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雑誌購読にも最適! コミックを見開きで読むのに適した“大型タブレット5選”

オススメの大型タブレット5選

 タブレットの利用目的として根強い人気があるのが、電子書籍の閲覧だ。とくにコミックや雑誌といった固定レイアウトのコンテンツは、サイズ的にスマートフォンでの閲覧が難しいことから、一定以上の画面サイズを持ったタブレットは、閲覧用のデバイスとして重宝する。

 そのなかでも10型前後の大型タブレットは、コミックを「ほぼ原寸大」かつ「見開き」で読むのに適した選択肢として、根強い人気がある。またコミックにかぎらず、固定レイアウトで提供されている書籍や雑誌など、原寸大でないと読みにくいコンテンツの表示にも適する。電子書籍を表示するデバイスとしては、もっとも守備範囲の広い製品と言えるだろう。

 今回は、筆者連載の「山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ」で過去に紹介した電子書籍向けデバイスのなかから、コミックを原寸サイズ×見開きで読むのに最適な10型前後の大型タブレットについて、2019年上半期の時点におけるオススメ製品をピックアップし、その特徴とともに紹介する。詳細なレビューについては、各製品紹介のリンク先にある過去記事を参照してほしい。

10型前後の大型タブレット、選ぶ上でのポイントとは

 10型前後の大型タブレットを選ぶ場合、まずチェックすべきなのは解像度だろう。スマートフォンのような400ppi以上は難しいとしても、可能ならば300ppiクラス、できれば250ppiクラスはほしいところだ。これよりも解像度が低いと、見開きで2ページを並べた場合に、細かい文字が読みにくい可能性がある。

 重量は、500gを切るのは必須、450g前後であればベターだろう。B5程度のサイズがあることから、片手で長時間保持するのはどのみち難しいとしても、500gと450gとでは、腕の疲れがまったく異なる。たとえ筐体に厚みがあっても、軽ければ意外と気にならないものだ。「軽さは正義」と言っていいだろう。

 スペックについては、電子書籍ユースであれば、エントリークラスの製品であっても実用上の支障はない。ただしあまりローエンドすぎると、大量のサムネイルが埋め込まれた電子書籍の一覧ページをスムーズにスクロールできないなどの問題が発生するほか、電子書籍以外の用途、たとえば動画の閲覧やゲームなどで、まったく使えないことになりかねないので注意したい。またコンテンツのダウンロード速度に影響するので、Wi-Fiは5GHz帯に対応する製品を選んでおくべきだろう。

 最近はスマートフォンだけでなくタブレットでも、ベゼルの幅がせまい狭額縁タイプの製品が増えているが、あまりにベゼル幅が狭すぎると、本体を持ったときに指が画面にふれてしまい、意図しないページめくりが起こることがある。見た目はスタイリッシュでも、実用性ではマイナスとなりうることは、知っておいてよいかもしれない。

オススメ大型タブレット5製品を紹介

 ここで紹介する製品は下表のとおりだ。

【表】ここで紹介している大型タブレット
iPad Air(第3世代)iPad(第6世代)Lenovo Tab P10(ZA440021JP)Fire HD 10(第7世代)12.9インチiPad Pro(第3世代)
発売2019年3月2018年3月2018年11月2017年10月2018年11月
サイズ(幅×奥行き×高さ)250.6×174.1×6.1mm240×169.5×7.5mm242x167x7mm262×159×9.8mm280.6×214.9×5.9mm
重量約456g約469g約440g約500g約631g
OSiOS 12Android 8.1Fire OSiOS 12
CPU64bitアーキテクチャ搭載A12 Bionicチップ
Neural Engine
組み込み型M12コプロセッサ
64bitアーキテクチャ搭載A10 Fusionチップ
組み込み型M10コプロセッサ
Qualcomm Snapdragon 450 オクタコア プロセッサー (1.8GHz)クアッドコア(1.8GHz×2、1.4GHz×2)64bitアーキテクチャ搭載A12X Bionicチップ
Neural Engine
組み込み型M12コプロセッサ
メモリ3GB2GB4GB2GB4GB(1TBモデルのみ6GB)
画面サイズ/解像度10.5型/2,224×1,668ドット(264ppi)9.7型/2,048×1,536ドット(264ppi)10.1型/1,920×1,200ドット (224ppi)10.1型/1,920×1,200ドット (224ppi)12.9型/2,732×2,048ドット(264ppi)
通信方式IEEE 802.11ac
バッテリ持続時間(メーカー公称値)最大10時間約10時間(7,000mAh)10時間最大10時間
コネクタLightningUSB Type-CMicro USBUSB Type-C
メモリカード-○(最大256GB)-
直販サイト価格(2019/7/18現在)54,800円(64GB)
71,800円(256GB)
37,800円(32GB)
48,800円(128GB)
29,970円(64GB)15,980円(32GB)
19,980円(64GB)
111,800円(64GB)
128,800円(256GB)
150,800円(512GB)
194,800円(1TB)

Apple iPad Air(第3世代)

縦向きを基本としたデザイン。ホームボタンが指紋認証を兼ねる

オススメポイント

 10型前後のタブレットと言えば、iPadシリーズが圧倒的な市場シェアを占めているが、9~11型でラインナップされる「iPad」、「iPad Air」、「iPad Pro」の3製品のうち、電子書籍ユースにもっとも向いているのは、このiPad Air(第3世代)だろう。

 価格的には後述のiPad(第6世代)のほうが安価だが、こちらは画面が10.5型とひとまわり大きく、それでいてベゼルの幅がせまいため筐体サイズもコンパクトだ。実際にコミックを表示しても、本製品のほうが没入感が高く、電子書籍向けだ。Smart Connector対応など拡張性も高く、電子書籍を中心に全方位的に使えるタブレットを探しているのであれば、おすすめできる製品だ。

