特集
LANケーブルの自作はこうやる!ケーブルをぶった切ってちょうど良い長さに調節しよう
2022年8月8日 06:55
最近はLANにつながる家電も増え、接続を安定させるためにTVやゲーム機などに無線ではなく有線でつなげている人も多いはず。いーや、絶対多い! そしてTVやルーターの周りにある、余った有線LANのとぐろ。ホコリはたまるし、邪魔だし、掃除しづらいし「いいこと」なし!
はい! この記事では「とぐろ」をなくします! 「とぐろニュートラル」な社会!
簡単に言うと、
- 余ってるLANケーブルをカットして
- 自分でLANコネクタをつけて
- 最適な長さのLANケーブルを作る
って話。インターネット黎明期の1995年ごろから、会社で家でLAN工事をしてきた筆者の経験を元に、初心者でも「さじ投げない」工事のノウハウを解説!
今回は長さの調整だけだが、次回はさまざまなノウハウ編も掲載予定だ。乞うご期待!
(1) LAN工事セットを使ってみる
(2) LAN用コネクタ「RJ45」はたくさんあるけどコレ一択!
(3) とぐろの呪縛から脱出! 電線をカットしてベストな長さに!
(4) 次回はツメ折れや配線工事について紹介
LAN工事セットを使ってみる
PC周辺機器のサプライヤーであるサンワサプライは、普通のLANケーブルから、ケーブルを作る部品などもPCショップで販売している。さらにケーブルを自作するための工具セットも販売しているので、今回はこちらを使ってみよう。
LANテスター
あると便利な工具。LANテスターにはLANコネクタが差し込めるジャックが2つあり、親(MASTER)と子(REMOTE)に分離できる。作ったLANケーブルの両端をジャックに差し込むと、それぞれのコネクタのどの端子(何番ピン)がどこに接続されているかが分かる。また断線やショートなども判定できる。
LANケーブルは場合によって50~60Vの電圧がかかっている場合がある。そのためケーブルを測定する場合は、必ず両端のコネクタをハブやルーターから外した状態でテスターに差し込むこと。
ワイヤストリッパ
必須工具ではないが、電線の皮むきに慣れていない人は絶対あった方がいい。刃の出し具合をネジで調整して、ワイヤストリッパにLANケーブルを噛ませハンドルをひと回しするだけ。これで芯線を傷つけずに外側の被覆のみ皮むきできる。こちらはフラットケーブル非対応で切断と皮むき用。
LAN用コネクタ「RJ45」はたくさんあるけどコレ一択!
工具以外に必要なのは、ネットワーク機器に接続する「コネクタ」が必要。LANで使われるコネクタの規格は「RJ45」だが、色んなバリエーションがあって悩みどころ。ついつい価格で選んじゃうと施工で「うぎゃー! 」って投げ出したくなるので要注意。特に「RJ45の加工はあまりやったことがない」という方は、
- RJ45コネクタ、ロード/ガイド付き、カテゴリ5e
というヤツ一択と考えてほしい。ほかに目もくれずコレを買う! 高いの安いの文句もなし!
さてコネクタ選びのポイントは3つ。
- 「ロード」や「ガイド」と飛ばれるチップ付きを選ぶ
- LANケーブルの「カテゴリ」に合わせる
- LANケーブルの「芯線のタイプ」に合わせる
マストは「ロード」や「ロードバー」「ガイド」という小さいチップが付いているコネクタを選ぶこと。このチップには小さい穴が空いていて電線を順番に差し込んで、チップをRJ45本体のコネクタに押し込むと配線の挿し込みミスが絶対起きないという超便利品。自作ケーブルで一番時間がかかり、一番間違えが発生しやすく、一番イライラする工程が確実で一瞬で終わる。
ケーブルの「カテゴリ」は通信速度の速さによって変わる。LANケーブルには必ず「CATEGORY」「CAT」といった印字があり、その後に「5」「5e」「6」という番号が書かれている。数値は5以下もあるが上位互換なので今なら主流の「5e」を選んでおけば間違いない。事務所だと「6」以上かもしれないので注意。
さらにめんどくさいのがLANケーブルの「芯線の種類」。後述の手順の「(4)芯線のタイプを確認する」を説明しているので参照してほしい。その芯線にあわせて「ヨリ線用」か「単線用」を選ぶ。もし「ヨリ線/単線共用」があれば面倒がないが、ロードがないものも販売されているので注意したい。
とぐろの呪縛から脱出! 電線をカットしてベストな長さに!
