イベントレポート
NVIDIAブースでASUSの360Hz液晶を体験してきた。素人でも240Hzとの差を判別可
2020年1月10日 00:00
CES 2020では、ASUSがNVIDIAと共同開発した360Hz/G-SYNC対応の24.5型フルHD液晶ディスプレイ「ROG Swift 360Hz」が発表された。細かい仕様についてはまだ明らかにされていないが、NVIDIAが顧客/報道関係向けに用意したホテルの一室では、すでにこの製品が稼働しており、世界初の360Hz環境を体験できた。
一般的なディスプレイのリフレッシュレートは60Hz。つまり、1秒間に60回画面を書き換える。多くのゲームではこのリフレッシュレートでも、描画はじゅうぶんスムーズになる。しかし、FPS系ゲームでは、たとえば相手に背後から攻撃されたとき、瞬時に振り向くなどして、大きな角度で視点が変わることが多い。
こういったとき、60Hzでは描画がかくつく、あるいはもたつくと感じる。60Hz環境だけでプレイしているとわからないが、その上の144Hz環境と比較するとプロゲーマーでなくともその差がわかる。
また、描画のスムーズさだけではなく、次のフレームの描画までの時間が短縮されるメリットもある。60Hz(60fps)だと、次のフレームの描画に60分の1秒かかるが、144Hz(144fps)だと144分の1秒で済むからだ。時間的には小さな差ではあるが、遮蔽物の後から敵が現われたときなどに高リフレッシュレートは有利を取れる。
NVIDIAの展示では、まさにこういうデモ環境が用意されていた。1つはCounter-Strike: Global Offensiveで、狭いドアの隙間の向こう側をランダムなタイミングで敵が通り抜けるのを見て相手を撃つというもの。筆者は普段このゲームをプレイしていないのもあって60Hz環境だと10回の試射を全部外したが、360Hz環境だと4回当てることができた。360Hz環境は2回目なので慣れが付加されたのはあるが、それでも違いはわかった。ちなみに、プロゲーマーによる試行では、60Hz環境で2回成功だったのが、360Hz環境では10回成功に跳ね上がったそうだ。
もう1つのデモは、同じCounter-Strike: Global Offensiveで、時間制限内にランダムに現われる敵になるべく早く狙いをつけて撃つというもの。これは60Hzでは8回成功だったものが、360Hzでは14回に成功数が上がった。このデモでは、敵は現われてからもちょこまかと動くので、細かくマウスを動かして狙いをつける必要がある。ここでは、360Hzでは、描画がスムーズなのもあるが、操作の入力判定も360分の1秒単位で行なわれるので、マウスと照準の動きの遅延が短くなり、狙いがつけやすくなる。逆に言うと、60Hzでは、画面の動きにもたつきを感じる。
最後のデモはDOTA 2の画面写真をそこそこのスピードで延々と横スクロールさせるというもの。これは、60Hzと360Hzの比較ではなく、240Hzと360Hzの比較になっていた。ぱっと見では、同じように見えるのだが、目線を横に流しながら見ると、240Hzでは全体的に画面がぼやけているのに対し、360Hzではそのぼやけがなく、画面に表示されている小さなテキストもしっかり読むことができた。
60Hzと144Hzや240Hzに違いがあるのは、FPS系ゲーマーにとってはすでに常識になりつつあるので、関心があるのはこれまでの最大であった240Hzと360Hzの違いだろう。そういう意味では、プロゲーマーではない筆者も240Hzと360Hzの差をしっかり認識できた。
NVIDIAでは、FPS系ゲームでプロプレイヤーを起用して240Hzと360Hzでどれだけエイム精度に違いが出るかを検証したとのことで、結果として360Hzでは240Hzに対して4%の向上が見られたという。製品発売は年末と少し先になる予定だが、プロやハイエンドプレイヤーを中心に注目を集めそうだ。