではあるが、ジェスチャー機能を搭載している点も、大いに評価できるポイントである。

 ジェスチャー機能に関しては、多数のジェスチャーを作成できるエレコムのマウスアシスタント5がダントツだ。この高性能なジェスチャー機能のおかげで、ボタン数によらず、多くの機能をマウスに割り当てることが可能となっている。ただ、古めかしいインターフェイスに関しては、改善の余地があるだろう。

 今回触れなかった機能も含め、より機能が充実しているのは、Logi Options+とSynapse 3の2つだ。次点でマウスアシスタント5である。MicrosoftのマウスキーボードセンターやケンジントンのKensingtonWorksは、使いやすいインターフェイスを備えるものの、機能面では一歩譲る格好だ。もちろん、いずれのユーティリティも基本機能はしっかりしているので、不満を感じることは少ないハズである。

使用したマウスの紹介

ロジクール「MX MASTER 3S」

製品ページのURL
実売価格:1万3,000円前後●接続方式:無線(USBレシーバ、Bluetooth)●ボタン数:7●センサー:Darkfield●最大解像度:8,000DPI●駆動時間:不明●サイズ:84.3×124.9×51mm●重量:141g

 ロジクール「MX MASTER 3S」は、数あるロジクール製マウスの中でも最高峰に位置するフラグシップ機だ。ロジクール史上、最も精度の高い「Darkfield」センサーを備えており、ガラスを含むほとんどの素材面で使用可能。また、1秒間に1,000行をスクロールできる「MagSpeed電磁気スクロール」機能を搭載する。

Razer「Pro Click」

製品ページのURL
実売価格:1万3,000円前後●接続方式:無線(USBレシーバ、Bluetooth)●ボタン数:8●センサー:Razer 5G●最大解像度:16,000DPI●駆動時間:最大200/400時間(2.4GHz/Bluetooth使用時)●サイズ:79.7×126.7×45.7mm●重量:106g

 Razer「Pro Click」は、Humanscaleとの共同開発による、洗練されたエルゴノミクスデザインが魅力のハイエンドマウス。高性能ゲーミングマウスにも搭載されている「Razer 5G」センサーを採用し、スイッチは最大5,000万回のクリック耐性を備える。また、最大で4台のデバイスとのペアリングが可能だ。

Microsoft「Ergonomic Mouse」

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実売価格:4,400円前後●接続方式:有線●ボタン数:5●センサー:BlueTrack●最大解像度:3,200DPI●サイズ:76.3×117.5×42.3mm●重量:75g(ケーブル含まず)

 「Ergonomic Mouse」はMicrosoft謹製のオフィス向けマウスで、センサーには最大3,200DPIの「BlueTrack」を搭載。握りやすく疲れにくいエルゴノミクスデザインを採用しており、長時間の使用による負担を軽減する設計だ。ホイールは金属製で、高級感あるアクセントとなっているのもポイント。無線モデルも用意されている。

エレコム「M-XGM15BBBK」

製品ページのURL
実売価格:3,400円前後●接続方式:無線(Bluetooth)●ボタン数:5●センサー:BlueLED●最大解像度:2,000CPI●駆動時間:約363時間●サイズ:73.8×109.6×40.8mm●重量:81g(電池を含まず)

 エレコム「M-XGM15BBBK」は、持ちやすさを重視した5ボタンマウスだ。マウス操作時に特に圧がかかる基節骨、母指球筋、中節骨、中手骨の4箇所になじむ設計で、指への負担を軽減したとする。また、本体側面を滑りにくいレザー調のサイドグリップとし、操作性を高めている。ペアリング切り替えスイッチも搭載。

ケンジントン「Expert Mouse Wired Trackball」

製品ページのURL
実売価格:1万2,000円前後●接続方式:有線●ボタン数:4●センサー:光学●最大解像度:400DPI●サイズ:非公開●重量:非公開

 ケンジントン「Expert Mouse Wired Trackball」は、今回試用した中では唯一のトラックボール。直径55mmの大型ボールを搭載し、独自の「ダイアモンドアイオプティカル」技術により、滑らかで精密なカーソル操作が可能。また、スクロール操作が行なえるスクロールリングを備える。利き手を選ばない左右対称デザインなのも特徴だ。なお、公式ページとAmazon販売モデルの名称が異なっているが同一製品と思われる。。無線モデルの用意する。