PC短評
モンハンワイルズが内蔵GPUで余裕だって!? Ryzen Al Max+ 395のタブレットPC「ROG Flow Z13 GZ302EA」現る
2025年3月4日 06:14
ASUSが2月26日に発売した2in1ゲーミングノート「ROG Flow Z13 GZ302EA」。なんとこの製品、CPUにAMD最新の「Ryzen Al Max+ 395」を採用し、内蔵GPUでモンスターハンターワイルズを最高画質で快適にプレイできるという驚きの性能を持つ。早速レビューをお届けしよう。
Ryzen AI MAX 390搭載のタブレットという異色の存在
ASUSのROG Flowシリーズは、小型で2in1タイプのゲーミングノートという異色の存在だ。キーボード着脱式でゲームもゴリゴリに遊べるWindowsタブレットは非常に珍しく、ゲーマー心をくすぐる製品となっている。
最新モデルのROG Flow Z13 GZ302EAは、13.4型ディスプレイを採用、本体サイズはキーボード装着時で300×209×18.7~20.7mm、重量は約1.59kg。タブレット型で300×204×12.9~14.9mm、重量は約1.2kgだ。性能重視だけに、タブレットとしてはちょっと重め。
CPUはAMD最新の「Ryzen Al Max+ 395」(開発コードネーム : Strix Halo)を採用。Zen 5アーキテクチャの16コア32スレッドで最大5.1GHz動作、2次/3次キャッシュは合計80MBも搭載とノートPC用として強烈に高いスペックを持つ。さらに、Microsoft「Copilot+ PC」の要件を満たす最大50TOPSのNPUを内蔵しており、ローカルでのAI処理にも強い。
そして、注目したいのが内蔵のGPUだ。RDNA 3.5アーキテクチャのCU(Compute Unit)を40基も備える「Radeon 8060S」が内蔵されている。これまで高性能の内蔵GPUと言われていたRyzen AI 9 HX 375のRadeon 890MでもCUは16基。数字だけでも大きな差があるのが分かる。
その性能は確かなもので、本機は「モンスターハンターワイルズ」の動作確認済PCとしての認証を取得。実際にどこまでフレームレートが出るかは後半にテストしたい。
メインメモリにはLPDDR5X-8000という高クロックタイプが32GB搭載されている。このメモリの速さも内蔵GPUの性能を高めている要因だ。ストレージはPCI Express 4.0接続M.2 SSDで容量は1TBだ。OSはWindows 11 Home。
ディスプレイは13.4型のIPSパネルでアスペクト比は16:10、解像度は2,560×1,600ドット、リフレッシュレートは180Hzと高い。広い色域を求めるデジタルシネマ向けのDCI-P3カバー率100%と優れた色の再現性を持っており、ゲームや動画を快適に楽しめる。
インターフェイスは、左側面にはUSB 4 2基、HDMI出力、microSDカードスロットを搭載。右側面にはヘッドセット端子、USB 3.2 Gen 2、コマンドセンターボタン、ボリューム、電源ボタンを用意。コマンドセンターボタンからはアプリの起動などが行なえるショートカット機能を呼び出せる。
このほか、クワッドスピーカー(0.8W×4)、503万画素のインカメラ、1,312万画素のアウトカメラも搭載。ワイヤレス機能はWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応する。
キーボードには82キーの日本語配列だ。右下にCopilotキーも備わっている。キーピッチは筆者の実測で約19mmと十分なサイズが確保されており、ライティング制御が可能なLEDバックライトも内蔵。タッチパッドは実測で約128×72mmだった。
重量級ゲームも快適に遊べる恐るべき内蔵GPU
ここからはベンチマークで性能をチェックしていこう。動作モードはArmoury Crateで「Turbo」に設定している。CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」は、マルチコアが1,655、シングルコアが115だ。マルチコア性能はノートPCとしてトップクラスと言える。
PCMark 10は総合スコアが9,125と非常に高い。クリエイティブな用途にも十分対応できる。
続いて、定番3Dベンチマークの「3DMark」だ。DirectX 12ベースの「Steel Nomad Light」が9,421、DirectX 11ベースの「Fire Strike」が23,420だ。内蔵GPUとしては強烈に高いと言えるスコア。このスコアだけ見れば、デスクトップ向けGPUのRadeon RX 6600やGeForce RTX 3060を超えると言ってよいだろう。
実ゲームではどうだろうか。ストリートファイター6のベンチマークでは、フルHD解像度の最高画質であるHIGHEST設定でスコア満点と快適にプレイできるという評価。
サイバーパンク2077も1,920×1,200ドットで画質「レイトレーシング : ウルトラ」という非常に高い設定、アップスケーラーのFSR 3をバランス設定かつフレーム生成を有効にすることで平均66.46fpsと十分快適に遊べるフレームレートが出た。
レイトレーシングをゴリゴリに効かせても内蔵GPUでプレイできるのは驚きというしかない。モンスターハンターワイルズも1,920×1,200ドットで画質のプリセットを最上位の「ウルトラ」に設定、FSRはクオリティ、フレーム生成有効で平均73.83fpsと問題なくプレイできるという評価。さすが動作確認済PCだ。
最後にバッテリ駆動時間をテストしよう。PCMark 10 Battery Profileから実際のオフィス実務作業に近い「Modern Office」を実行した。輝度は50%、バッテリが100%から残り2%で10時間15分という駆動時間だった。これならモバイル用途にも十分対応可能と言える。
内蔵GPUと言えば、高性能でもフルHDで低画質なら快適に遊べるという程度が多かった。しかし、Ryzen Al Max+ 395内蔵のRadeon 8060Sなら最高画質でもプレイできるパワーを持つ。CPUの基本性能も高く、バッテリ駆動時間も長い。ゲームはもちろん、幅広い用途で活躍できる。価格は高いが、高性能Windowsタブレットという希少価値の高い存在はやっぱり魅力的だ。