横画面での見開き表示。アスペクト比は4:3で、上下にできる余白も少なくバランスがよい
縦画面での単ページ表示。原寸大ではないが雑誌の表示にも十分なサイズだ

Apple iPad(第6世代)

縦向きを基本としたデザイン。ホームボタンが指紋認証を兼ねる

オススメポイント

 画面サイズがひとまわりしか変わらないのであれば、前述のiPad Airではなく、よりコストを重視してiPadを選ぶ、という考えほうもありだろう。現行のiPad(第6世代)は、9.7型という画面サイズや解像度、さらに価格についても第5世代モデルから据え置きながら、新たにApple Pencilへの対応をはたしており、コスパの高さは群を抜いている。

 ただ昨今のiPadは、画面サイズや解像度などタブレットとしての基本的な部分は、ほぼ進化が打ち止めの状態にあり、電子書籍ユースにかぎって言えば、1つ前の第5世代を選んでも十分に使えてしまう。そのため本製品を検討するのであれば、Apple Storeで販売されている「整備済製品」で過去の第5世代モデルを狙うなど、別の選択肢も考えられる。発売からやや時間が経っていることもあり、後継製品の動向についても、目を光らせておきたいところだ。

横画面での見開き表示。前出のiPad Airよりやや小さいがアスペクト比4:3でバランスは良好
縦画面での単ページ表示。こちらも雑誌の表示に適している

Lenovo Tab P10

横向き前提のデザインだが、上下ベゼルの幅がほぼ等しいので縦向きでの利用も違和感はない。下部にタッチセンサーを備える

オススメポイント

 Androidタブレットは、iPadと違って「ブラウザを使わなくとも電子書籍アプリ上でコンテンツを購入できる」という特徴がある。PC上でコンテンツを買ってタブレットに転送するのではなく、購入から閲覧まですべてタブレット上で完結させたいユーザーにとっては、このメリットはかぎりなく大きい。また一部のストアでは、音量調整ボタンを使ってページがめくれるのも便利だ。

 ただ10型前後のAndroidタブレットは選択肢がお世辞にも豊富ではなく、またスペック的にはiPadにはかなわない場合がほとんどだ。この「Lenovo Tab P10」は、処理性能は決してハイエンドではないものの、10.1型ながら約440gという、iPadよりも軽い筐体が売りの1台。価格も3万円を切るなどリーズナブルで、前述のAndroidならではの利便性を重視するのであれば、一押しと言っていい製品だ。LTEモデルもラインナップされているので、ニーズに合わせて選ぶとよいだろう。

横画面での見開き表示。アスペクト比は16:10と横長なので左右に若干の余白ができる
縦画面での単ページ表示。雑誌の表示にも利用できるが、アスペクト比の関係で上下に大きな余白ができる

Amazon Fire HD 10(第7世代)

カメラ位置だけ見ると縦向き前提のデザインだが、指紋認証に対応せず前面にセンサー部がないので、縦横はあまり気にせず利用できる

オススメポイント

 Amazonのタブレット「Fire」シリーズは、実質的にAmazonのデジタルコンテンツ専用ではあるものの、同等クラスのタブレットを圧倒する価格の安さが魅力だ。この「Fire HD 10」は、フルHDの高解像度で、かつ実売1万円台前半で入手できることから人気が高い。見開き表示が可能な10型前後のタブレットを探していて、Kindleストアさえ利用できれば十分という場合、候補の筆頭に来ておかしくない製品だ。

 ただし重量は500gとヘビー級で、指紋認証や顔認証にも非対応であるほか、Androidベースの独自OS「Fire OS」を採用しており、アプリをダウンロードできるのは専用のAmazonのストアのみということもあって、汎用性においてはiOSやAndroidに遠くおよばない。電子書籍以外の用途にも使いたいと考えているのならば、少なくとも目的のアプリが利用可能か、事前にチェックしておいたほうがよいだろう。

横画面での見開き表示。アスペクト比は16:10で、左右に余白ができる。左右はベゼル幅も広いので全体的に横長の印象が強い
縦画面での単ページ表示。こちらも雑誌を表示するとアスペクト比の関係で上下に大きな余白ができる

Apple 12.9インチiPad Pro (第3世代)

指紋認証はなく顔認証を搭載。ベゼル幅は上下左右ともに均等で、縦横を問わず利用できる

オススメポイント

 本来ならば10型前後という区分に含めるには大型すぎるきらいはあるが、コミック雑誌をほぼ原寸で表示したい場合に候補に挙がるのが、12.9インチiPad Proだ。その画面サイズたるや、幅197mm、高さ263mmということで、B5サイズ(182×257mm)よりもA4サイズ(210×297mm)に近く、電子書籍を表示したときの迫力は、10型前後の製品とは比べものにならない。

 価格は10万円オーバーということで、電子書籍ユースのためだけに購入する製品ではないが、とにかく大きな画面サイズを必要とするならば、現時点でこれ以外の選択肢はない。Face IDの採用および狭額縁化の恩恵で、画面サイズのわりには筐体がコンパクトであることも、ある意味で電子書籍向けと言えるだろう。発売直後は電子書籍アプリ側で最適化が完了していないケースも見られたが、現在はそれらも解消されており、安心しておすすめできる。

横画面での見開き表示。画面自体が大きいため、コミックだと原寸以上、雑誌でも細かい文字が十分に読み取れる
縦画面での単ページ表示。雑誌をほぼ原寸で表示できるのは10型前後のデバイスと比較した場合の強みだ