ここで工事するのは、一般的なLANケーブルの丸いツイストペアケーブル。きしめんみたいなフラットケーブルの工事は、ちょっと面倒なので次回のお楽しみ。
いきなり工事をするのではなく、まずこの記事を読みながら頭の仲でシミュレーションしてから、実際の工事をしてほしい。
(1)LANケーブルのカット
まずとぐろを巻いているLANケーブルを適切な長さにカットする。ニッパなどで切断してもいいが、カシメ工具やワイヤストリッパについているカット用の刃を使って切った方が便利。
刃を当てて軽くでもハンドルを握ってしまった場合は、中の細い動線に傷が入ってしまっている可能性がある。誤って刃を入れてしまった部分は破棄すること。
(2)LANケーブルの外側の被覆3cm程度を剥く
LAN工事をしたことがない方には意外に難しい最初の難関。工具を始めて使う場合は、刃の調整やLANケーブルの回し具合などを練習しておくといい。カシメ工具で被覆を剥くのは、専用のワイヤストリッパよりちょっと難しい。初心者はワイヤストリッパを使う方が確実だ。
初めて使う工具は、刃の出具合やケーブルを刃に当てる力加減、ハンドルの握り具合など、分からないことが多いので、必ず練習すること。そして中から出てきた4組8本の電線の被覆が切れていないかを、ルーペやスマホの拡大鏡機能などを使ってチェックする。LANケーブルによって被覆の厚さなどが変わるので、必ず本番の工事の前に刃の具合をチェックすること。
(3)よじってある芯線を戻しバラバラにする
外側の被覆を剥くと4組8本の芯線(電線)が出てくる。色は青、オレンジ、緑、茶と、それぞれの色に対応する白い電線が対になってよじられている。これが「ツイストペアケーブル」のゆえん。2本のペアケーブルをツイスト(よる)ことで、ノイズの影響を受けにくくしている。
もし樹脂製の芯材が入っていた場合は、ニッパやツメきりで根元で切ること。
(4)芯線のタイプを確認する
あらかじめ芯線のタイプが分っている場合は、ここでの手順を飛ばしてOK。
それぞれの芯線のタイプにあったRJ45コネクタを用意する。
ここでは実際に芯線の被覆を剥いてタイプを確認したが、慣れてくると「LANけーブルを少しクイックイッ! と曲げる」と単線かヨリ線か見当が付くようになる。単線は硬く、ヨリ線は少し柔らかいのだ。そのためには両方のLANケーブルを触った経験がないとなかなか判断が難しい。
(6)LANケーブルの反対側のコネクタを見て配線パターンを調べる
今工事しているコネクタの付いていない側は一旦放置。反対側のコネクタを見て配線パターンがAまたはBかを見定める。ほとんどの場合Bタイプのハズ。
(12)LANテスターで正しく結線されているかチェック
LANテスターの親(MASTER)と子機(REMOTE)を切り離して電線の両端にこれらを差し込む。テスターの電源を入れて親の1~8番のライトと、子の1~8番のライトが一致していればOK。
次のような状態は、配線失敗なのでコネクタを切り落としでやり直し。
なお電線によっては、中の4組8本の線を覆うように、網状に織り込まれたシールド線が囲われている場合は「G」のランプも点灯する。